日本畜産学会報
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38 巻, 2 号
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  • II. ヒナの成長にたいするビタミンB6の作用と大腿の筋,胸筋および肝臓Glutamic-Oxalacetic Transaminase (GOT)酵素活性
    高橋 直身, 宮田 義昭, 新田 晧司, 安井 武雄
    1967 年 38 巻 2 号 p. 35-39
    発行日: 1967/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    精製飼料にB6無添加および10mg/kg添加してホワイトレグホン種雄ビナに11~17日間あたえて成長を観察するとともに大腿の筋,胸筋および肝臓GOT酵素活性値を測定し次の結果を得た.
    ヒナの成長はB6添加区では正常な発育を示したが,無添加区では種々のB6欠乏症状が現われ,ことに筋肉,羽毛の発達が悪く,成長の遅延が認められた.
    GOT酵素活性値は大腿の筋および胸筋では対照区と欠乏区の間に差が認められなかつたが,肝臓では欠乏区において明らかに活性値の低下が認められた.
    対照区の3組織のGOT酵素活性値の間には常に差があり肝臓中の測定値は大腿の筋および胸筋にかんする値よりも高いことが認められた.
  • 守本 一雄, 星野 貞夫, 渋谷 敏男
    1967 年 38 巻 2 号 p. 40-45
    発行日: 1967/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    配合飼料の粉砕度が肥育豚の飼料要求率に与える影響を検討するためハンマーミルで,あわを1,5mm(小粒飼料)と3.0mm(大粒飼料)のふるいを通して粉砕し配合飼料中62%含まれるような飼料と,同様にふすまを1.5mm(小粒飼料)と3.0mm(大粒飼料)のふるいを通して粉砕し配合飼料中30%含まれるような料とを実験的に作製し,前者はヨークシヤー種,平均体重51.8kgの豚8頭に,後者はヨークシヤー種とランドレース種のF1,平均体重41.1kgの豚8頭にそれぞれ50日間与えて大粒区,小粒区の増体量,飼料要求率,消化率,摂取飼料のTDN, DCPを測定し,次の結果を得た.
    1) あわ,ふすまの両配合飼料とも小粒飼料給与区(小粒区)の方が大粒飼料給与区(大粒区)より平均増体量は高かつた.
    2) 両配合飼料とも飼料要求率は小粒区で改善がみられた.
    3) 両配合飼料とも飼料の消化率は小粒区の方が粗蛋白質,粗脂肪,NFEのすべてについて高かつた.粗繊維もあわの50日目の実験結果以外は小粒区の方が高かつた.
    4) したがつて飼料のTDN, DCPはともに小粒区の方が高く、飼料を細かく粉砕することによつて,飼料要求率が改善されたものと推察された,
    5) 大粒区,小粒区とも実験期間の成長前期に消化率は高く後期には低下を示し,したがつてまた飼料のTDN, DCPも同様な傾向を示した.
    6) 以上の結果から養豚用配合飼料中のあわやふすまは細かく粉砕する事が飼料の利用度を高めるのに重要であると思われる.
  • I. 卵胞に分布する血管の形成過程について織部智宏
    織部 智宏
    1967 年 38 巻 2 号 p. 46-53
    発行日: 1967/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The distribution of blood vessels on the folliclar membrane of the developing follicles (from immature follicle to mature) have been observed. Some of them were embedded in celloidin. And blood vessel distribution of the mature folliclar membrane were investigated by the mounted specimen.
    1. The immature follicle
    The ovary cortex surrounding individual immature follicle did not possess the distribution of the proper blood vessels. Arteries were small in quantity than veins. Veins collected themselves like a twig overlapping the cortex and follicles, and these small veins streamed into the large vein running among the follicles.
    2. The growing follicle
    When follicles came close to the epithelium, growing follicles were accompanied by the ovary stroma which had homologous distribution of blood vessels. Thus each follice acquired the distribution of proper blood vessels. In this way the blood vessel layer was formed in the follicle membrane, that is, two artery layers and three venous layers.
    3. The mature follicle
    Thin layer of the folliclar membrane was pressed with growing follicle. Five layers of the blood vessels of artery and of vein differentiated and developed on the mature follicle. The distribution of the blood vessels were poor on the stigma.
  • II. 飼料Caおよび骨Caの卵殼蓄積割合の変化
    伊藤 宏, 波多野 正
    1967 年 38 巻 2 号 p. 54-61
    発行日: 1967/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    16羽の産卵鶏(産卵率85%)を用いて20日間の試験を行ない,前半の10日間(第1期),午前10時(A群)または午後4時(B群)にCa45を連続経口投与した.後半の10日間(第2期)はCa45を投与しない.5層に分けた卵殼および4時間々隔で採取した排泄物のCa45を測定し,飼料Caと骨Caの卵殼蓄積割合の変動と産卵時刻および飼料摂取時刻との関係について検討した.
    一般に卵殼Ca45含量は外層になるに従つて減少し,またCa45投与後卵殼形成が始まるまでの時間が長くなると,全卵殻および各層のCa45含量は低くなつた.第2期の卵殼ではいずれの層もほぼ同じCa45含量を示し,骨Ca45が一定の割合で卵殻に蓄積されることを示した.第1期最終日と第2期第1日の卵殼Ca45含量を比較した結果,第1期最終日の卵殼の最外層Ca45含量の内,A群では約80%,B群では約40%が長期間骨に蓄えられていたCa45によつて占められていることが明らかにされた.
