日本畜産学会報
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55 巻, 1 号
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  • 菅原 道煕
    1984 年 55 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 高橋 敏能
    1984 年 55 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    メン羊3頭を用い,濃厚飼料と粗飼料の給与割合が第一胃液の総脂質含量,脂肪酸組成および微生物中の脂肪酸組成に与える影響を調べた.濃厚飼料(日本農産製ビーフデラックス)と粗飼料(チモシー主体乾草)の比を9:1,5:5および1:9とし,それぞれ600~700g/日を給与した.試験開始2週間後に給餌後1~3時間間隔で24時間にわたり第一胃内容をフィステルより採取し,2重ガーゼでロ過して第一胃液とした.更に同液よりプロトゾアおよび細菌を分画し,それぞれを分析に供した.その結果,第一胃液中の総脂質含量は濃厚飼料多給で顕著に多くなった.給餌後の経時的な観察では,濃厚飼料多給で採食開始4時間まで著しく減少し以後15時間まで漸増したが,粗飼料多給ではほとんど変化がなかった.第一胃液,プロトゾア,細菌中のC18:0およびC18:1脂肪酸は濃厚飼料多給時に多く,C17以下の脂肪酸は糧飼料多給時に多かった.第一胃液および細菌分画のC18:0脂肪酸は採食開始4時間まで減少し以後漸増しC18:1脂肪酸はC18:0脂肪酸と逆の変化を示した.プロトゾア分画のC18:0およびC18:1脂肪酸は有意な経時的変化を示さなかった.第一胃液中の側鎖脂肪酸は濃厚飼料多給時に低く経時的変化も殆どなかったが,粗飼料多給時には採食開始4時間まで著しく増加し,以後漸減した.特にアンテイソC13脂肪酸が,0.5%から11.1%と20倍以上も増加した.この増加は微生物に由来するものではなく無菌液中で起こる現象と思われた.一方,微生物中の側鎖脂肪酸は粗飼料多給時に高かったが経時的変化は見られなかった.
  • 古林 亮介, 宮本 元, 谷井 隆夫, 石橋 武彦
    1984 年 55 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    子牛体腔内のおもな器官の漿膜上皮表面を走査電子顕微鏡で観察し,微絨毛の分布について検討した.各器官の漿膜上皮表面は微絨毛でおおわれ,それらの数は器官によって異なっていた.第四胃,結腸,脾臓,腹膜,および腸間膜の漿膜上皮表面には59.5~80本/10μm2の微絨毛が存在し,それらの長さは腹膜を除き一般に0.2~1.5μmであった.第二胃,第三胃,十二指腸,直腸,胆嚢,膀胱,肺,精巣,精巣上体では,80~110本/10μm2の微絨毛が観察され,1.5μm以上の長さの微絨毛が存在する器官と,1.5μm以下のものが存在する器官とがあった.これに対して第一胃,空回腸,盲腸,肝臓,横隔膜および心臓には110~127本/10μm2の微絨毛が存在し,それらの長さは1.5~2.5μmであった.空回腸,横隔膜,心臓など動きの激しい器官か第一胃,盲腸,肝臓など大型の器官の漿膜上皮表面に,多数のしかも長い微絨毛が存在したことから考えて,微絨毛間に多くの水分が保たれ,それによって外部からの摩擦による衝撃から各器官の漿膜上皮を保護することが微絨毛の機能の1つと思われる.
  • 篠田 満, 岩崎 薫, 阿部 亮
    1984 年 55 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    トウモロコシサイレージに尿素•第3リン酸カルシウム(飼料用)を添加して,乳牛と緬羊を供試して代謝試験を行ない,窒素,リンおよびカルシウムの出納を調べた.対照区は粉砕トウモロコシ子実を強化したトウモロコシサイレージを給与し,添加区は上記サイレージに尿素と第3リン酸カルシウム(乳牛は200g,緬羊は20g)を給与した.その結果,窒素の出納は添加区では乳牛,緬羊とも体重kg当り24mg/日と蓄積が認められたのに対して,乳牛の対照区では-20mg/日であった.リン,カルシウムは乳牛,緬羊とも添加区で蓄積がみられたが,対照区は負の出納であった.また,リン,カルシウムは主に糞から排泄されたが,乳牛の添加区ではかなりの量が尿から排泄された.リンのみかけの消化率では,対照区が乳牛,緬羊でそれぞれ21%,-17%であった.添加区では乳牛で40%,緬羊で6.7%であった.無機態リンのみかけの消化率は,乳牛,緬羊とも添加区の方が高く,有機態リンのみかけの消化率は逆に対照区の方が高かった.対照区と添加区の両試験から計算によって求めた添加窒素,リンおよびカルシウムの消化率はそれぞれ,81,53および29%であった.
