日本畜産学会報
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42 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • II. カマンベールチーズかびの蛋白分解酵素について
    菊池 俊彦, 高藤 慎一
    1971 年 42 巻 5 号 p. 205-209
    発行日: 1971/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. カマンベールチーズかびの保存菌株,および市販スターターおよび市販チーズから分離した菌株について蛋白分解酵素の特性を調べた.
    2. 供試菌株はツアペック,その他の培地上で,I型(P. camemberti),IIおよびIII型(P. caseicolum)の3群に大別されI型菌株の酵素活性が高かった.
    3. かび蛋白分解酵素は,pH3.0,6.0付近にそれぞれ作用至適pHを有し,かびの群別による差は認められなかった.III型についてのみ行なった結果では9.5付近にも至適pHがみられた.また生育日数によって酵素の活性は増加するが,pH特性は変化しなかった.
    4. 食塩濃度が0.5%のとき酵素活性は最高を示し,濃度が増すにつれ,酵素活性は低下し,15%では最大活性時のほぼ1/3の活性となった.
    5. 酵素活性の至適温度は35-40°Cであり,I型およびIII型に比べII型は低目であった.
  • II. 豚の中毒原因とみなされたかびの分類学的研究
    佐々木 酉二, 佐々木 博
    1971 年 42 巻 5 号 p. 210-215
    発行日: 1971/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    北海道虻田郡倶知安町の瑞穂共同養豚場で発生した,豚の飼料中毒の原因を調査して,次の結果を得た.
    1. 死亡した豚に給与したマッシュド•ポテトフレークを,微生物学的に調査し,この飼料中毒が,飼料中に多量に発生していた,かびに起因するものであると推定した.
    2. 中毒をひきおこした飼料中に発生していたかびを,分類学的に研究し,次の7種分類同定した.
    Neurospora tetrasperma, Geotrichum candidum, Aspergillus fumigatus, A. flavus, A. terreus, Penicillium roqueforti, P. expansum.
    3. 上記7種の中では,A. fumigatus, A. flavusおよびP. roquefortiの繁殖が著しく,これら3種は,いずれも毒素生成菌として報告されていることから,今回の飼料中毒も,これらのかびが主因をなしたものと考える.
  • II. 血漿中サイロキシン抽出法の検討
    石井 忠雄, 田名部 雄一, 玉置 禎紀, 正田 陽一
    1971 年 42 巻 5 号 p. 216-223
    発行日: 1971/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ラジオステレオアッセイ法による家畜の血漿中サイロキシン測定を行なうため,抽出条件の検討を行ない次の結論を得た.
    1) 血漿中サイロキシンの抽出溶媒としては,アルコールとケトンの類が優れているが,なかでも蛋白凝固力,蒸発除去の難易などを考慮すると血漿の2-3倍量のエタノール使用が最適である.
    2) 血漿に2倍量のエタノールを加えてサイロキシンを抽出した場合,抽出液にサイロキシン結合能を有する血漿蛋白質が混入した.この混入蛋白質が血漿中サイロキシン測定値を負にする主因と考えられる.
    3) 抽出液中の混入蛋白質は,抽出液を乾固後エタノールで再抽出する方法でほとんど除去され,サイロキシン結合能も失なわれる.すなわち,再抽出法によって蛋白質混入による血漿中サイロキシン測定値の低下は防止される.
    4) 抽出液の蒸発乾固によってはサイロキシンの散逸は起こらない.
  • 印牧 美佐生
    1971 年 42 巻 5 号 p. 224-231
    発行日: 1971/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    マウスの正常血清中に含まれる抗-ニワトリ血球凝集素について,抗原として用いるニワトリ血球の種類,およびマウスの月令,性のちがいについて考慮し,その出現頻度の差によって7系統のマウス(KK, NC, C57BL/6, DDK, BS, AIIIおよびAY)の分類を試み,以下の成績を得た.
    1. 近交系マウスの正常血清中に,3系統のニワトリ(ナゴヤA系,ナゴヤB系,黒色ミノルカC系)の血球に対する,それぞれ質的に異なる,抗-ニワトリ血球凝集素(A, BおよびC血球凝集素)が見出された.これらの凝集素は一定の段階性をもって発現する.すなわち,A血球凝集素は単独で発現するが,B血球凝集素はA,そしてC血球凝集素はAおよびB各血球凝集素が存在しなにければ発現しない.
