日本畜産学会報
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55 巻, 12 号
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  • 藤田 裕
    1984 年 55 巻 12 号 p. 903-910
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 小山 雄生, 宮本 進
    1984 年 55 巻 12 号 p. 911-916
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    飼料中の栄養素と家畜による消化吸収との関係を明らかにするには,動物消化試験法の精度の向上が必要である.このため不溶性指標物質として中性子放射化分析するときわめて高感度な検出ができる希土類元素に着目し,その適用性についてやぎを用いて検討した.すなわちジスプロシウム(Dy)とユウロピウム(Eu)を配合飼料中に添加して与えたやぎの全糞を採取し,DyおよびEuの回収率を調べた,その結果,両元素とも投与1日後の糞からその排泄がみられ,回収率は7日間でDyで96%,Euで93%であった.実験後やぎを屠殺し臓器を調べたがEuの臓器内蓄積はみられなかった.また別にやぎを用いEuの糞中への排泄様式,回収率などを酸化クロムと対比させて調べてみたところ,両者はきわめてよく一致した.以上の結果よりEuはやぎの消化管からは吸収されず不溶性指標物質として使用した場合,従来の酸化クロム法と比較してみて著しく少量でよいことが分った.
  • 志賀 勝治, 上森 和人, 下山 真
    1984 年 55 巻 12 号 p. 917-923
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    大豆蛋白質と食肉蛋白質の相互作用を知るため,鶏ひき肉,2種類の大豆蛋白質およびそれらの試料の混合物の加熱時における特性を比較検討した.各試料を50°C~100°Cで加熱し,それらのゲル強度,ヤング率および保水力を測定した結果,その50%を市販分離大豆蛋白質液で置換したひき肉のゲル強度および保水力は,すべての温度においてひき肉単独の値より高く,一方その50%を大豆酸沈殿蛋白質液で置換したひき肉のゲル強度はすべての温度でひき肉の値より低く,またその保水力は高温(85°C~100°C)においてのみひき肉の値より高かった.試料を加熱したときに分離してくる液汁中の蛋白質構成をSDSゲル電気泳動法で検討した結果,50%市販分離大豆蛋白質液置換ひき肉の場合,分離してくる蛋白質成分は少ないが,50%大豆酸沈殿蛋白質液置換ひき肉の場合は分離してくる蛋白質成分が多く,とくに大豆蛋白質由来の蛋白質成分が明瞭に認められた.ひき肉の50%を大豆酸沈殿蛋白質液で置換した場合と大豆酸沈殿蛋白質液の代りに水でその50%を置換した場合のゲル強度を比較した結果,置換した大豆酸沈殿蛋白質液は混合試料のゲル強度にはほとんど寄与していないことが示された.大豆酸沈殿蛋白質液にひき肉を添加すると,100°C加熱におけるゲル強度は全固形分が増加したにもかかわらず減少した.
