日本畜産学会報
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37 巻, 6 号
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  • 大原 久友
    1966 年 37 巻 6 号 p. 191-197
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • I. リン不足飼料による雌牛の飼育試験
    小柳 達男, 晴山 信一, 三浦 定夫, 木下 善之, 富永 信
    1966 年 37 巻 6 号 p. 198-206
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 岩手県内8ヶ所の農家飼育集186頭について,血清中無機リン含量をしらべ,リン欠乏を起こす限界といわれている4mg/dl以下のものが調査中の26%もあった.
    2) 2頭の雌牛を0.12%のリンを含むリン不足飼料にて13ヶ月間飼育した結果,血清中の無機リンは夫々7.3~5.3mg/dlから3.6~3.9mg/dlに抵下したが,対照区は,はじめの6.6~8.5mg/dlの含量を維持した.
    3) リン不足の初期(6ヶ月目頃)に,リン欠のひとつの症状である異嗜を示した.
    4) 体重増加と飼料摂取には,欠乏の影響がみられなかつたが,受胎など不良があらわれた.すなわち,リン不足の1頭は,種付により発情が止つたが,結局空胎で,他の不足牛から生まれた子牛は,対照区の子牛に比較して成長が貧弱であつた.
  • 伊藤 宏, Sam L. HANSARD
    1966 年 37 巻 6 号 p. 207-211
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    18頭のPoland ChinaおよびDuroc種の妊娠豚とそれらの胎児(90頭の純粋種および雑種,110日令)の肝臓グリユーゲン量を測定し,母豚の管理状態および品種による影響について考察した.母豚および胎児の肝臓グリコーゲン濃度は,それぞれ平均15および51mg/gで,よく管理された豚の胎児は妊娠期間中に約2gのグリコーゲンを肝臓に貯えた.妊娠末期に約10日間代謝箱内に保定された母豚およびその胎児の肝臓グリコーゲン含量は,普通の舎飼いの場合に比べるといずれも半分以下であつた.従つて分娩直前の母豚の管理が肝臓グリコーゲンの貯蔵に直接影響を与えると考えられ,品種ならびに雑種強勢による影響については十分な結果が得られなかつた.
  • III. 動揺する踏み板上の駐立姿勢の保持
    野村 晋一, 沢崎 坦, 茨木 弟介
    1966 年 37 巻 6 号 p. 212-220
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    犬を水平な踏み板に立たせ,正常な駐立姿勢をとらせる.踏み板の頭側または尾側をひきあげ,傾斜が25°に達してから静かにもとの位置に戻すことによつて,犬に前より姿勢または後より姿勢をとらせる.踏み板の頭側と尾側を交互にひきあげて踏み板をseesawのように動かし,前述の姿勢を連続してくり返すことをさせる.踏み板を交互に横に傾けて,身体の1側がはじめ負重側ついで免重側になるようにする.以上の4種類を課題にして,その間の筋活動の変化を50種の筋について筋電図によつて調べた.主な成績は次の通りである.
    1) 前より姿勢は頭頸部の前出と後肢の伸展による重心の前方移動からはじまる.M. deltoideusの収縮による肩関節の閉鎖と.M quadrices femoris, M. sartorius, M. gastrocnemiusなどの収縮による膝関節の開張,固定が前出した重心を安定に保持する基礎になる.原位置に復帰しても筋の活動はそのまま続き,なかんずく頭頸部の回復がもつともおくれる.
    2) 後より姿勢は頸背側筋群の強い収縮による頭部の後方牽引,M. brachiocephalicusの収縮による上腕の峻立,腕,指関節屈筋群の収縮およびM. sartoriusの収縮による膝関節の閉鎖などによつて重心が後方に移動することからはじまる.極端な後より姿勢では前肢上部の関節は完全に伸展し,後肢上部の関節は中間位に近く固定される.この姿勢は疲労し易く,永続きしない.姿勢の回復は筋の活動と並行せず,多くの筋が回復後も移動中の活動を持続している.
