日本畜産学会報
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36 巻, 11 号
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  • XX. 塩蔵の基礎的検討
    岡村 浩, 川村 亮
    1965 年 36 巻 11 号 p. 459-467
    発行日: 1965/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    This experiment was carried out to elucidate the changes of the distribution of nitrogenous components in skin during the storage of green salted skin. Influences of three kinds of treatments, which were, fleshing before curing, soaking in 10% NaCl solution with 20 p. p. m. chlorotetracycline before curing and repeated salting after 3 days and 1 month of the first curing, on distribution of nitrogenous components in skin were compared.
    The results of this experiment indicated that the amounts of non-protein nitrogen and soluble protein nitrogen in these skin were less than in skin cured without any treatment, but no change was found about other nitrogenous components. Remarkably decreased amounts of non-protein nitrogen were found in the skin soaked in 10% NaCl solution with 20 p. p. m. chlorotetracycline before curing. Remarkably decreased amounts of soluble protein nitrogen were found in the skin cured thrice. When the skin of inferior freshness was cured, the amounts of non-protein nitrogen increased. But in the skin soaked in 10% NaCl solution with 20 p. p. m. chlorotetracycline before curing, these increased degree of non-protein nitrogen was lowered.
  • 浜田 龍夫, 亀岡 暄一, 大森 昭一郎, 森本 宏
    1965 年 36 巻 11 号 p. 468-473
    発行日: 1965/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    5頭のホルスタイン種雄子牛を供試して,イタリヤンライグラス乾草の消化率におよぼす子牛の年令の影響について,全糞採取法と酸化クロムのindex法とにより検討した.牛乳の消化率を3-4週令で測定し,牛乳と乾草を給与した場合の消化試験を異なる成長段階でそれぞれ2回ずつ反復実施した.
    牛乳と乾草を給与した場合の7回の糞採集期における酸化クロムの平均回収率とその標準偏差は,それぞれ99.3%と6.8%とに相当した.子牛が乾草を摂取し始めてから4-5週間以内に,乾草の消化率はほとんど成牛により求めた消化率に近い値まで急速に高まり,それ以後は年令がすすむにつれて,わずかに増加した.
  • I. Pale Muscleの理化学的性質について
    藤巻 正生, 荒川 信彦, 鈴木 敦士
    1965 年 36 巻 11 号 p. 474-478
    発行日: 1965/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肉色の淡い(pale),watery porkと思われる豚枝肉のロース部について,正常試料と対比しつつ,その筋肉のpH,保水力,ミオグロビン及びニコチン酸含量を測定するとともに,その水溶性蛋白質についてはcellulose phosphateを用いるカラムクロマトグラフィー,繊維状蛋白質についてはミオシンBのATPase活性の測定を行なつた.
    その結果,同一荷口の同一部位の正常筋肉と比べてPale muscleでは,明らかにそのpH値,保水力並びにミオグロビン含量は低く,外観から肉色の淡い筋肉はいわゆるwatery porkに相当することが判つた.
    ニコチン酸含量はPale muscleに著しく多く,またカラムクロマトグラムには著しい差異はみられなかつたが,ミオシンBのMg活性ATPase活性度はPalemuscleでは低かつた.
  • 山内 昭二
    1965 年 36 巻 11 号 p. 479-487
    発行日: 1965/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. ヒダの形成,輪状ヒダはC. R. 18cmの時期に初めて出現し,これによつて子宮頸の部分は子宮体および膣から明らかに区別される.この時ヒダは原基状のものも含めて4ケ或いは5ケ認められるが後位のものほど大きい.
    C. R. 26cmのものからヒダの内部に輪走筋が進入しヒダが強化されるが,輪走筋の参加は後位のものほど顕著である.C. R. 32cm-35cmの時期にかけて輪走筋はすべてのヒダに進入する.このためヒダは全面的に肥厚し特に最後位のものは外子宮口を閉鎖するようになる.C. R. 55cmのもので最後位のヒダは膣腔内部に約3.8mm突出しPortio vaginalis uteriを形成する.
    2. 筋層•縦走筋はC. R. 23cmの時に漿膜に接する結合織中に分化し始める.輪走筋はC. R. 26cmのものから出現するが,これは粘膜の直下に独自に分化してくることと,子宮頸の後位ほど発達が急激であることが大きな特徴である.C. R. 60cm以上のものでは縦走筋の一部は最後位のヒダの内部に進入している.
