日本畜産学会報
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52 巻, 7 号
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  • 横浜 道成, 田中 慶子, 茂木 一重, 細田 達雄
    1981 年 52 巻 7 号 p. 487-492
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    馬赤血球を新鮮な状態で長期保存することを目的として,28種類の物質を用いその凍害防止効果を調査し,4年間の凍結保存試験を実施した結果,次の如き成績が得られた.1. 14種類の糖類,6種類のhydroxy compound,5種類の糖アルコールおよび3種類の他の化合物,計28種類の物質を用い,それらの凍害防止効果を調べたところ,その効果が認められたのは,二糖類のsucrose, lactose およびmaltose,三糖類のraffinose,多糖類のdextrin, gum arabic, dextran CおよびT 250, hydroxy compoundのpolyethylene glycol 1000および2000そしてpolymerのpolyvinyl pyrrolidone (PVP)の11種類であった.2. 4年間の長期凍結保存の結果,30%raffinoseを洗浄赤血球泥と等量混合したとき最も高い赤血球回収率(78.6±1.0%)が得られた.この値は長期保存前の結果(80.5±1.1%)とほとんど差がなかった.3. 長期凍結保存の結果,抗原性の変化は認められなかった.
  • 小松 正憲, 横内 圀生, 阿部 恒夫, 小澤 周司, 北沢 貴一
    1981 年 52 巻 7 号 p. 493-497
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    農林水産省岩手種畜牧場と福島種畜牧場における後代検定娘牛ホルスタイン種407頭,ジャージー種30頭を用いて,κ-力ゼイン(κ-cn),β-ラクトグロブリン(β-1g),αS1-カゼイン(αS1-cn),β-カゼイン(β-cn)座位の遺伝子型と乳量との関連性につき検討した.乳量記録はホルスタイン種では初産のもの,ジャージー種では初産から8産までのものを使用した.なお,ジャージー種における乳量は,産次が同一でないため成年型に換算して分析を行なった.分析方法は,ホルスタイン種の3年度の乳量記録では,乳量を集団平均,牛乳蛋白質型の効果,種雄牛の効果,誤差に分けた二元分類データととして最小二乗法により分散分析を行なった.残りのホルスタイン種とジャージー種の乳量記録については,種雄牛あたりの娘牛の数が少なかったため,乳量を集団平均,牛乳蛋白質の効果,誤差に分けた一元分類データとして分散分析を行なった.またあわせて,乳量の全分散に占める牛乳蛋白質型の効果の割合についても推定した.牛乳蛋白質型の判定は,既報の尿素加澱粉ゲル電気泳動法によって行なった.その結果,κ-cn型だけは常に,乳量の全分散の少なくとも数パーセントの割合を占める効果をもっていることが推察された.またκ-cn型間で乳量に統計的有意差が認められたのは,集積データのうち岩手種畜牧場のものであり,乳量の平均値をκ-cn型間で比較すると,κ-cn AB型の乳量は他のホモ型のそれよりも常に多かった.他の牛乳蛋白質型であるβ-1g型,αS1-cn型,β-cn型,およびκ-cnとβ-1g両座位におけるヘテロ座位数と乳量とには関連性は認められなかった.また牛乳蛋白型と脂肪率,無脂固形分率との間にも,一定の関連性は認められなかった.
  • 黒崎 順二, 園田 立信, 佐藤 公一, 松本 淳一, 田中 英樹, 中森 一郎
    1981 年 52 巻 7 号 p. 498-506
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛における順位の確立時期を明らかにする目的でこの試験を行なった.ホルスタイン種雌牛53頭で,2頭1組の組み合わせを160組作り,飼料争奪試験を行ない,順位の確立時期を調査した.飼料争奪試験でみられたすべての動作を,順位の判定をねらいとして整理し,8行動型に分類した.その行動型の有無および出現回数を検討した結果,牛の順位型には3型があり,それらは成長に伴なって,無闘争型,相対的順位型および絶対的順位型の順に発達することが分かった,また,相対的順位型の優位固体が絶対的順位型の優位個体になり,相対的順位型の劣位個体が絶対的順位型の劣位個体になることも分かった.各順位型を示す月齢をみると,無闘争型は2か月齢から9か月齢まで,相対的順位型は4か月齢から28か月齢まで分布し,絶対的順位型の優位は6か月齢からみられた,このように3順位型とも,その順位型を示す月齢は幅が広く,一定の月齢に達すると,次の段階の順位型に発達するというにとではなかった.
