日本畜産学会報
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47 巻, 9 号
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  • 堤 義雄, 武田 哲男
    1976 年 47 巻 9 号 p. 509-517
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    偽妊娠家兎の未受精卵の運命はまだ明らかにされていない.しかし偽妊娠17日目の子宮内にはまだ少数の卵子が認められ,また偽妊娠4日目の子宮内卵子数が妊娠時に比較して減少していることが知られてきた.この事は子宮内未受精卵の一部が偽妊娠早期に腟へ移動していることを示唆する.そこで本研究では不妊性交配後約1か月間,隔日に腟洗滌を行い,腟内に排出されていると思われる未受精卵の採取を試みた.22羽の成熟雌家兎につき合計307回の腟洗滌で,退化未受精卵31個と卵子由来と思われるもの13個が得られ,偽妊娠期に未受精卵の一部が明らかに腟に排出されていることが証明された.このうち最初に採取された卵子は交配後90時間目のものであった.実験の全期間を通じて得られた卵子の約52%は偽妊娠5日目までの間に集中して出現した.その後,偽妊娠期間を越えても長期にわたり散発的に採取されたが,特に不妊性交配後18-22日に多い傾向がみられた.以上のことから,偽妊娠家兎の子宮内卵子は一度に腟へ排出されているのではなく,長期間にわたり徐々に排出されているものと考えられる.
  • 昼間の搾乳間隔を7時間半とした場合
    市川 忠雄, 藤島 通
    1976 年 47 巻 9 号 p. 518-525
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    搾乳作業をより合理化する目的で,通常勤務の時間内に,2回の搾乳を行った場合の乳量,乳成分および乳房炎発生におよぼす影響を調べた.実験は,不等間隔搾乳期を7.5-16.5時間,対照期を11.0-13.0時間とし,1期3週間の3期反転法で2回実施した.供試牛は実験開始時の乳量が20-38kgのホルスタイン種成雌牛をのべ14頭用いた,給与飼料は,粗飼料を一律に与え,濃厚飼料は乳量に応じて与えた.1) 1日1頭当たり平均乳量は,対照期24.8kg,不等間隔搾乳期24.2kgで,不等間隔搾乳期は平均0.6kg少なく(減少率2.4%),この差は5%水準で有意であった.2) 不等間隔搾乳期において,前回搾乳からの間隔が長い午前搾乳の乳量は,間隔が短い午後搾乳の乳量より総量は明らかに多かったが,時間当たりの乳量に換算すると少なかった.このことから,不等間隔搾乳の乳量低下の原因は夜間の分泌が抑制されたためによるようにみられたが,residual milkのcarry-overを考慮すると,そのためだけであるとは言えなかった.3) 個体の産乳能力と不等間隔搾乳による乳量減少量との関係は,乳量の多い個体ほど不等間隔搾乳の影響が大きいという傾向は明白には認められなかった.4) 脂肪,蛋白,糖および無脂固形分の含有率および生産量は,不等間隔搾乳期にいずれも低くなり,その減少は,脂肪を除いていずれも有意であった.5) 実験期間中,いずれの期間においても急性乳房炎の発生は認められなかった.不等間隔搾乳期間中のCMT scoreおよびWMT値は,対照期間にくらべて幾分高い値であった.
