日本畜産学会報
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43 巻, 9 号
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  • II. 繊維質物質の給与量と熱量増加
    桜井 斉, 今枝 幸雄
    1972 年 43 巻 9 号 p. 481-484
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    不消化物の消化管輸送と熱量増加の関係を調査する目的も含めて,エネルギーが若干消化吸収される繊維質物質の給与量とその熱量増加について試験した.繊維質物質としてノコギリクズを用い,これが基礎飼料中,8~9週令鶏に対して10~40%含まれ,また,2~3週令鶏に対しては10~30%が含まれる飼料を,それぞれ最も多く含まれる飼料の摂取最を基準にして,基礎飼料分が同じになるように給与し,熱発生量を測定し,ノコギリクズにもとづく熱量増加を検討した.その結果,つぎのごとき結論を得た.
    1. ノコギリクズの代謝エネルギーの割合は,前者の鶏では16~3%と,後者の鶏では7~4%と,ノコギリクズの給与量を増すにしたがって低下した.
    2. 上記代謝エネルギーのうち熱量増加は,前者では26~193%であり,後者では76~219%で,前者よりもいちじるしく多かった.この結果は,繊維質物質の熱量増加すなわち不消化物の消化管輸送に要するエネルギは,鶏の日令すなわち消化管の発達の程度と,繊維質物質の給与量により異なることを示している.
  • 小島 義夫, 番場 公雄, 飯田 勲, 伊勢 暉昭, 前川 勇
    1972 年 43 巻 9 号 p. 485-492
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 1967年から2年間にわたって,正常豚10頭から採取した精液58例についてLAVONら21)の方法で精子の比重を測定した.その結果,豚精子の比重は修正前では加重平均値として1.0549(範囲:1.0362~1.0903)となり,修正後の平均値としては1.1068(範囲は同じ)となった.
    2) 同じ試料の中,6頭の豚からの30例の精液についてGAY-LUSSAC氏比重びんで測定したところ,精子の比重は平均値として1.0580(1.0346~1.0857)となった.算出の基礎となった精液の比重は平均値として1.0190(1.0137~1.0238)となり,精清の比重は平均値として1.0166(1.0140~1.0213)となった.
    3) 従来の研究報告を参照して,高等動物における精子の比重のもつ意味とその応用について比較検討し考察を加えた.
  • 阿部 恒夫, 中野 光志
    1972 年 43 巻 9 号 p. 493-498
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Single radial immunodiffusion technique was employed for quantitation of the serum albumin (BSA) and IgG immunoglobulin in bovine milk. Two kinds of antisera, anti-BSA and anti-IgG, were prepared by immunizing rabbits with the corresponding antigens plus Freund's complete adjuvant.
    It was confirmed that these antisera reacted only with the corresponding antigens, and did not crossreacted with α-lactalbumin, β-lactoglobulin and the other proteins in milk.
    When 4μl of an antigen solution of an unknown concentration is allowed to diffuse from a well in a thin layer of agar gel containing the antiserum in the ratio of 2.5 per cent of its original concentration at 37°C for 72 hours, the square of diameter of final precipitate ring is directly proportional to the amaount of antigen employed. By using this system, the amount of BSA ranged from 6.25-100mg/dl and IgG ranged from 12.5-300mg/dl in milk were measured directly without any pretreatment of samples. The cofficient of variation of the measurements to an amount of antigen was less than 2.5 per cent.
    It was also shown that the average BSA contents in normal milk was 14.28mg/dl and that of IgG was 73.44mg/dl, and the mastitic milk contained much more BSA and IgG as compared with normal milk.
  • I. 牧草の生育にともなうin vitroルーメン消化の変化について
    岡本 全弘, 広瀬 可恒
    1972 年 43 巻 9 号 p. 499-505
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牧草の生育と化学組成,人工ルーメンによるin vitro消化率およびin vitro VFA産生との関係を明らかにするため,生育ステージの異なる試料(オーチャードグラス6試料,アルファルファ5試料)を用いて一般成分,CWC,ADF,ADL,CおよびHC含有率を求めた.また,in vitro消化率(DMD,CWCD,ADFD,CDおよびHCD),in vitro VFA産生量およびVFA組成を求め,相互の関係を検討した.
    牧草の生育にともない,粗繊維,CWC,ADF,ADL,CおよびHC含有率は増大したが,粗蛋白質含有率は減少した.C含有率がほぼ等しい時,オーチャードグラスのHC含有率はアルファルファの2~3倍に達し,ADL含有率は1/3~1/4であった.牧草の生育にともない,すべてのin vitro消化率は低下した.この低下速度は生育ステージや牧草の種により異なった.CDとHCDは互いに独立して変化し,ほとんど影響しあわないようであった.化学成分と各種のin vitro消化率との相関はHC分画とHCDとの間の相関を除けばいずれも高く,かつ,統計的に有意であった.生育するにしたがい,in vitro VFA産生量は減少する傾向がみられたが,産生されたVFAのモル比は一定の傾向に従って変化しなかった.
  • V. 牛乳脂質のステリン
    土屋 文安, 山本 良郎, 岡部 俊道, 相沢 和子
    1972 年 43 巻 9 号 p. 506-513
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    全国22地区の1年間の牛乳脂質試料526点について,ジギトニン比色法によって総ステリン含量を測定した.その結果,平均値は270.2mg%,標準偏差は12.8mg%であった.地域的季節的変動の幅は,沃素価などのそれに比べれば小さいが,一般的傾向として,北•東日本に比べて南•西日本の値が高く,北海道を別とすれば,冬より夏に高い結果が得られた.