    2. 同一系統内の各凝集素の出現頻度は,主としてマウスの月令のちがいによって影響された.性のちがいは大きな影響をもたなかった.1ヵ月令のマウスにおいては,凝集素の出現頻度に著しい系統差は認められなかったが,月令の増加に伴い系統差は顕著になった.6系統のマウスでは,月令の増加に伴い各凝集素の出現頻度は増加する傾向にあったが,AY系ではその逆の現象が現われた.
    3. 3ヵ月令以上のマウスについて,各凝集素の出現頻度の有意差の有無によって,マウスの系統を以下の如く4グループに分けることができた.(1) A, BおよびC血球凝集素を高頻度に有する系統:KK, NC. (2) AおよびB血球凝集素を高頻度に有する系統:C57BL/6, DDK,BS. (3) A血球凝集素を高頻度に有する系統:AIII. (4)すべての凝集素をほとんどもたぬ系統:AY.
  • 玉置 禎紀, 田名部 雄一
    1971 年 42 巻 5 号 p. 232-236
    発行日: 1971/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    一定の温度環境(25±1°C)で,優性白色コーニッシュ,白色プリマスロック(アーバー•エーカーとロートンの2系統),ニューハンプシャー,白色レグホーンの各品種を同時に飼育し,4,7,10,15および20週令におけるサイロキシンホルモン分泌率(μg L-サイロキシン/100g,体重/日)を調べた.その結果,サイロキシンホルモン分泌率は各品種とも,週令が進むにつれて,その値は減少した.同一週令において,サイロキシンホルモン分泌率に雌雄および品種の差はみられなかった.
    一方,恒温環境(25±1°C)下で,白色プリマスロック(アーバー•エーカー系)を用い,4週令時におけるサイロキシンホルモン分泌率で選抜し,高低両グループに分けた.それぞれのグループから次の世代の子をとり,4週令時におけるサイロキシンホルモン分泌率を測定し,その遺伝率を求めた.4週令時におけるサイロキシンホルモン分泌率の遺伝率は,両親平均の子に対する回帰から求めた値は0.19であり,また実現遺伝率(realized heritability)の値は0.24であった.
  • 田中 耕作, 古賀 脩
    1971 年 42 巻 5 号 p. 237-249
    発行日: 1971/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    雌鶏の結紮卵管内に精子を2日間滞在させたのちの受精能力の観測,卵殼腺部-腟移行部(以下腟移行部)の役割の追求,および組織培養法を用いることにより,卵管各部位における精子の受精能力保持ならびに受精卵の胚の早期死亡原因に関して研究を行なった.
    その結果,精子の受精能力保持については,腟移行部およびろ斗部が他の部位に比較してもっともすぐれていることが証明された.卵白分泌部に精液を注入すると,雌鶏は長期間受精卵を産出するが,注精後第1週の卵における胚の早期死亡率は高くなることが観測された.しかし,精管の後部から無菌的に採取した精液を卵白分泌部内に注入した場合,受精率は前者とほとんど同じ値を示したが,胚の早期死亡率はかなり低下することが認められた.産卵鶏の腟移行部を切除し,回復後腟部注精を行なったところ,受精率はほぼ正常に近い値を示したが,胚の早期死亡率については受精卵の産出期間を通じて非常に高い値が観測された.したがって,卵白分泌部注精により胚の死亡率が高くなる原因の一つは,注精時細菌の混入によるものと考えられる.一方,腟部注精の場合,腟移行部はこのような細菌等が卵管上部に上昇することを阻止する役割を果しているものと推定された.
    以上は生体内における観察であるが,精子を含むろ斗部組織の一部を体外に摘出し,組織培養法を用いて血漿培地に移植すると,その培地は固形状および液状のいずれの場合も,組織内の精子は41°Cの高温下ですくなくとも2日間はかなり活発な運動性を保持しうることが明らかとなった.
  • Ikuo OKADA
    1971 年 42 巻 5 号 p. 250-251
    発行日: 1971/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The linkage relationships between two phosphatase loci (Ap and Acp-2) and blood groups A, B and D and plumage color C loci were examined. The segregation data were compatible with expectation for independent loci.
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