日本畜産学会報
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49 巻, 1 号
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  • 高橋 潤一, 増田 泰久, 宮城 悦生
    1978 年 49 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻胃内亜硝酸塩蓄積の要因を知る目的で,乳牛の反芻胃液より調製した反芻胃内細菌の洗浄懸濁液を用い,in vitro硝酸塩及び亜硝酸塩還元に及ぼすpH及び硝酸塩添加濃度の影響を検討した.1) 硝酸塩及び亜硝酸塩還元の活性はいずれもpHにより著しい変動を示したが,pH6.20∼7.80では硝酸塩還元活性の方が亜硝酸塩還元活性より30%以上高い傾向を示した.2) 測定したpH範囲において,硝酸塩と亜硝酸塩還元活性との至適pHは異なり,前者ではpH6.60で,後者ではpH5.80で最大活性を示した.3) 硝酸塩の還元は培養初期に著しく,添加した硝酸塩の消長の経過には添加濃度間の差は認められなかった.4) 亜硝酸塩蓄積は培養8時間目に最高値を示し,硝酸塩の添加濃度間の差は認められなかったが,蓄積の最高値は硝酸塩の添加濃度に依存する傾向がみられ,蓄積量は窒素量換算にして硝酸塩添加量の約80%に達した.なお,90ppmの硝酸態窒素添加区では,顕著な亜硝酸塩蓄積の持続が認められた.
  • 辻 荘一, 井上 良, 福島 豊一
    1978 年 49 巻 1 号 p. 6-15
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    White Leghorn種の1系統WL-B系を用いて遺伝変異体のOrnithine Transcarbamylase(OTC)の遺伝様式の解明,遺伝変異体OTCの遺伝子(Ocb)をホモに有する個体の選抜などを行なって来た.ところが,OTCの遺伝子(Ocb)のホモ化にもかかわらずOTC活性の変異は非常に大であった.そこで,遺伝子型の明らかとされた個体間の交配を行なって,その活性の変異の程度を知るとともに,活性におよぼす諸異因の解析を試みた.California Gray(CG)種を用いてWL-B系の37羽の雌と11羽の雄のOTC遺伝子型を決定した.次いで,これらの種鶏を用いてOTC遺伝子に関する組合わせ交配を行なった.CG種との交配で,すべてのWL-B系の種鶏のOTCの遺伝子型が容易に推定され,その胚のOTC活性の高低への分離は明確であった.遺伝変異体OTCの遺伝子型に関する全組合わせの結果,Ocbヘテロ間の交配でOcbホモの活性に相当するヒナの出現数が著るしく少ない傾向があった以外は,おおむね予想したとおりであった.これらの実験からOTCの遺伝子Ocbは常染色体上にあって,不完全優性として表現されるものと推定された.Ocbホモ間の交配によるヒナのOTC活性の変要について最小二乗分散分析を行なったところ,性による差違が最も大であった.次いで,測定回次間のばらつきと母鶏間の差違が同程度であった.これを同じオルニチン代謝酵素であるOrinithine Transaminase活性の場合と比較すると,OTC活性には母鶏の与える影響が大であり,遺伝変異体OTCの遺伝子Ocb以外の遺伝的な要因の関与が推察された.
  • 加藤 征史郎, 入谷 明, 西川 義正
    1978 年 49 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    低分圧のCO2が山羊洗浄精子の好気的代謝および生存性に及ぼす影響について,まずCO2分圧にかかわりなくpHを一律に約7.0にそろえた条件下で検討し,ついで25mMまたは50mMの重炭酸塩存在下での影響について検討を加えた.その結果,1) pH7.0においては,代謝CO2の蓄積を許すことにより山羊精子の好気的解糖およびO2消費がCO2不在下にくらべ促進された.代謝CO2を含むフラスコのインキュベーション開始時における気相のCO2分圧は約0.3%であった.しかし気相のCO2分圧を0.3%から1.0%まで,あるいは1%から3%まで高めても,CO2による代謝促進は増強されなかった.このことから,山羊精子がpH7.0で最も活発な好気的代謝を営むのに要するCO2分圧はかなり低いと考えられる.低分圧のCO2による解糖および02消費の促進の程度はほぼ同じであった.02消費はグルコースよりも乳酸の存在下で活発であったが,低分圧のCO2による促進の程度は基質の種類にかかわらずほぼ一致していた.精子の生存性については,CO2の存否による差異がみられなかった.2) 25mMの重炭酸塩存在下では,1%CO2下での解糖,O2消費および生存性は2%および3%CO2,下にくらべ著しく阻害された.解糖およびグルコース-U-14Cからの14CO2生成は2.5%または5.0%下で最も活発であり,生存性は2.5%以上のCO2分圧下で良好に維持された.一方50mMの重炭酸塩存在下では,解糖および14CO2生成に対する至適CO2分圧は5.0%または7.5%程度であり,生存性維持には5.0%以上のCO2分圧が必要であった.
