日本畜産学会報
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51 巻, 3 号
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  • 1. ラット顎下腺におけるアンドロジェンの代謝
    勝川 秀夫, 中村 孝雄, 田名部 雄一
    1980 年 51 巻 3 号 p. 159-164
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ラット顎下腺はアンドロジェンの影響下にあることが知られているが,本実験では成熟雄ラットの顎下腺におけるアンドロジェンの代謝と経路をin vitroの方法により明らかにしようとした.ラット顎下腺では5α-水素添加酵素活性が高く,アンドロステンジオンおよびテストステロンはそれぞれ5α-アンドロスタン-3,17-ジオン,アンドロステロン,5α-ジヒドロテストステロン,5α-アンドロスタン-3α-,17β-ジオールに転換された.この場合,アンドロステンジオンの5α-ジヒドロテストステロンへの転換率はテストステロンの5α-ジヒドロテストステロンへの転換率よりも高い傾向を示した.次に,3H標識のアンドロステンジオンと14C標識のテストステロンを基質に用いて二重標識追跡実験を行った.5α-ジヒドロテストステロンの3H:14Cの値を基質の3H:14Cの値で除した値はインキュベーション開始後30分(5分,0.99;15分,2.22;30分,4.83)まで高まる傾向にあったが,その後60分(2.99)および120分(1.16)では低下した.
  • 2. ラツト顎下腺のステロイド代謝酵素活性の週齢にともなう変化
    勝川 秀夫, 中村 孝雄, 田名部 雄一
    1980 年 51 巻 3 号 p. 165-170
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ラット顎下腺に存在するアンドロジエン代謝酵素活性の週齢にともなう変化を調査する目的で,1, 2, 3, 4, 5, 7および10週齢の雄性ラットの顎下腺ホモジネートをそれぞれアンドロステンジオンおよびテストステロンとともにNADPH存在下で,37±0.5°C,酸素気流中にて60分インキュベートした.本実験で用いたすべての週齢にあるラット顎下腺はアンドロステンジオンおよびテストステロンをそれぞれ5α-アンドロスタン-3,17-ジオン,5α-ジヒドロテストステロン,アンドロステロン,5α-アンドロスタン-3α, 17β-ジオールに代謝した.これらのアンドロジェンの代謝に関与する5α-水素添加酵素の活性は1週齢で高く,その後週齢の経過とともに5週齢まで漸時低下したが7および10週齢では高まる傾向を示した.また,ステロイド17β-水酸基•脱水素酵素活性はアンドロステンジオンを基質とした時,5週齢までほぼ一定であったが,7および10週齢ではこれより高い値を示した.一方,テストステロンを基質にした時,ステロイド17β-水酸基•脱水素酵素の活性は1週齢で最も高い値を示し,その後週齢の経過とともに低下した.
  • 岡本 正則, 豊田 裕
    1980 年 51 巻 3 号 p. 171-177
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    体外におけるマウス卵子への精子侵入に必要な因子を解明する目的で,培地内に含まれるグルコースおよびピルビン酸の影響について検討した.JCL:ICR系成熟マウスの過排卵卵子と精巣上体精子を用いて,化学組成の明確な培地内で体外受精を行なった.ピルビン酸のみ添加したグルコースを欠く培地内では卵丘細胞の有無にかかわらず卵子への精子侵入は全く起こらなかった.一方,グルコースのみ添加した実験区では卵丘細胞を有する場合には,精子侵入卵の割合は95%と高い値を示したが,卵丘細胞を除去された裸化卵子では受精率は低く,前核形成には至らなかった.受精能獲得誘起のための精子前培養用培地はピルビン酸のみを含む場合でも,受精用培地にグルコースが存在すれば高い受精率が得られ,一方精子前培養用培地にグルコース,受精用培地にピルビン酸を添加した区では精子前培養時間の延長に伴って受精率が上昇した.さらに,ピルビン酸のみを含む培地内に卵子と精子を共存させ,次いでグルコースを添加したところ精子は卵子への侵入を開始した.これらの結果からグルコースはマウスの精巣上体精子が卵子へ侵入し受精を成立させるための必須の因子であり,その作用はピルビン酸では代替できないこと,およびグルコースは精子の受精能獲得の最終段階または精子の卵子透明帯通過に必要であると推察された.
