日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
44 巻, 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小野 浩臣, 山下 和雄
    1973 年 44 巻 8 号 p. 417-425
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ヘキセストロールおよびそのジ脂肪酸エステルならびにestradiol-17βの各100μgを,成熟雄マウスに1回のみ皮下投与し,7日,30日,90日後の下垂体を電顕的に観察し,次の結果を得た.1. LTH細胞の肥大と増生,2. FSH細胞の萎縮,3. LH細胞の肥大傾向.薬物投与と同時に,去勢を行うことによってLTH細胞の変化は増強するが,去勢によるFSH細胞の肥大(去勢細胞化)は抑制された.このことからヘキセストロールジ脂肪酸エステルのFSH細胞抑制効果,およびLTH細胞に対する刺激作用が確認された.これらの持続効果は,H2を除く一連のヘキセストロールジ脂肪酸エステルに認められた.しかしながら,その効果には投与物質による差異がみられ,今回の投与法,用量では一定期間後消滅する可能性が示唆された.一連のヘキセストロールジ脂肪酸エステルの下垂体前葉におよぼす効果およびその持続性を,とくにLTH細胞の肥大と増生を指標としてまとめた結果を表1に示した.投与7日後では,H4,H8,H6がその結果と持続性において著しく他にまさっており,3者間では形態学的に示される差異はなかった.投与後30日後においては,細胞学的には変異があるが,H2を除く一連のヘキセストロールジ脂肪酸エステルによる変化は持続し,H6では90日後も強く持続していた.200日後のH4,H6の投与例の一部に効果の持続があったが,他は一応形態学的に回復を示した.以上の実験のみからはヘキセストロールジ脂肪酸エステルの詳細な作用機序について明らかにし得ないが,これらの物質は他のestrogen物質と同様に,視床下部•下垂体•性腺系に働いて,重大な内分泌機能のインバランスを生ぜしめるものと考えられる.
  • I.限界電流密度と被脱塩液の比電気伝導度の関係について
    長澤 太郎, 小此木 成夫, 冨田 守, 田村 吉隆, 溝田 輝彦
    1973 年 44 巻 8 号 p. 426-431
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は,イオン交換膜電気透析法により脱脂粉乳溶液の脱塩を行なう際の装置に通じうる電流と,脱脂粉乳溶液の比電気伝導度の関係を明白にする目的で行なった.その結果,特定条件下において使用しうる最大電流値(限界電流値)は単一系の電解質溶液の脱塩と同様に,脱脂粉乳溶液の比電気伝導度に比例することが明らかになった.従って,上記の限界電流値以下で電気透析法を行なえば,工業的に脱脂粉乳溶液の脱塩は可能であることが判明した.
  • III.揮発性脂肪酸産生像,とくにそのガス産生速度との関係
    小原 正哉, 大木 加津子
    1973 年 44 巻 8 号 p. 432-439
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    人工第一胃内におけるガス産生速度とその経時的変化像(ガス産生曲線)が示す基質特異性を揮発性脂肪酸(VFAs)産生能の差異の面から検討するため,そのVFAs産生状況を明らかにし,ガス産生速度とVFAs産生速度との関係を求めるための培養時間条件を定めるとともに両者の関係を検討した.1) 総VFAsおよびその構成各酸(C2,C3,C4)の濃度は,平均ガス産生速度(ml/20min)が基質特異的である培養3時間内において,明らかに無基質槽の場合より高く,その水準は基質により異なっていた.2) 培養4時間内においては総VFAs濃度は経時的に直線的に増大した.しかし,トウモロコシのVFAs産生曲線は培養10時間にいたる場合には直線性を示さなかった.3) VFAs各酸(C2,C3,C4)のmol%は培養4時間内では変化しなかったが,その後の培養9時間時点にいたる間の変化は大きかった.ペクチソは培養9時間後のVFAs産生能においてトウモロコシより高く,とくにC2産生の割合が多かった.4)10 種類の飼料を基質とし,培養期間3時間の実験成績からえられた各基質の正味のガス産生速度(Xml/20min)と正味のVFAs産生速度(YμM/50ml/20min)との関係はY=21.17X+48.35(γ:0.972,p<0.001)で示された.
