日本畜産学会報
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49 巻, 7 号
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  • 花田 博文, 山田 行雄
    1978 年 49 巻 7 号 p. 465-472
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    主要蛋白源を異にする2飼料区において,マウスの8週齢体重を大の方向に10世代にわたり,腹内選抜を行なった.得られたデータについて,次の3種類の方法,1) 各世代の雄と雌の平均選抜差と両親に対する親子回帰推定値の積,2) 各世代の雄と雌の平均選抜差と線型遺伝率推定値の積,3) YAMADA and SCHEINBERG1)が提示した方法,すなわち親から子への経路を4つに分割し,そこに雌雄間の遺伝相関の概念を導入した推定式をもって,期待反応量を推定し,実現反応量との適合性の良否について検討した.8週齢体重の親子回帰,および線型遺伝率推定値は0.52と0.54であった.雌雄間の遺伝相関係数は1より有意に小さく,0.78~0.87であった.3種類の推定法のうち,YAMADA and SCHEINBERG1)が示した推定式による場合に最もよい適合が得られた.いずれの系統においても期待値は実現値より大きかったが,両者は有意に異なってはいなかった.実現値の期待値に対する比率は,大豆粕飼料区において0.93,大豆粕•酵母飼料区で0.79であった生また相関反応量については,実現値と期待値の適合はあまりよくなかったが,これは遺伝相関の標準誤差が大きかったためと考えられる.
  • 大城 政一, 佐々木 康之, 浜崎 正雄, 津田 恒之
    1978 年 49 巻 7 号 p. 473-479
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    メン羊を用い,25°Cおよび5°C(相対湿度70%)の環境温度に12時間づつ5.5日間反復暴露した場合(実験I)の一般生理諸元およびカテコールアミン(ノルアドレナリンとアドレナリン)の排泄量の変化を,25°C,5°Cおよび25°Cにそれぞれ1週間ずつ連続暴露した場合(実験II)の変化と比較して,1日内の12時間ごとの温度変化が,メン羊に与える影響について知ろうとした.1) 実験IおよびIIの25°C時の直腸温はそれぞれ39.3±0.1°Cおよび38.8±0.01°Cで,実験Iで有意(P<0.01)に高く,一方5°Cではそれぞれ38.0±0.2°Cおよび38.6±0.1°Cで,実験Iで有意(P<0.01)に低かった.2) 実験Iにおいて心拍数は25°Cで高く,5°Cで低いという,通常の場合と異なる結果が得られた.3) 実験Iにおいて,アドレナリン排泄量は0.71±0.08μg/日(20°C)から1.42±0.46μg/日(日内温度変化時)へと有意(P<0.01)に増加したが,ノルアドレナリンについては増加の傾向はみられたものの有意差はなかった,実験IIではアドレナリンは0.97±0.05μg/日(25°C)から2.74±1.13μg/日(5°C)に,ノルアドレナリンは9.70±1.53μg/日(25°C)から17.88±4.54μg/日(5°C)といずれも有意(P<0.01)に増加した.これらの結果からカテコールアミン排泄量の増加は,25°C-5°Cという12時間ずつの日内温度変化がその要因となるよりも,5°Cという低温がより大きな要因であろうと推察された.
  • 渡辺 嘉彦, 池本 卯典, 鈴木 正三
    1978 年 49 巻 7 号 p. 480-485
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Feijao chumbinho(Phaseolus vulgaris)抽出液に親和性を有するウシ血球FC抗原の,各種蛋白質分解酵素による抗原性の変化,およびFC抗原含むウシ赤血球膜の免疫化学的性質について検討した.dispase処理によりFC型はfc型に,fc型はFC型に変化した.pronase,bromelinなどで処理すればFC型は抗原性を増強し,fc型はFC-likeの反応を示すようになる.ghostおよびn-butanol法による水層分画をSephadex G-200 columnで〓過し,得られた第I分画には抗原活性が認められ,SDS-ゲル電気泳動,超遠心分析などによって分子量を測定したところ,約75~78,000であり,その分画には遊離アミノ酸として,glutamic acid, threonine, aspartic acid, proline, leucine, glycine, serine, alanine, arginine, valine, lysine, phenylalanine, tyrosine, isoleucine, methionine, histidineなどが認められた.
