牧草の第1胃内における消化•発酵に影響する牧草内要因を解析•検討する目的で,生育ステージの異なるオーチャードグラスおよびアルファルファを材料として実験を実施した.牧草試料を中性デタージェント(ND)により抽出処理してCWCを,さらに脱リグニン処理をしてHLCを分離し,これを基質として人工ルーメン発酵を行なった.
生育ステージが出穂期以前のオーチャードグラスではCDはND処理により低下し,脱リグニン処理により,さらに低下した.一方,HCDはND処理により低下したが,脱リグニン処理により大きく上昇した.盛花期のオーチャードグラスでは,ND処理により,CD,HCDおよびCWCDは上昇し,脱リグニン処理により,さらに上昇した.アルファルファにおいてはND処理によりHCDの低下,CDの上昇がみられたが,CWCDは不変であった.脱リグニン処理により,すべての消化率が上昇した.ND処理により消化率の生育ステージ間の差が縮小され,脱リグニン処理により,生育ステージ間の差はさらに縮小された.また草種間の差も縮小された.
ND処理により,産生VFAの酢酸モル比の低下,プロピオン酸モル比の増大が認められ,脱リグニン処理により,さらにこの傾向が顕著となった.両処理により,VFA産生量およびモル比は草種および生育ステージ間の差が縮小され,ほとんど差が認められない程度となった.
MWLを基質量の20%まで添加しても,消化率,VFA産生量およびVFAモル比には大きな影響は認められなかった.
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