日本畜産学会報
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38 巻, 7 号
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  • 4. 牛乳および人乳の各りん脂質の脂肪酸組成
    森 茂, 土肥 達, 三野 和雄
    1967 年 38 巻 7 号 p. 277-285
    発行日: 1967/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 牛乳と人乳のりん脂質を珪酸カラムクロマトグラフィーでケファリン,レシチン,スフィンゴミエリンに分画,精製した.精製品については赤外線吸収スペクトルで同定し,薄層クロマトグラフィーでその純度を検定した.
    2. 各々のりん脂質をMeOH-H2SO4エステル交換法でメチルエステルとし,ガスクロマトグラフィーで脂肪酸を定量した.
    3. 牛乳ケファリンと人乳ケファリンを比較すると,人乳はC18とCΔ2 18が多く,CΔ1 18が少ない.また牛乳にはC22,C23,C24,CΔ1 24はほとんどないが,人乳には10%以上あつた.
    4. レシチンについても人乳はC18とCΔ2 18が多く,C16とCΔ1 18が少ない,また人乳にはC20~C24が約20%あり,牛乳との差が大きかつた.
    5. 著者らの牛乳スフィンゴミエリンの値はC18,CΔ1 18,CΔ2 18,CΔ3 18がきわめて少なく,C22,C23,C24,CΔ1 24が多く,70%以上あつた.牛乳と人乳を比較すると,人乳はC18,C20,C22,CΔ1 24が多く,C16,C23が少なかつた.特に人乳にC23が少ないのに対し,牛乳にC23が多いのは大きな特徴である.人乳,牛乳ともにC20~C24の割合は70%以上であつた.
  • 菅原 七郎, 竹内 三郎
    1967 年 38 巻 7 号 p. 286-292
    発行日: 1967/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    発生の6,7,8,9日齢の胚盤胞における胚盤胞液の化学組成,とくに,グルコース,乳酸,ピルビン酸,α-ケトグルタール酸,揮発性脂肪酸,アミノ酸,全窒素,非蛋白態窒素,蛋白態窒素についてその動態を母体血液,腹水液像との比較において研究した.前記の各物質はそれぞれ増加率が異なるが,6日齢から7日齢のあいだで著しく増加し,7日齢以後における濃度変化は物質により違うことを認めた.グルコースは7日でほぼ血液濃度に等しくなり,以後その濃度は減少する傾向を示した.胚盤胞液の乳酸は血液濃度とほぼ同じであつた.全ケト酸は前記日齢の各時期で血液,腹水液濃度の約2倍,アミノ酸は発生が進むに従つて漸増し,全窒素と蛋白態窒素は8日齢に至り血液濃度に達する.他方,非蛋白態窒素は7日齢以後は同じ濃度で経過することを認めた.
  • 山岸 規昭, 山本 禎紀, 津田 恒之
    1967 年 38 巻 7 号 p. 293-298
    発行日: 1967/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 環境温度とめん羊の生体反応の関係について,湿度の影響について検討した.実験は乾球温度(DBT)32.5°C,湿球湿度(WBT)22°C~29°Cの条件下で行なつた.相対湿度では,38~75%に当たる.使用した動物は去勢成雄めん羊,体重31.5kg,毛長約9cmのものであつた.
    2) WBTと高い相関関係を示した反応は呼吸数,毎分換気量,胸部皮膚温および直腸温であつた.湿度が体温調節機構と密接に関係することが明らかとなつた.
    3) 呼吸数は最も著しい変化を示し,WBT1°Cの上昇につき約20回/分の増加であつた.この反応について考察を行なつた.
    4) 毎分呼気量はWBT 7°Cの上昇で1.58倍に増加し,呼吸数は2.27倍に増加した.これはWBT上昇による呼吸器からの蒸散効率の低下を代償するのに充分なものであると考えられた.
    5) WBTの上昇は胸部皮膚温の上昇をまねき,皮膚面からの蒸散が抑制されていることを示すものと考えられた.
  • 山本 禎紀, 山岸 規昭, 津田 恒之
    1967 年 38 巻 7 号 p. 299-304
    発行日: 1967/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    呼吸数をはじめ二,三の生体反応は環境温湿度条件によく反応することが知られている.そのため家畜の能力や,家畜のおかれた環境の評価を,生体反応を手がかりとして行なう試みがある.このような場合温度と湿度の二つの作用が明瞭に分離され,そのおのおのについて考察し得るものであることが望ましい.本実験ではこの点について,めん羊で検討した.
