イタリアンライグラス,オーチャードグラスおよび青刈エンバクについて,サイレージ調製の難易を知ることを主な目的として,生育にともなう各種炭水化物および粗蛋白質の含量の変化を調べ,次のことを認めた.
1. 可溶性炭水化物含量(乾物中%,以下同じ)は,イタリアンライグラスの生育初期においてきわめて高く(36.5%),出穂期までに低下の傾向があり(最低16.3%),その後わずかに増大した(22.0%).これに反し,オーチャードグラスでは,最高13.0%,最低6.1%と終始低く,とくに6月下旬,7月下旬および10月上旬に採取した2,3および4番草では,著しく低い値が認められた.青刈エンバクに関しては,ごく初期を例外として,21.1%から11.9%まで,生育につれて低下する傾向が認められたが,生育の末期に,種子の成熟にともなつて,やや増大した.
2. ペントサンは,いずれの草においても,生育が進むにつれて増大し(9→21%),概して,出穂期以後の変化は少なかつた.
3. ヘキソサンが,草の生育につれて増大する傾向は,とくに顕著であつて,イタリアンライグラスでは16.1→34.4%,オーチャードグラスでは20.8→39.0%,青刈エンバクでは19.1→41.3%および36.3→40.4%と変化した.
4. 粗蛋白質含量は,いずれも生育につれてすみやかに低下した.
5. 可溶性炭水化物と粗蛋白質の比(可溶性炭水化物/粗蛋白質)は,一般に,イタリアンライグラス(1.0~3.5)にくらべて,オーチャードグラス(0.3~1.0)および青刈エンバク(0.4~1.8)では小さく,いずれの草においても,生育が進むにつれて,この比の数値が大きくなる傾向が認められた.
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