日本畜産学会報
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48 巻, 1 号
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  • 野方 勝, 矢野 秀雄, 川島 良治
    1977 年 48 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    本試験は濃厚飼料多給によるアシドーシス発生時のめん羊におけるミネラル代謝の変化を検討するために行われた.第一胃フィステルを装着した3頭のめん羊に,濃厚飼料対粗飼料比(重量比)が4: 6,5: 5,6: 4,7: 3,8: 2,9: 1,の飼料を2日間づつ与え,10: 0の飼料を5日間与えた.濃厚飼料としては粉砕とう偏ろこし95%と魚粉5%を混合したものを用いた,濃厚飼料100%の飼料を与えた時に,食欲減退,下痢,速い呼吸が全頭のめん羊に見られた.その時の血液pH,血液中HCO3-/H2CO3比は有意に低下した.これらの症候から濃厚飼料給与量を急速に増加さすことによりアシドーシスが発生したと考えられた.第一胃液中リンとナトリウム濃度は濃厚飼料給与量の増加にともない上昇する傾向があった.血液pHは第一胃液中リン(r=-0.596,P<.01),ナトリウム(r=-0.787,P<.01)と有意な負の相関があった.アシドーシス発生時にはだ液中リン,ナトリウム分泌量が増加することが推察された.血液pHは血液中リン濃度(r=-0.532,P<.05),尿中リン排泄量(r=-0.612,P<.01)とも有意な負の相関があり,濃厚飼料多給によるアシドーシス発生時には血液,尿中リン濃度は増加するようであった.
  • 森田 哲夫, 野方 勝, 矢野 秀雄, 川島 良治
    1977 年 48 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    本試験は乳酸ナトリウムの静脈内注射がめん羊のミネラル代謝に及ぼす影響を検討しようとして行った.第1実験では,乳酸ナトリウム溶液を1回静注後に経時的に血漿中乳酸とミネラル濃度を測定した.第2実験では乳酸ナトリウムを6日間毎日注射し,その影響を血漿中ミネラル濃度と尿,糞中ミネラル排泄量から検討しようとした.乳酸ナトリウム溶液はDLラセミ体であり,pHは6.8であった.1日1頭当たり600mgの割合でこの溶液を静脈内に注射した.第1実験において,血漿中乳酸濃度は注射後15分で増加したが,30分では注射前の濃度にもどった.第2実験の結果では血漿中カルシウムとマグネシウムは対照期より注射期においてやや低い傾向てあった.乳酸ナトリウムの注射により尿中リン排泄量は有意に増加し,尿中カルシウム排泄量は減少した.尿中リン排泄量の増加,尿中カルシウム排泄量の減少は乳酸の代謝と強い関係のあることが推察された.
  • 盧 淳昌, 近藤 恭司
    1977 年 48 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    日本ウズラの胚の性殖腺は髄質と皮質の二つの異なった性質の組織を共にもっている.この生殖腺が卵巣に分化して行くか精巣に分化して行くかは,遺伝的に決定された性にしたがいいずれの組織が優位に発達するかによって決まる.著者らは日本ウズラを用いエストロジェンを与えた時の性分化の状態を調べた.この際,胚の性判定には劣性伴遺伝子swを用いた.安息香酸エストラジオール0.01mgをふ卵0日(ふ卵器に入卵直前)から8日目までの各時期にそれぞれ1回卵黄に注入し,ふ卵を続け16日目に胚を取り出し,生殖腺及び副生殖器官を観察し,同一試料を用い生殖腺の組織学的観察も行った.胚精巣に対するエストロジェン投与の効果はふ卵4日目に処理した時がピークで,その時右側および左側巣の大きさは無処理の場合のそれぞれ43.9%と89.6%程度となった.組織学的にも4日目投与の効果が最も顕著であり,いずれにしてもニワトリに比しピークの時期が1日程度早いことが示された.エストロジエン投与による雄ウズラ胚の卵管の発達状況は精巣の変化と平行しないこともニワトリの場合と異なる点として注目された.
  • 佐藤 英明, 石橋 武彦
    1977 年 48 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    卵胞内に存在すると考えられる減数分裂休止因子の分離を試みた.供試動物としてブタを用いたが,休止作用は卵胞液には認められず,顆粒膜細胞層に認められた.しかしその休止作用は顆粒膜細胞層を卵母細胞に接着させることによってはじめて発現した.そこで休止因子は顆粒膜細胞層,とくにその表層に存在する物質であろうと考え,表層物質を抽出し,その生理作用をしらべた.遠沈して集めた顆粒膜細胞の浮遊液1mlに10mlの1M尿素および5mM EDTAを含むトリス緩衝液を加え,37Cで30分間培養した.ついでセファデックスG-25のカラム(3.5×40cm)で2回ゲル〓過し,紫外線分光光度計で各分画の280mμにおける吸光度を測定した結果,表層物質は2つのピークに分離された.ピークの出た溶出部分の各分画を凍結乾燥し,えられた乾燥粉末を培養液に加えて減数分裂にたいする作用をしらべたところ,うち1つのピークの分画からえられた乾燥粉末に減数分裂休止作用を認めた.
