日本畜産学会報
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46 巻, 11 号
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  • 阿部 恒夫, 小松 正憲, 大石 孝雄, 景山 晟
    1975 年 46 巻 11 号 p. 591-599
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    日本における和牛3品種およびヨーロッパ牛4品種の乳につき,αS1-casein,β-casein,κ-casein,β-lactoglobulinおよびα-lactalbumin座位の遺伝子頻度を明らかにした.和牛の各座位にみられた優勢な遺伝子は,ゼビウ系牛よりもヨーロッパ系牛のものと一致した.褐毛和牛2例に新たな変異がみられ,これをβ-casein A'と仮称した.各座位における遺伝子頻度を品種間で比較したところ,対立遺伝子数の多いβ-casein座位で他品種と区別できる割合が最も高かった.同一品種内牛群間の遺伝子頻度の均一性を検定したところ,日本短角種と黒毛和種にきわめて有意な遺伝的分化がみられた.各集団の遺伝子型分布は,HARDY-WEINBERGの法則と適合していたが,全般にヘテロ優勢の傾向を示す座位が多くみられた.遺伝子頻度をもとにしたクラスター分析の結果から,和牛の乳蛋白質型は,各和牛の改良過程に寄与したヨーロッパ系牛のそれとかなりの類似性が認められ,ジャージー種およびゼビウ系のハリアナ種とは著しく異なっていた.
  • 板橋 久雄, 神立 誠
    1975 年 46 巻 11 号 p. 600-606
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    無繊毛虫ヤギでは,繊毛虫が存在する通常のヤギに比べ反芻胃内容液中のアンモニア濃度が低下するので,その要因をアンモニア生成の面から明らかにする目的で両区のヤギに乾草と濃厚飼料とを給与し,反芻胃内容液遊離アミノ酸の濃度と組成とにつき比較検討した.1) 反芻胃内容液中のα-アミノ態窒素濃度は,両区とも採食1時間後に増加しその後は低下する傾向を示したが,通常区の方が無繊毛虫区よりも明らかに高かった.2) 採食1時間後における総遊離アミノ酸中の個々のアミノ酸の割合は,通常区では,グルタミン酸:20.1%,アラニン:16.1%,プロリン:7.2%,δ-アミノバレリアン酸:11.1%であるのに対し,無繊毛虫区では,それぞれ13.9%, 7.9%, 2.7%, 36.1%であり,アミノ酸組成に両区の間で差異が認められた.3) 給与飼料中からは多種類の遊離アミノ酸が検出されたが,特にプロリン,アスパラギン酸,チロシンおよびグルタミン酸が多く,反芻胃内容液の遊離アミノ酸組成とは著しく相違し,さらにその含量は採食後の反芻胃内容液中の含量と比べると極めて少なかった.これらの結果から,無繊毛虫区でアンモニア濃度が低下する主な要因は,飼料タンパク質からのアミノ酸の生成が通常区に比べ少ないためであると考察された.
  • 萬田 正治, 三浦 辰雄, 蜂矢 恭則
    1975 年 46 巻 11 号 p. 607-613
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳牛の毎日の泌乳量に周期的な変動がみられるか否か,ならびにその増減程度(δ2値)と泌乳能力の関係の有無について検討した.供試材料には酪農学園中央農場第2牛舎のホルスタイン種雌牛108頭の完全泌乳記録(305日,2回搾乳)を用い,分析は時系列解析法によった.1.毎日の泌乳量はいずれの個体もかなりの増減変動をくりかえしながら,およそ1~2ヵ月でピークに達し,その後ゆるやかなカーブで下降する泌乳曲線を描いた.2. 時系列変動(乳量)の定常化のために求めた傾向線は,5項加重移動平均法によるのが最も適切であった.3. 供試牛108頭の泌乳量の変動はいずれも循環変動であった.コレログラムの検討により,108頭のすべてに周期的な変動が認められ,有意な系列相関係数γkは1日間隔で負,2日間隔で正の値を示し,2日を基本とする短い周期変動が認められた.4. 泌乳量のδ2値と総乳量の相関係数は-0.260と,有意な負の相関が認められた.一方δ2値と分娩時期および産次との関連は認められなかった.
