16羽の産卵鶏にCa
45を午前10時(A群)または午後4時(B群)に10日間連続経口投与した(第1期).Ca
45の卵殼蓄積量と排泄量を第1期とそれに続くCa
45を投与しない10日間(第2期)にわたつて測定し,両群について比較し,飼料摂取時刻の違いによる影響について検討を加えた.
供試鶏の産卵率,卵重および卵殼Ca含量はそれぞれ平均85%,56gおよび1955mgであつた.第1期における卵殼Ca
45含量はA群で平均57%, B群で71%であり,第2日目から10日目までのこれらの値の鶏個体および日による変動は両群共極めて小さかつた.1日当りのCa
45排泄量はA群30%,B群25%で,卵殼の形成がない日の排泄量は多かつた.卵殼形成開始直前または形成中に摂取された飼料Ca(主として夕方)は,卵殼形成開始の数時間前に摂取された飼料Ca(主として朝)よりも活発に吸収され,それらの多くは直ちに卵殼形成のために利用されるものと思われる.
第2期の卵殻および排泄物中のCa
45はすべて第1期に骨に蓄積されたCa
45に由来している.第2期第1日の卵殼Ca
45含量は,第1期最終日の値の,A群で約1/2,B群で1/4にすぎない.A群でのこの値はB群よりも高く,第1期におけるCa
45の骨蓄積量がA群において高いことを示した.両期におけるCa
45の卵殼蓄積量と排泄量の比率の変化から,骨に蓄積したCa
45の多くは卵殼形成に利用され,内生的に排泄される量は比較的少ないことが知られた.
一般に産卵鶏における飼料Caの卵殻蓄積量は,飼料摂取時刻の違いによつて直接影響を受け,Caの排泄量は卵殼形成の有無によつて部分的に影響されるものと考えられる.
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