    実験は乾球温度(DBT)と湿球温度(WBT)を種々組合せた11の実験条件下に,コリデール種成雄めん羊(BW.57kg,毛の長さ約7cm)をおき,3時間生体反応を観測した.
    DBTとWBT両者の影響は呼吸数,毎分呼吸気量および体表温の変化に認められたが直腸温には明らかでなかつた.
    このうちWBTの影響を呼吸数についてみると,DBTの高さにより異なるもので,DBT35°CではWBT1°Cの上昇につき19.8回/分の増加であつた.同様に30°C.16.0, 25°C•12.9, 20°C•6.1回/分の増加であつた.高温になるにしたがつて,WBTの影響が大きくなることを示している.
    さらに呼吸数を空気中の水蒸気量(g/m3)と関係付けてみると,DBTが25~35°Cの間において,DBT1°Cの上昇につき5~7回/分の増加,水蒸気量1g/m3の増加につき8~10回/分の増加と,温度と湿度の影響を分離して考えることができることを示した.
    呼吸数を指標に,めん羊におよぼすDBTとWBTの作用を適当に重みずけし,二つの環境要因を一つの尺度で表わすとほぼDBT×0.1+WBT×0.9とすることができた.この値はWBTの見積りが牛や子豚で求められているものよりも高く,蒸散による体温調節能に優ることを暗示した.
  • 李 栄商, 窪田 大作, 森本 宏
    1967 年 38 巻 7 号 p. 305-311
    発行日: 1967/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    この実験は人工肛門を設置し,正常に産卵を回復した鶏を用いて,PとCaの代謝実験を行ない,これらの相互関係を明らかにするとともに,このバランスからPの要求量をも求める目的で行なつた.
    人工肛門を設置した白色レグホーン種5羽を単飼の代謝実験用ケージに収容し,全植物性飼料を基礎飼料として,Caの含量を2.75%になるようにし,Pの含量はそれぞれ0.47%,0.58%,0.81%および0.91%になるようにした.各実験期とも予備実験の後,7日間の本試験を行なつた.
    このような条件のもとで,産卵状態ならびにPおよびCaの摂取量と,尿および糞中への排泄量との関係について比較検討した.
    その結果,これらのバランスが±0にもつとも近いのは,Pの含量が0.58%と0.81%との中間であつた.これらの事実から,正常な産卵率を維持しているケージ飼養の産卵鶏における適正なPの水準は約0.70%のようにみなされる.
  • 浜田 寛, 小石川 常吉, 石井 徳蔵, 吉野 正純
    1967 年 38 巻 7 号 p. 312-315
    発行日: 1967/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳無脂固形分含量測定のためのラクトメーター法のバブコック式および英国の標準式を例にとり,それぞれに相当するビーズ法の算式を誘導した.
    測定温度による牛乳比重の補正値から算出される牛乳体膨張係数の平均値は0.00025である.いま,15°および20°Cにおける牛乳容積をV15およびV20とすると,V20=V15{1+(20-15)0.00025}=1.00125V15ゆえに,d(15°/15°)=1.00125d(20°/15°)しかるに,d(20°/4°)=0.99913d(20°/15°)ただし,0.99913は15°Cの水の比重.
    これらの両式からd(15°/15°)=1.00232d(20°4°)…(1)ところで,各球の密度間隔は0.001であるので,ビーズ法を実施した場合の沈下球数は,沈下球中最低密度の球の値以下0.001範囲の密度の牛乳を代表する.一方,その範囲の密度は,その範囲の平均値,すなわち,最低密度の球の密度より0.0005低い値により代表される.
    したがつて,沈下球数が10,9…1の牛乳のd(20°/4°)はそれぞれ1.0245,1.0255…1.0335であり,(1)式よりd(15°/15°)は,1.0267,1.0277…1.0357となる.そこで,沈下球数をBで表わすと,d(15°/15°)=1.0367-0.001Bとなる.
    一方,示度L=1000d(15°/15°)-1000であるので,これらの両式からL=36.7-Bが得られ,このLをバブコック式に代入してビーズ法の算式が得られる.
    バブコック式および英国標準式に相当するビーズ法の算式は,それぞれSNF=9.175-0.25B+0.2FSNF=9.345-0.25B+0.22Fである.
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