日本畜産学会報
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35 巻, 4 号
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  • 勝木 辰男
    1964 年 35 巻 4 号 p. 199-208
    発行日: 1964/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 内藤 元男, 永井 次郎, 長沢 弘, 篠原 元
    1964 年 35 巻 4 号 p. 209-220
    発行日: 1964/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    比較的閉鎖された集団である群馬県神津牧場のジヤージー種牛について泌乳中の成雌牛35頭を用い,写真測定により乳房各部の大きさの近似値と尻各部の大きさを測つた.それぞれ相互間および両者の間の相関を単純相関の外,当日乳量,泌乳中の時期,産次の影響を除いた偏相関より調べ,審査上の意義を明らかにすると共に,級間級内分散分析により表型に対する父母の影響を計算し,遺伝の関与の有無を推定した.
    その結果
    (1) 乳房各部,尻各部の大きさに及ぼす当日乳量,泌乳期,産次の3要因の影響は相関値より見て,乳房に対しては当日乳量が最も高く,次で産次で+05ないし+0.6であり,泌乳期の影響は小さい,尻部では余り影響はないが,当日乳量,産次がほぼ同等の影響をしている部位もあり,その場合も+0.3くらいの相関であり,泌乳期の影響は小さい.
    (2) 乳房各部の大きさの間の単純相関値はかなり高く+0.5~+0.9であるが,偏相関値ではやや小さくなり,部位により異なるが+0.3~+0.8で概ね有意であつた.容積については巾,後面積との相関が特に高く+0.8以上を示した.前後左右の乳頭間隔はそれぞれ乳房の長さ,巾ひいては面積,容積と有意の正相関がある.
    乳房下傾斜は乳房長,巾と負の相関があり,前後乳区の不均称は乳房の大きさに不都合であることを示している.
    (3) 尻各部の大きさの間の相関も,単純では概ね+0.5以上の有意の相関があり,偏相関ではやや低くはなるが,乳房の大きさの場合程の減少でなく+0.4以上を示した.
    (4) 乳房各部と尻各部との大きさの間の相関は,単純では長さ同士,巾同士および乳房の関係面積で+0.4~+0.6の有意の相関を示したが,偏相関では一般に値が小さくなり,+0.2~+0.4となつて有意でなくなつた組合せもあつた.例えば乳房容積に対し単純相関では尻長+0.359,直尻長+0.448,腰角巾+0.517であつたが,偏相関ではそれぞれ+0.244,+0.480,+0.222となつた.
    尻部のうちで乳房各部の大きさと有意の相関が多く,かつ値高かつたのは直尻長であつた.前後尻傾斜はそれ自体では乳房のある部位とは有意の相関のないこともあつたが直尻長に影響する一つの要因として重要であろう.
    (5) 娘の表型に対する父母の影響の有意であつたのは,父では前後尻傾斜,坐骨巾,腰角巾,乳房後面積,尻長/腰角巾比(骨盤の形と関連),母で乳房下傾斜(前後乳区不均称と関連),乳房長,乳房長/平均乳房深比(乳房の形と関連)などであつて,これらの形質に遺伝がかなり関与していることを暗示している.
  • I. 凝乳酵素としての性質の検討
    津郷 友吉, 吉野 梅夫, 谷口 宏吉, 小沢 晶子, 三木 彬郎, 岩崎 慎二郎, 有馬 啓
    1964 年 35 巻 4 号 p. 221-228
    発行日: 1964/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Mucor pusallus Lindtの生産する凝乳酵素(MR)の性質をレンネット(HANSEN'S Cheese Rennet Tablet,R.)と比較して次の結果を得た.
    MRの凝乳力は生乳に対してはRの約20~25%であつた.しかし,それはCa添加により著しく増大し,63°,30分加熱後Caを0.01%添加した牛乳(チーズ製造条件)に対してはRの約40%の凝乳力を示した.MRの凝乳作用の最適温度は56°でRの44°より高く,また耐熱性もRより強く,55°,20分加熱でも凝乳力の68%が残存した.カゼイン分解力の最適pHは3.5附近であつた.
    カゼインに対してMRを長期間作用させたときのNCNの増加はRをやや上廻る程度であるが,NPNの生成はRの約2倍となり,小分子の分解物が多く生成することを示している.しかし,MRの作用によるカゼインの電気泳動図の変化は僅かであつた.