  • 吉田 勉, 中谷 圭子, 神立 誠
    1975 年 46 巻 11 号 p. 614-620
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウサギの盲腸内容物を採取し,等量の蒸溜水を加えて培養(2倍稀釈培養)して未稀釈培養と比較し,また,添加実験用粗繊維よう物質に含まれる粗灰分を2倍稀釈の盲腸内容物に添加培養(粗灰分添加培養)して,無添加培養と比較し,さらに,盲腸内容物の無添加培養前後の成分の変化を見た.培養は二酸化炭素置換の嫌気条件で39°Cに3時間行い,pH,純蛋白質,粗繊維,揮発性脂肪酸(VFA),およびビタミンB2の各成分について分析して,つぎの結果を得た.1)2倍稀釈培養は未稀釈培養に比べて,全VFA量および各VFAの分布には著しい差の認められる場合があったけれども,その他の成分では大差は存在しなかった.2)粗灰分添加培養は無添加培養に比べて大差を認めなかった.3)培養前の盲腸内容物の成分は,従来の実験値と大差なく,全VFAは380μmole/乾物gで,このうち70%強を酢酸が占め,ついて酪酸,プロピオン酸の順であった.総ビタミンB2量は170μg/乾物gで,このうち約1/3が透析型B2であった.4)盲腸内容物の無添加培養後の変化は,一般に,pH,純蛋白質および粗繊維が低下し,全VFAおよび総ビタミンB2は増加した.VFA区分では,絶対量では酢酸が最も多く生成されたが,比率としてはかえって減少する場合が多かった.ビタミンB2では透析型が著しく増加した.
  • 阿部 又信, 渋井 仁志, 入来 常徳
    1975 年 46 巻 11 号 p. 621-629
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 体重約660kgの成雌牛2頭を用い,2×2ラテン方格法により尿素または大豆蛋白質を主要窒素源とする飼料を給与し,蛋白質代替物としての尿素の有効性につき検討した.すなわち,いずれかを単一窒素源とする精製飼料7割と稲わら3割の重量比で一日O.06BW0.75kgずつ朝夕2回に分けて給与した.前食からの飼料の切替えはすべて3か月かけて徐々に行い,切換後4週目に第一胃内液および頸静脈血を採取した.2) 体重は全期間を通してほぼ一定に維持されたが,長期の適応期間を設けたにもかかわらず,尿素飼料の嗜好性は大豆蛋白質飼料に比べて劣った,3) 第一胃内液のNH3濃度は飼料給与直前は大豆蛋白質飼料の方が高く,給与後4時間までは尿素飼料の方が高かった.大豆蛋白質飼料の方が酸化還元電位は有意に低く,プロトゾア数は若干多い傾向があったが,この差は有意ではなかった.pH, VFA濃度およびVFAモル比には差がなかった.4) 第一胃内液の蛋白態窒素含量は大豆蛋白質飼料の方が有意に高かった.しかし同区分のアミノ酸組成は飼料間にほとんど差が見られなかった.5) 血漿の遊離リジン濃度は大豆蛋白質飼料給与時の方が有意に高かった.血漿遊離アミノ酸総量および可欠アミノ酸に対する必須アミノ酸の濃度比は尿素飼料給与時に低い傾向があった.同様に,尿素飼料の場合は,有意ではなかったがバリン,ロイシン,イソロイシンおよびフェニルアラニンが少なく,グリシン,セリンが多い傾向があった.側鎖アミノ酸合計に対するグリシンの濃度比は大豆蛋白質飼料給与時に有意に低かった.6) 第一胃内に澱粉•グルコース混合物を投与して投与前後の血漿中必須アミノ酸濃を比較した結果,投与後の減少は両飼料ともリジンが最大であった.7) 本実験の結果は,尿素飼料給与時の方が全般的に蛋白質栄養は劣る傾向にあったことを示していると考えられ,さらに,牛において飼料蛋白質の大部分を尿素で代替するような場合には,体蛋白質合成に際してリジンが最も制限的役割を果たしやすいことを示唆するものと考えられた.
