日本畜産学会報
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43 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 特にその構造を中心として
    山内 邦男, 上野川 修一
    1972 年 43 巻 10 号 p. 543-553
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • II. 中性デタージェント抽出,脱リグニンおよびリグニン添加処理がin vitro消化•発酵におよぼす影響
    岡本 全弘, 広瀬 可恒
    1972 年 43 巻 10 号 p. 554-560
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牧草の第1胃内における消化•発酵に影響する牧草内要因を解析•検討する目的で,生育ステージの異なるオーチャードグラスおよびアルファルファを材料として実験を実施した.牧草試料を中性デタージェント(ND)により抽出処理してCWCを,さらに脱リグニン処理をしてHLCを分離し,これを基質として人工ルーメン発酵を行なった.
    生育ステージが出穂期以前のオーチャードグラスではCDはND処理により低下し,脱リグニン処理により,さらに低下した.一方,HCDはND処理により低下したが,脱リグニン処理により大きく上昇した.盛花期のオーチャードグラスでは,ND処理により,CD,HCDおよびCWCDは上昇し,脱リグニン処理により,さらに上昇した.アルファルファにおいてはND処理によりHCDの低下,CDの上昇がみられたが,CWCDは不変であった.脱リグニン処理により,すべての消化率が上昇した.ND処理により消化率の生育ステージ間の差が縮小され,脱リグニン処理により,生育ステージ間の差はさらに縮小された.また草種間の差も縮小された.
    ND処理により,産生VFAの酢酸モル比の低下,プロピオン酸モル比の増大が認められ,脱リグニン処理により,さらにこの傾向が顕著となった.両処理により,VFA産生量およびモル比は草種および生育ステージ間の差が縮小され,ほとんど差が認められない程度となった.
    MWLを基質量の20%まで添加しても,消化率,VFA産生量およびVFAモル比には大きな影響は認められなかった.
  • V. 熟成中のチーズの風味物質の変化
    張 堅二, 吉野 梅夫, 津郷 友吉
    1972 年 43 巻 10 号 p. 561-566
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Saccharomyces fragilisを乳酸菌スターターと共に用いて製造した酵母チーズの遊離アミノ酸および中性揮発性物質をアミノ酸アナライザーおよびガスクロマトグラフィーによりそれぞれ分析し,これらの風味物質の生成におよぼすS.fragilis使用の影響を調べた.
    3週間熟成した酵母チーズの遊離アミノ酸の全量はチーズ1g中約7mgで乳酸菌のみを用いた対照チーズのそれの10倍以上であった.
    またアルギニンは検出されなかった.
    酵母チーズには少なくとも4種類のアルデヒド,4種類のメチルケトン,1種類の硫化物,7種類のアルコールおよび5種類のエステルなどの中性揮発性物質が存在していた.メチルケトン,アルコールおよびエステルの生成はS.fragilisの使用により明らかに促進された.
    酵母チーズのカルボニル化合物含量は比較的少ないが,アルコールやエステルは多く含まれていた.とくにエタノール,イソアミルアルコール(および活性アミルアルコール)および酢酸エチルの含量の多いのが特徴である.
  • I. ガス産生像の基質による特異性
    小原 正哉, 杉橋 孝夫
    1972 年 43 巻 10 号 p. 567-573
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    人工第1胃醗酵槽内に産生されるガス産生像について,その飼料価値評価法への応用の可能性を知るため,ガス産生速度およびその経時的変化(ガス産生曲線)の面からの一連の検討を意図し,とくに重炭酸塩緩衝の人工唾液を用いた系でのガス産生像を基質による特異性と,実験方法としてのその定常性の観点から検討を加えた.
    1) 同一実験内での同一基質を供した醗酵槽間のガス産生速度の変動係数は,供試の実験条件下においてガス測定時点,基質,あるいは供試第1胃液の差異に関係なく非常に小さかった.供試醗酵槽の処理間差は1処理2醗酵槽の供試でも十分検討できるものと考えられた.
    2) 第1胃微生物叢の採取日を異にした実験において,培養1時間後より2時間にわたって10ml目盛注射器による20分間隔で測定した供試基質のガス産生速度の平均値(ml/20min)は各基質に固有な程度に異なったが,その固有性は実験日あるいは季節の違いにより影響されず,ガス産生速度の基質による特異性が明らかにされた.
    3) 各種配合飼料原料のガス産生曲線は20分間隔および60分間隔のいずれの測定によってもそれぞれ基質特異的なガス産生速度に応じて異なった,連続的に増減するスムーズな変化像を示し,その曲線像の基質による特異性が示唆された.また,累積ガス量が同じである基質においてその曲線像が異なる事実のあることが認められた.