  • 大原 睦生
    1981 年 52 巻 7 号 p. 507-511
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    雌性生殖道内における精子の受精能獲得の過程を明らかにするために,精子に付着した精漿由来の精子被覆抗原(SCA)の消長を,卵管内における排卵卵子の受精率との関連で検討した.未経産豚には発情前期の終わりにHCG 500iuを投与し,経産豚には離乳翌日にPMS 1000iuさらに56時間後にHCG 500iuをそれぞれ投与して排卵を誘起させた.これらの雌豚は屠殺前3時間,6時間および24時間に交配を行い,屠殺後雌性生殖道から精子および卵子を回収した.回収した精子について間接螢光抗体法でSCAの付着の有無を検討したところ,交配後3時間では16.6%の精子にSCAの消失を認めたに過ぎなかったが,交配後6時間では子宮から回収した精子の91.3%がSCAを消失していた.交配後24時間を経過すると子宮から精子は回収されなかった.一方,子宮卵管接合部から交配後6時間ならびに24時間で回収した精子では,すべてSCAが消失していた.卵管内卵子の受精率は交配後3,6および24時間でそれぞれ5.6%,43.8%および92.0%であった.これらの結果から,SCAの消失は精子の雌性生殖道内滞留時間が長くなるに従って進行し,6時間でほぼ完了することが知られた.
  • 中村 豊, 多田 豊, 斉藤 智之, 吉田 條二, 中村 亮八郎
    1981 年 52 巻 7 号 p. 512-518
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    メン羊に高硝酸サイレージを4日間にわたって継続給与した場合のルーメン内硝酸,亜硝酸の濃度変化を求め,ならびに上記動物のルーメン液から分画した細菌および原虫区分のin vitro培養を行ない,継続給与の前後におけるルーメン微生物叢の硝酸代謝の様相の変化について検討した.1) 高硝酸サイレージ給与初日には,ルーメン内硝酸,亜硝酸の経時変化は,2頭ともほぼ同様の推移を示し,硝酸の減少,および出現亜硝酸の増加と減少が概して緩慢であった.2日目以降では,動物間で速度に差はあったが,硝酸の減少,ならびに亜硝酸の出現と消失が,経日的にある程度まで速くなり,さらに亜硝酸の最高値も低下した.また,硝酸,亜硝酸の消失が速い動物では,乳酸の減少とpHの回復が速く,かつアンモニアと総VFAの増加が速やかであった.2) in vitro培養成績によれば,切換前よりも切換後の方が,硝酸の減少,および亜硝酸の増加と減少が速やかであり,また原虫区分が共存すれば,それらの速度が顕著に増大した.培養液のpHは6.4~7.2の範囲内で大きな変化はなく,また硝酸,亜硝酸の還元が活発であるほど乳酸の減少と総VFAの増加が著しかった.3) 以上の結果から,高硝酸サイレージ給与により,ルーメン内亜硝酸の消失,およびその最高値の経日的な促進が認められ,またルーメン内の硝酸•亜硝酸代謝の促進には原虫および乳酸の存在が大きく関与すると推定された.したがって高硝酸の生草はサイレージとして給与すれば,硝酸中毒の症状を軽減しうる可能性があると推察された.
  • 伊藤 宏, 寺島 福秋, 上田 勝治, 高橋 好博
    1981 年 52 巻 7 号 p. 519-524
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    稲わら(RS)およびもみ殼(RH)に対して水50%および10.4atom%15Nを含むアンモニア(NH3)5%を加え,さらに酸化剤(NaClO2)0,5および25%を添加密封し,45°C,3日間処理した.これらの試料について,全窒素,アンモニア態窒素(AN),アマイド態窒素(AmN),熱水不溶性窒素(ISN)および熱水可溶性アンモニア態窒素(SAN)を測定した.さらに各N区分の15N濃度を測定し,処理アンモニアNの各N区分への移行量を求めた.無処理のRSおよびRH中Nの大部分はISNであった.添加NH3量に対するNの吸着割合は,いずれの基質においても,酸化剤の添加量を高めるに従って著しく増加した.ANおよびAmNも同様にNaClO2添加量に従って増加し,両者で全吸着N量の約3分の2を占めた.ISNはいずれの処理によっても増加し,RSで添加アンモニアNの約5.4%,RHで約6.3%がISNとして回収された.各N区分のN増加量に対する処理NH3に由来するN量の割合は,ISN区分を除いてほぼ100%の値を示した.これに対してISNは,NaClO2 0および5%区で,100%より低く,25%区で100%より著しく高くなった.したがって,無処理飼料中の不溶性N区分も処理によって増減することが示された.
