日本畜産学会報
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51 巻, 8 号
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  • 角田 幸生
    1980 年 51 巻 8 号 p. 529-540
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 山本 禎紀, 古本 史
    1980 年 51 巻 8 号 p. 541-547
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 飼養試験中のホルスタイン種泌乳牛11頭について,3回の心拍数(HR, beats/min)の終日測定と,またこのうち6頭について,HRと熱発生量(HP, Kcal/W0.75•h)の同時測定を行い,HRからHPを推定する方法について検討した.2) 各個体ごとのHRとHPから算出した回帰式(calibration equations)のHP推定に伴う誤差(PE, Sy•x/y)は平均±6.7(レーンジ±4.7~±9.1)%で,精度の高い推定が可能であることが認められたが,同時に個体差も確認された.3) 個体ごとのキャリブレーションを行わずに泌乳中の牛のHRからHPを推定する方法としては,HR (X)から直接HP (Y)を推定する回帰式(Y=-0.401+0.113X, Sb=±0.0059∗∗, r=0.89∗∗, PE=±6.9%),又は相対心拍率(RHR (X), RHR1=61.3(HR))を求め,HP (Y)を算出する回帰式(Y=0.347+6.93X, Sb=±O.366∗∗, r=0.89∗∗, PE=±7.0%, ∗∗P<0.01)を提示した.なお個体差を取り除くためには4~6頭程度の平均HRを用い,一群の平均HPを推定する方法を指摘した.4) 泌乳牛と先に報告した乳用種雄子牛と乳用種去勢牛の全体の回帰式を比較すると,回帰係数に有意差は認められなかったが,HPは明らかに異なるものであった.しかしRHR:RHP(相対熱発生率)は1:1に近い.関係にあり,雄子牛と肥育牛の値と異なるものではなかった.
  • 新村 末雄, 佐々木 博之, 石田 一夫
    1980 年 51 巻 8 号 p. 548-552
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    6週齢から13週齢までのニワトリの精管上皮の表面微細構造を走査電子顕微鏡によって観察し,次のような成績を得た.1) 無処置鶏.粘膜上皮細胞の遊離縁には短かい微絨毛が密生しており,週齢の経過に伴って10週齢まで次第に長くなった.いずれの時期の精管においても,密生している微絨毛の間に線毛が単独に散見された.これらのほかに,遊離縁にバルーン状の細胞質突起(アポクリン突起)が見られた.この突起は加齢と共に大型化し,数も増加した.精子は13週齢の精管に観察され,アポクリン突起の側面に頭を付けているものが見られた.2) 去勢鶏.上皮細胞の微絨毛は去勢後1週目(7週齢)には退縮して極端に短かくなり,数も著しく減少した.しかし,線毛はそのまま残存していた.アポクリン突起は去勢後3週目(9週齢)までは若干認められたが,4週目からは完全に消失した.3) 去勢後アンドロジェン投与鶏.上皮細胞の微絨毛はアンドロジェン投与後1週目(9週齢)に再び現われた.アポクリン突起も同時に出現したが,その数は少なかった.しかし,2週目からは多数観察された.
  • 芝田 猛, 渡辺 誠喜
    1980 年 51 巻 8 号 p. 553-560
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウズラの肝および浅胸筋のヘキソキナーゼ(HK)アイソザイムについて,セルロースアセティト膜電気泳動法により検討し,肝のHKに4種(L-1,-2,-3,-4),浅胸筋のHKに4種(M-1,-2,-3,-4)のアイソザイムの存在をそれぞれ認めた.各アイソザイムの相対活性比は著しく異なっており,これらの特異性を知るために基質特異性,基質濃度,熱安定性および活性化因子について検討を加えた.L-2,-3,-4は,基質濃度を300mM以上にすると基質阻害を受けることが明らかになった.またグルコキナーゼに相当するものは検出されなかった.L-1,-2およびM-1,-2,-3はヘキソースのうち特にD-グルコースに特異性が高く,このうちL-1,-2およびM-2はグルコースを添加することにより,その熱安定性が高められることが認められた.活性化因子についてはSH基を持つ2-メルカプトエタノールおよびL-システインが,特にL-1,-2,-4およびM-1,-2の活性を著しく高めた.またクエン酸による賦活効果はアイソザイム間で異なることが認められた.すなわちL-2およびM-1,-2は10-5Mクエン酸により著しく活性化され,これ以上の高濃度では阻害を受けた.これに反しL-4およびM-4は10-4M以下の濃度では検出されず,10-3~10-2M濃度で著しく活性化された.したがってウズラではin vivoにおいて糖代謝中間体であるクエン酸により,各HKアイソザイムの活性が制御されている可能性が示唆された.