    3. 粘膜と上皮C. R. 26cmの時期に至るまで粘膜は子宮角のそれと全く等質の様相を示す.上皮もまた同様であるが,全体的に烈しい起伏を示し,遊離縁もせん細な突出をもつ.この頃の子宮頸の腔には時に不定形の粘液性可染堆積物が認められる.
    C. R. 28cmのものからは輪走筋の発達につれ粘膜固有層の領域は次第に狭小となる.上皮細胞は後位のものから次第に低くなるが,分泌性の形質は変らない.C. R.33cm-35cmの時期になると可染物はPAS陽性となるほか,上皮細胞の遊離縁にも陽性物質が見られるようになる.子宮頸の上皮と同等の様相が卵管上皮,子宮角の粘膜上皮,また子宮小丘の上皮などにも認められる.
    4. 血管系およびその他初期には粘膜と漿膜の間に小血管は位置し,子宮頸壁を輪状に走る.筋層の分化と発達につれ究極的には輪走筋と縦走筋の間に位置するようになる.
    C. R. 26cm-33cmの時期のもので,漿膜に接する結合織,また時として縦走筋中に白血球が認められる.胎令が進んだものでは粘膜の小血管の附近にも白血球の集合が認められる.C. R. 55cm以上の大形胎児では,これらの集合が大きくなるほか,大型細胞群が認められ,さらに赤血球の集団が加わつている.
  • (VII) 赤クローバー生草およびサイレージ中の窒素化合物の組成について
    大島 光昭, 田先 威和夫, 柴田 章夫
    1965 年 36 巻 11 号 p. 488-495
    発行日: 1965/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 赤クローバー生草およびサイレージを三大部分に分画し,各部への窒素の分布状況をしらべた.生草においては,繊維部26.9%,濃厚部44.4%,水溶部28.7%(うち蛋白態窒素4.7%)であつたが,サイレージでは,繊維部29.4%,濃厚部14.5%,水溶部56.1%となり,繊維部窒素はサイレージにより変化されにくいが,生草濃厚部蛋白質の70%ちかくが分解をうけ,サイレージ水溶部に移行することがわかつた.
    2. 赤クローバー生草およびサイレージ濃厚部蛋白質のアミノ酸組成を測定して比較した結果,両者に差はみられなかつた.
    3. 赤クローバー生草およびサイレージの水溶部非蛋白態窒素を比較したところ,サイレージには生草に比し14倍のアンモニア態窒素,6倍のアミノ態窒素が存在したが,アマイド態窒素および硝酸態窒素は非常に少なかつた.ペプチド態窒素は生草中に非蛋白態窒素あたり18.3%存在したのに対し,サイレージ中にはまつたく見られなかつた.
    4. 生草水溶部の遊離アミノ酸含量を測定した結果,比較的多く含まれるアミノ酸を,全非蛋白態窒素当りの各アミノ態窒素量で示すと,アスパラギン酸,3.1%,γ-アミノ酪酸2.5%,セリン2.4%,プロリン2.2%,アラニン2.1%およびグルタミン酸1.9%であつた.他のアミノ酸は何れも上記アミノ酸の半量以下であつた.また,エタノールアミンが1.2%検出された.
    5. 生草水溶部のペプチド構成アミノ酸を測定した結果,その含量は遊離アミノ酸とほとんど同じであつた.しかしその組成については遊離アミノ酸と相関はなく,遊離の状態では0.4%しか存在しなかつたグリシンが,ペプチド中には2.8%も存在した.
    6. サイレージ水溶部の遊離アミノ酸を測定した結果,多く含まれるアミノ酸は,非蛋白態窒素当り,アラニン7.6%,γ-アミノ酪酸5.4%,ロイシン4.5%,グリシン4.2%およびバリン3.9%であつた.これを生草濃厚部蛋白質のアミノ酸組成と比較すると,アラニンが多く,アスパラギン酸,グルタミン酸およびアルギニンが少ないことを除いて非常によく一致した.サイレージ中には生草に含まれるアミノ酸のほかにα-アミノ酪酸,β-アミノイソ酪酸およびチトルリンの存在することが確認された.