  • 杉本 亘之
    1984 年 55 巻 12 号 p. 924-929
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚の消化率を測定するための,指標物質としての酸化クロム粉末,酸化クロムペーパーおよび酸不溶性灰分(AIA)について,消化試験を実施する上で必要とされる,予備期間と採糞期間の長さを検討すると同時に,これら指標物質法と全糞採取法による消化率の比較を行なった.供試飼料は,子豚育成用飼料(飼料A),豚産肉能力検定飼料(飼料B)および飼料Bにビートパルプを20%配合した飼料(飼料C)の3種類で,供試豚8頭を4頭ずつ2群に分け,1群には飼料をA,B,Cの順に,他群にはA,C,Bの順にそれぞれ10,14,14日間連続して給与した.飼料Bおよび飼料C給与時には,両群とも4頭のうち2頭に酸化クロム粉末を,他の2頭には酸化クロムペーパーを,それぞれ豚産肉能力検定飼料へ0.2%添加した.その結果,糞中の酸化クロム含量が安定するには,酸化クロム粉末法および酸化クロムペーパー法とも飼料切換え後4日を要した.糞中のAIA含量が安定するのに要する日数は,飼料によって異なり,飼料Bでは飼料切換え後4日目でほぼ安定したが,飼料Cでは14日間を通じても安定しない場合が認められた.飼料切換え後,予備期間を4日とし,それ以降における採糞期間と消化率の変動係数との関係についてみると,全糞採取法では各成分の消化率の変動係数とも,採糞期間が3~4日までは急速に低下した.他方,指標物質法はいずれも採糞期間が長くなると変動係数はわずかに低下の傾向を示すものの,その変化は小さいことから,指標物質法における採糞期間は1~2日でも十分ではないかと推察された.酸化クロム粉末および酸化クロムペーパーとも,糞中への回収率は94~97%と若干低かったが,消化率の測定上ほぼ満足すべき回収率であり,全糞採取法との消化率の差は,乾物,粗蛋白質およびエネルギーとも1%程度であった.他方,AIAの回収率は,飼料Bでは99%と良好で各消化率とも全糞採取法とほぼ一致したが,飼料CにおけるAIA含量は,糞中での安定性が悪く,その回収率も低かった.したがって,AIA法による消化率の測定は,飼料の質的内容との関係を考慮した上で,さらに今後の検討が必要と考えられる.
  • 生雲 晴久, 滝川 明宏
    1984 年 55 巻 12 号 p. 930-939
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    粗飼料が不足しやすい都市近郊的な流通飼料依存型酪農,肥育牛経営を対象として,リグノセルロース系飼料資源の経済性を線形計画法(LP)による適正価格で評価した.評価は次の2つのケース,すなわちケース1:乳用牛,泌乳前期(乳量30kg/日,体重600kg),およびケース2:肉用牛,肥育前期(増体量1.0kg/日,体重300kg)について行なった.また,リグノセルロース系飼料原料のモデルとして可消化養分総量(TDN)と粗せんい含量の異なる次の2種類のものを想定した.すなわち,モデル1:TDN 60%,粗せんい含量60%,モデル2:TDN 10%,粗せんい含量40%であった(以上,すべて乾物ベース).LPに入力する条件の中で飼料原料の価格については,特殊な場合を除いて変動のないものと仮定して,適切な制約条件の設定を試みた。検討の結果,制約条件として次に示した項目とその内容が適切なものと判断された.すなわち,1) 乾物量:上限のみ設定,2) TDN:下限のみ,3) 可消化タンパク質量(DCP):上,下限をもつ一定範囲,4) 粗せんい含量:下限のみ,5) 粗飼料給与量:下限のみ,6) カルシウム(Ca)量:一定範囲,7) リン(P)量:下限のみ,8) Ca/P:1.0~2.0,9) ナトリウム(Na)量:一定範囲,10) 特定の飼料原料についての使用量規定であった.これらをもとにそれぞれのケースについて算出されたモデルの適正価格(円/kg)は次のとおりであった.すなわち,ケース1ではモデル1:72.8,モデル2:32.4,ケース2ではモデル1:56.9,モデル2:27.5であった.ここでTDNの適正価格はいずれのケースにおいても約55円/kgと評価された,ケース1,2におけるモデルの価格差は粗せんい要求量などに対する粗飼料の評価の違いにもとづくものであった.
