日本畜産学会報
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50 巻, 7 号
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  • 和泉 康史
    1979 年 50 巻 7 号 p. 443-452
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第一胃フィステルを装着したホルスタイン種の成雌牛4頭を供試し,乾草,牧草サイレージおよびとうもろこしサイレージの各粗飼料と濃厚飼料の給与割合(100:0,75:25,50:50,25:75)が,第一胃内揮発性脂肪酸(VFA)の産生ならびに第一胃内性状に及ぼす影響の相違について比較検討した.その結果次のような知見を得た.1) 第一胃内pHは,粗飼料が乾草の場合,濃厚飼料の給与割合の増加に伴い直線的な低下を示した.2) 第一胃内アンモニア態室素濃度は,乾草の場合,濃厚飼料の増加により直線的な上昇を示したが,牧草サイレージの場合では,逆に減少を示した.3) 第一胃内VFA濃度は,両サイレージの場合,濃厚飼料の増加に反比例して減少した.4) 第一胃内各VFAの割合では,乾草の場合,濃厚飼料の増加とともに酢酸は減少し,酪酸およびイソバレリアン酸が増加した.一方,とうもろこしサイレージの場合,その増加とともに酪酸は減少を示したが,牧草サイレージの場合には,各VFAと濃厚飼料の給与割合との間に,特に一定の関係は認められなかった.
  • 高鳥 浩介, 近藤 末男
    1979 年 50 巻 7 号 p. 453-459
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚の常用飼料についてカビ汚染,分布の実態を調査した.供試飼料として,トウモロコシ,麦類,フスマ,ダイズ粕,魚粉,ルーサンペレット,配合飼料の7種,30点を集め菌学的検索をおこなった.豚飼料の構成は濃厚飼料が主体であり,カビ汚染度をみたところ,103~104/gの範囲にあって,飼料全体の汚染度および分布は比較的似た傾向にあった.またカビの分布をみると,Aspergillus, Penicillumの優先する飼料が多く,なかでもA. flavus, A, versicolor., A. glaucusが各飼料で広範に分布していた.PenicilliumではP. citrinum, P. oxalicum, P. rugulosumが高汚染菌であった.その他のカビでは,ケカビ類のMucorが比較的全般に検出され,他にはCandida, Cladosporium, Fasarium, Scopulariopsis, Wallemiaなどがみられた.カビ毒のうち, A. flavusの産生するアフラトキシン(B1, B2, G1, G2)およびA.versicolorの産生するステリグマトシスチンの産生能を,牛および豚飼料から分離したA.flavus 31株, A, versicolor 19株で行なったところ,アフラトキシン産生8株,ステリグマシスチン産生11株を得た.これらの株のうち,アフラトキシンB1 168.30ppm(トウモロコシ由来株),54.17ppm(ダイズ粕由来株)の高い産生量の2株を認めた.ステリグマトシスチン産生11株は,いずれも1ppm以下であった.しかし, A. versicolorの中でステリグマトシスチン産生株が6割近くに達することを考慮すると,家畜飼料中でのこの種のカビ汚染防除に注意する必要がある.また豚飼料でPenicillium, Fusariumの高い汚染,分布がみられたので,この種のカビ毒産生性を検討する必要がある.
  • 秋葉 征夫, 白鳥 茂, 松本 達郎
    1979 年 50 巻 7 号 p. 460-464
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ヒナの脂質代謝に対する飼料中脂肪含量と繊維性物質の影響を検討し,さらに低脂肪飼料給与時の繊維性物質給与の影響についても検討を加えた,14日齢の白色レグホーン種雄ヒナを供試し,試験1では基礎飼料(脂肪含量6%)と低脂肪飼料(脂肪含量0.4%)を14日間強制給餌により給与した.試験2では低脂肪飼料(脂肪含量0.4%)を同様に給与した.繊維性物質としてセルロース,ポリエチレンおよびポリアミドを供試し,飼料中にそれぞれ4%添加した.低脂肪飼料給与により,基礎飼料給与に比較して肝臓重量は約2倍に,肝臓脂質量は約3倍に増加したが,腹腔内脂肪重量は著しく減少した.セルロースの肝臓脂肪蓄積抑制効果は,低脂肪飼料給与時よりも基礎飼料給与時により顕著に現れたが,ポリエチレンの作用はセルロースの場合とは反対に低脂肪飼料給与時に顕著に現れた.したがって,脂質代謝に対するセルロースの作用は,飼料中脂肪含量によって変動し,ポリエチレン等の合成高分子化合物の作用とは異なることが示唆された.