  • 星野 貞夫, 坂内 良二, 脇田 正彰
    1978 年 49 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    松阪牛の飼養管理技術を検討する目的で,松阪市のW牧場の牛群について導入から出荷までの管理法,松阪と場で採取したと殺直後の第一胃液の性状,第一胃などの消化器の障害,仕上げ期個体の反すうなどについて調査した.管理法は6~9ヵ月令の黒毛和種,但馬牛雌を導入して25~32ヵ月間,体重500kgぐらいになるまで能力の似かよった10頭前後の個体を一カ所に収容した群飼で飼育,濃厚飼料としては自家設計の配合飼料と圧ぺん大麦,ふすま,米ぬか,大豆粕などの単味飼料を,粗飼料としては10cm程度に細切した稲わらまたは乾草を不断給餌で給与した.その後更に3~5ヵ月間600kg前後まで独房に収容し制限給餌で肥育を行う理想肥育方式をとっていた.第一胃液のpHは7.0±0.1,アンモニア濃度は14.2±1.8mg/dl, VFA濃度は7.16±0.61mmoles/dlでと殺前24時間の絶食,水切りの影響を受けたと推測される数値を示し,めん羊で実験してえた24時間絶食,水切りによ
    る数値の変動を調査牛にあてはめて計算してみるとpH5~6,アンモニア濃度37.0mg/dl, VFA濃度36m moles/dlとなり,酢酸:プロピオン酸の比は2.0以下で肥育牛の値としては良好なものとなった.第一胃液プロトゾア数は調査した57頭の93%は104~105/mlで,103,106個の個体も若干みられた。プロトゾアの種属構成は3種属以上をもつ個体が90%以上で,Entodinium属だけの個体は少なかったが,内訳では約90%がEntodinium属であった.プロトゾアの数,種属構成などは放牧牛,搾乳牛のそれに近く,肥育牛のそれと異なっていた.ルーメンパラケラトーシスなどの消化器障害は調査した57頭に1例も発見できなかった.1回の反すう持続時間は13~40分,再咀しゃく時間は36~75秒,吐出回数は15~47回でほぼ正常の範囲にあった.第一胃液の性状や反すうなどの機能が生理的範囲から逸脱していないのは,この肥育技術が粗飼料を上手に利用していることを示している.
  • 横浜 道成, 茂木 一重, 近藤 恭司, 細田 達雄
    1978 年 49 巻 1 号 p. 30-39
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    馬の血液型による親子判定および個体識別においてその判定効率を向上させるため同種免疫により作製した2種類の抗血清を用い分類されるPf6抗原(凝集原)およびU6抗原(溶血原)の遺伝様式並びにシステムの推定をした結果を要約すると以下のごとくである.1) Pf6およびU6抗原はそれぞれ異なるシステムに属し,それぞれの抗原を有しないものに対し常染色体性の単純完全優性遺伝の様式をとる.2) Pf6抗原はAa, Ac, Ca, Pa, U6, QaおよびUa抗原とは独立した関係にあり,Da, DbおよびDc抗原と同じDシステムに属する.3) U6抗原はAa, Ac, Ca, Db, Dc, Pf6, QaおよびUaとは独立した関係にあり,Pa抗原と同じPシステムに属する.4) D(c•Pf6)およびP(a•U6)なる2つのphenogroupが確認された.
  • 藤田 裕
    1978 年 49 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻家畜における牧草サイレージ中窒素化合物の利用性に関与する要因を明らかにするため,易発酵性炭水化物の投与がメン羊の第一胃内発酵および窒素蓄積におよぼす影響を検討した.供試炭水化物としては,デンプン,ショ糖およびグルコースを用い,それぞれ牧草サイレージ単独給与時を対照として,各炭水化物をサイレージに添加給与した場合の窒素出納量および第一胃内性状の変化を計測した.これらの炭水化物投与により,窒素蓄積量はサイレー最ジ単給時にくらべていずれも有意に増加したが,投与炭水化物の種類による差は認められなかった.第一胃内アンモニア濃度は炭水化物投与により明らかに低下し,とくにグルコース投与時に低下の割合が高かった.炭水化物投与の場合は,いずれも給飼当初のpH低下が対照飼料にくらべて著にく,とくにデンプン投与時にその傾向が強かった.第一胃内VFA組成は,投与炭水化物の種類により変動し,デンプン投与時には酢酸の割合が,グルコース投与時には酪酸の割合が対照飼料にくらべて高く,プロピオン酸の割合は,いずれの炭水化物投与の場合も対照飼料にくらべて低く推移した.