  • 熊崎 一雄, 原田 宏
    1978 年 49 巻 7 号 p. 486-493
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    国内8か所の試験場で実施された黒毛和種産肉能力直接検定の成績に基づき,検定期間中の1日平均増体量,1kg増体当りTDN消費量,粗飼料摂取率,検定終了時体型得点,および検定成績全体を総合評価した産肉能力点数に及ぼす検定季節,血清トランスフェリン型,検定開始時日齢,および開始時体重の影響を調べるとともに,これらの検定形質の遺伝率を推定した.材料牛は52頭の種雄牛を父牛とする552頭の雄子牛であって,いずれの試験場でも離乳後112日間,同一の検定飼料を用いて個別飼育された.検定季節の効果はすべての形質に対して有意性を示した.検定期間中の1日平均増体量と,1kg増体当りTDN消費量は,冬に検定を開始したものが夏と秋に検定を開始したものより,それぞれ約0.05kgと約0.2kgすぐれていた.また夏に検定を開始したものは,他の季節に開始したものより粗飼料摂取率,検定終了時体型得点,および産肉能力点数が劣っていた.血清トランスフェリン型とこれらの形質との間には,有意な関係は認められなかった.粗飼料摂取率以外のすべての形質で,開始時日齢と開始時体重に対する偏回帰係数は,高い有意性を示した.開始時日齢に対する1日平均増体量,体型得点および産肉能力点数の偏回帰係数は,いずれも負の値を示し,開始時日齢の若いものほど増体がよく,検定終了時の体型得点と産肉能力点数が高かったが,開始時体重に対する偏回帰係数は正の値を示し,開始時体重の重いものほど,これらの形質がすぐれていた.しかしながら,飼料効率は開始時体重の重いものが劣っていた.検定期間中の1日平均増体量,1kg増体当りTDN消費量,検定終了時体型得点,および産肉能力点数の遺伝率は,それぞ0.879,0.358,0.405,0.406および0.071であって,産肉能力点数以外の遺伝率はかなり高かった.したがって黒毛和種雄牛の増体形質の改良には,個体選抜が有効であることを認めた.
  • 今井 壮一, 勝野 正則, 扇元 敬司
    1978 年 49 巻 7 号 p. 494-505
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本邦の主要な反芻家畜であるウシ126頭,ヒッジ51頭,ヤギ10頭におけるルーメン内繊毛虫の分布調査と移植試験をおこない,以下の所見を得た.1) この調査で検出された繊毛虫は,ウシ44種,ヒッジ34種,ヤギ26種の計3科16属47種で,そのうち7属15種は従来本邦での存在は不明のものであった.2) しかし,これらすべてが各個体に棲息するのではなく,その平均棲息種数はいずれの家畜でもほぼ14種であった.3) またルーーメン内容中の繊毛虫密度はいずれの家畜においても平均約5×105/mlであった.4) Entodinium属,特にE. simplex, E. nanellumは各種家畜において多数の個体に出現し,その密度も高く,最も優勢に棲息するものであった.5) 各種繊毛虫の密度と検出率は相関し,ルーメン内で高密度に存在する繊毛虫はその分布が広い傾向があった.6) 供試した3種の家畜におけるルーメン内の繊毛虫の種類構成はおおむね類似したが,13種の繊毛虫はウシのみに分布し,また2種はヒッジのみから検出された.7) しかし,ウシ特有と思われた繊毛虫をヒッジルーメン内に移植すると,それは明らかに増殖定着した.これは,家畜による繊毛虫の分布の相違は宿主特異性によるよりはむしろ感染の機会の有無によることを示唆するものと思われた.
  • 吉田 治弘, 池本 卯典, 鈴木 正三
    1978 年 49 巻 7 号 p. 506-509
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    チューリップの球根には,ヒツジ赤血球に親和性を有する植物性凝集素が認められる.その凝集素を用いて,ヒツジの赤血球を陽性型と陰性型に分類することができる.陽性型血球によって凝集素活性は吸収され,熱解離によって凝集素活性は解離される.2-ME処理により凝集素活性は消失しないが,熱抵抗性は弱い.また,D(-)Fructose, L(-)Fucose, L-Alanin, ε-Amino capronic acid, L-Arginine, LHistidine, L-Lysineなどにより凝集素活性は著しく減弱された.
  • 寺田 隆登, 井上 明文, 渡辺 守之
    1978 年 49 巻 7 号 p. 510-516
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    数種の家禽および哺乳動物の新鮮血清が鶏精子に対してSpermicidal作用をおよぼすかどうか検討した.血清は鶏(♂•♀),アヒル(♂•♀),七面鳥(♀),緬羊(♀)および家兎(♀)から採取した.各動物の血清はそれぞれ56°Cで30分間加温処理するものと2~5°Cで保存するものとに分け前者を非働化血清,後者を新鮮血清とした.これらの血清を隣酸緩衝液(Δ=-0.60°C pH=7.0)で0,25,50および75%濃度になるように希釈した後,各希釈血清の0.45mlと鶏射出精液の0.15mlを混合した.ついで37°Cで60分間加温し,経時的にその運動性を観察した.運動性は0~5までの相対的な値で評価した.鶏雄と雌および七面鳥雌の新鮮血清を25,50または75%含む区における鶏精子の運動性は,培養期間を通じてこれらの動物の非働化血清を25~75%含む区とほぼ同じ値を示した.またそれらの運動性は培養60分後でも著しく活発であった。アヒル雄,雌,家兎および緬羊の新鮮血清を75%含む区の精子は,培養開始後平均5.8,4.8,4.3および2.5分でそれぞれ運動性を停止した.しかしこれらの動物の非働化血清を75%含む区の精子の運動性は培養60分後でも活発であった.これらのことから鶏精子は哺乳動物新鮮血清のSpermicidal作用に対して感受性を有するものと考えられた.また使用した家禽血清のうち,アヒル雄,雌の新鮮血清のみが鶏精子に対してSpermicidal作用を有するものと推察された.
