日本畜産学会報
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46 巻, 1 号
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  • 大石 孝雄, 阿部 恒夫
    1975 年 46 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1975/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    血液型による家畜の親子鑑別の解決率に影響する要因として,特に種々の親子鑑別事例と対立遺伝子の頻度,さらに用いる血液型遺伝子座数をとり上げて,それらが父権否定の確率に与える影響の理論的な検討を行い,次のような結果を得た.1) 相互優性の関係にある1対の遺伝子を有する遺伝子座では,いずれの親子鑑別事例においても,その遺伝子頻度が0.5の時に最大の父権否定の確率が得られ,優劣関係の遺伝子座では優性遺伝子の頻度が0.2の近辺でもっとも高い確率の値を示した.また,後者において優性遺伝子の頻度が0.7以上ではその遺伝子座による父権否定の確率は非常に低かった.2) 相互優性の遺伝子座においては,遺伝子頻度にかかわりなく父権否定の確率の高い親子鑑別事例の順序は,高いものから順に同腹子の父親判定,両親判定,一般的な父親判定,母を調べない父親判定,関連する父が3頭の父親判定であった.また優劣関係の遺伝子座において後者の2つの事例は特に父権否定の確率の値が低く,母を調べない父親判定の事例では確率の値はゼロであった.しかし,この優劣関係の遺伝子座で父親の遺伝子型が推定されている場合は,確率の値がかなり上昇した.3) 関連する父親の数が増加した場合,父権否定の確率は指数関数的に低下した.4) 用いる血液型遺伝子座数が増加すると,それらを組み合わせた時,父権否定の確率は指数関数的に上昇することがわかった.
  • 川村 修, 千秋 達道, 堀口 雅昭, 松本 達郎
    1975 年 46 巻 1 号 p. 6-10
    発行日: 1975/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    アルファルファ,オーチャードグラスおよびトールフェスクの細胞内容物と細胞壁物質の草体内分布,ならびにそれらの反芻胃内消化の様相とVAN SOESTによる中性デタージェント処理の影響を組織化学的に調べた.1) 細胞内容物を含む組織(葉肉,皮層など)の細胞壁はリグニン化しておらず,これらの組織の細胞内容物と細胞壁は反芻胃内で速やかに分解した.細胞内容物を含まない組織のうち,リグニン化組織(原生篩部繊維,二次木部など)は分解し難く,リグニン化していない組織のうち髄は容易に分解したが,表皮と厚角組織は分解し難かった.リグニン化組織に取り囲まれたイネ科牧草管束部位の篩部は分解が遅れた.これらの結果は,反芻胃内における牧草の消化性が,組織のリグニン化や各組織の立体配置などの植物組織構造の差異に影響されることを示唆している.2) 中性デタージェント処理はマメ科牧草の細胞内容物を大部分除去したが,イネ科牧草の場合は除去効果が劣った.いずれの場合も,細胞壁の多糖類とリグニンの大部分は処理残渣にとどまった.
  • 和泉 康史
    1975 年 46 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1975/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第一胃フィスチュラをつけたホルスタイン種の成雌牛4頭を供試し,オーチャードグラス乾草,オーチャードグラスサイレージ,ビートパルプおよび濃厚飼料の給与が第一胃内揮発脂肪酸(VFA)の産生ならびに第一胃内性状に及ぼす影響を比較検討した.その結果次のことが認められた.1) 濃厚飼料の給与により,第一胃内pHは著しく低下した.ビートパルプ給与時のアンモニア態窒素濃度は極めて低く,他の飼料との間に有意差が得られた(P<0.01).VFA濃度は,飼料の種類によってそれぞれ異なった変化を示した.2)各VFAの割合において,酢酸は,濃厚飼料が最も低く,乾草およびサイレージとの間に有意差がみとめられた(P<0.01).また,ビートパルプと乾草およびサイレージ間にも有意差が得られた(P<0.05).酪酸においては,濃厚飼料が極めて高く,乾草およびサイレージとの間に有意差がみとめられた(P<0.05).iso-バレリァン酸では,ビートパルプが極めて低く,サイレージおよび濃厚飼料との間に有意差が得られた(P<0.01).また,乾草もサイレージおよび濃厚飼料より有意に低下した(P<0.05).プロピオン酸およびn-バレリアン酸において,飼料間に統計的有意差はみとめられなかった.