  • 過酸化物の生成および雛に対する影響
    滝川 明宏, 檀原 宏, 大山 嘉信
    1977 年 48 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    とうもろこしに対する放射線照射の影響を調べるため,2回の実験を行った.実験Iでは,とうもろしに対し,3および6M radのγ線を照射した後,他の成分と配合した.実験IIでは,とうもろこしを65%配合した飼料に,0.6,3および6M radを照射した.照射後,飼料成分の変化を調べるとともに,雛に給与して,その影響を検討した.その結果,過酸化物およびカルボニル化合物の生成量は照射量を増すにつれ増加したが,前報において,大豆油を配合した半精製飼料で得た値に比べて著しく少なかった.雛に給与した場合,発育試験では,飼料摂取量および飼料効率に対して,照射による影響は認められなかった.消化試験の結果,実験Iにおいて,6M radを照射した場合は,粗蛋白質の消化率はわずかに低下し,代謝エネルギー(ME)含量が減少したが,3M radではME含量のみが減少した.また,大豆油照射の場合に認められた腸管等の肥大は,本実験では認められなかった.雛の溶血性は照射量の増加にしたがって高まった.6M rad照射区では,試験開始後5週間目に6羽中4羽が,脳軟化症にかかり死亡した.以上の結果から,とうもろこしに対するγ線照射の影響として,6M rad以下の照射量では雛の発育成績に著しい影響はないが,照射によって生成された過酸化物により飼料中のビタミンEが破壊され,溶血挫の上昇,脳軟化症の発症などビタミE欠ン乏症を惹起する可能性があると考えられる.
  • 小笠原 利保, 古賀 脩
    1977 年 48 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    子宮部(卵殼腺部)に対する糸め輪の刺激およびリン酸溶液の子宮部内腔への注入によって産出された軟卵ならびに正常な産卵鶏から採取した軟卵の表面構造を走査電子顕微鏡で観察し,比較検討した.その結果,正常鶏からえた卵殼形成中の卵の卵殼沈着物質が,輪郭の明瞭な結晶で規則的な配列をしているのに対し,子宮部刺激鶏から採取した軟卵の卵殼物質は,明らかに異常な形態を示し,配列も不規則であることが観察された.一方,リン酸溶液の注入によって産出された軟卵でも,卵殼物質の結晶化が阻害されていることが認められた.したがって,これらの軟卵産出鶏における早期放卵は,少なくともその一部は卵殼沈着機構の障害と関連していることが推測された.
  • 左 久
    1977 年 48 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    1) 反芻動物に飼料を自由採食させた時の第一胃内低級脂肪酸(VFA)濃慶の日周変動と採食行動との関係を検討する目的で,めん羊3頭に乾草または濃厚飼料を単味で1日1回十分量給与して1日の採食行動を連続記録すると共に第一胃内VFA濃度を1時間毎に24回測定した.2) 乾早給与時の1日の第一胃内VFA濃度の変動域は平均8.5±0.9-13.8±1.7mmol/dl(M±SD)であった.3) 乾草自由採食時のめん羊の第一胃内VFA濃度は給飼開始と共に漸次上昇し始め,900±75分後にゆるやかなピークを形成した.このピーク到達時間は動物が1日採食量の大部分を摂取し終わるFinal Satiety State到達後225±38分経過していた.4) 乾草自由採食時には,1採食期の始まりの第一胃内VFA濃度が高くなるにつれてその期の採食量と採食時間は減少する傾向にあった.5) 濃厚飼料給与時の1日の第一胃内VFA濃度の変動域は6.8±0.4-11.2±1.1mmol/dlであった.6) 濃厚飼料単一給与に切換えて2週間後の第一胃内VFA濃度の日周変動のパクーンは乾草給与時のそれと似ていた.7) 自由採食時の第一胃内VFA濃度の日周変動は乾草,濃厚飼料給与いずれの場合も急激な変化を示さなかった.このことはめん羊が1日の採食行動を第一胃内容物量が常に一定範囲内に納まるように調節していることと関係があると思われた.
  • Toshiyasu OGASAWARA, Osamu KOGA
    1977 年 48 巻 1 号 p. 47-49
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    Arginine vasotocin has an activity for the contraction of the hen's uterus (shell gland)1, 2), and its contents in the posterior lobe of pituitary decrease3) while the contents in the blood increase4-7) during normal oviposition.
    Premature oviposition is induced by placing a thread in the wall of the uterus8-11) or by intrauterine injection of phosphate solution12). It is assumed that the premature oviposition may be related to an inhibition of shell calcification and to a sudden increase of phosphate levels in the uterine fluid11-13). However, it is unknown whether the premature oviposition is mediated by the release of vasotocin from the pituitary.
    The present study was designed to investigate the change in the vasotocin activity in the blood during normal and premature ovipositions.
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