日本畜産学会報
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49 巻, 9 号
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  • 阿部 周二, 神立 誠
    1978 年 49 巻 9 号 p. 637-647
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻胃内微生物を細菌+繊毛虫類(PB区分),細菌(B区分)および繊毛虫類(P区分)の各区分に分けてin vitroで反芻胃液および塩類溶液を用い,各種飼料(大豆粕•魚粉,トウモロコシ,フスマ,イネワラ,乾燥,木糖酵母,コーンスターチ,クロレラおよびセルロース粉末)とともに培養し,経時的にVFA産生量とその組成について調べた.1. VFA産生量はPB区分の方がB区分よりも多くなった.2. 全般的に培養時間の経過とともに酢酸の割合が減少する傾向となり,その傾向は,それぞれ飼料無添加区よりも添加区で,B区分よりもPB区分で著しい傾向となった.3. プロピオン酸および酪酸の割合は経時的に大きくなり,前者はPB区分とB区分の間に差はなかつたが,後者はPB区分で大きくなる傾向となつた.4. 大豆粕,トウモロコシ,フスマおよびコーンスターチを添加した区において,VFA産生量は特に多くなり主にプロピオン酸の割合が増加した.5. セルロース粉末は8時間の培養では分解されにくかった.6. 繊毛虫類のみ塩類溶液で培養すると各VFAの産生量,産生割合とも酢酸がもっとも多く,酪酸,プロピオン酸,吉草酸の順序となり,ストレプトマイシン添加により酢酸の割合が減少し,酪酸の割合が増加する傾向となった.
  • 箭原 信男, 沼川 武雄
    1978 年 49 巻 9 号 p. 648-652
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乾燥が不十分な,いわゆる半乾燥状態の牧草を貯蔵したときに発生する変敗損失に対し,アンモニア処理がどの程度の抑制効果を発揮し,さらに,飼料的品質にどのような変化をもたらすかを明らかにしようとした.チモシーの1番草,2番草およびオーチャードグラスの2番草を,水分40%前後まで陽乾して170lのコンテナに入れ,無水アンモニアを2~3%注入添加し,30日以上にわたって貯蔵した.その結果,1. アンモニア処理は発熱や発カビを完全に抑制し,さらに飼料的品質を改善する効果のあることが認められた.2. アンモニア処理によって,でん粉(タカジアスターゼ溶解化成分)の含量が大幅に高まり,対照的にヘミセルロース含量が低下した.3. アンモニア処理は,処理草の全窒素
    を1%ほど増加させた.増加した窒素の約3割は,揮発性塩基態で存在するが,他の約3割は,ヘミセルロースとの結合を主体として,中性デタージェント繊維に強く結合していることがわかった.4. アンモニア処理は細胞内容有機成分の消化性を低下させたが,繊維成分や窒素化合物の消化性を向上させ,総括的に有機物のセルラーゼ消化率は16~21%引き上げられた.5. 草種,刈取時期,アンモニア添加量などによる試験条件の相違にかかわらず,アンモニア処理による変化,および効果はほぼ同じ傾向にあった.