  • 岡本 全弘
    1973 年 44 巻 8 号 p. 440-446
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    低温サイレージ,特に凍結したサイレージの給与が反芻家畜の栄養および生理反応に与える影響を解明するための第1段階として,3頭の去勢めん羊に10°C,3°Cならびに-10°Cのグラスサイレージを,この願に,それぞれ6日間給与し,採食速度,第一胃内温,第一胃内容液のNH3-N濃度,VFAの濃度および組成,直腸温,心拍数ならびに呼吸数について比較検討した.得られた結果の大要は次のとおりである.1. 10°Cのサイレージを給与した10°C期と3°Cのサイレージを給与した3°C期との間には各測定事項とも有意な差は認められなかった.2. -10°Cのサイレージを給与した-10°C期には10°C期および3°C期にくらべ,a. 採食速度が低下し(p<0.05),b. 採食を開始した後,第一胃内温および直腸温が顕著に低下し,第一胃内温が採食前の水準に回復するに要した時間も長かった(p<0.05).c. 採食にともなう心拍数の増大の度合が大きく,3時間にわたり差が認めらた(p<0.05).d. 第一胃内容液のVFA濃度が最高値をとる時間が遅れる傾向が認められた。3. 第一胃内容液のNH3-N濃度,VFAの濃度および組成ならびに呼吸数には実験期間に統計的に有意な差は認められなかった。4. 計算されたHeat of warming(Hw)は給与したサイレージが凍結状態にあるか否かにより大きな差が認められ,-10°C期と他の2期との間に認められた差とHwとの間には大きな関係が存在するものと想像された.
  • 佐藤 邦忠, 三宅 勝, 菅原 正善, 武山 友彦, 大橋 昭市, 岩間 長夫, 岩野 信也, 七海 清志
    1973 年 44 巻 8 号 p. 447-450
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    種雄馬を効率的に利用するには精液性状の適確な判定と,一年を通じて精液を採取(以下採精と略記)することが重要である.今回非繁殖期に種雄馬より採精する機会を得たのでその結果について統計学的分析を試みた.材料は十勝管内で種雄馬として供用中のブルトン種2頭,ペルシュロン種1頭の計3頭,期間は1969年11月より1970年1月まで,採精頻度は1日1回,5日連続,2日禁欲の繰返しで行ない,延180回の射出精液を使用した.精液性状の各検査項目の平均値は精液量:62.5ml,pH値:6.8,精子活力:45.9%,精子濃度:2.1×108/ml,原形質滴付着精子の出現率(トロッペン率):15.4%,精子奇形率:27.8%および精子耐凍性:30.8%で,各検査項目中,重相関係数に有意性が認められたのは量,活力,濃度,トロッペン率,および頭部奇形率であった(p≤4.05).また精液性状の各検査項日中,2要因を選び,耐凍性を推定するための重回帰方程式として次式を求めた,Y=10.29+0.34X3+2.38X4;Y:耐凍性の推定値,X3:活力,X4:濃度
  • 沢崎 坦
    1973 年 44 巻 8 号 p. 451-459
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    高海抜環境に順応したマウスを平地へ回収したのち,その生理状態がどのように変化していくかについて,血液検査と呼吸ガス代謝試験により追跡した.平地で生産したICR-JCL系マウス5腹58匹を3週令で離乳し,対照群(平地飼育)20匹(雌雄各10匹),高海抜環境曝露群24匹(雌雄各12匹)を無作為抽出した.曝露群は3週令から10週令までの7週間を海抜1,400mの高所で飼育し,11週令時に,現地で観察を行なったのちに平地へ回収し,13週令および16週令時に,対照群とともに観察をくりかえした.高海抜環境下ではRBCの増数,MCVの減少,酸素消費量とRQの増加が認められ,増体量は減少する.曝露群を平地へ回収後,16週令時の観察結果では,対照群に比べMCVが増加,酸素消費量が減少し,RQの値は小さくなるが,増体量は逆に増加する.これまでにえられた一連の実験成績からみれば,高海抜環境に順応した結果,曝露群では,酸素をより有効に利用できるような生理状態がととのえられたと考えられる.これらの結果にもとずいて,高海抜環境に対する生体の順応性を利用した家畜管理技術開発の可能性について考察した.
  • Keisuke KATOH, Masaru NOKATA
    1973 年 44 巻 8 号 p. 460-461
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top