日本畜産学会報
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50 巻, 6 号
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  • 大石 孝雄
    1979 年 50 巻 6 号 p. 345-355
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 李 宗遠, 阿部 亮
    1979 年 50 巻 6 号 p. 356-362
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    低品質粗飼料の化学的性質の調査とNaOH処理による品質改善効果についての検討を行なった.供試材料は稲わら,大麦わら,小麦わら,エンバクわら,大豆稈,菜豆稈,トウモロコシ茎葉,コーンコブ,バガス,モミガラおよび綿実殼の11点である.これらすべての試料は有機物中の75%以上がNDFによって占められていた.NDF中のヘミセルロースの割合では,わら類と豆稈類との間に顕著な差が見られた.また,ADF中のリグニン含量では,モミガラと綿実殼が30%を越える高い値であり,更に豆稈類のそれは,わら類よりもかなり高い値を示した.しかし,わら類に比して豆稈類のケイ酸含量は無視し得る程度であった.種々の濃度(重量比)のNaOH処理を施して得た稲わら処理製品のルーメンジュース法による有機物消化率は,NaOH添加レベルの上昇にともなって高まった.さらに,これらの稲わら処理製品について,人工唾液-セルラーゼのシステムによる人工消化試験(セルラーゼ法)を行ない,NaOH処理後の不溶性有機物の消化率を求めた.また,ルーメンジュース法によっても,その分画の消化率を求めたが,両法による消化率の間には高い有意な相関(r=0.984,P<0.01)が得られ,より簡易なセルラーゼ法によっても,低品質粗飼料のNaOH処理による品質改善効果を判定することが可能になった.その知見にもとずき,11点の低品質粗飼料をNaOHで処理し,処理残渣のセルラーゼ消化率を測定した.その結果,風乾材料1kgに対する100g NaOH添加区における消化率の改善率は,無処理に対して4点のわら類で2.2~2.6倍の値,2点の豆稈類では1.5~1.6倍の値をそれぞれ示した.また,トウモロコシ葉,コーンコブ,バガスはわら類に,綿実殼は豆稈類に似た値を示した.11点の試料中ではモミガラが4.0倍と最も高い値を示したが,消化率の値,そのものは他に比して非常に低かった
  • 渡邊 幸夫, 後藤 信男
    1979 年 50 巻 6 号 p. 363-368
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食肉のtendernessは食味と密接な関係がある.本研究の目的は粘弾性模型を想定することによって生肉のtendernessをしらべ,あわせて種属間における比較をしようとするものである.供試動物は豚,羊,馬および鯉と虹鱒であり合計5種属で,個体数の総計は30である.供試肉は屠殺後すみやかに採取されたヒレ肉の中央部を主とするが,馬ではモモ肉をももちいた.鯉と虹鱒では腹側筋である,これらをポリエチレン製袋に入れて,すみやかに-17°Cで一昼夜以上凍結し,ユング式ミクロトームで筋線維に平行に厚さ1~3mm,長さ8cm,幅2cmの切片にした.ただし,屠殺後羊の供試肉は輸送する間ドライ•アイスで凍結してある.この切片をダンベル型に整形して試料切片とし,30±1°C,相対湿度50±5%で応力緩和試験を鎖荷重式フード•レオメータで6分間おこなった.しかしながら本測定機器の測定範囲には限界があるため,引き伸し距離は種により異なっている(豚:15,羊と馬:21,鯉と虹鱒:3mm).得られるパラメータは最大応力:Fmax (gw),緩和時間:τ(sec)と平衡弾性率に関連のある特性値:S/f0(%)である.これらのパラメータについて分散分析法およびSHEFFEの方法による検討から,次の知見が得られた.Fmaxについては,羊-馬の間に有意差(P<0.05)が認められ,羊肉は馬肉よりも大きいと考えられた.τについては,5種属間で有意差が認められなかった,S/f0については,隊肉の方が鯉および虹鱒の肉より大きいと考えられた(P<0.05).M(水分含量)については,豚や馬の肉は虹鱒よりも乏しかった.