    上記の試料のうち,月1回1年間の264点についてガスクロマトグラフィーによってステリン組成を分析した.その結果,コレステリン以外に,カンペステリンとβ-シトステリンがそれぞれ平均値として0.26%と0.49%(ステリン中の割合)存在することが認められた.しかし,これらの地域的•季節的変動については明瞭な傾向を見出せなかった.
    これらのフィトステリンについてガスクロマトグラフイー-マススペクトル法によって,カンペステリンとβ-シトステリンであることを確認した.
  • IV. 熟成中におけるチーズの遊離脂肪酸の変化
    張 堅二, 吉野 梅夫, 津郷 友吉
    1972 年 43 巻 9 号 p. 514-518
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳糖発酵性酵母であるSaccharomyces fragilisを乳酸菌スターターと共に使用して約3週間で熟成する半硬質チーズを製造してその遊離脂肪酸を調べ,熟成中の遊離脂肪酸の変化におよぼす酵母使用の影響を検討した.
    遊離脂肪酸はけい酸カラムで分離し,プロピルエステル化したのちガスクロマトグラフィーを行なうことによりC2~C18の脂肪酸を92%以上の回収率で同時に定量することができた.
    3週間熟成した酵母チーズの酢酸含量は酵母を使用せずに乳酸菌のみで熟成させた対照チーズと大差なく,その値(チーズ1g中10.45~11.74mg)は種々のチーズについて従来報告されている値よりも非常に多かった.
    C4(酪酸)以上の脂肪酸含量は酵母チーズにおいて多く,熟成中の乳脂肪の分解が酵母により促進されたものと考えられた.3週間熟成後のその値(チーズ1g中5.36~6.55mg)はブルーチーズより低いがゴーダチーズ,チェダーチーズ,スイスチーズなどと比較すると同様ないしはやや多い水準にあった.
  • 長澤 弘, 矢内 玲子, 宮本 盛吉
    1972 年 43 巻 9 号 p. 519-523
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    プロラクチンに対するマウス乳腺の感受性に,乳癌ウィルス(Mammary tumor virus: MTV)が関与しているか否かを知るために以下の実験を行なった.
    C3HeB/FeJax [MTV(-)]およびC57BL/6[MTV(-)]系雌マウスを生後24時間以内に,泌乳中のC3H/He[MTV(+)]に哺乳させてMTVを接種し,それ自身の母親によって哺乳されたMTV(-)の群と,90,130,180日令における正常乳腺発育を比較した.さらに,各系統のMTV(+)とMTV(-)マウスそれぞれに,90日令に下垂体前葉2個ずつを腎皮膜下に移植し,40日後(130日令)の乳腺発育をも比較した.乳腺発育の指標としては,右側胸部第三乳腺のホールマウント標本による乳腺胞発育度を用いた.
    MTVに対する感受性の高いC3HeB/FeJaxにおいては,90日令では,MTV(+)とMTV(-)の間に乳腺胞の発育に差はみられなかったが,130日,180日令,および下垂体移植後40日目においては,前者は後者より有意に高い発育度を示した.一方,MTVに対する感受性の低いC57BL/6では,180日令までの正常乳腺発育はMTVによって影響されず,乳腺は常に乳管のみに限られていたが,下垂体移植により,MTV(+)はMTV(-)にくらべて有意に高い乳腺胞系の発育を示した.
    以上の結果,MTVに対する感受性の高い系統のみならず,低い系統においても,MTVは,プロラクチンに対する乳腺の感受性を増加させる作用のあることが明らかとなった.
  • 建部 晃
    1972 年 43 巻 9 号 p. 524-532
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    わが国の乳牛育種において種雄牛の役割は主要な役割を果していることが明白になっているので,輸入種雄牛が泌乳形質に与えている遺伝的効果を母親と娘の泌乳記録成績を用いて調べてみた.その結果,次のことが判明した.
    1. 産乳能力検定事業の泌乳記録で調べると,輸入種雄牛の娘牛は非輸入種牛の娘牛よりも乳量と乳脂率共により高い生産力をもっていた.しかしながら,地区間で大きな変異がみられた.
    2. 高等登録の泌乳記録で調べると,一般に輸入種雄牛に交配される母牛は非輸入種雄牛に交配される母牛よりも高い生産力をもっており,この傾向は乳量について顕著であった.
    3. 母娘比較の値は,種雄牛の泌乳能力を表わす指数となりうる.そこで高等登録の泌乳記録からこの値を算出し分析した結果,輸入種牛はわが国乳牛の乳脂率を高めることに寄与し乳量に対して効果がなかったことがわかった.
    4. 乳量と乳脂率の遺伝率を輸入種雄牛と非輸入種雄牛の場合と別々に求めた.乳量の遺伝率は通常知られている数値よりもやや高かったが,乳脂率についてはかなり低かった.輸入種雄牛の遺伝率の方が,非輸入種雄牛の場合よりも両形質とも高かった.この結果から,輸入種雄牛は非輸入種雄牛よりもわが国の乳牛集団に対してより多くの遺伝的変異を供給していると考えられる.
    5. 乳量と乳脂率の間の表型相関と遺伝相関は,輸入種雄牛と非輸入種雄牛のいずれの場合にもほとんど0であった.この結果は,欧米で得られているいくつかの数値と異なっている.
  • 小野 浩臣, 山内 兄人, 長澤 弘
    1972 年 43 巻 9 号 p. 533-534
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 阿部 又信, 渋井 仁志, 粂野 文雄
    1972 年 43 巻 9 号 p. 535-536
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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