  • 森 淳, 長野 錬太郎
    1976 年 47 巻 9 号 p. 526-531
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタの妊娠期の蛋白質要求量を検討するため,ランドレース種22頭を体重120kg到達後第1回目の発情で交配させ,試験飼料を与えた.また試験は長期間給与による影響を検討するため2産目まで継続した.妊娠期の粗蛋白質給与量は1,2産とも1日1頭当たり400g区(I区),325g区(II区),250g区(III区)の3区に分けて給与し,一方各区のエネルギー水準をほぼ同一にした.飼料はは1,2産ともに日量2.5kgを与え,母豚の体重の推移ならびに子豚への影響を調べた.また授乳期の飼料は自由摂取させた.その結果,母豚の妊娠期の体重増は1,2産ともに妊娠期の蛋白質摂取量の多い区ほど大きい傾向がみられたが,有意差は認められなかった.分娩直後の母豚の体重減は妊娠期の蛋白質水準の影響を受けず,また授乳期の母豚の体重減も区間に有意差は認められなかった.1産目から2産目の分娩間隔日数はIII区が173日,II区が177日,I区が180日の順となったが有意差は認められなかった.産子数,分娩時の1腹子豚総体重,同1頭平均体重には1,2産とも妊娠期の母豚の蛋なんらみられなかった.15日齢の子豚数,1腹総体重,1頭平均体重にも区間に有意差は認められなか白質水準の影響はった.離乳時の子豚数,1腹総体重,および1頭平均体重はI区がII,III区よりややまさったが有意差は認められなかった.以上を総括すると分娩時,15日齢時および離乳時のそれぞれの子豚数,1腹子豚総体重,同1頭平均体重には差はみられず,また分娩間隔も区間に差がみられなかったことから,III区の粗蛋白質量を250gにしても繁殖成績に支障はないものと考えられた.
  • 一色 泰, 中広 義雄
    1976 年 47 巻 9 号 p. 532-536
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    盲腸内容物の組成が,飼料条件によりいかなる影響を受けるかについて調べるために,3か月齢の単冠白色レグホーン雄を用いて,全粒小麦,慣用飼料およびこれに10%イタリアンライグラス繊維部または15%フェザーミールをそれぞれ添加混合した飼料,ならびに0-30%カゼインを含む半精製飼料を給与し,その小腸下部および盲腸内容物の化学組成を比較測定した.その結果,盲腸内容物は小腸下部内容物に比し粗蛋白質含量が高く,しかもその大部分が非蛋白態窒素化合物であった.なおこの非蛋白態窒素化合物の大部分は,盲腸内に内因的に分泌された成分であると考えられる.また粗繊維含量が著しく低く,可溶無窒素物の合量もやや低い傾向にあった.慣用飼料ならびに13%カゼインを含む半精製飼料を人工肛門設着鶏に給与し,小腸下部内容物と腸糞,さらに盲腸内容物と盲腸糞の組成をそれぞれ比較した.その結果,飼料あるいは成分のいかんにかかわらず両者に有意差がみられなかったが,これは結直腸において腸管が比較的短いのみならず,粘膜の絨毛組織の発達も悪く,そこでの消化吸収はほとんどないことを意味している.
  • 和泉 康史, 裏 悦次, 岡本 全弘, 渡辺 寛, 福井 孝作, 曽根 章夫
    1976 年 47 巻 9 号 p. 537-542
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黄熟期(早刈)および完熟期(遅刈)刈取りのとうもろこしと1番および2番刈オーチャードグラス-ラジノクローバについて,それぞれサイレージを調製し,それらについて化学的成分と化学的品質の分析を行い,去勢羊を用いて消化率と可消化養分を求めた.そして,これらのサイレージについてホルスタイン種の泌乳牛12頭を供試し,それぞれのサイレージの養分摂取量,乳量,乳成分についての測定,分析を行い,その産乳価値の差異を比較検討した.各サイレージは自由に摂取させ,乾草を全牛に1日2kg,,濃厚飼料はFCM量の1/6を給与した.その結果,次のことが認められた.1)サイレージの乾物摂取量においては,2番草は他の3種のサイレージより低く,また,1番草は遅刈とうもろこしよりも有意(P<.05)に低かった.2) TDN摂取量では,2番草区は他の区よりも有意(P<.01)に低かった.DCP摂取量では,1番草区は2番草および両とうもろこし区よりも高く,また,2番草区は両とうもろこし区よりも有意(P<.01)に高かった.3)各サイレージ給与区の乳量およびFCM量を比べると,2番草区は1番草区よりも有意(P<.05)に低かった.両とうもろこし区間にはほとんど差はなく,いずれも1番草区と2番草区のほぼ中間であった.乳成分では,脂肪率において各区間に有意差は認められなかったが,無脂固形分および蛋白質含量で,両とうもろこし区は1番および2番草区に比して有意(P<.05)に高かった.以上,牧草サイレージに対してとうもろこしサイレージが有する長所から考えると,粗飼料主体の乳牛飼養上,とうもろこしサイレージの利用は重要な価値を有すると考えられる.