    卵殼および排泄物のCa45含量の成績から,卵殼Caは次の3つのCa源によつて構成されるものと考えられる.1) "飼料Ca"は摂取後約8時間内に卵殼に直接蓄積される.2) "一時的骨Ca"は全卵殻Caから"飼料Ca"に由来するものを除いた残りの一部を占めるもので,飼料摂取後8ないし24時間に骨を経て間接的に蓄積される.3) いわゆる"骨Ca"は飼料摂取後24時間以上経過して,次またはその後の卵殼に蓄積される.前二者の卵殼Ca源は,Ca摂取量,飼料の摂取状態および卵殻形成時のずれによつて影響されるCa代謝の変動に対して,相互平衡を保ちながら変動するものと考えられる.第3のCa源はCaバランスに対して緩衝的な役割をもつこともあるが,全般にほぼ一定の割合で卵殻形成に供給されるであろう.
  • IV. カぜインにおすぼすレンネット作用に関する理化学的研究:シアル酸の遊離
    金 榮教, 有馬 俊六郎, 安井 勉
    1967 年 38 巻 2 号 p. 62-71
    発行日: 1967/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    カゼインにレンネットを作用させると,蛋白質給合性シアル酸が遊離するが,本実験ではシァル酸の遊離に際し,そのpH,温度等の影響を調べた.同時に遊離するNPNの含量も測定し比較検討した,なお電気泳動およびDEAE-セルロースカラムクロマトグラフィによつてレンネット作用をうけたカゼインの変化をみた.試料は脱脂乳,精製した酸カゼイン,初乳の酸カゼインおよびHILLの方法によつて分割したk-richカゼインを用いた.遊離したシァル酸含量は,一定量の試料にレンネットを添加し,一定温度で一定時間反応させた後,最終濃度12% TCAを加え遠心ろ過し,そのろ液中に含まれている量を測定,百分率で示した.結果は次の通りである.
    1. 60分間のレンネット作用によつて,常乳の酸カゼイン,脱脂乳,初乳の酸カゼインおよびk-richカゼインから遊離したシアル酸含量はそれぞれ37.0%,46.0%,51.56%および66.92%であつた.
    2. 常乳の酸カゼイン,脱脂乳,初乳の酸カゼインおよびk-richカゼインから遊離したNPN含量はそれぞれ1.5%,1.85%,2.70%および6.96%であつた.
    3. レンネットの初期反応において,蛋白質結合性シアル酸遊離のための至適pHは4.8~5.5であつた.
    4. 0~40°Cの範囲内で遊離したシアル酸およびNPNから求めた活性化エネルギーは10,960±800cal/molであつた.
    5. レンネット作用をうけたカゼインは,電気泳動図において,常乳の酸カゼインの場合はα-カゼインに相当する峰に,初乳の酸カゼインではα-およびβ-カゼインに相当する峰に開裂が生じた.
    6. DEAE-セルロースカラムクロマトグラフィにおいて,レンネット作用後常乳の酸カゼインはフラクション10および11,初乳の酸カゼインではフラクション10,11および12が消失した.
  • 佐藤 孝二, 大島 俊三, 神野 雅宏, 五島 治郎
    1967 年 38 巻 2 号 p. 72-74
    発行日: 1967/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    実験I-IIIの結果をSYKES6)の記述と比較してみると次の様になる.
    1) SYKES6)は添加濃度0.04%では毒性があらわれ,0.01%および0.02%は産卵停止に関し同程度に有効,0.001%ではほとんど無効か,軟卵,奇形卵を生じたと述べている.
    実験Iの結果もこれとよく似た傾向を示しているが,特に毒性は認められなかつた.
    経口1回投与では,SYKES6)による有効量は12.5mg/kgであるが,この2~4倍量投与してもそれほど有効ではなかつた.飼料に微量添加し連続的に4~5日間与えた方が,はるかに有効であつたといえよう.
    2) 強制換羽に関しては,SYKES6)は17.5月令の産卵鶏で産卵停止後換羽が急速に誘起されたと述べている.実験IIの結果でも,同様に換羽の誘起が観察できた.
    ICI33,828投与による換羽は,従来用いられている絶食,照射光量の変動等の手段に比べて,はるかに簡便かつ安全である点実用性が高いといえよう.
    3) SYKES6)はICI33,828投与による血中カルシウムレベルの低下,PMS投与による卵巣,輸卵管重量の増加を観察した.実験IIIの結果からも,明らかにICI33,828は間脳-下垂体系に影響を及ぼし,産卵停止を来たすことを暗示している.
    4) 投与が続くと(0.02%5日以上)軟便発生が観察された.SYKES6)は尿流量が増加すると述べ,恐らくICI33,828は抗利尿ホルモン産生をも抑制するのであろうとしている.
    5) 実験I-IIIの結果は,SYKES6)の記述とほぼ一致したといえよう.なお,ICI33,828による産卵開始抑制に関しては現在検討中である.
    実験遂行にあたり,多大の便宜を供与された,住友化学工業株式会社杉山忠太郎,阿部昭二両氏に厚く感謝の意を表します.
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