日本畜産学会報
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41 巻, 7 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • III. 産卵鶏の卵巣実質に分布する血管について
    織部 智宏
    1970 年 41 巻 7 号 p. 329-335
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏卵巣の血管分布については,NALBANDOV and JAMES5)が卵巣に走行する血管および卵胞に分布する血管について報告している.また著者7)は,卵胞が獲得する血管の形成過程についての報告のなかで,一部,卵巣実質の血管について述べた.卵巣における血管分布については,古くから人および,その他の哺乳類において,かなり詳細な研究がなされている1,2,3,4,7).しかし鳥類ではあまり見られず,鶏については,時折,卵巣に分布する血管の部分的な報告には接するが,卵巣実質の血管分布を詳細に検索したものはほとんど見られない.
    このようなことから,従来より行なわれてきた動物での研究報告を参考にしながら,産卵中の鶏における卵巣実質の血管布分について観察した.
  • I. 雛に対する毒性
    甲賀 清美, 渡辺 紘, 持田 芳照, 平塚 佐久二
    1970 年 41 巻 7 号 p. 336-342
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    昭和43年春,西日本一帯で養鶏用配合飼料による中毒事故が発生し,その原因が飼料に用いたある種の米糠油副産物(T. F.と略す)にあることが判明した.このT. F.の雛に対する毒性を明らかにするため,T. F.含有飼料による育雛実験を繰り返し,下記の結果を得た.
    1) T. F.を添加した飼料を雛に給与すると発育不良,飼料摂取量の低下,逆毛,翼の下垂,呼吸困難,佇立,灰白色下痢便などの症状を呈し,剖検所見では,心のう水腫,皮下,および腹部の水腫,内臓諸器官の変状などが認められ,特に心のう水腫が特徴的で,米国でChick edema diseaseと呼ばれる症状に酷似していた.
    2) T. F.の有毒部は不鹸化部にあり,鹸化部は無害であった.
    3) A. O. A. C.法による生物試験の結果,供試T. F.中には,同法にもとづくChick edema factorの存在が認められた.
  • V. 内因性N化合物の検索に要する人工緩衝液の検討
    小野寺 良次, 神立 誠
    1970 年 41 巻 7 号 p. 343-348
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻胃内繊毛虫類の内因性N化合物の検索に使用するための人工緩衝液および無蛋白質培地の検討を行なった.その結果,繊毛虫に対する緩衝液の等張性については,0.250Mの庶糖液に相当する濃度の緩衝液が等張であると考えられた.
    また,繊毛虫は代謝が激しく,培養中に培地のpHが低下するので,これを防ぐために,緩衝能を高くし,12時間の培養後でもpHが6.4以下にならない緩衝液を調製した,この緩衝液(B-9)は,次のような組成をもっている.
    NaCl: 2.6, KCl: 0.2, CaCl2•2H2O: 01, MgSO4•7H2O: 0.1, KH2PO4: 2.0, Na2HPO4•12H2O: 15(g/l)(以上溶解順)
    この溶液をN2+CO2 (85: 15)の混合ガスで,pH6.8になるように調整する.
    B-9緩衝液にて24時間繊毛虫を培養しても,虫体はほとんどすべて運動性を保持し,死虫体片および培地のにごりは見られなかった.
    B-9およびこれにグルコースと殿粉を添加した培地に繊毛虫類の内因性N検索用緩衝液より,それぞれ繊毛虫を培養し,各3時間ごとの培地中のNPN増加量を測定すると,いずれの培地とも一定の値を示し,培養当初から排泄されるN化合物は.食餌の影響をうけない内因性のN化合物ではないかと考えられた.
  • VI. 繊毛虫類の内因性N化合物
    小野寺 良次, 神立 誠
    1970 年 41 巻 7 号 p. 349-357
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻胃内繊毛虫類の内因性N化合物の検索が行なわれた.
    その結果,1) 内因性N化合物のうち,約40%がアンモニア態N,同じく約40%がアミノ態Nであること,また,ペプチド態Nは,極微量であることが明らかとなった.
    2) これらのN化合物は,虫体の破壊や死滅虫体の自己消化の影響をうけたものではなく,内因性代謝産物とのて培地中に排泄されたものであることが確認された.
    3) これらのN化合物のうち,内因性アミノ酸のパターンを検べた結果,Alaが最も多く,次いで,Pro, Glu,LysおよびValの順であった.この傾向は,培地に糖質を加えた場合でもほとんど変らなかった.