  • 内田 宏, 水間 豊
    1984 年 55 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    攻撃性に関して選抜した高系統(HA系)と低系統(LA系)の第7世代以後において,性腺を除去した後に雄性ホルモンを投与したばあいの攻撃性の変化と系統間差を調べた.1) 精巣除去マウスに日量0~600μgまで5段階のTP(テストステロンプロピオネート)を投与したところ両系統とも攻撃性は去勢によって低下したが,150μgで去勢前のレベルに回復した.しかし,投与量が多くなると攻撃性はむしろ低下し,投与量と攻撃性との間に逆U字形の反応関係が認められた.2) 精巣除去マウスのばあいもHA系のscoreがLA系よりも有意に高かった.TPを投与すると系統間差はさらに広がった.3) BRONSON and DESJARDINSの方法によって,雌マウスに攻撃性を発現させ系統間比較を行ったところ,このばあいもHA系のscoreがLA系よりも有意に高かった.4) 以上の結果から,攻撃性の程度には雄性ホルモンの量が関係するが,攻撃性の系統間差は雄性ホルモン以外の要因によっても生じることが示唆された.攻撃性に関する選抜の結果,中枢神経系の機能に系統間差の生じたことが推察された.
  • 冨田 幸洋, 永山 精美, 大高 文男
    1984 年 55 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚の筋肉および肝臓中の脂質分解酵素の天然脂質およびトリグリセライドに対する作用について比較検討した.豚の筋肉および肝臓ホモジネートを遠心分画し,脂質分解酵素活性の細胞内分布についてオリーブ油を基質として測定した結果,筋肉および肝臓とも,リソゾーム画分に最も高い比活性のあることが認められ,その際の肝臓リソゾーム画分の比活性値は筋肉のそれより高く,約6倍であった.筋肉および肝臓リソゾーム画分中の酵素の至適pHは,用いたすべての基質について4.5であった.また,ラードおよびオリーブ油を基質とした時,筋肉および肝臓リソゾーム画分中の酵素の至適温度は,ともに50°Cであった,筋肉および肝臓リソゾーム画分の酵素活性に対する各種試薬(阻害剤または促進剤として通常用いられるもの)の作用について実験したところ,両者の試薬に対する反応はほぼ同じ傾向を示した.また,筋肉および肝臓リソゾーム画分の酵素はC18酸の場合,飽和脂肪酸からなるトリグリセライドよりも不飽和脂肪酸からなるトリグリセライドをよく分解すること,および両酵素による各基質の分解性は同じ傾向であることが認められた.前記の結果より,筋肉リソゾーム画分の脂質分解酵素は,比活性の強さに差はあるものの,その性質において肝臓リソゾーム画分のそれに類似しているものと考えられた.筋肉および肝臓リソゾーム画分の酵素は,貯蔵温度,期間また比活性の差などにより分解速度は異なるものの,4°Cではもちろん,-10°C~-20°Cで少なくも10日間はラードを分解すること,特に肝臓リソゾーム画分は,-34°Cでも10日以後,わずかながら60日まで作用することが認められた.
  • 佐藤 勝紀, 佐藤 進, 猪 貴義
    1984 年 55 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は,近交による日本ウズラの受精率低下の原因を明らかにするために,近交によっておこる受精率の低下と雄の性機能との関係について検討した.実験に使用した日本ウズラは,近交群と無作為交配群の1,2世代である.
    1. 近交群の受精率は2世代目で急激な低下がみられ,無作為交配群との間に有意差が認められた.