  • 坂口 英, 堀口 雅昭, 松本 達郎
    1978 年 49 巻 9 号 p. 653-658
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牧草中のエストロジェン様物質(ES)の一つであるgenistinが,泌乳ハムスターにおける尿素態窒素の利用性に及ぼす影響を15N-尿素を用いて検討した.試験区へのgenistinの投与量は飼料1g当たり10mgとし,哺乳中のハムスターに分娩後2日目から尿素1%配合飼料,6日目からは15N-尿素1%配合飼料を用いた.飼料は制限給餌によって,対照区と試験区の摂食量が揃うように与えた.分娩後10日目に母親および乳子を屠殺し,各臓器および屠体の15N濃度と,消化管内容物のアミノ酸画分の15N濃度を分光分析法で測定した.母親の肝臓,腎臓,乳腺,屠体,および乳子の屠体,ならびに母親の糞のトリクロル酢酸(TCA)不溶画分の15N濃度(15N atom % excess)と15N含量は,genistinの投与によって増加し,摂取15N量に対する乳子屠体の15N含量の割合は有意に高くなった.また,母親の胃内容物,盲腸内容物,血漿および乳子胃内容物のリジン,アルギニン,ヒスチジン画分およびフェニルアラニン,チロシン画分への15Nの取り込みが確認され,genistinの投与によってその濃度が増加する傾向がみられた.これらの結果から,genistinの投与による泌乳ハムスターにおける尿素態窒素の利用性の向上には,消化管内微生物の体蛋白質合成量の増加が関与しており,尿素態窒素由来の微生物体蛋白質の一部が消化吸収されて,乳汁蛋白質合成に利用されるものと推論された.さきに著者ら1,2)は,牧草中のエストロジェン様物質
  • 液体クロマトグラフィーによる定量
    柾木 茂彦, 大山 嘉信
    1978 年 49 巻 9 号 p. 659-664
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    暖地型牧草(Paspalum notatum, P. dilatatum, Panicum maximum, P. maximum var. trichoglume, P. coloratum, Eleusine corocana, Cynodon dactylon, Chlori gayana)の非構造性炭水化物組成を,液体クロマトグラフィー(アニオン交換樹脂-棚酸緩衝液)により分析した.80%エタノール抽出液中の主な糖はグルコース,フルクトース,ショ糖であった.名糖の含量(乾物中%)は,グルコース0.31~1.04%,フルクトース0.27~1.05%,ショ糖1.58~3.13%であった.冷水抽出•加水分解液中にはフルクトースは認められず,フルクトサンは含有されないと考えられた.グルコアミラーゼ処理の分画のクロマトグラムには,2,3のピークが検出されたが,グルコースを定量し,デンプン含量とした.デンプン含量(乾物中%)は,0.92~4.19%であった.非構造性炭水化物の合計量は,3.66~9.13%であり,寒地型牧草と比べて一般に低かった.
  • 池上 順子, 加藤 征史郎, 入谷 明, 西川 義正
    1978 年 49 巻 9 号 p. 665-669
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    嫌気的条件下におけるCa欠KRP液および牛精子浮遊液中の溶存酸素濃度が,嫌気条件をつくるガスの種類(窒素,アルゴン,ヘリウム),ガス交換の方法(真空法,bubbling法),ならびに容器(遠沈管,フラスコ,培養管)によっていかなる影響をうけるかについて検討した.溶存酸素濃度の測定はgas analyzerで行った.1. 嫌気的条件下におけるCa欠KRP液中の溶存酸素濃度は,ガスの種類によって顕著な差はみとめられなかったが,容器および通気法によって,著しい差がみとめられた.2. ガス交換によってつくられた嫌気的条件下のCa欠KRP液および精子浮遊液中の溶存酸素濃度は,それぞれ,30~40mmHgおよび10~20mmHgを示した.3. 通気と振盪による嫌気的条件下における半精子浮遊液中の溶存酸素の経時的測定により,ガス平衝に要する時間は10分間でよいことがわかった.4. 空気の拡散の起こらない容器内の精子浮遊液中の溶存酸素濃度は,精子の酸素消費によって変化し,2~3×108精子/mlの半精子浮遊液中の溶存酸素は10分以内に消費され,枯渇する.5.精子浮遊液の絶対嫌気条件は,精子浮遊液内の精子による酸素消費によってつくられる.
