日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
40 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 橋爪 徳三
    1969 年 40 巻 6 号 p. 221-228
    発行日: 1969/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 康之
    1969 年 40 巻 6 号 p. 229-237
    発行日: 1969/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    著者は先に,動静脈差法によって新生子牛の発育にともなう低級脂肪酸の吸収および体利用の発達について検索したが,その際,出生後週令の若い子牛ほど,肝における酢酸の利用度が低く,週令にともない肝での酢酸利用の増すことを知った。また,第一胃静脈血では,酢酸およびプロピオン酸濃度が週令とともに増加するが,酪酸濃度はほとんど増加せず,新生子牛の第一胃内酪酸は成牛において知られているように,第一胃壁よりの吸収に際してほとんど代謝転換をうけるものと考えられた.本実験の目的は新生子牛の肝における低級脂肪酸利用の週令にともなう発達をin vitroにおいて更に追求し,あわせて第一胃粘膜での該物質の利用発達を検索することにある.
    ホルスタイン種雄子牛20頭(8週離乳,生草あるいは乾草および濃厚飼料自由摂取)を,1,4,8,13,23週令において頸動脈より放血屠殺し,肝スライス500mgあるいは第一胃粘膜2gを,各基質200μ-molesを含むKrebs-Ringer燐酸緩衝液(pH 7.2)とともに38°C,気相酸素下で3時間振盪培養し,各基質の消費量(μ-moles/100mg dry tissue/3hrs)を求めた.添加基質は酢酸,プロピオン酸,酪酸あるいは各酸の等モル混合物である.肝スライスでの酢酸消費は1,4週令においてそれぞれ22.5±0.18,19.1±6.98で変化がみられなかったが,8週令で約2倍の39.0±3.15に著増し,以後23週令までこの高レベルが維持され,出生後間もない子牛肝では酢酸利用のかなり低いことが確認された.プロピオン酸および酪酸の利用もみとめられたが,週令にともなう消費量の著明な増加はみとめられなかった.
    第一胃粘膜での酢酸およびプロピオン酸消費は週令にともなってほとんど増加せず,1,23週令においてそれぞれ,21.1±1.43,22.3±3.31および19.0±0.05,16.8±2.66であった.第一胃粘膜での利用発達は酪酸についてのみみとめられた.酪酢消費は初期においてかなり低いが(1週令16.8±2.94),週令とともに著増し(4週令30.1±13.76),8週令では1週全の約3.5借に達し(59.7±4.24),以後このレベルが持続され,第一胃粘膜の酪酸利用は8週令までに成牛レベルに達すると認知された.動静脈差法による結果,および本実験の結果から新生子牛第一胃粘膜の酪酸消費は成牛に比してかなり低いが,正常飼育の条件下では,この低活性にもかかわらず,第一胃内酪酸は吸収に際して大部分が代謝転換をうけ第一胃静脈にはほとんど出現しないものと思われる.
  • 小坂 末蔵, 金川 弘司, 石川 恒, 細田 達雄
    1969 年 40 巻 6 号 p. 238-242
    発行日: 1969/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    異性双仔•3仔および4仔における赤血球と白血球のキメラは,フリーマーチン症の確実な指標であることが報告されているが,最近多数のキメラ体の比率を計測中に赤血球の型においては因子型とまったく異なる表現型(仮称,血液型完全転換体)の,培養白血球においては100%雌型染色体を有する,興味ある1例の異性双仔雄を発見した.
    本実験では,この異常キメラ体の赤血球を支配する遺伝子と発現されている抗原群との関連,その遺伝様式,子孫における性比,繁殖能力,白血球においては染色体構成の再分析および子牛群染色体の状態を中心に分析したものである,すなわち,
    1. 本牛の交配された雌とその仔10組の母娘の血液型においては,実際に発現されていない抗原群が仔に遺伝されていることを示していた.特にB Systemの表現型においてはBO1Y1G'Y1'の反応がみられるが,実際の遺伝子型はO3J'K'O2'Y1'/D'G'O2'であり,その他のL•F-V•S-U Systemにおいても同様な異常がみられた.
    2. 白血球においては69,77および85ヵ月令の3回にそれぞれ588, 203, 500の細胞を分析したが,すべて雌型の2A-XX型構成であることが証明された.その仔牛群の染色体はすべて正常な構成であった.