  • 矢野 秀雄, 松井 基, 川島 良治
    1979 年 50 巻 7 号 p. 465-470
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    6頭の去勢めん羊を2頭ずつ3区に分けて,飼料中カルシゥム含量が0.1,0.6,1.2%である飼料をそれぞれ各区のめん羊に給与した.飼料中のカルシウム水準は炭酸カルシウムの添加により調整し,ポリェチレングリコールをマーカーとして用いた.67日間飼養した後,朝の給餌後2時間目にと殺した.消化管内容物は第1胃,第3胃,第4胃,小腸上部,小腸中部,小腸下部,盲腸,結腸から採取した.小腸上部では消化管内容物乾物中の鉄および銅濃度は飼料中カルシウム濃度の増加により低下した.高カルシウム飼料を与えると第1胃,第3胃,第4胃での消化管内容物中銅濃度は低くなる傾向にあった.高カルシウム飼料をめん羊に長期間給与すると,消化管内への鉄,銅の再排泄は低下するものと考えられた.飼料中への炭酸カルシウム添加により,消化管内容物中亜鉛濃度は,第1胃,第4胃,小腸上部で低下する傾向にあった.結腸での消化管内容物マンガン濃度は,飼料中カルシウム濃度の増加にともない増加する傾向にあり,逆に盲腸,結腸内容物の上澄み液中マンガン濃度は低下した.これらの結果から高カルシウム飼料を反すう動物に給与すると,亜鉛,マンガン代謝にも変化を及ぼすように思われた.
  • 藤原 勉, 田先 威和夫
    1979 年 50 巻 7 号 p. 471-478
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第4胃内に投与したカゼインのレベルが,ヤギにおける窒素および炭水化物の利用性にいかなる影響を及ぼすかを検討するため,第1胃および第4胃にフィステルを装着した去勢成雄ヤギ3頭を用いて実験し,次のような結果を得た.1) 蛋白質の見掛けの消化率は,カゼインレベルが10%より20%に増加するにつれて高くなる傾向を示した.なお真の消化率はカゼインレベルにかかわらず96~98%となり,単胃動物のそれとほぼ等しいものであった.また窒素の蓄積量はカゼインレベルの増加により増大した.2) 蛋白質の生物価はカゼインレベルにより変化することなく,その平均値は57%であった.これはラットで得られた結果とよく一致した.3) 窒素出納の結果と血中窒素成分の濃度変化の様子から,塩中尿素態窒素はカゼインレベルとともに増加し,かつその増加率は体内窒素の蓄積量の増加率と比例していた,このことは血中尿素が飼料の第1胃内給与時と同様に,反すう動物の蛋白質代謝において窒素のたくわえとして,栄養的に意義のあることを示している.4) 血漿中総蛋白濃度はカゼインレベルの変動にほとんど影響を受けず,その値は一般的に考えられている範囲内にあった.5) スターチの消化率はカゼインレベルの増加につれて高くなる傾向を示した.また第4胃内に投与されたグルゴースはほぼ完全に吸収された.
  • 藤原 勉, 古橋 忠和, 田先 威和夫
    1979 年 50 巻 7 号 p. 479-487
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻動物の栄養素利用における第1胃機能の特異性について検討するため,第1胃および第4胃フィステルと気管カニューレを装着した去勢成雄ヤギ3頭を用い,2種類の精製飼料を第1胃および第4胃内に直接投与して,それぞれの場合の飼料の利用性について比較検討し,次のような結果を得た.1) 澱粉の消化率は,コーンスターチ75%を配合した飼料を第1胃内に給与した場合98.6%で,第4胃内に給与した場合は57.0%であり,第4胃以下の消化管における澱粉の消化能力の低いことが確認された.飼料中の澱粉の30%をグルコースで置き換えた飼料を第4胃内に給与した場合には,グルコースは完全に消化管より消失し,また澱粉の消化率は73%に上昇した.2) コーンスターチ75%を配合した飼料を代謝体重kg当たり150kcal第4胃内に給与した場合の熱発生量は,代謝体重kg当たり4.5kcalであったが,それを第1胃内に給与した場合は5.1kcalに増加した.3) 飼料摂取に伴う熱増加は,飼料の第4胃内給与時には代謝エネルギーの約16%,第1胃内給与の場合には27%であった.このことは,第1胃内においてVFA生成が増加し,かつそのエネルギー的利用性の低いことを反映している.4) コーンスターチ75%を配合した飼料を第1胃内あるいは第4胃内に給与しても,血糖値は飼料摂取後ほとんど増加しなかったが,30%グルコースを配合した飼料を第4胃内に給与した場合は増加した.以上の結果から,反芻動物のエネルギー源としてVFAのみならず,グルコースも十分吸収利用さら得ることが明らかになった.
