家畜正常血清中の抗Q凝集素の出現頻度を,ブタ1084例,ウシ152例,ウマ54例,ヤギ150例,メンヨウ109例およびウサギ194例について調査し次の事項を得た.
1) ブタ1084例中74例(6.83%)が抗Q凝集素を保有していた.そのうち凝集素価4~8倍のもの10例(13.51%)で全調査例に対する割合は0.92%であった.また品種別にみると,中ヨークシャー種では1015例中64例(6.31%),支那種とその雑種では29例中10例(34.48%)であり,バ一クシャー種では40例中1例も検出されなかった.
2) ウマ54例中14列(1.85%),ヤギ150例中1例(0.67%)およびウサギ194例中2例(1.03%)が抗Q凝集素を保有していたが,ウシ152例およびメンヨウ109例中には1例も検出されなかった.
3) 抗Q凝集素価については,ブタ74例中ほとんどのものが1倍で54例(72.97%),その2倍のもの10例(13.51%),4倍のもの7例(9.46%),8倍のもの3例(4.05%)であった.またウマの1例は4倍であり,ヤギ1例およびウサギ2例はそれぞれ1倍であった.
4) 異種血球凝集素価の分布は各家畜によって若干異るが,その範囲は0~64倍であり,それらのModeは2~8倍である.
5) ブタ201例につき異種血球凝集素価と抗Q凝集素との関係を調査したところ,異種血球凝集素価が16倍のもの31例中10例(32.2%),32倍のもの16例中10例(62.5%),64倍のもの2例中2例(1000.0%)に抗Q凝集素が検出され,8倍以下のものには1例も検出されなかった.よって抗Q凝集素を求むる場合は異種血球凝集素価16倍以上のものが適当のように考えられる.
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