    3) seesawの上で平衡をとつて立つことは訓練された犬でもむつかしく,ぎごちない仕草が現われる.体壁の筋群は持続的に緊張し,躯幹背側の長筋群が踏み板の上下とともに弛張をくり返して,重心の移動と躯幹の成形を行なう.傾斜が10°以下の場合の動作はむしろ被働的で,重心の転移に追従して筋の活動が起つているが,10°を越えれば,積極的に前より,または後より姿勢をとるために,肢上部の比較的かたちの大きな筋たとえば前肢のM. brachiocephalicus, M. deltoideus, M. triceps brachii,後肢M. gluteus, M. quadriceps femoris, Mm. adductoresなどに強い活動が現われてくる.
    4) 右側と左側に交互に傾斜をかえる踏み板の上では,体の1側が負重側になるか,免重側になるかのくり返しで,筋の活動はおよそ被働的である.負重側になる場合は正常駐立時はの筋の活動がさらに強化された状態となり,免重側になる場合は急激に活動が止むだけの変化であるが,肢の自由部を内転するMm. pectorales, Mm. adductoresおよび肩帯の上部を固定するM. serr-atus, M. rhomboideusの活動は著しく強くなつている.
  • IV. 常歩および速歩運動における筋の働きかた
    野村 晋一, 沢崎 坦, 茨木 弟介
    1966 年 37 巻 6 号 p. 221-229
    発行日: 1966/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    トレッドミルによつて犬にその場運動を課し,分速60mの常歩,分速90mの速歩をつづける犬の骨格筋50種類の筋電図を記録し,関節角度の変化と歩期を対象にして歩行における筋の働きかたをとりまとめた.
    1) 歩行中の躯幹の成形は軸心骨格周辺の筋の緊張が基礎になるが,頸背側筋は常に活動して頭部を支持し,M. splenius(頸)は離地,M.semispinalis(背,腰)は着地負重期に週期的に活動を反覆した.躯幹のみに附着するMm. intercostales, Mm. obliq. abd.などでも負重期に緊張的な活動が強化した.
    2) 常歩は4調歩,速歩は2調歩で,見かけ上全く異つた歩法であるが,歩期によつて区切つたおのおのの筋の筋電図と関節角度の変化は量的な差異を認めただけであつた.
    3) 前肢のstance期はM. supraspinatus, M.infraspinatusおよびM. deltoideusの肩関節の両側性固定,M.triceps brachiiの内外側頭の1側性固定,M .flexorおよびextensor carpi rodialisおよびulunarisの腕関節の両側性固定,M. flexor digitorumsuper ficialisおよびprofundusの指関節の1側性固定によつて成立し,swing期はM. deltoideus, M. brachio-cephalicus, M. biceps brachiiなどの少数筋群によつて行なわれた.
    4) 後肢のstance期はM. gluteus(股),M. quadriceps femoris, hamstrings筋群の一部(膝),M.gastrocnemius(足)およびM. flexor digitorum superficialisおよびprofundus(趾関節)の活動によつて成立し,swing期はM. sartorius, M. tibialis anteriorが主働的に活動した.趾尖の伸筋M. extensor digitorum longusは速歩の遊進時によく活動し,着地のpointを行なう役割を果した.
    5) 肩帯の固定はM. serratusM. trapezius,M. rhomboideusの援助によつて行なうが,歩期に一致して活動に著明な消長が認められた.
    6) M.pectoralis profundusはstance期に働き,M. pectoratis superficialis はswing期に働き,ともに前肢自由部を内転させる役割を演じた.
    7) 四肢の関節は1完歩1変動を週期的に反覆したが,常歩において肩関節および肘関節,速歩において膝関節および足関節に負重による閉鎖が起り,この時期とそれらの両側性固定による筋の活動の強化とが一致した.
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