  • 大久保 正彦
    1980 年 51 巻 3 号 p. 178-184
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    搾乳性を表わす最適の指標を明らかにするため,ホルスタイン種乳牛についてバケットミルカーで搾乳を行い,キモグラフを用いて各種搾乳性指標を測定し,得られた指標測定値の変動の様相,指標相互の関連性などを解析した.また乳頭括約筋抵抗の測定を行い,搾乳性との関連を検討した,主な結果は次の通りである.1) 最高搾乳速度,平均搾乳速度,2分間乳量,3分間乳量は乳量との間に正の相関が認められ,乳量補正をすると搾乳時間との間に高い負の相関が認められた.2分間搾乳率3分間搾乳率は乳量との間に有意な相関を示さず,未補正のまま搾乳時間と負の相関を示した.搾乳時間と乳量との間には個体内のみで正の相関が認められた.2) 乳量補正最高搾乳速度,2分間乳量,3分間乳量および未補正2分間搾乳率,3分間搾乳率の分散成分割合は個体間割合が最大で,乳量補正平均搾乳速度は個体内分散が大きかった.乳量補正機械本搾り時間(2)(搾乳開始から30秒当り乳量が0.2kg以下になるまでの時間)は個体間分散が大きく,搾乳時間を表わす指標として最適と思われた.3) 搾乳時間との関連性,変動の様相,測定の難易性などからみて,2分間乳量,3分間乳量,2分間搾乳率,3分間搾乳率が搾乳性指標として適当と思われた.4) 吸引法で測定した乳頭搾約筋抵抗は,最高搾乳速度および2分間乳量との間に負の相関をしめした.
  • 大久保 正彦
    1980 年 51 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    北大農場および農林水産省新冠種畜牧場牛群について,日常作業下で搾乳性の測定を行ない.その変動の様相,指標相互の関連性などについて検討した.日常作業下であるので搾乳前処置,後搾り方法など搾乳方法•条件などは一定ではなかった.新冠種畜牧場では測定方法上の制約から測定項目は限定された.主な結果は次の通りである.1) 搾乳性指標値は前報1)にくらべ劣り,作業方法とくに前処置の影響をうけていると思われた.2) 各指標間の相関はほぼ前報と同じで,最高搾乳速度,平均搾乳速度,2分間乳量,3分間乳量は乳量との間に正の相関が認められ,乳量補正をすると搾乳時間との間に高い負の相関が認められた.2分間搾乳率,3分間搾乳率は乳量との間に有意な相関をしめさず,未補正のまま搾乳時間と負の相関をしめした.搾乳時間と乳量の間には前報とことなり,個体間のみで正の相関が認められた.3) 北大農場での分散成分割合は前報とほぼ同様で,乳量補正最高搾乳速度,2分間乳量,3分間乳量および未補正2分間搾乳率,3分間搾乳率で個体間分散が最大で,個体間比較に適当と思われた.乳量補正平均搾乳速度では個体内分散が大きかった.新冠種畜牧場では3分間乳量,3分間搾乳率で個体間分散が,平均搾乳率速度で個体内分散が大きく,乳量補正をしても分散成分割合には大きな変化が認められなかった.4) 日常作業下の測定においても,搾乳時間との関連性,変動の様相,測定の難易度からみても2分間乳量,3分間乳量,2分間搾乳率,3分間搾乳率が搾乳性指標として適当と思われた.5) 新冠種畜牧場で測定した乳頭の大きさは,産次の進行とともに大きくなる傾向をしめし,平均搾乳速度と負の相関をしめした.
  • 新村 末雄, 佐々木 博之, 石田 一夫
    1980 年 51 巻 3 号 p. 192-196
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    原始卵胞から胞状卵胞までのハムスターの卵胞卵子について,Δ5-3β-hydroxysteroid dehydrogenase (Δ-3β-HSD), NADHZ2 dehydrogenase (NADH2-DH), NADPH2 dehydrogenase (NADPH2-DH)およびglucose-6-phosphate dehydrogenase (G-6-PDH)の組織化学的検出およびadenylate cyclaseの電顕組織化学的検出とを行った.その結果,Δ-3β-HSD活性は大型二次卵胞の卵子の細胞質に初めて出現し,胞状卵胞の卵子では強くなった.NADH2-DH, NADPH2-DHおよびG-6-PDHの活牲はいずれも小型二次卵胞の卵子の細胞質に初めて現われ,NADH2-DHとNADPH2-DHの活性は卵胞が成長するに従って強くなった.G-6-PDH活性は常に強かった.adenylate cyclase活性は小型二次卵胞から胞状卵胞に至るまでの卵子の細胞膜に常に中等度に観察された.以上の結果から,(1) ハムスターの卵胞卵子は大型二次卵胞の時期からステロイドの合成能を持ち始めること,(2) G-6-PDHによって生産されたNADPH2はステロイド合成のために利用されることが示唆される.