  • 熊野 康隆, 金丸 義敬, 仁木 良哉, 有馬 俊六郎
    1976 年 47 巻 9 号 p. 543-550
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    母ウシから子ウシへの抗体の授受は初乳によるので,子ウシ消化管での免疫グロブリンの運命は興味深い.本実験では初乳免疫グロブリンの80%を占めるIgGIgG1を精製し,in vitroで子ウシ第四胃由来のレンニンで消化したものと,同じグロブリンのペプシン消化物F(ab')2とを比較検討し,つぎの成績をえた.1) IgGIgG1をレンニン消化するときの至適pHは3.5付近で,子ウシ第四胃内の条件に近いpH5.5ではほとんど分解されなかった.ペプシン消化ではpH4.0以下においてはF(ab')2より少さなfragmentに分解されたがpH5.5での分解はわずかであった.2) pH3.5でのレンニン消化は3時間以後急速に進むが,12時間でも幾分intact IgGIgG1がみられた.pH4.5でのペプシン消化はレンニン消化より速く進み,12時間でほとんどintact IgGIgG1はみられなかった.3) 両酵素による24時間消化物をSephadex G-75で分画すると,ほとんど等しい溶出パターンを示した.ペプシン消化物の最初に溶出する分画Pep Iは分子量約115,000, hexose含量5.5モルでIgGIgG1のF(ab')2に一致し,レンニン消化物Ren Iも分子量約115,000, hexose含量5.8モルで,電気泳動的にもPepIと等しい性質を有した.4) 免疫拡散試験ではRen I, Pep Iに対するウサギ抗血清と,Ren I, PepIおよびIgGIgG1との間に完全に融合する1本の沈降線がみられ,抗血清をIgGIgG1から調製したL鎖で吸収すると沈降線は多少不鮮明になった.
  • 熊野 康隆, 金丸 義敬, 仁木 良哉, 有馬 俊六郎
    1976 年 47 巻 9 号 p. 551-556
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    子ウシの初乳免疫グロブリンの消化吸収機構を解明するために,初乳摂取後の子ウシ血中および糞便中のIgG1およびそのfragmentsの存否について免疫化学的に調べた.初乳および初乳摂取後の子ウシ血清にはIgG1が多かったが,成牛血清に多いIgG2はほとんど見られず,子ウシ血清の免疫グロブリンの組成は初乳のそれと似ていた.初乳摂取後の子ウシ糞便にはintact IgG1のほかに,ペプシン,レンニン消化物のF(ab')2 fragmentがみられたが子ウシ血清中にはこのfragmentはみられなかった.
  • Hiroshi SATO, Takeru KOBAYASHI, Hiroaki SHISHIDO, Tatsuo TOMABECHI
    1976 年 47 巻 9 号 p. 557-559
    発行日: 1976/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    In the ruminant, blood glucose levels in young animals are higher than those of mature animals and these levels fall to adult value usually within 3 months of age1). It has been known that the blood glucose levels were affected by the methods of weaning2) and by the diets given3.4). But the glucose levels in whole blood are considerably different from those in plasma5), and the relationship between the TDN content of the diets and whole blood or plasma glucose levels has not been clarified enough in young calves.
    In the present experiment, two concentrate diets containing 75% and 65% TDN were given to calves to determine the effect of different TDN levels of the diet on plasma glucose levels.
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