    MRを用いるとカード張力はRの場合に比しやや柔らかい傾向があるが,カード切断までの時間を数分間延長すること,またはMRの使用量をやや増すことによつて固いカードが得られる.
    以上の諸結果からMRは従来知られているレンネット以外の凝乳酵素に比べ,凝乳力が強くて分解力が弱く,レンネットの代りにチーズ製造に充分用い得るものと思われる.
    終りにMucor pusillus Lindtの凝乳酵素を御供与くださつた名糖産業株式会社東京研究所所長篠田晃氏に感謝の意を表します.
  • II. チーズ製造実験
    津郷 友吉, 谷口 宏吉, 吉野 梅夫, 小沢 晶子, 有馬 啓
    1964 年 35 巻 4 号 p. 229-237
    発行日: 1964/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Mucor pusillus Lindtの生産する微生物レンネット粉末製品(MR)を用いてゴーダ型,カマンベール型,およびカテージチーズを製造し,レンネットで製造した対照チーズと比較検討した.その結果,MRは溶解性のいくらか劣る後こと,原料乳の性質の変動の影響をレンネットより受けやすい点,およびMRによつて生ずるカードがレンネットのそれに比してやや柔らかい点はあるが,MRはチーズの収量および熟成に悪い影響を及ぼすことなしに,レソネットに代えて十分チーズを製造しうることを明らかにした.
  • 菅原 七郎, 竹内 三郎
    1964 年 35 巻 4 号 p. 238-242
    発行日: 1964/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    家兎の卵管及び子宮液について,その組成として揮発性脂肪酸が存在するか否か,又,若し,存在した場合どんな種類の脂肪酸であるかを知るために,卵管及び子宮にカニューレを装着し,分泌液を採取し,分析したところ次の如き結果を得た.
    1) 卵管及び子宮液の分泌量は発情期では休止期の約2倍に達する.
    2) 微量拡散法による家兎卵管液中の全揮発性脂肪酸は酢酸として20.2mg/dlであつた.
    3) 水蒸気蒸溜法によつて血液,卵管及び子宮分泌液の全揮発性脂肪酸含量を比較したところ三者共,殆んど同じレベル(4.2~4.5mg/dl)であつた.
    4) ペーパークロマトグラフィーによつた結果,卵管及び子宮液中に出現する揮発性脂肪酸は酢酸であることが判明した.
    5) 又,卵管及び子宮液中にはRF=0.93の揮発性で弱酸性反応を示す物質の存在を認めた.
  • X. ジヤージー牛乳の無機質
    今村 経明, 園部 文雄
    1964 年 35 巻 4 号 p. 243-247
    発行日: 1964/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    わが国にいるジャージー牛は,現在,全乳牛飼育頭数の2.7%に過ぎないが,ホルスタイン種に次ぐ品種である.しかし,この品種の乳の無機質組成は,ほとんど研究されていない.そこで,1963年2月から1年間にわたつて,ジャージー乳牛群の合乳について,各種元素量を測定した.それは,K:139.5mg, Na:35.6mg, Ca:130.5mg, Mg:14.0mg, P:99.7mg, Cl:80.5mg, S:22.9mg, Fe:67.0μg, Cu:13.0μg, Ma:6.3μg, Zn:333.8μg, Mn:3.9μg/100gであつた.これをホルスタイン牛乳と比較すると,(i) K, Na,およびClが少なく,(ii) Ca, Mg,およびPが多く,(iii) Fe, Cu, Zn,およびMoが多い.すなわち,著者らの分類によれば,(i) 牛乳中で水溶性の塩となつている元素の含量がジャージーに少なく,(ii) カゼインに結合している元素(やや多く),(iii) 脂肪球に吸着きれている元素がジャージーに多い.そこで,ジャージー牛乳は,(i) 固形分が多く(水分が少なく),(ii) 蛋白質が多く,(iii) 脂肪が多いために,以上のように,ホルスタイン牛乳と異なると考えた.
    そして,日本の牛乳は,ホルスタイン牛乳が大部分であり,しかもそれが高脂肪低蛋白の傾向にあるため,欧米の牛乳に比べて,Ca, Mg,およびPが少なく,K, Na,およびClが多いと考えた.
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