  • 坂内 良二, 脇田 正彰, 星野 貞夫
    1979 年 50 巻 6 号 p. 369-374
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    モネンシンを濃厚飼料と混合して0,30,60ppmの飼料を製造し,肥育牛に9週間給与し成長速度,第一胃液中のVFA,アンモニァ濃度および第一胃内微生物に与える影響を調査した.三群の平均1日あたり増体量は0.66,0.90および0.83kgで30ppm区のそれは対照区のそれより有意に高かった(P<0.05).飼料摂取量はモネンシン給与区で減少する傾向がみられた.総VFAは60ppm区で有意に増加した(P<0.05).モネンシン給与で酪酸のモル比は減少し(P<0.05)酢酸のそれも減少したが有意な減少ではなく,プロピオン酸のそれは増加した(P<0.01).第一胃液のアンモニア濃度はモネンシン給与グループで減少を示した(P<0.05).プロトゾァと細菌の総数はモネンシンの給与によって有意な影響を受けなかったが,プロトゾァは減少する傾向がみられ,細菌は増加する傾向がみられた.第一胃内ミクロフローラの分布割合は影響を受け,グラム陰性の球菌(0.3~1,0μ)は減少し(P<0.05),グラム陽性球菌(0.5~1.1μ)とグラム陰性桿菌(0.7~0.9×1.2~3.0μ)は増 Total numbers of protozoa tended to decrease and those of bacteria increased in monensin groups, though the differences from control were not statistically significant. The distribution of ruminal microflora was affected by the monensin treatment. Gram nega-tive cocci(0.3-1.0μ) decreased(P<0.05)and Gram positive cocci(0.5-1.1μ)and Gram negative rods(0.7-0.9×1.2-3.0μ) increased(P<0.01andP<0.05) in monensin groups.加した(P<0.01およびP<0.05).
  • 原 慎一郎, 大山 嘉信
    1979 年 50 巻 6 号 p. 375-385
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    とうもろこしサイレージに分布する酵母および糸状菌について,分類学的検索を行なうとともに,微生物の消長に及ぼすカプロン酸および塩酸添加の影響と,変敗防止効果との関係を検討する実験を行ない,以下の結果を得た.1) 供試サイレージより153株の酵母を採取し,選定した33株について種名検索を行ない,供試株を,Pichia membranaefaciens(11株),P. fermentans(2株),Saccharomyces exiguus(6株),S. bailii var. osmophilus(2株),およびCandida krusei(12株)と同定した.2) 糸状菌は18株を採取し,選定した10株を,Monascussp.(4株),Geotrichum sp.(4株),および,Mucor sp.と同定した.3) 供試サイレージでは,対照区(1区),および調製時にカプロン酸と塩酸を併用添加した区(3区)で変敗が生起した.変敗の主因菌は,1区については,実験1ではC. kruseiおよびMonascus sp.,同じく実験2ではS. exiguus, C. kruseiおよびGeotrichum sp.と材料によって異なったが,3区では2回の実験ともP. membranaefaciensであった.4) 3区の変敗は,P. membranaefaciensが増殖したことによると考えられた.5) サイレージ調製時,またはサイロ開封時のカプロン酸の単独添加により,対照区において認められた主因菌の好気的環境下における増殖が抑制された.
  • 玉手 六朗, 大高 文男
    1979 年 50 巻 6 号 p. 386-391
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚肉の常在的な無機成分のうち銅(Cu)についてその含量を明らかにし,また2,3の要因一測定年度(1965,1966および1968年),季節(春および秋),品種(ランドレース種およびヨークシャー種),筋肉(半膜様筋,胸最長筋,頭半棘筋および咬筋)および性(雌および去勢雄)一による差異を検討した.すなわち履歴が明らかで,飼育条件および屠殺方法などが規定されている65頭のブタの枝肉から筋肉試料を採取し,原子吸光法によりそのCu含量を測定して,つぎの結果を得た.豚肉のCu含量を,新鮮物中および灰分中の値で各要因別に示した(表1).そのうち全試料(219個)についての平均値(95%信頼限界)および変動係数は,新鮮物100g中で0.114±0.006mgおよび36.3%,灰分1g中で0.105±0.005mgおよび37.9%であった.また2,3の要因による豚肉のCu含量の差異は,主効果では季節要因の場合が最大で,筋肉要因がこれにつぎ,年度および品種要因もいく分影響したが,性要因の影響は全く認められなかった.交互作用では,年度×季節のみが有意のかなり大きな影響を示した.