  • 飛岡 久弥, 田淵 春三, 川島 良治
    1978 年 49 巻 7 号 p. 517-522
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    去勢牛とめん羊を使って,合成発情ホルモン-ヘキセステロール(HX)の生体内残留を測定した.試験(1)では,HXディカプリレート60mgを6頭の去勢牛の耳根部に時期を異にして2回皮下注射し,第2回目のホルモン投与を,屠殺前4,8,12週に各々2頭ずつに行なって,残留パターンの変化を比較した.肝臓には残留がみられなかったが,耳根部の注射部位には,37~532ppbが検出され,屠殺までの処理期間が長くなると耳根部のHX残留量は減少する傾向がみられた.横隔膜筋と腎臓周囲脂肪には,それぞれ3~14,42~131ppbのHXが検出されたが,ここでは,処理期間と残留濃度との間にとくに関係は認められなかった.試験(2)では,HXディカプリレート15mgを2頭のめん羊に投与し,39日後に屠殺して,筋肉•肝臓•腎臓•脂肪の各組織についてHXの残留分析を行なった.肝臓と腎臓には,0.2~5.2ppbの範囲でHXの残留があったが,筋肉組織には検出されなかった.脂肪組織の一部に牛の場合の1/10程度の残留がみられた.
  • 小笠原 利保, 古賀 脩
    1978 年 49 巻 7 号 p. 523-528
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏の子宮部(卵殻腺部)組織片からのprostaglandin(PG)の産生量が正常放卵ならびにリン酸塩溶液の子宮部内腔への注入による誘起放卵に関連してどのように変動するかについて検討し,さらにそれらの放卵に対するindomethacin投与の放卵遅延効果についても検討を行った.その結果,正常な放卵時に採取した子宮部組織片を温水浴した液からPG様物質を抽出し,薄層クロマトグラフィーで分析した場合,PGF2αに相当する部位で著しく高い生物活性が認められた,正常な放卵時に採取した子宮部組織片からのPGの産生量(PGF2α相当量)は,放卵前0.5~1および2~3時間の時期に採取したものからの産生量より顕著に多かった.また,リン酸塩溶液の注入による誘起放卵時に採取した子宮部組織片は,軟卵滞留時に採取したものより著しく多量のPGを産生した.一方,正常放卵および誘起放卵はいずれもindomethacinの投与によって遅延することが確かめられた.これらの結果から,鶏の正常放卵ならびにリン酸塩溶液の注入による誘起放卵機構には,子宮部におけるPGの産生増加が密接に関与していることが推測される.
  • 石橋 武彦, 宮本 元, 佐藤 英明
    1978 年 49 巻 7 号 p. 529-536
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    X線マイクロアナライザー(島津EMX-SH)を用い,面,線,点分析によって牛の第一胃粘膜における鉄の存在,分布,色調との関係などを調べた.用いた材料は色調を異にする粘膜で成牛(暗褐色),1ヶ月齢(褐色)胎児(白色)から採取したものである.粘膜の色調は粘膜上皮にみられる鉄反応陽性の色素に由来すると言われるが,X線マイクロアナライザーによる測定でもそれらの色素に多量の鉄が存在することが確認された.鉄の含有量は粘膜の色調に比例し,色調の濃い成牛で最も多く,1ヶ月齢のものがそれに次ぎ,白色を呈する胎児では極めて少量であった。成牛の粘膜の表面には鉄のほか,カルシウム,カリウム,マンガン,オスミウム,燐,硫黄が検出され,そのうちオスミウムおよび燐が比較的多く見出された.しかし,オスミウムは面分析の結果粘膜の全面に亘つて強い反応がみられ,恐らく固定液に使用したオスミウム酸に由来するものと考えられる.これに反し,燐の分布は鉄の分布とほぼ一致し,鉄は燐酸鉄の型で上皮の色素中に沈着しているのではないかと推察される,粘膜における色素はメラニン反応に陰性で,その分布は上皮の角質層では大きな塊の状態で表層に付着しているが,深層になるにしたがい小さくなり,顆粒層や胚芽層では微細な顆粒として存在する.このことから他の研究者の報告と同様に鉄を含むそれらの色素は細胞や組織内で作られたものでなく,胃の内容物など外部から取り入れられたものと考えられる.
  • 新村 末雄, 石田 一夫
    1978 年 49 巻 7 号 p. 537-538
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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