  • 寺田 隆登, 渡辺 守之
    1978 年 49 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ニワトリの副生殖器液である透明液は血清由来のものであり,射出精液の66%(v/v)を占めると言われている.本実験は,精漿,血清,リンゲル液およびレェーク
    のA液の精子の運動性ならびに代謝におよぼす影響を比較することにより,透明時の生理的意義を検討した.まず,射出精子をブドウ糖(0.02M)を含む燐酸緩衝液で2回洗浄し,再浮遊させた.この洗浄精子浮遊液0.4mlと,精漿,血清,リンゲル液およびレェークのA液を各々35%(最終濃度)を含む燐酸緩衝液2.6mlとを混合し,37°Cで3時間加温振盪した.その結果(1) 精漿を含む区(精漿区),血清を含む区(血清区)の加温開始時の精子の運動性は,他の区に比較して活発であり,3時間後においても高い運動性を示した.(2) 加温開始時の呼吸速度は,精漿区,血清区,レェークのA液を含む区,リンゲル液を含む区,対照区の順であった.また3時間後においても,精漿区,血清区は他の区に比較して高い呼吸速度を示し,いずれの測定時間においても精漿区と血清区との間の呼吸速度の差は有意ではなかった.(3) 加温3時間後において,精漿区および血清区は,他の区に比較して高いブドウ糖消費量を示した.以上の結果より,精漿,血清は洗浄精子の運動性,呼吸,ブドウ糖消費を著しく増加させる作用を有するものと考えられた.またこのことより,透明液も精子の運動性および代謝を刺激する作用を有するものと推察された.
  • 秋葉 征夫, 堀金 明美, 松本 達郎
    1978 年 49 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Effects of feed intake and force-feeding on liver lipid accumulation were investigated with 77 days old laying Japanese quails. They were raised under free feeding or restricted feeding conditions (75% of the control), or force-fed the diet at the level of 100 or 130% of the amount of the control for 20 days. Body weight gain, abdominal fat weight, liver weight and liver lipid accumulation were increased by the increase of feed intake and high significant positive correlations were demonstrated between the feed intake and those parameters. Force-feeding increased carcass fat deposition and liver lipid accumulation. Marked accumulation of liver lipid and hemorrhages in the liver were observed by force-feeding of excess feed (130% of the control).
  • 秋葉 征夫, 松本 達郎
    1978 年 49 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The effect of graded doses of goitrogen such as goitrin, PTU, AITC and KClO4, on the in vitro biosynthesis of thyroid hormone was. studied in chicks. Thyroid lobes dissected from the chick fed goitrogen or without dietary goitrogen were incubated in 3ml KRP buffer, pH7.4 at 37°C with 20μCi carrier-free 131I. Thyroidal 131I uptake was depressed by 10-5M of KClO4 but not significantly depressed by 10-6 to 10-4M of goitrin, PTU and AITC. Thyroidal 131I uptake in vitro by the thyroid lobes of chicks fed goitrin or PTU was accelerated in comparison with that without goitrogen. Ratios of MIT/DIT were elevated and iodothyronine synthesis was depressed in proportion to concentration (10-7-10-4M) of goitrogen added. Monoiodination of tyrosine in the thyroid was depressed at the level of 10-5M of KClO4 and 10-4M of goitrin or PTU. In vitro iodothyronine biosynthesis was depressed by 10-6M of goitrin or PTU in the thyroid of chicks fed with or without goitrin or PTU.
  • 唐来 宣人, 寺島 福秋, 伊藤 宏
    1978 年 49 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    In search of the optimal process conditions of ammonia treatment for rice hulls and straw at the shorter duration and lower temperature possible without the use of special and expensive equipment in the field, the combined effects of ammonia concentration, temperature and duration were determined on the chemical composition and in vitro digestibility. Rice hulls were treated with 2.5, 5.0 and 10.0% of ammonia (by wt) for 15, 30 and 60 days at 25°C, or with 1.0, 2.5 and 5.0% of ammonia for 5 and 10 days at 45°C. Nitrogen contents and in vitro dry matter disappearance (IVDMD) of the ammoniated rice hulls (ARH) were increased with the increment of ammonia concentration at both the temperatures of 25 and 45°C. Duration of treatment (30 and 60 days) affected only the nitrogen content at the 5 and 10% ammonia treatment. The highest nitrogen recovery was observed in the ARH treated with 2.5% ammonia. Increased values of IVDMD in the ARH treated at 45°C for 5 days with 2.5 or 5.0% of ammonia were markedly superior to that treated at 25°C for more than 15 days with the corresponding levels of ammonia. Chemical composition and IVDMD of the rice straw (ARS) treated by more than 2.5% of ammonia at 45°C were nearly equivalent to that observed in the ARS treated for a long term at ambient temperatures. These results suggested that the ammoniated products, which was improved to have a considerable amount of the nutritive value as roughage for ruminants, are prepared by the 2.5% of ammonia concentration in only 5 days where the temperature is maintained at about 45°C in the field. fect of ammonia concentration, temperature and duration on the chemical composition and IVDMD of the rice hulls and straw, and to suggest optimal treatment conditions which are to be accepted as the short period treatment without special and expensive equipment in the field.
  • 小川 清彦, 野入 宏承, 東條 英昭
    1978 年 49 巻 1 号 p. 75-77
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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