第一胃内温と生体反応の関係を明らかにするため,めん羊2頭と山羊1頭を用い,第一胃ろう管から0°~50°Cの水投与および第一胃内に35°~48°Cの水を循環させて生体反応を観察した.
1) 実験室温32.5°Cにおけるめん羊の熱性多呼吸は,0°,10°および20°C,1または2lの冷水投与によりただちに消失し,水投与直後の呼吸数の減少は,投与水量よりも投与水温に大きく影響された.実験室温20°Cにおける第一胃内温水循環時の熱性多呼吸の発現は,めん山羊とも,第一胃内温約45°Cで生じ,42°Cでは認められなかった.
2) 心拍数は低および高温水循環時にいずれも増加し,低温水循環時の増加は震えと落着かない動作を伴うものであり,高温水循環時の増加は熱性多呼吸の発現に先行して生じた.
3) 直腸温は第一胃内水投与と第一胃内水循環時に,いずれもわずかながら変化を認めたが,第一胃内温の変化に対する呼吸数の変化に比べ明確なものではなかった.
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