    3. 性比においては過去5年間の種付台帳によると,♀仔979•♂仔820であり,同地域に飼養される正常種雄牛との差は認められなかった.このことから,胎生期におけるprimordial hematopoietic cellsのキメラはprimordial germ cellsのそれを意味しないと考えられる.
    4. この種の現象から,二卵性双仔の関係する血液型による親子判定については,特別な免疫遺伝学的配慮を必要とすると考えられる.
  • 赤司 景
    1969 年 40 巻 6 号 p. 243-248
    発行日: 1969/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The effect of lysozyme in the presence or absence of NaCl and NaNO2 as a preservative agent for cooked sausage was studied. The addition of lysozyme at levels of 50 and 200ppm in combination with 3% NaCl and 12.5ppm NaNO2 plus heat was more effective in preserving sausage for four weeks at 10°C than additions of either lysozyme or a mixture of NaCl and NaNO2 plus heat. Omitting the effect of heat, lysozyme retarded microbial growth to greater extent than did the standard preservative mixture of NaCl and NaNO2.
  • V. 蛋白質添加によるサイレージの非蛋白態窒素の増加と品質の低下との関係
    大山 嘉信, 柾木 茂彦
    1969 年 40 巻 6 号 p. 249-254
    発行日: 1969/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    前報において,青刈エンバク,イタリアンライグラスおよびオーチャードグラスを材料とし,詰込みの際にグルテンを0%,2%および5%添加する区を設けて,計8回のサイレージ調製実験を行なった結果,蛋白質添加は必ずしも品質の低下と結びつかないことがわかった.
    よって,上記実験について,サイレージ調製前後の窒素の分布を調べ,添加したグルテンの分解程度を推定し,グルテンの分解の程度と品質低下の現象の発現との間の関係の有無を検討した.
    その結果,次のことが認められた.
    1. 蛋白態窒素の全窒素に対する割合は,材料草においては70~80%であったが,サイレージにおいては,ほとんどが50%以下になった.また,揮発性塩基態窒素(VBN)の全窒素に対する割合は,8~67%の範囲にわたったが,乳酸含量が多い(少ない)ものでは,VBNの割合が低い(高い)ことが認められた.また,酪酸,バレリアン酸,カプロン酸等が生成したサイレージでは,VBNの割合は高くなった.
    2. グルテン添加の有無にかかわらず草の蛋白質の分解程度は同一と仮定して,添加グルテンの分解程度を推定した結果,一般にグルテンの方が草の蛋白質よりも分解しやすいことが認められた.
    3. 添加グルテンの分解が,草の蛋白質の分解と同程度ないしはこれより軽度の場合には,蛋白質添加によるサイレージの品質低下は認められなかった.しかし,添加グルテンが著しく分解して,多量の非蛋白態窒素(NPN)が生成したものでは,VBNが増大し,乳酸が減少し,酪酸が増大して,品質が低下する場合と,NPNが多くなってもVBNの増大はほとんどなく,品質低下が起こらない場合とがあった.
    したがって,蛋白質添加によるサイレージの品質低下の有無は,添加蛋白質の分解によって多量のNPNが生成することとは必然的に結びつくものではなく,何らかの要因によって,さらにVBNへの分解が起こる場合に品質が低下するものと考えられる.
  • 竹下 潔, 佐々木 康之
    1969 年 40 巻 6 号 p. 255-258
    発行日: 1969/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種新生ウシ6頭を使用し,出生時,10,20,30および50時間後に採血した.そしてフラクトース(レゾルシンー塩酸法)およびグルコース(グルコースオキシダーゼ法)濃度を測定し,新生ウシの頸静脈血フラクトースおよびグルコースの濃度変化を観察した.フラクトース濃度は,出生時に高濃度(全血:53.8±16.5mg/100ml,血漿:54.5±19.3mg/100ml;平均値±標準偏差)であり,急激に減少して出生後約10時間でほぼ血中より消失した.この消失は,フラクトースの腎からの排泄がその主たる原因であると考えられる.グルコース濃度は,出生時に比較的低濃度(全血:57.8±9.9mg/100ml,血漿:63.0±14.6mg/100ml)であり,その後経時的に上昇し出生後30時間で最高濃度(全血:112.8±25.6mg/100ml,血漿:120.3±24.9mg/100ml)に達し,以後下降する.このグルコース濃度上昇は,出生によりフラクトースの供給が断たれ,フラクトースが消失したことにより生じたものと考えられるが,その機構については不明である.
feedback
Top