日本畜産学会報
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38 巻, 1 号
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  • II. 飼料へのテレフタール酸添加量と血漿内チアミン濃度の関係
    星 昭夫, 矢内 玲子, 榑谷 和男
    1967 年 38 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1967/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    テレフタール酸(TPA)を添加した飼料を与えると,血漿内チアミン濃度増加が促進されることがわかつたので,飼料への添加量を段階的に減らし,チアミン濃度の増加がどうかわるかをしらべた.
    80羽のニワトリ(ホワイトコーニッシュ(♀)とニユーハンプシヤー(♂)の交配種)を用い,チアミン塩酸塩(1mg/kg)を投与した後,6時間目の血漿内濃度を定量した.
    TPA群におけるチアミン濃度の増加は,0.1,0.2および0.4%群において,対照群の3.2,2.2および3.3倍の増加がみられた.その結果,ニワトリでは,血漿内チアミン濃度の増加を促進するためには,TPAを0.1%添加することで,充分効果が期待できるものと思われる.
    更に,TPAを添加した飼料を与えると,それだけで血漿内チアミン濃度が変化することがわかつた.0.1%群では増加し,0.4%群では,減少を示した.この0.4%群での血漿内濃度の減少は,投与チアミンによる血漿内濃度増加が促進されることからみて,消化管からの吸収が抑制された結果と考えるよりも,体内でのチアミン消費が増加したためか,あるいは,臓器内蓄積が増加した結果として起るものと考えられる
  • III. クロム鞣製革の比較的高温熱処理の影響
    久保 知義, 宝山 大喜
    1967 年 38 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 1967/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    異なつたCr2O3含量をもつクロム革に及ぼす比較的高温熱処理(100°~190°C)の影響を物理的性質および 水抽出物の組成の変化から考察した.
    1. クロム革の熱処理による物理的性質の劣化が認められ,引張強さおよび柔軟度の荷重は増加し,伸びは減少した.しかし,革のCr2O3含量が高くなるにしたがい劣化の程度は比較的少なくなり,また,熱処理時の水分が高水分の場合よりも低水分において熱処理の影響が少ないことを認めた.
    2. 水抽出物の組成について,溶出蛋白質量,酸度,硫酸根およびpHを測定した.溶出蛋白質量は未鞣製皮の場合に比し非常に少なく,100°~130°C熱処理における溶出量は対照と変らないが,160°~190°Cの熱処理において,Cr2O3含量1%以下の革では大きく増加した.そして,このような傾向は低水析よりも高水分の場合において大きいことを認めた.
  • I. Caの卵殼蓄積と排泄に対する飼料摂取時刻の影響
    伊藤 宏, 波多野 正
    1967 年 38 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1967/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    16羽の産卵鶏にCa45を午前10時(A群)または午後4時(B群)に10日間連続経口投与した(第1期).Ca45の卵殼蓄積量と排泄量を第1期とそれに続くCa45を投与しない10日間(第2期)にわたつて測定し,両群について比較し,飼料摂取時刻の違いによる影響について検討を加えた.
    供試鶏の産卵率,卵重および卵殼Ca含量はそれぞれ平均85%,56gおよび1955mgであつた.第1期における卵殼Ca45含量はA群で平均57%, B群で71%であり,第2日目から10日目までのこれらの値の鶏個体および日による変動は両群共極めて小さかつた.1日当りのCa45排泄量はA群30%,B群25%で,卵殼の形成がない日の排泄量は多かつた.卵殼形成開始直前または形成中に摂取された飼料Ca(主として夕方)は,卵殼形成開始の数時間前に摂取された飼料Ca(主として朝)よりも活発に吸収され,それらの多くは直ちに卵殼形成のために利用されるものと思われる.
    第2期の卵殻および排泄物中のCa45はすべて第1期に骨に蓄積されたCa45に由来している.第2期第1日の卵殼Ca45含量は,第1期最終日の値の,A群で約1/2,B群で1/4にすぎない.A群でのこの値はB群よりも高く,第1期におけるCa45の骨蓄積量がA群において高いことを示した.両期におけるCa45の卵殼蓄積量と排泄量の比率の変化から,骨に蓄積したCa45の多くは卵殼形成に利用され,内生的に排泄される量は比較的少ないことが知られた.