  • 山本 禎紀, 伊藤 敏男, 三村 耕
    1975 年 46 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1975/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 温•湿度条件の影響を生理的に評価しえる生理反応を定める目的で,主として高温域における鶏の呼吸数,心拍数および直腸温の変化を調べた.供試鶏には白色レグホン系交雑種雄•雌各6羽を用いた.2) 産卵鶏の呼吸数は25~35°Cに対しほぼ直線的な増加反応を呈したが,雄鶏では呼吸数,直腸温ともに34°C以上の高温域でのみ増加,上昇し,両者の反応の異なることを示した.3) 心拍数は35°C以下の高温域ではやや減少の傾向を示し,40°Cで始めて増加反応に転じた.4) 産卵鶏の場合,温•湿度条件の生理的判定指標として呼吸数が直腸温の変化に比べ優れていると判断された.その理由として,産卵鶏の熱性多呼吸の発現温度が比較的低いこと,その変化が大きいこと,また湿度の上昇に対応した増加反応が現われること,あるいは呼吸数の増加反応は比較的短時間内に安定した反応を示すことなどをあげることができる.5) 呼吸数と心拍数の測定方法および熱性多呼吸発現に関して若干の考察を加えた.
  • 和泉 康史
    1975 年 46 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 1975/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第一胃フィステルを装着したホルスタイン種の成雌牛4頭を用い,乾草およびサイレージの給与が第一胃内揮発性脂肪酸(VFA)の産生ならびに第一胃内性状に及ぼす影響の差異を,刈取時期および窒素施用水準との関連で検討した.その結果次の知見を得た.1) 早刈,遅刈共通して,乾草に比べサイレージ給与時において第一胃内NH3-N濃度およびVFA中プロピオン酸,酪酸,バレリアン酸の割合が高く,酢酸の割合は低くなる傾向が認められた.2) 乾草,サイレージ共通して,早刈に比べ遅刈において第一胃内pHが高く,VFA濃度およびNH3-N濃度の低くなる傾向が認められた.3) 窒素施肥量の増加により,乾草,サイレージ共通して第一胃内NH3-N濃度が著しく高くなる傾向が認められた.
  • 張 勝善, 白川 貞雄, 吉野 梅夫, 山内 邦男
    1975 年 46 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1975/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    皮蛋はアルカリ性において卵成分がゲル化する性質を利用して製造される.この際の卵白蛋白質の変化を調べる目的で,本実験では卵白のゲル化に及ぼす温度(0~45°C),蛋白質濃度などの影響を調べ,また,ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAE)とゲル〓過により,アルカリによる卵白の蛋白質成分の変化を検討した.卵白にアルカリを添加(4.5N NaOH4ml/100ml卵白)するとゲル化するが,温度が高い方がゲル化は早く起こり,また,ゲルも硬くなる.卵白を希釈するとゲル化は起こりにくく,2倍希釈卵白ではゲルは軟らかく,室温に一夜放置すると再溶解した.尿素やラウリル硫酸ナトリウムの添加はゲル化を促進し,硬いゲルが生成する.pH 12.5に調整した卵白を30分放置すると,PAE図ではコンアルブミンのバンドが消失する.pH 13.0にするとオボァルブミンのバンドも消失した.また,結晶オボァルブミン溶液をpH 13.2で処理しても,そのPAE図に変化はないが,コンァルブミンではバンドが消失した.これらの結果は,アルカリ処理により卵白の蛋白質成分間に相互作用が起こること,およびコンアルブミンがアルカリの影響を比較的受けやれいことを示すものである.Sephadex G-200によるゲル〓過では,未処理卵白は1つのピークになるが,アルカリ処理卵白では早く溶出する成分が現われ,処理pHが高くなるほど早い成分の比率が大きくなうた.
  • 上田 洋一, 小野寺 良次, 神立 誠
    1975 年 46 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 1975/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    カゼインのパンクレアチン消化物(ポリペプトン)を添加して反芻胃内繊毛虫類を培養後,増加したアンモニア態およびアミノ態窒素を測定することにより,繊毛虫類のペプチド代謝を検討した.ポリペプトンは,全毛目を含む混合虫体によっても,また,貧毛目のみによっても分解され,培地中にアンモニアおよびアミノ酸が増加した.貧毛目は粒状カゼインを,また,全毛目を含む混合虫体は溶液状力ゼインをも,それぞれ分解して,非蛋白態窒素を増加させるが,その中で最も多いペプチド態窒素は,さらに培養を続けることによって分解され,アミノ酸およびアンモニアが増加した.繊毛虫類培養後(5hr)の培地上澄液および虫体ホモジエネートも,ポリペプトンからアミノ酸およびアンモニアを産生した.培地上澄液によって産生されたアンモニア態窒素に対するアミノ態窒素の比は,繊毛虫類懸濁液および虫体ホモジェネートによって産生されたそれらの比よりも高いので,繊毛虫類は,培地中にペプチターゼを分泌しているのではないかと考えられた.しかし,繊毛虫類が膜透過によって体内にペプチドを取り込む可能性は,本実験からは必ずしも否定されなかった.
  • Kiyoshi MYOGA, Fumio SHIBATA
    1975 年 46 巻 1 号 p. 42-44
    発行日: 1975/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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