  • 田上 末四郎
    1980 年 51 巻 8 号 p. 561-567
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    マウスを用いて,たん白質高レベル飼料ならびにたん白質低レベル飼料を定量給与し,給与開始後1日,10日後および20日後からそれぞれ21日間の発情周期を腟垢像の変化で調べ,また別に両飼料を定量給与し,給与開始後1日,10日後,20日後および30日後から雄マウスを交配させ,腟栓形成による発情の有無を調べて,たん白質標準レベル飼料を給与した場合と比較した.用いたマウスや飼料ならびに飼養条件はすべて前報1)に準じた.1) たん白質高レベル飼料を給与した場合あるいはたん白質低レベル飼料を給与した場合の両区とも,たん白質標準レベル飼料を給与した場合に比べてマウスの発情周期は延長し,発情回数は減少した.そしてこれらへの影響は高•低両レベルの飼料給与の場合とも,給与日数の延長と共に大きくなり,特に高レベル飼料給与区で顕著であった.なお,発情周期の延長は,高レベル区では発情期と発情休止期の延長によるものであったが,低レベル区では発情休止期のみの延長によるものであった.2) 交配から腟栓形成までの日数は,標準レベル区のマウスに比べて,高•低両レベル区のマウスとも飼料給与日数の延長に伴って延長する傾向を示した.しかし,これらの結果にはともに大きな個体差が認められた.また,高•低両レベル区とも,交配マウスの70%以上は5日以内に腟栓を認め,剖検ではその全てにおいて排卵を確認した.以上の結果から,高•低両レベル飼料の給与により発情周期は延長し,発情回数も減少するが,交配によってこれら周期は短縮し発情することが明らかとなった.そして,これら周期の短縮は,いずれも交配雄マウスの同居による興奮や乗駕などの刺激による発情に起因するものであろうと推察され,腟栓が確認されながら分娩に到らず,分娩間隔日数が延長した前報の結果は,飼料条件の変化にもかかわらず雄マウスの同居による異常発情によっって排卵された異常卵の着床失敗が原因の一つではないかと考えられた.
  • 渡邊 幸夫, 後藤 信男
    1980 年 51 巻 8 号 p. 568-573
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本報告は,異なる週齢の鶏についてその胸肉および腿肉の粘弾性を数量化し,部位間の比較を試みるとともに,飼料へ添加した脂質量の水準がこれら鶏肉の粘弾性に与える影響を調べたものである.供試鶏は,単独飼育されたCornish (♂)×White Rock (♀)-F1の雌,52羽である.これらの鶏を3群に分けて,大豆白絞油を0%,5%および10%含む実験飼料を用いてそれぞれ飼育した.飼育期間は10,20および34週齢までである.屠殺直後,胸肉と腿肉とを採取し,すみやかにポリエチレン製袋に入れて,-17°Cで一昼夜以上凍結保存した後,筋線維に沿って,およそ長さ50mm,幅20mm,厚さ2~4mmの切片を得た.これらの切片をダンベル型に整形して試料肉切片とし,鎖荷重式フード•レオメータを用いて30±1°C,相対湿度50±5%の条件下で応力緩和試験(引き伸し距離:13.5mm,引き伸し速度:2.8mm/sec,測定時間:5min)を行なった.応力緩和試験から得られるパラメータはFmax (gw),τ(sec)およびS/f0(%)である.結果は次の通りである.1) Fmax値は,すべての鶏群において腿肉の方が胸肉よりも大きく(P<0.01),腿肉は胸肉に比ベコシ(伸びに対して強い抵抗を示す性質)が強いと考えられた.2) 脂質無添加飼料で飼育された鶏群では,腿肉に関するτ値の方が胸肉のそれより大きく(P<0.05),腿肉は胸肉に比べ弾力に富むものと考えられた.3) 脂質無添加飼料で飼育された34週齢の鶏群では,腿肉に関するS/f0値の方が胸肉のそれよりも大きく(P<0.05),腿肉は胸肉に比べ肉の基礎構造が丈夫であると考えられた.4) 飼料に添加された脂質量の水準の違いによって,生の鶏肉の粘弾性は直接影響を受けないと示唆され,鶏肉のtendernessに関する筋肉内脂肪の役割は副次的な要因であると考えられた.
  • 玉置 勲, 小崎 正巳, 田中 一栄, 向山 明孝, 鈴木 正三
    1980 年 51 巻 8 号 p. 574-581
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚白血球型抗原の分類ならびに組織適合性抗原との関連性を追求するため,親子関係の明確な18頭の血縁豚および51頭の非血縁豚を用いて,リンパ球混合培養(MLC)試験によってLD抗原の分類を行った.すなわちMLC反応では,1-way法,2-way法或いは血縁豚,非血縁豚のいずれにおいてもAllogeneicの組合せの方がAutologousの組合せより高いcpm値を示し,Allogeneicの組合せについては1-way法,2-way法にかかわらず血縁群よりも非血縁群の方が高いcpm値を示した.また,リンパ球細胞毒性(LCT)試験により分類されるSD抗原との関連性について8頭の血縁豚を用いて検討したところ,LD抗原はNo. 1-No. 6-No. 8およびNo. 2-No. 3-No. 4-No. 5-No. 7の2つのグループに分類された.一方SD抗原はNo. 3-No. 7およびNo. 5-No. 8がidenticalな組合せで, No. 4-No. 5-No. 6或いはNo. 4-Na. 6-No. 8がsemi identicalな組合せであり,MLCとLCTによる豚白血球型抗原の分類結果は必ずしも一致しなかった.