  • 玉置 禎紀, 渡辺 昭三
    1979 年 50 巻 7 号 p. 488-492
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    5週齢の白色レグホーン種を供試鶏として,水平ポリクリルアミドゲル電気泳動を行ない,鶏肝アルカリ性スファターゼアイソザイムの遺伝支配について研究し.肝アルカリ性ホスファターゼは,鶏血漿および十二腸アルカリ性ホスファターゼの場合と同様に,FとSイプとからなり,それぞれのタイプは2本のバンドか成っていた.一方,尿素,熱およびノイラミニダーゼ処理の肝アルカリ性ホスファターゼアイソザイムにおよぼす影響を調べた.それらの結果は,鶏血漿および十二指腸アルカリ性ホスファターゼの場合と基本的に一致していた.これらの事実から,肝アルカリ性ホスファターゼは,血漿および十二指腸アルカリ性ホスファターゼと基本的に同一の遺伝支配の下にあることが推察された.
  • 角田 幸生, 杉江 佶
    1979 年 50 巻 7 号 p. 493-498
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタ卵巣より採取した卵胞卵の透明帯に対する異種抗を1頭の雌山羊で作製した.ブタ卵子の透明帯は卵巣ホモゲネートを,くり返し濾過および遠心することにって採取し,1個の卵巣より100~400個の透明帯がられた.免疫注射は合計9回行ない,第1回目および9回目の免疫には,透明帯とFreundのcomplete adant混合液(1:1)を,また第2~8回目の免疫には,明帯とFreundのincomplete adjuvantの混合液1:をそれぞれ用い,山羊の皮下に9-17日間隔で行なっ1回の注射量は2mlであり,50個の卵巣より採取た5,000~20,000個の透明帯を含有していた.透明帯抗体の検出はzona precipitate,間接螢光抗体法およびlabelled zona precipitate法により行なった.抗体価は免疫回数の増加とともに上昇し,9回免疫後の抗体価はzona precipitate法で26,間接螢光抗体法ならびにlabelled zona precipitate法で210であった.抗血清をブタの肝,腎,卵管および子宮の抽出液,赤血球ならびに卵胞液で吸収しても抗体価は低下しなかったが,ブタ透明帯で吸収すると抗体価の明らかな低下がみられた.したがって,本実験で得られた透明帯抗体は,組織特異的であると考えられる.
  • 葛谷 泰雄, 棚橋 保, 金丸 義敬
    1979 年 50 巻 7 号 p. 499-506
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    山羊乳からアンバーライトCG-50 (NH4+型)処理,セファデックスG-100のゲルろ過およびCM-セファデックスC-50カラムクロマトグラフィーによって比活性8.2単位の酸性ホスファターゼを精製した.セファデックスG-100のゲルろ過法による分子量は約43000であった.酵素標品はF-, Al3+,若干の重金属および酸化剤によって阻害された.Hg2+, Zn2+およびAl3+によって阻害された酵素活性はEDTAの添加によって回復した.またHg2+によって阻害された酵素活性は2-メルカプトエタノールの添加によって回復したが,Zn2+およびAl3+によって阻害された酵素活性は2-メルカプトエタノールの添加によって影響されなかった.酵素活性はキレート試薬によって阻害されなかった.pH 3.0, 4.8および6.9において酵素活性はSH基修飾試薬により,ほとんど影響を受けなかった.還元試薬のうち一部は酵素活性を賦活する性質が認められた.しかし,若干のSH基修飾試薬によつて阻害された酵素活性はL-システインの添加によって影響されなかった.山羊乳および牛乳の酸性ホスファターゼを比較すると,分子量はほぼ同じであり,また酵素活性に及ぼす賦活剤および阻害剤の影響については同じような傾向を示した.
  • 宋 永義, 姜 延年, 戴 謙
    1979 年 50 巻 7 号 p. 507-509
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 新村 末雄, 佐々木 博之, 石田 一夫
    1979 年 50 巻 7 号 p. 510-511
    発行日: 1979/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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