    4) 成分の違いがよく知られており,ガス産生曲線がその10時間培養時間内で対称的であったとうもろこしと大豆粕との混合割合の違いと曲線像の変動との関係を検討したところ,それらの混合割合に応じて曲線像が有意に(P<0.001)変動することを認めた.これよりガス産生曲線の変動が基質特異的であることを確認した.
  • I. 製造法の検討
    張 勝善, 吉野 梅夫, 津郷 友吉
    1972 年 43 巻 10 号 p. 574-579
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏卵を用いて短期間に簡単に皮蛋を製造する方法を検討した.食塩20%,苛性ソーダ5%を含む紅茶(2%)浸出液に25°Cで2週間浸漬したのち,パラフィンで覆って2~4ヵ月貯蔵することにより,あひる卵では通常の皮蛋ができるが,鶏卵では卵黄の形が扁平となることが認められた.そのため,食塩による卵黄の凝固性を利用して,鶏卵をまず20%食塩水に10日間浸漬して,卵黄をまず半固体状となした後に食塩10%と苛性ソーダ5%を含む紅茶2%浸出液に7~9日間再浸漬し,その後,パラフィンで覆って2~4ヵ月貯蔵,熟成させるという二段階浸漬法を考案した.この方法により鶏卵を用いても卵黄が球状に保たれている皮蛋を製造することができた.また,その水分,食塩,窒素分布,揮発性塩基,硫化水素などを分析定量した結果,市販皮蛋の分析値と大差ない値が得られた.
    終りに,あひる卵を頂いた東京都畜産試験場江戸川分場田中実分場長に深謝いたします.
    本報告は昭和46年4月7日,日本畜産学会大会(名古屋大学)において発表した.
  • II. 皮蛋製造中の鶏卵成分の変化
    張 勝善, 吉野 梅夫, 津郷 友吉
    1972 年 43 巻 10 号 p. 580-585
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    20%食塩水とアルカリ液(食塩10%•苛性ソーダ5%•紅茶2%混合液)に順次浸漬するという二段階浸漬法により鶏卵皮蛋を製造し,製造中の諸成分の変化を測定した.
    新鮮卵に比較して,卵白の重量割合は20%食塩水浸漬により増加し,卵黄の割合は減少した.しかし,アルカリ液浸漬およびそれより取り出した後の貯蔵中には卵白の割合は減する反面,卵黄では増加した.
    水分は卵白では製造中減少し続け,卵黄では食塩水浸漬によりいったん減少するが,アルカリ液浸漬により増加し,貯蔵中にも増加した.
    食塩含量は卵白ではアルカリ液浸漬終了時に最高となる.卵黄への食塩浸透は緩やかで,貯蔵中も増加するが,これは卵白から移行するものと思われる.
    全窒素中の水溶性窒素の割合は,卵白ではそのゲル化のため半減し,卵黄ではアルカリ液浸漬により増加し,貯蔵中もわずかに増加した.卵白中の12%トリクロル酢酸可溶性窒素は製造中に増加し,2ヵ月熟成後は全窒素の約9%に達した.しかし,遊離アミノ酸生成量はわずかであった.
    2ヵ月熟成後の皮蛋卵黄脂質では遊離脂肪酸が増加した.また,極性脂質の量が著しく減少していることが認められた.
  • 岩田 光夫, 楠原 征治, 石田 一夫, 山口 本治
    1972 年 43 巻 10 号 p. 586-592
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    週令経過にともなうニワトリ精管の組織変化について観察したところ,およそ,次のような成績が得られた.
    4週令の精管は,単層立方上皮または単層円柱上皮からなっており,基底膜に接して,円形ないしだ円形の細胞が随所にみられた.6週令から8週令においては,上皮細胞は増殖して層をなし,さらに,これらの細胞が変化したと思われる長だ円形の細胞が数個集まって随所にみられた.8週令では,長だ円形の細胞は桿状化して,管腔に突出している像がみられた.この細胞は腔内に脱落して消失するものと思われる.基底膜に接する円形細胞は基底膜に沿って配列してみられた,このような像は10週令の精管上皮においても観察されたが,それ以降の精管は円柱形の細胞が多列状に配列し,基底膜に配列していた円形細胞は萎縮消失の傾向を示した.多列上皮細胞に介在して,ところどころに桿状の細胞がみられたが,その数は週令の経過にともなって次第に減少した.完成型は多列上皮であるように思われる.分泌像は10週令からみられた.管腔も10週令から拡大し,同時に精子の貯留が開始された.筋層の厚さは週令経過による変化を示さなかった.部位別には,下部が上部,中部にくらべていくぶん厚かった.
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