  • 善林 明治, 嶽 肇
    1978 年 49 巻 9 号 p. 670-679
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    日本短角種去勢牛45頭を供試して,屠体の構成と筋肉:骨比に及ぼす肥育時の栄養水準の影響を,発育を追って検討した.栄養水準は濃厚飼料と粗飼料を飽食給与したものを「高」水準,1日増体量が0.75kg程度,および0.60kg以下になるように飼料を制限給与したものをそれぞれ「中」および「低」水準とし,高-高,中-中,中-高および低-低の4処理区を設けた.中-高区の栄養水準の切換えは,平均体重が400kgに達した時点で行なった.また各区ともと殺開始は体重400kg程度を目標とした.その結果,同一枝肉重量で比較すると,低-低区の屠体は他区のものより筋肉,骨重量が多く,脂肪重量が少なかった.また中-高区は肥育前半に増体を抑制したにもかかわらず,同一枝肉重量,同一骨重量のいずれで比較しても,高-高区とは筋肉重量に差が認められなかった.筋肉プラス骨重量に対する筋肉:骨比は肥育時の栄養水準に影響され,低-低および中-中区のそれは中-高,高-高区のそれよりも有意に小さかった.
  • 矢野 史子, 関谷 正男, 川島 良治, 熊田 馨
    1978 年 49 巻 9 号 p. 680-686
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反すう動物の第一胃からのカルシウム,リン,マグネシウムの吸収•分泌を検討するために,2頭の去勢メン羊を用い,動静脈血差法による試験を実施した.メン羊は,第一胃フィステル,頸動脈ループおよび第一胃静脈カテーテルが取り付けられ,大麦,大豆粕,乾草が1日2回給与された.朝の給餌前(0時間),給餌終了後(1時間),以下1.5,2.5,4.0,7.0時間目の1日計6回,メン羊1で4日間,メン羊2では2日間にわたり第一胃内容液,動脈血および第一胃静脈血が採取された.その結果,第一胃内容液中の各ミネラル含量が通常の場合でも,カルシウム,リン,マグネシウムの第一胃壁からの吸収•分泌が認められ,第一胃壁はカルシウム,リン,マグネシウムに対して透過性を有することが示きれた.マグネシウムは,第一胃内容液中のマグネシウム含量が100mg/l前後にある時も,常時吸収されているような傾向を示した.飼料摂取後の経時的な変化には,各ミネラルともに一定の傾向はなかった.また,従来,関係があるとされていたマグネシウム吸収量と,第一胃内容液マグネシウム含量,および第一胃内容液pH値の間には,本試験の結果からは有意な相関は認められなかっこ.
  • 坂田 隆, 玉手 英夫
    1978 年 49 巻 9 号 p. 687-696
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    成反芻家畜の第一胃粘膜の組織構造におよぼす酪酸の影響を調べるために,成めん羊の第一胃前房の第一胃じゅう毛を生検して光顕的,電顕的に検索した.絶食下に29/kg体重/日のn-酪酸ナトリウムを,毎日正午に第一胃内へ急速投与すると,第一胃粘膜は,上皮細胞分裂像の増加,上皮下小静脈の拡張,上皮脚の発達,上皮細胞の配列異常,上皮基底細胞の大小不同,上皮内の変性細胞の増加,上皮角質化細胞層の消失,基底層細胞の小器管の有糸分裂に伴うと思われる変化,等の変化を示した.対照として,同量のn-酪酸ナトリウムを緩速投与した場合や,0.9%および2.65%の食弱塩水を投与した場合の第一胃じゅう毛を観察した.これらの場合の第一胃粘膜の組織は,2.65%食塩水投与区における上皮下毛細血管の拡張と,上皮細胞間隙の拡張とを除けば,既報の絶食時の成めん羊での組織像と同様の所見を示した.このように,酪酸は成めん羊の第一胃粘膜の組織にかなりの変化をおこさせるが,この変化は酪酸の増殖促進効果と密接に関連すると思われる.酪酸の組織構造に対する作用は,細胞増殖に対する作用と同様に,1日あたりの投与量よりも,投与による第一胃内の酪酸濃度の上昇によって規定されると考えられ,かつ,絶食条件下では一過性の作用で,上記の変化は投与を続けたにもかかわらず,回復する傾向にあった.
  • 沢崎 徹, 加納 康彦
    1978 年 49 巻 9 号 p. 697-698
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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