  • 高橋 和昭, 秋葉 征夫, 松本 達郎
    1980 年 51 巻 3 号 p. 197-203
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    14日齢の白色レグホン種雄ビナを同一代謝エネルギー摂取量および同一蛋白質摂取量の条件下において,グルコース飼料(2%脂肪含量)またはラード飼料(12%脂肪含量)を給与し,脂肪酸の指標としてマーガリン酸およびラウリン酸を用いて,体脂肪からの脂肪酸の消失率を求めた.また体脂肪量に増減のない状態における脂肪酸の変動を測定して,脂肪酸取り込みの正味の増加率と体脂肪蓄積量の増加との関係についても検討した.エネルギー摂取量を70%に制限した区では体脂肪量の増減は認められなかったが,飼料に添加したマーガリン酸の体脂肪への取込みは認められた.ラウリン酸の体脂肪からの消失率はマーガリン酸に比べて高かったが,これらの消失率はともに飼料組成の違いによる影響はうけなかった.エネルギー摂取量100%区では,体脂肪蓄積量は増加した.この場合のマーガリン酸の蓄積量から,体脂肪量に増減のない状態で蓄積されたマーガリン酸量を差し引いて求めた正味のマーガリン酸取り込み率は,ラード飼料給与ヒナでは約18%,グルコース飼料給与ヒナでは約3%となり,両試験飼料間の体脂肪蓄積量の変動とほぼ一致した.これらのことは,ラード飼料給与ヒナの体脂肪蓄積量の60%以上が飼料中脂肪の直接取り込みに由来し,グルコース飼料給与ヒナの体脂肪蓄積量の90%以上が炭水化物,または蛋白質からのde novo合成に由来することを示している.またラード飼料給与による体脂肪蓄積量の増加は,給与脂肪酸の体脂肪への直接取り込み量の増加が主たる要因であることを示唆している.
  • 斎藤 守, 高橋 正也, 亀岡 暄一
    1980 年 51 巻 3 号 p. 204-214
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験においては,妊娠期における母体の維持に要するMEおよびDCP量について,ラットを用いて検討し,あわせて非妊娠ラットにおけるそれらとの比較を行なった.供試飼料は,妊娠および非妊娠用として,それぞれ12種類(ME4水準とDCP3水準の組合せ)の飼料を用いた.供試動物は,ウィスター系雌ラット(体重約200gの未経産)80匹を供試した.ここでの維持に要するMEおよびDCPI量とは,エネルギーおよび蛋白質蓄積量が,ともに0になる時点のMEおよびDCP摂取量相当分とした.その結果,母体の維持に要するME量は,非妊娠ラットの場合とほぼ等しく,それぞれ129と127kcal/day/Wkg0.75であった.一方,母体の維持に要するDCP量は,蛋白質の蓄積量を正の領域で求めたにもかかわらず,非妊娠ラットの場合に比べて約5倍も高く,それぞれ6.91と1.30g/day/Wkg0.75となった.なお,妊娠末期の維持に要するDCP量たには,胎児や胎盤などの生産のために消費された蛋白質を含む可能性が推測されたので,本実験で算定した維持の蛋白質量から,生産に使われた分を控除することが,今後必要である.
  • 小松 正憲, 阿部 恒夫, 中島 功, 大石 孝雄, 印牧 美佐生
    1980 年 51 巻 3 号 p. 215-222
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種,あか牛,無角和種,ホルスタイン種,ジャージー種の牛5品種とシバヤギ,ザーネン種の山羊2品種において,劣性遺伝形質である高カリウム型赤血球を持つ個体の検出を試み,その遺伝子頻度と赤血球膜の2•3の特性を明らかにした.赤血球のカリウム濃度は炎光分析により測定し,カリウム型を決定した.さらに数例の試料を用い,HK型とLK型の赤血球間で抗赤血球家兎血清に対する50%溶血性,低張食塩水に対する50%溶血性,凍結赤血球の回収率を比較した.HK型赤血球を支配する遺伝子の頻度は,黒毛和種:0.138,あか牛:0.190,無角和種:0.239,ジャージー種:0.263,シバヤギ:0,500,ザーネン種:1.000であり,ホルスタイン種にはHK型赤血球は認められなかった.牛,山羊の場合とも,遺伝子頻度の品種間差異がみられた.また,力リウム型別にみると,和牛はヨーロッパ系牛よりも赤血球中のカリウム濃度が低い傾向にあることが明らかとなった.抗赤血球家兎血清に対する50%溶血性と凍結赤血球の回収率には,HK<LKの傾向がみられ,HK型とLK型の赤血球膜の性質が異なることがわかった,ただし,低張食塩水に対する50%溶血性には,カリウム型間で差異が認められなかった.カリウム型と血液型との関係では,山羊Ma抗原は緬羊Ma抗原の部分抗原であり,この山羊Ma抗原には,Ma1とMa2(仮称)の亜型が存在することが明らかとなった.山羊のHK型赤血球には一部,anti-Maと反応しないものがあり,牛のHK型赤血球はまったくanti-Maと反応なかった.
  • 勝川 秀夫
    1980 年 51 巻 3 号 p. 223-225
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 大石 孝雄, 江崎 孝三郎, 富田 武
    1980 年 51 巻 3 号 p. 226-228
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 久馬 忠, 菊池 武昭, 高橋 政義, 滝沢 静雄
    1980 年 51 巻 3 号 p. 229-232
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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