とうもろこしに対する放射線照射の影響を調べるため,2回の実験を行った.実験Iでは,とうもろしに対し,3および6M radのγ線を照射した後,他の成分と配合した.実験IIでは,とうもろこしを65%配合した飼料に,0.6,3および6M radを照射した.照射後,飼料成分の変化を調べるとともに,雛に給与して,その影響を検討した.その結果,過酸化物およびカルボニル化合物の生成量は照射量を増すにつれ増加したが,前報において,大豆油を配合した半精製飼料で得た値に比べて著しく少なかった.雛に給与した場合,発育試験では,飼料摂取量および飼料効率に対して,照射による影響は認められなかった.消化試験の結果,実験Iにおいて,6M radを照射した場合は,粗蛋白質の消化率はわずかに低下し,代謝エネルギー(ME)含量が減少したが,3M radではME含量のみが減少した.また,大豆油照射の場合に認められた腸管等の肥大は,本実験では認められなかった.雛の溶血性は照射量の増加にしたがって高まった.6M rad照射区では,試験開始後5週間目に6羽中4羽が,脳軟化症にかかり死亡した.以上の結果から,とうもろこしに対するγ線照射の影響として,6M rad以下の照射量では雛の発育成績に著しい影響はないが,照射によって生成された過酸化物により飼料中のビタミンEが破壊され,溶血挫の上昇,脳軟化症の発症などビタミE欠ン乏症を惹起する可能性があると考えられる.
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