  • 宮本 元, 石橋 武彦, 内海 恭三
    1980 年 51 巻 8 号 p. 582-587
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    グルコース6リン酸脱水素酵素(G-6-PDH)は,ペントースリン酸回路の重要な位置をしめ,グルコース6リン酸の6ホスホグルコノラクトン酸への転換に関与し,6ボスホグルコン酸脱水素酵素とともにNADPHを生産する.この経路によって生産されるNADPHは,ステロイドの水酸化に役割を果たしている.本実験は,山羊卵巣中のG-6-PDH活性を,組織化学的に明らかにするために行った.発情開始日を0日とし,第5日の非妊娠および妊娠トカラ山羊の卵巣を採取した.クリオスタットで10μmの切片を作製し, NACHLAS et al.の方法に準じてG-6-PDHを検出した.得られた成績はつぎのとおりである.(1) G-6-PDHの分布と活性の強さに関して,非妊娠山羊と妊娠初期山羊の卵巣の間には差は認められなかった.(2) 卵胞腔成前の正常な卵胞では,顆粒膜細胞は中等度,卵胞膜は非常に弱い酵素活性を示した,正常な胞状卵胞では,顆粒膜細胞は強い酵素活性を示し,卵胞膜内層は非常に強く,外層は弱い活性を示した.なお,閉鎖卵胞の酵素活性は,正常卵胞に比べて弱かった.(3) 発情黄体および妊娠初期黄体には,いずれも非常に強い酵素活性が認められた.(4) 卵巣基質には非常に弱い酵素活性が,胚上皮には弱い活性が認められた.山羊卵巣において,G-6-PDHの強い活性を示した正常な胞状卵胞の顆粒膜細胞と卵胞膜内層,および黄体は,ステロイドの合成に関与し,一方,活性の弱い閉鎖卵胞,卵巣基質および胚上皮は,ステロイドの合成にほとんど関与していないと思われる.
  • 藤田 正範, 牛越 淳夫, 瀬戸 勝男, Arthur L. BLACK
    1980 年 51 巻 8 号 p. 588-594
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    寒冷暴露めん羊の熱生産過程に占める低級脂肪酸代謝の役割を検索する目的で,反復寒冷暴露めん羊の肝スライスにおける14C標識低級脂肪酸よりのCO2,グルコース,ケトン体,コレステロールユステル,トリグリセリド,遊離コレステロール,遊離脂肪酸及びリン脂質への14Cの取込みを観察した.14C-酢酸よりのCO2,グルコース,ケトン体への14Cの取込みは暴露後1,4または7日目に増加し,コレステロールエステル,トリグリセリド,遊離コレステロール,遊離脂肪酸への取込みは同様に減少した.しかし,暴露4日目にケトン体への取込みの増減が逆転した.14C-プロピオン酸よりのCO2,グルコース,トリグリセリド,遊離脂肪酸,リン脂質への14Cの取込みは暴露後1または4日目に増加し,コレステロールエステル,遊離コレステロールへの取込みは同様に減少した.しかし,暴露4日目に遊離コレステロールへの取込みの増減は逆転した.14C-酪酸よりのGO2,グルコース,ケトン体,トリグリセリド,遊離コレステロール,遊離脂肪酸,リン脂質への14Cの取込みは暴露後1,4又は7日目に増加し,コレステロールエステルへの取込みは減少した.しかし,暴露4日目にコレステロールエステルへの取込みの増減は逆転した.本実験の結果は寒冷暴露めん羊の肝における低級脂肪酸の代謝利用の方向を明らかにした.
  • 本村 昌次, 豊田 裕
    1980 年 51 巻 8 号 p. 595-601
    発行日: 1980/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    精巣上体尾部から採取し,約1時間前培養した精子と,hCG投与後16~17時間に採取した過排卵卵子を用いて,体外受精を行ない卵子透明帯への精子侵入過程を,走査電子顕微鏡を用いて経時的に観察した.授精後5分に固定した卵子(12個)のすべてに精子が見られ,またその半数の卵子で精子は透明帯への侵入を開始しており,11分では85%(17/20)の卵子で侵入途上にある精子が認められた.精子の透明帯通過によって生じる一端の切れこんだ,楕円形をした透明帯上の小孔(精子浸入孔)を有する卵子の割合は,11分での15%(3/20)から,15分の54(7/13),20分での80%(8/10)へと増加した.また,この精子侵入孔は授精後4時間を経たすべての卵子(19個)にも認められた.これらの結果から,精子は授精後5分までには卵丘を通過し,透明帯表面に達し,侵入を開始すること,また精子の透明帯通過は授精後20分以内にほとんどの卵子で完了することが知られた.さらに,侵入途上にある個々の精子の観察から,精子は酵素による透明帯物質の溶解と,頭部大彎部での機械的な切開によって透明帯を通過すると推察された.
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