  • 河南 保幸, 石橋 武彦
    1981 年 52 巻 7 号 p. 525-531
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏の甲状腺のコロイド再吸収機構について究明するため,サイロキシンで腺機能をあらかじめ抑制した後,甲状腺刺激ホルモン(TSH)を投与して機能を促進した場合の腺細胞自由表面における形態的変化を走査電子顕微鏡で観察した.サイロキシンを3日間皮下注射した鶏の小胞細胞では,細胞の高さは低く,小胞腔に面する細胞表面の構造も単調で,平らになった表面に短い微絨毛がまばらに分布しているのが観察された.TSHを静脈注射した場合,細胞は肥大して小胞腔へ突出し,表面構造に顕著な変化が認められた.すなわち,注射後10分の細胞では,微絨毛の伸長と増数が明瞭となり,自由表面中央部に小型の偽足様突起が少数形成された。注射後20分では,偽足様突起は大型になるとともに明らかに増数し,少数の偽足様突起では先端部に陥入が認められた.さらに注射後30分を経過すると偽足様突起の表面の陥入は拡大し,小孔状の開口がみられるようになった.これらの時期に観察された偽足様突起の変形は腺細胞によるコロイドの取り込みを示唆するものと考えられる.しかし,その後は偽足様突起は次第に萎縮,減数して1時間後には全く認められなくなった.以上の結果から,偽足様突起は急激な刺激を受けた場合に出現し,その開口部を通じてコロイドの再吸収に重要な役割を果たすものと推察される.
  • 宮重 俊一, 八幡 林芳
    1981 年 52 巻 7 号 p. 532-536
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    早期離乳にともなう飼料採食量の増加が子牛の小腸粘膜carbohydrase活性におよぼす影響を調べた.用いた4頭の子牛(黒毛和種)は6週齢で離乳し,26週齢で屠殺した.この間,毎日午前9時に濃厚飼料と乾草を十分な量給与して自由に採食させ,また,屠殺は午後1時から実施した.酵素活性測定のための粘膜は,小腸を四等分してその各中央部からそれぞれ採取した.また,小腸各部位からと盲腸および結腸からpH測定のため内容物を採取した.得られた分析結果は同週齢の3頭の哺乳子牛の結果(既報)と比較した.早期離乳子牛の盲腸内容物のpHは哺乳子牛に比べて明らかに低く,ルーメン発酵を免れて盲腸に達した可溶性炭水化物が多かったことを示している.しかし,早期離乳子牛のmaltaseやisomaltaseの活性は哺乳子牛とあまり変わらなかった.ただ,maltase活性の小腸内分布をみると哺乳子牛では小腸下部で高くなる傾向が認められたのに,早期離乳子牛では比較的高い活性が小腸全体に一様に観察された.小腸に流入するでんぷんやその加水分解産物の増加にともない,その消化吸収部位の変化を示唆するものであろう.早期離乳子牛のlactase活性は哺乳子牛と変わらず,離乳の影響はまったく認められなかった.また,小腸粘膜には低いながらもdextranaseおよびamylaseの活性が認められた.
  • 宮本 元, 石橋 武彦, 内海 恭三
    1981 年 52 巻 7 号 p. 537-541
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    解糖系の酵素である乳酸脱水素酵素(LDH)は,乳酸とピルビン酸の相互転関に関与している.この実験は,山羊卵巣中のLDH活性を組織化学的に明らかにするために行った.発情開始日を0日とし,第5日の非妊娠および妊娠トカラ山羊の卵巣を採取した.クリオスタットで10μmの凍結切片を作製し,NACHLAS et al.の方法でLDHを検出した.得られた成績はつぎのとおりである.(1) LDHの分布と活性の強さに関して,非妊娠山羊と妊娠初期山羊の卵巣の間にほとんど差は見られなかった.(2) 原始卵胞の顆粒膜細胞および発育卵胞の顆粒膜細胞と卵胞膜は弱いLDH活性を示した,直径1mm以下の胞状卵胞では,顆粒膜細胞と卵胞膜は弱い酵素活性を示した.一方,直径1mm以上の胞状卵胞では,顆粒膜細胞と卵胞膜内層は中等度の酵素活性を,卵胞膜外層は弱い活性を示した.(3) 閉鎖卵胞のLDH活性は,正常卵胞に比べて弱かった.(4) 黄体には強いLDH活性が,卵巣基質と胚上皮には弱い活性が認められた.
  • 小西 良子, 粟崎 純一, 山内 邦男, 上野川 修一
    1981 年 52 巻 7 号 p. 542-545
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 長谷川 信, 佐藤 一義, 氷上 雄三, 水野 利雄
    1981 年 52 巻 7 号 p. 546-549
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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