日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
42 巻, 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 鈴木 省三
    1971 年 42 巻 8 号 p. 363-370
    発行日: 1971/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳牛の行動研究は,その方法において初歩的な単なる観察•記載の域を出ていない部分が多く,しかも,基本的な行動分類の基準さえまだ十分に整っていない.また,これまでに得られた知識も,別の目的をもつ試験に付随して記載されたものが少なくない.
    しかし,乳牛飼養の高度な集約化は行動研究への強い刺激となり,研究方法も単なる表面的な行動の観察•記載から,牛の生理と結びついた研究への脱皮が進められつつある.
  • III.ピックル皮の貯蔵条件がクロム甲革の性状におよぼす影響
    白井 邦郎, 諸橋 悠紀治, 岡村 浩
    1971 年 42 巻 8 号 p. 371-380
    発行日: 1971/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ピックル皮は貯蔵中にpH,溶脱窒素量が増加し,その性質が劣化することが認められた.このようなピックル皮の貯蔵による劣化にともなって,クロム甲革に仕上げた場合の機械的性質が劣化し,品質が著しく低下することが明らかとなった.さらにピックル皮の貯蔵温度が高いとその劣化は加速され,特に30°C近辺になるとその変化が急激になることが認められ,ピックル皮の貯蔵は20°C以下に保つのが望ましいと考えられる.ピックル処理の際に少量のクロム鞣剤で前鞣し的な処理を施すことにより,ピックル皮の貯蔵中における高温の影響を軽減しうることが認められた.しかしこの場合でも貯蔵温度が30°Cを越えるとクロム甲革としての品質を著しく低下せしめることが明らかとなった.
  • IV. 施塩不足の塩蔵皮の保存中における変化とその再施塩
    白井 邦郎, 諸橋 悠紀治, 岡村 浩
    1971 年 42 巻 8 号 p. 381-392
    発行日: 1971/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    小牛皮をgreen saltedの状態で塩蔵する場合,塩蔵日数7日では塩蔵皮の塩分,水分の点から塩蔵不十分となり,クロム甲革の品質にも影響をおよぼすことが確認された.このような塩蔵不十分の塩蔵皮はその保存中に著しく鮮度が低下し,クロム甲革の機械的性質に影響をおよぼし,その品質が著しく低下することが明らかとなった.
    塩蔵不十分の塩蔵皮を再施塩する方法としては,単に古塩を払い落して上質塩をすり込む方法では塩蔵皮の保存性,クロム甲革の性状•品質からみてほとんど効果がなく,飽和塩化ナトリウム溶液を振りまくか,もしくはこれに浸漬してから上質塩をすり込む方法が有効と認められた.特に10ppmのテトラクロルサイクリンを含む飽和塩化ナトリウム溶液中に浸漬してから上質塩をすり込む方法が,塩蔵不十分の塩蔵皮の保存性を改善するのに有効であった.
  • 渡辺 乾二, 佐藤 泰
    1971 年 42 巻 8 号 p. 393-400
    発行日: 1971/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ラードを空気の通気のもとに170-175°Cで,0-0.5,0.5-1.0,1.0-2.0,2.0-4.0,4.0-8.0と8.0-14.0時間断続的に加熱した.各加熱区間で得た揮発性生成物を中性化合物,酸性化合物およびラクトンとに分画した.これらの化合物の同定にはGCおよびある場合にはGCMSを用いた.加熱したラードの酸化変質の測定は化学および物理的方法によった.各加熱区間で得た主要な成分は,中性化合物としてペンタナール,ヘキサナール,ヘプタナール,ペンタノール,オクタナール,2-ヘプテナール,ノナナール,2-デセナールと2-ウンデセナールであり,酸性化合物としてはC6, C8とC9の脂肪酸であった.それらの生成割合は加熱区間ごとに異なっていた.検出したラクトンはγ-ラクトン(C6, C7, C8とC9)とδ-ラクトン(C10とC12)であり,γ-ラクトンが酸化変質の進んだ加熱区間の後半において特に顕著に生成されることが認められた.
  • 水谷 誠, 藤尾 芳久
    1971 年 42 巻 8 号 p. 401-408
    発行日: 1971/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Phytohemagglutinin (PHA)が種々の動物血球を凝集することが知られている.PHAを用いて鶏血球を分ける目的で,マメ科植物の種子抽出物について鶏血球に対する凝集性をしらべた.その結果,エンドウ(Pisum sativum),ソラマメ(Vicia faba),スィトピー(Lathyruscicera)の種子抽出物(PHA)が産卵している雌血球のみを凝集し,雄血球を凝集しないことをみつけた.エンドウからのPHAに対する"Ph"凝集原の性質はScheinberg and Reckel (1961)が報告している"Hi"凝集原と同一であった.
    "Ph"凝集原の発現を明らかにするために,発生段階での"Ph"凝集原の有無をしらべた.産卵中の雌血球がPHAで雌集する系統(BM-C)と産卵中の雌血球が凝集しなかった系統(WL-M)の胎児血球はともにPHAで凝集した.BM-C, WL-M,およびそのF1は雌雄ともにふ卵6日目でもっとも高い凝集価を示し,その後胎児の成長に伴い凝集価は低下して凝集性を失なった.BM-Cはふ化後2週まで,WL-Mはふ卵13日目まで凝集がみられた.F1はWL-Mと同様の傾向がみられた.BM-Cの産卵中雌血球と胎児血球に存在する"Ph"凝集原は吸収テストにより同一であることを明らかにした.
  • II. 乳用山羊について
    庄武 孝義
    1971 年 42 巻 8 号 p. 409-416
    発行日: 1971/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    近交退化の現象は畜産学的意味ばかりでなく,入類の福祉に貢献する生物集団の維持を考えるとき重要な問題となっている.この近交退化の直接の原因となるのは潜在的な有害遺伝子,すなわち遺伝的負荷である.
    筆者は,この遺伝的負荷の量を各種動物について定量的に推定しておくことが近交退化の問題を論ずる場合重要であると考え,ここでは農林省長野種畜牧場に飼養されている乳用山羊Saanen種集団について遺伝的負荷の推定を試みた.
    最初に,集団の有効な大きさ,移入率,近交係数,平均血縁から期待される近交係数,死亡率などの年次変化を見たところ,1958年ごろを境としてかなり条件が異なることを見い出した.そこで遺伝的負荷の推定は全期間(1947年-1967年)と後半の期間(1958年-1967年)とについて別個に行ない,後者についてより信頼のおけると思われる値が得られた.遺伝的負荷の量は接合体当り0.4-0.5致死相当量と推定され,この値はさきに推定したわが国Holstein種乳牛における遺伝的負荷量と大差はなかった.また間性遺伝子を遺伝的負荷と見た場合には致死相当量の上限は接合体当り1.17となる.
  • 吉田 繁
    1971 年 42 巻 8 号 p. 417-418
    発行日: 1971/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top