    4) 虫体内遊離アミノ酸パターンと内因性アミノ酸のパターンとを比較すると,虫体内には,Aspが培地中よりも多く,繊毛虫のアミノ酸摂取または排泄或いは両者に選択性の存在が認められた.また,培地中にアミノ酸が蓄積することから,アミノ酸の排泄量は,その摂取量よりも多いことが考えられる.
  • 淘汰による平均値の偏りの除去
    阿部 猛夫, 神部 昌行, 西田 朗
    1970 年 41 巻 7 号 p. 358-363
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    一群の家畜について,齢の進行に伴なう体重または体尺測定値の平均の変化を調査し生長曲線を推定する場合に遭遇する困難の1つは,通常の畜群では生長の過程で多かれ少なかれ淘汰が実施され,生長の劣ったものが淘汰の対象になることが多いため,齢が進むほど平均値は真の平均値より過大になることである.
    著者らはまず,各測定齢間の平均生長量を対比較法で推定し,とれを基礎にして各測定齢の平均値を調整する方法が,上記のような淘汰による平均値の偏りを除く上で効果的でありうる条件を理論的に検討した.その結果,偏りの除去効率は,平均値を問題にしている齢の測定値の淘汰が行なわれた齢の測定値に対する回帰の値に依存することがわかった.回帰が1ならば,その淘汰が問題の平均値にもたらす偏りの完全な除去が期待される.
    生長を観察する多くの家畜,またその場合に測定する多くの形質においては,各齢の測定値のそれ以前の各齢の測定値に対する回帰が,多くの場合1の前後に来ると考えられることから,生長に関しては,この方法はかなり効率的に偏りを除去すると予想される.実例として,マウスの体重の場合を検討した.
    生時から70日齢まで15回一定の齢で測定した雄マウス群の体重のデータを用い,各齢につき3種の平均値をとって比較した.すなわち,(1) 各齢での全個体の平均値,(2) 紙上で何回かの摸擬淘汰を行ない,それぞれの齢での残存個体のみの単純平均値,(3) 模擬淘汰の条件下で,対比較法による各齢の"調整平均値".(2)は,齢が進むにつれ(1)からかなり上に偏ったが,(3)は(1)に対し,常に,少なくも実際的見地からは満足すべき程度の接近をみせた.
  • IV. 血清トランスフェリン,プレアルブミン,ヘモペキシン, セルロプラスミンおよびアミラーゼの遺伝的変異の検出
    大石 孝雄, 阿部 恒夫, 茂木 一重
    1970 年 41 巻 7 号 p. 364-371
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    一群の家畜について,齢の進行に伴なう体重または体尺測定値の平均の変化を調査し生長曲線を推定する場合に遭遇する困難の1つは,通常の畜群では生長の過程で多かれ少なかれ淘汰が実施され,生長の劣ったものが淘汰の対象になることが多いため,齢が進むほど平均値は真の平均値より過大になることである.
    著者らはまず,各測定齢間の平均生長量を対比較法で推定し,とれを基礎にして各測定齢の平均値を調整する方法が,上記のような淘汰による平均値の偏りを除く上で効果的でありうる条件を理論的に検討した.その結果,偏りの除去効率は,平均値を問題にしている齢の測定値の淘汰が行なわれた齢の測定値に対する回帰の値に依存することがわかった.回帰が1ならば,その淘汰が問題の平均値にもたらす偏りの完全な除去が期待される.
    生長を観察する多くの家畜,またその場合に測定する多くの形質においては,各齢の測定値のそれ以前の各齢の測定値に対する回帰が,多くの場合1の前後に来ると考えられることから,生長に関しては,この方法はかなり効率的に偏りを除去すると予想される.実例として,マウスの体重の場合を検討した.
    生時から70日齢まで15回一定の齢で測定した雄マウス群の体重のデータを用い,各齢につき3種の平均値をとって比較した.すなわち,(1) 各齢での全個体の平均値,(2) 紙上で何回かの摸擬淘汰を行ない,それぞれの齢での残存個体のみの単純平均値,(3) 模擬淘汰の条件下で,対比較法による各齢の"調整平均値".(2)は,齢が進むにつれ(1)からかなり上に偏ったが,(3)は(1)に対し,常に,少なくも実際的見地からは満足すべき程度の接近をみせた.
  • Kahei SATOH
    1970 年 41 巻 7 号 p. 372-374
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Prolaction, ACTH and oxytocin are known to retard mammary involution following weaning (see for review, ÔTA6)). On the other hand, the effects of ovarian hormones on mammary involution are not always conclusive, although there are some studies on this problem2, 4-6, 9) in which the time of removal of the litter and the does of hormones employed were various. The present study was carried out in order to estimate the effects of estrogen and progesterone on the retardation of mammary involution in the mouse after removing the suckling young.
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