    一般に産卵鶏における飼料Caの卵殻蓄積量は,飼料摂取時刻の違いによつて直接影響を受け,Caの排泄量は卵殼形成の有無によつて部分的に影響されるものと考えられる.
  • I. 白かびチーズの熟成中における酸可溶性核酸関連物質の変化
    津郷 友吉, 谷口 宏吉, 林 慶文
    1967 年 38 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1967/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Penicillium caseicolumを用いた半硬質白かびチーズのヌクレオチド分布を陰イオン交換樹脂(Dowex 1¬8ぎ酸型,メッシュ200~400)を用いたカラムクロマトグラフィーにより分別し,各画分について,りん,糖,塩基の分析およびペーパークロマトグラフィーによつてヌクレオチドを同定した.白かびチーズ中に存在するヌクレオチドは3'-CMP,環状CMP, 5'-UMP, GTP,UTP, ATPおよびCTPの7種で,また適度の熟成状態である21日目のこれら物質の含有量は100g当りそれぞれ,8.6,13.8,4.7,3.2,4.7,痕跡量および25.9μMである.しかし直接うま味に関連のあるヌクレオチドはほとんど存在していなかつた.
    全ヌクレオチド含量は白かびチーズ100g当り60~120μM存在し,この量はチーズの熟成と密接な関係があることを見出した.そしてチーズのこのヌクレオチド類の大部分はスターターとして用いたPen. caseicolumの菌体内遊離ヌクレオチド類が菌の死後その自己分解によつて出現したものと推定された.
  • I. 過剰グリシン投与と幼雛肝の遊離アミノ酸
    杉村 敬一郎, 伊藤 澄麿, 本多 真一, 片山 洋
    1967 年 38 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 1967/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    動物の器官組織中のアミノ酸レベルは摂取タンパク質中のあるアミノ酸の過不足の判定に利用することが出来ると考えられるので,その一端を知る目的で実験を試みた.プリマスロック×ホワイトレグホーンの幼雛(雄性)を市販飼料で一週間飼育し,これより選出した幼雛に(1) 基本配合飼料のタンパク質レベル16%にしたもの,(2) 同じくタンパク質レベル20%にしたもの,(3) グリシン4%を(1) に混じたもの,グリシン4%を(2)に混じたもの,の4種類を群別に投与して飼育し,この食餌開始後第3週および第5週でそれぞれ肝の遊離アミノ酸18種を微生物法で測定した.全般に16%タンパク質の群は20%のものよりわずかに成長が劣つたが,4%グリシンのものは更にそれぞれ著しく成育が遅滞した.しかし,週間成長量は第5週より回復の傾向を示した.肝中遊離アミノ酸のうちグリシンおよびゼリンが第3週の例においては,グリシン過剰投与群において著しく増量することが観察されたが,第5週の例では増量が認められなかった.その他のアミノ酸ではグリシン過剰投与によって系統的な増量または減量を示したものはなかつた.これらの知見と幼雛の成長量との関連などに関して論述した.
  • I. ウズラとニワトリの交雑種の作出
    渡辺 誠喜, 天野 卓
    1967 年 38 巻 1 号 p. 30-32
    発行日: 1967/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    6品種のニワトリの精液を49羽のウズラに人工授精し合計2096個の卵を孵卵し,20.9%の受精率を得,これより24羽の交雑種のヒナ(1.2%)を得た.その交雑種の孵化日数はいずれもニワトリとウズラのほぼ中間であつた.ヒナの初生羽はW.L.ならびにW.L.×R.J.F.とウズラとの交雑種では黄色,T.N.F.との交雑種は黄色に褐色の縦縞を有しており,B.P.RおよびC.B.との交雑種ではニワトリのものとほぼ同様の状態を呈し,いずれも形態的に何らの欠陥も認められず,孵化時体重は6.2~7.59であつた.
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