    2. 近交群では無作為交配群に比較して,精巣重量,精液量,精子濃度,精子の運動性はすべて減少し,これに対して奇形精子の出現頻度は増加した.しかしながら,精液pHには両群間で差異が認められなかった.
    3. 受精率の高い群では受精率の低い群に比べて,精巣重量,精液量,精子濃度,精子の運動性,奇形精子の出現頻度はいずれもすぐれた値を示した.
    4. 相関係数は,受精率と精巣重量の間では+0.535,受精率と精液量の間では+0.547,受精率と精子濃度の間では+0.824,受精率と精子の運動性の間では+0.875,受精率と奇形精子の出現頻度の間では-0.862となり,いずれも有意な値が認められた.
    5. 以上の結果から,近交による受精率の低下は雄での造精機能全体の低下,障害に起因するものと考えられる.
  • 寺田 隆登, 渡辺 守之, 堤 義雄
    1984 年 55 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験は鶏の射精時に排出される副生殖器官液の意義を検討する目的で実施した.
    精液は雄鶏から摘出した精管後部から採取した.この精液は無希釈の対照区を除いて雄鶏血清,精漿あるいはリン酸緩衝液で2倍希釈した.希釈後ただちに雌鶏の膣深部,膣中間部あるいは膣浅部に注入し,受精率および受精期間を調べた.
    膣深部に精液を注入した場合には,対照区を含めたすべての区の受精率は著しく高い値を示した.膣中間部に注入した場合には,雄鶏血清あるいは精漿で希釈した精液区の1および2週目の受精率が対照区のそれらよりも高い値を示し,長い受精期間を示した.さらに膣浅部に注入した場合には,雄鶏血清あるいは精漿で希釈した精液区が対照区に比較して有意に高い受精率(1週目)と長い受精期間を示した.
    さらに,雄鶏血清あるいは精漿で希釈した精液区の受精率と対照区のそれとの差は精液の注入部位が後方になる程大きくなった.
    以上の結果から,鶏の射精時に排出される副生殖器官液は精子の受精能力を充分に発揮させるのに重要であると結論された.
  • 浜田 久, 村山 真治, 佐々木 義之, 大塚 宏光, 熊崎 一雄
    1984 年 55 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    飼料給与条件下での反芻動物の血糖維持機構におけるグルココルチコイドの効果について,副腎摘出ヒツジ9頭を用いて検討を行った.実験1および実験2では,副腎摘出前,両側副腎摘出後のグルココルチコイド投与期間(実験1:コルチゾン,実験2: コルチゾール),および投与中止後における血糖値の変化を経日的に調べた.さらに,実験3(コルチゾール)では上記各期間の連続3日間における血糖値に加え,血漿中コルチゾール濃度の変化をも調べた.1) 両側副腎摘出後のグルココルチコイド投与期間における血糖値は,実験1および実験2では摘出前値[57.4±1.2(平均値±標準誤差)mg/100ml]よりも10~20%有意に高い値(P<0.05)を示したが,実験3ではこのような有意差は認められなかった.これら実験間の差異にはグルココルチコイドの投与量(実験2:0.42mg/kg体重/日,実験3:0.25mg/kg体重/日)が影響したのではないかと推察される.2) しかしながら,グルココルチコイドの投与を中止した場合には,いずれの実験区でも血糖値は急激に低下し,摘出前値よりも10~25%有意に低い値となり,その後はその値を維持した.3) 実験3における血漿中コルチゾール濃度は,摘出前値(7.0±1.0ng/ml)に比べ,副腎摘出後のグルココルチコイド投与期間(18~20日目:9.2±0.4ng/ml)は有意に高く(P<0.05)なったが,投与中止後(11~13日目:2.2±0.4ng/ml,25~27日目:0.8±0.1ng/ml)には有意に低い値(P<0.05)を示した.
    以上の結果から,飼料給与条件下におけるヒツジの場合,グルココルチコイドと血糖値の間に密接な関連性のあることが推察され,グルココルチコイドは血糖値の維持にある程度貢献していることが明らかとなった.
  • 甫立 孝一, 上家 哲, 川端 麻夫, 大箸 信一, 白木 勝, 澤野 眞二
    1984 年 55 巻 1 号 p. 66-68
    発行日: 1984/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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