  • 内藤 元男, 正田 陽一, 小林 春雄, 福島 靖子, 野村 専治
    1965 年 36 巻 11 号 p. 496-505
    発行日: 1965/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    2場所に飼育されている泌乳前期のホルスタイン種雌牛,それぞれ20頭,9頭について乳頭諸形質と搾乳性とを測定し,それらの関係を求めた.
    乳頭の形質としては乳頭長,外径,圧迫帯法による括約筋抵抗,円錐棒による開張孔径を,搾乳性としては,最高搾速,平均搾速,搾乳時間,最高時を測つた.
    これら諸形質間の相関を単純相関と,搾乳量,泌乳期,産次を一定とした偏相関について調べ,さらに父または母を同じくする半きようだいについて級間級内分散分析により父母の影響の有無,半きようだい間の表型似通いの程度を検討した.
    主な結果を要約すると次の如くである.
    (1) 両場所での平均値から見ると,ホルスタイン種牛ではそれぞれ乳頭長5.7,7.4cm,外径は等しく2.9cm,括約筋抵抗0.32,0.29kg/cm2,開張孔径(1場のみ)3.00mmで,いずれも前報のジャージー種牛より僅かに大であつた.
    (2) 搾乳性の代表値として最高搾速を示すと,それぞれ1.49(夕),1.98kg/分(朝)でジャージー種牛(朝)よりやや低かつた.
    (3) 最高搾乳と最も関係の深い乳頭形質は括約筋抵抗で,雨場所とも,また単純,偏相関とも有意の負の相関があり,ジャージー種牛の場合より相関値は高かつた.
    (4) 最高搾速と開張孔径との間では正であるが有意の相関ではなかつた.これは開張孔径が最高搾速と関連はあるにしても変異が小さいため,極端なものを除けば最高搾速にそれ程影響しないことを示す.
    (5) 乳頭のこの2形質について,さらに互いに他を一定とした偏相関で最高搾速,平均搾速との関係を見ると,括約筋抵抗のみが有意であつて,上記の(3),(4)を裏付けている.
    (6) 乳頭長,外径と搾乳性との関係は,極端なものを除けば機械搾乳では有意でないようである.
    (7) 乳頭括約筋抵抗や搾乳速度などの形質では父母の影響が有意であり,遺伝の関与がかなり強いと推定された.
    結論として,搾乳速度は開張孔径も関係はするが,最も関係の深い乳頭形質は括約筋抵抗で,搾乳性から逆に見ると,およそ0.28kg/cm2が最も適度な強さであると考えられる.またこれらの形質は育種の対象形質となるものである.
  • II. 各種条件下の第一胃内Veillonellaコハク酸脱炭酸能
    扇元 敬司, 須藤 恒二
    1965 年 36 巻 11 号 p. 506-509
    発行日: 1965/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Veillonella alcalescensのコハク酸脱炭酸能がルーメン内で増大する可能性について,めん羊ルーメン由来7SR-21株を用い検討した.
    1. 該菌をコハク酸,酒石酸,乳酸を添加した培地で培養し,各培地の炭素源によつてコハク酸脱炭酸能が変化するか否かを検討した.その結果,本活性は培養時の基質には,大きな影響を受けないことを知つた.
    2. 回分培養で得られた該菌のコハク酸脱炭酸能の経時変動は対数生育期の末期に最低となり,その後,漸増して48時間後,即ち平衡期にはQco2600以上となつた.この値は該菌の平均活性値のほぼ2倍である.
    3. 該菌の本活性に及ぼすルーメン液の影響を検討するために,休止菌液を,(a) 高速遠沈で得た除菌ルーメン液と試験管内で嫌気的に37°Cで感作し,(b) 透析袋に入れ瘻管を通じてルーメン内に挿入し,透析性ルーメン液と感作した.その結果,本活性はルーメン液によつて保持され,増大するが,その程度は約2倍であつた.
    4. 該菌とルーメン菌区分を混合した際の本活性を測定し,他の菌群の影響をみたが,特に増大しなかつた.
    これらの実験の範囲内では培養されたV.alcalescensの本活性は比較的変動性が少なく,増強されることがあつても数倍にとどまり,ルーメン内V.alcalescensのコハク酸脱炭酸能が単離培養した該菌の活性に等しいと仮定して得られた計算値と,ルーメン細菌区分コハク酸脱炭酸能の実測値の間の大差を説明することが出来ず,従つて,ルーメン内コハク酸脱炭酸能に対する寄与は僅少であろうとの推論は否定されなかつた.
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