  • 善林 明治, 嶽 肇
    1979 年 50 巻 6 号 p. 392-401
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    日本短角種去勢牛を用いて,牛枝肉中の脂肪生産量と各脂肪組織別の分布量,および内臓脂肪生産量に対する栄養水準の影響を発育段階を追って検討した.栄養水準はH-H, M-M,M-HとL-Lの四通りで,Hは飽食,MとLは一日当たり増体量をそれぞれ0.75kgと0.60kg以下となるよう飼料を制限給与した.枝肉から刃で分離しうる脂肪(TDF)重量は,同一筋肉+骨重量を基準に比較すると,栄養水準が高くなるにつれ多くなる傾向があった。枝肉脂肪を皮下,筋間,腎臓+骨盤腔,内面の各部位に分け,それぞれの生産様相を,同一TDF重量基準で比較すると,皮下,筋間,腎臓+骨盤腔の各脂肪はL-L区以外の区では,いずれもほぼ同様な割合で生産された.L-L区ではTDF重量に対する皮下および腎臓+骨盤腔脂肪の生産勾配は,前者では他区より低く,後者で高かった.また筋間脂肪は他区より生産量が大であった.いずれの栄養水準でもTDF重量が増すにつれ,皮下脂肪割合が増し,筋間脂肪割合が減少した.筋肉内脂肪量はL-L区が他区より高かったが,その原因として肥育日数の多いことが考えられた.内臓脂肪生産量をTDF重量基準で比較すると,H-H区が他区より一段と多かった.
  • 左 久
    1979 年 50 巻 6 号 p. 402-410
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    めん羊の第一胃内容物は採食にともなって飼料片が堅くつまった状態に変化してゆく.この内容物の堅さは第一胃内における飼料充満状態を推定する上で有効な測定項目になると考え,内容物を取り出さずに堅さを測定する装置の開発を試みた。この装置は第一胃背のう部のフィステルに固定し,胃内容物を攪拌する時に生ずる抵抗から内容物の堅さを測定するトルクメータである.めん羊の第一胃内に人工食塊を投入しながら内容物の竪さを測定すると,第一胃内容乾物量と内容物の堅さとの間には高い相関係数をもつ直線回帰が成立した.細切乾草とヘイキューブを単味で同量採食させためん羊の採食終了後の内容物の堅さは,細切乾草給与時の方が大きかった.また,飲水行動前後や給飼終了後の第一胃内容物の堅さをトルクメータで測定すると,飲水量が多いほど堅さは低下し,反芻が盛んな時間帯ほど堅さの低下は著しくなる傾向がみられた.以上の実験結果から,本研究で開発した装置によって測定される第一胃内容物の堅さは,BLAXTER et al.の提唱した"fill"や内容物構成飼料片の大きさの違いをよく反映することが示された.したがって,この堅さから推定する飼料充満状態は,採食•飲水や反芻行動による第一胃内容物の物理的性状変化を表わすのに適切な指標になるものと思われた.
  • 斎藤 守, 高橋 正也, 亀岡 暄一
    1979 年 50 巻 6 号 p. 411-418
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ラットを用いて,代謝エネルギー(ME)4水準と可消化粗蛋白質(DCP)3水準との組合せにより,調製した12種類の飼料を定量給与し,分娩に近い妊娠20日において,維持に要するME量とDCP量を求めた.そして,妊娠時と同一飼養条件下で飼育した,非妊娠ラットにおけるそれらと比較検討した.なお,妊娠の場合は,胎児,胎盤等をとり除いた,いわゆる母体部における維持の養分量を求めた。本実験では,エネルギーおよび蛋白質の蓄積量がともに0になる時のMEおよびDCP摂取量をもって,維持に要する養分量と仮定した.なお,この値は,MEおよびDCP摂取量とエネルギー,または蛋白質の蓄積量との三者間の関係式を重回帰分析により求め,エネルギーまたは蛋白質の蓄積量が,それぞれ0となる2つの曲線式の交点の値を求めることにより算出にた.妊娠時の維持に要するMEおよびDCP量は,それぞれ148.3kcal/day, Wkg0.75および8.64g/day, Wkg0.75となった.一方,非妊娠時においては,それぞれ168.0kcal/day, Wkg0.75および2.85g/day,Wkg0.75となった.この結果より,維持に要するME量は,妊娠と非妊娠とでは,大きな差が認められないが,DCPについては,妊娠時が非妊娠時に比べて約3倍も増大することが明らかになった.この原因は,母体蛋白質の胎児蛋白質へのくみかえ時における蛋白質効率の低下,および妊娠の後段における胎児および胎盤の急速な成長のために,母体の蛋白質が動員された結果によるものと推測された.したがって,本実験で求めた妊娠時の維持の蛋白質量には,従来の維持の蛋白質量に加えて,胎児および胎盤などの受胎産物の生産過程で消費された養分量が含まれているものと考えられる.
  • 申 七郎, 佐藤 泰
    1979 年 50 巻 6 号 p. 419-422
    発行日: 1979/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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