  • 古谷 修, 高橋 正也
    1975 年 46 巻 11 号 p. 630-641
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    小腸の3部位にフィステルを装着した子豚を用いて,各消化器官における酸化クロームおよびポリエチレングリコール(PEG)の滞留時間と消化吸収率を測定した.飼料は,離乳用後期飼料(A)と子豚用慣用飼料(B)で,給与量は体重の4%として,毎日一回午前9時に与えた.1. 胃よび十二指腸においては,酸化クロームは乾物と同様の動きを示し,飼料Bの場合,給与量の50%が通過するのに4~7時間を要した.PEGは酸化クロームより速く通過した.2. 小腸における滞留時間は,飼料AとBで,それぞれ,3.40および3.17時間,また,腸管全体では,それぞれ,39.7および28.2時間となり,指標物質間には差が見られなかった.3. 飼料Aの場合,主として大腸における滞留時間が長くなったが,これは,飼料Aの消化性がよいため,飼料Bに比較して腸管内容物の通過量が少ないことに起因すると推察された.4. 酸化クローム法による消化吸収率では,十二指腸までは,乾物,粗蛋白質および灰分で負となり,小腸末端まででは,乾物,粗蛋白質,粗脂肪および可溶性無窒素物における全体の可消化量の80%以上が吸収され,粗せん維は主として大腸で消化吸収された.
  • 矢野 秀雄, 桜井 従容, 川島 良治
    1975 年 46 巻 11 号 p. 642-648
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本試験は15頭の去勢めん羊を用い,炭酸カルシウム投与が尿結石症の防止とミネラル代謝に及ぼす影響を検討しようとした.実験1では飼料中Ca含量を0.1, 0.6, 1.2%の3水準にし,P含量が0.6%になるようにした.実験2ではCa含量が0.1と1.3%, P含量が1.1%になるようにした.実験1ではCa, 0.1%区にのみ腎臓中に尿結石が見られたが,実験2ではCa, 0.1%区,1.3%区の両区に見られた.飼料中P含量が,0.6%の実験1では尿中P含量は炭酸カルシウム投与により減少した。しかし,飼料中P含量が1.1%である実験2では炭酸カルシウムを投与しても尿中P含量は減少しなかった.また炭酸カルシウム投与は尿中NaとKの排泄を増加させ,糞中NaとKの排泄を減少させる傾向があった.尿結石症の防止に対する炭酸カルシウムの投与効果は尿中P濃度の減少によるものであろう.
  • 矢野 秀雄, 川島 良治
    1975 年 46 巻 11 号 p. 649-665
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本試験は肥育牛の尿結石症防止における塩化アンモンの作用機作を,尿結石の主成分であるリン酸マグネシウム,リン酸マグネシウムアンモンの溶解性を通してin vitro法で検討しようとした.
    2gのリン酸マグネシウム,リン酸マグネシウムアンモンを300mlのトリス緩衝液中に入れ,フラスコの栓を閉じて39°Cで6時間振とうした.0,1,2,4,6時間目に5mlづつ各フラスコから採取して分析に供した.pHを低下させるとリン酸マグネシウム,リン酸マグネシウムアンモンの溶解性は明らかに増加した.緩衝液中のカルシウム濃度を増加させると上澄液中のリン濃度は低下する傾向が見られた.この結果はカルシウムとリンの複合体の形成により生じたものと考えられた.ナトリウム塩を緩衝液に添加するとリン酸マグネシウム,リン酸マグネシウムアンモンの溶解性はわずかに増加した.アンモニウム濃度が0から200mg%と0から600mg%の範囲では,緩衝液中のアンモニウム濃度が増加するにつれてリン酸マグネシウムと,リン酸マグネシウムアンモンの溶解性はそれぞれ増加の傾向があった.これらの結果から,塩化アンモンの尿結石症防止に対する投与効果では,尿pHの低下が最も大きいように思われた.
  • 山本 義雄
    1975 年 46 巻 11 号 p. 656-657
    発行日: 1975/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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