  • 柿市 徳英, 鎌田 信一, 小林 茂, 内田 和夫
    1984 年 55 巻 12 号 p. 940-946
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    供試汚水として豚糞を使用し,5日滞留のばっ気式ラグーン法により処理実験を行なった.実験区は,回分式と半回分式の2区とし,それぞれにBOD容積負荷を0.1と0.2kg/m3/dayの2区を設け,計4区とした.そこでこれら実験区での大腸菌群と一般細菌の除去特性を調査する目的でこれら細菌数とともにCOD,透視度を含めて,経時変化を測定した.その結果,次のような結論が得られた.1. 回分式での大腸菌群と一般細菌の除去速度定数は,それぞれ6.9~7.2 1/day,4.8~6.0 1/dayの範囲であった.2. 回分式の大腸菌群,一般細菌,CODの除去率は1時間でそれぞれ67,86,85%を示した.BOD容積負荷による差は認めなかった.3. 半回分式では汚水流入終了20分後に細菌の急速な除去を認めた.その大腸菌群,一般細菌,CODの除去率は,それぞれ98,97,91%であった.4.全実験区の最終処理水質の比較では半回分式のBOD容積負荷0.1kg/m3/dayが最もすぐれていた.この大腸菌群数,一般細菌数,CODは,それぞれ18個/ml,480個/ml,10.4mg/lであった.5. CODに対する透視度,大腸菌群数,一般細菌数との相関係数(r)は,それぞれ0.69,0.81~0.82,0.77~0.81であった.以上のように,ばっ気式ラグーン法では大腸菌群,一般細菌とに高い除去が行なわれた.特に,最終処理水での大腸菌群の残存量は塩素消毒することなく十分に排水基準を満たしうることが示唆された.
  • 富樫 研治, 朝倉 康弘, 木村 英宗, 樋脇 憲一, 横内 圀生, 西川 健太郎, 布広 昭, 和田 馴二
    1984 年 55 巻 12 号 p. 947-951
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    123頭の日本短角種(N),アバディーンアンガス種(A),ヘレフォード種(H)および黒毛和種(B)を,放牧育成後肥育仕上げした場合の枝肉諸形質を比較検討した.処理としては,放牧育成期間中に野草区と牧草区,肥育仕上げ期に,仕上げ期間として100日区と200日区,その間の濃厚飼料給与割合として体重比1.2%区と1.6%区を設けた.日本短角種は,枝肉重量,ロース芯面積が他品種より大きかった.ヘレフォード種は,枝肉歩留,ロース芯中粗脂肪割合が他品種より低かった.アパディーンアンガス種は,枝肉重量,皮下脂肪厚,ロース芯面積,ロース芯中窒素および水分割合,腎臓脂肪融点においてヘレフォ-ド種と似た値を示した.黒毛和種は,枝肉重量は小さいが枝肉歩留,ロース芯中粗脂肪割合が大きく,皮下脂肪層はうすい傾向を示した.野草区の枝肉重量は,牧草区の値に比べ小さかったが,枝肉歩留,ロース芯中粗脂肪ならびに窒素割合は牧草区の値と差がなかった.ロース芯中水分割合は,野草区の方が牧草区の値に比べ大きかった.肥育仕上げ期間の延長により枝肉重量,枝肉歩留,ロース芯中粗脂肪割合は増加し,ロース芯中水分ならびに窒素割合,腎臓脂肪融点は減少した.濃厚飼料給与割合を多くすることにより,枝肉重量,枝肉歩留,ロース芯中粗脂肪割合,皮下脂肪厚は増加した.濃厚飼料多給による枝肉歩留の増加は,牧草区より野草区が,肥育仕上げ期間100日区より200日区が,より著しかつた.肥育期間の延長あるいは濃厚飼料の多給により,ロース芯中粗脂肪割合は高くなったが,窒素ならびに水分割合は低くなった.その傾向は,黒毛和種において著しかった.
  • 易利用性エネルギー分画としてのNFEとNCWFEの比較
    阿部 亮, 岩崎 薫, 篠田 満, 堀井 聡, 亀岡 暄一
    1984 年 55 巻 12 号 p. 952-958
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    酵素分析あるいは中性デタージェント分析と一般分析との組合わせによって,非構造性炭水化物および有機酸など,易消化性の炭水化物群を一括して示す新らしい分画,可溶無窒素•無繊維分画(NCWFE)の栄養学的な性質を従来の可溶無窒素物(NFE)と比較した.試料としては乾草,稲ワラ,トウモロコシサイレージ,トウモロコシ子実,配合飼料,混合飼料およびビートパルプを供試した.その結果,多くの試料でNCWFEの消化率はNFEの消化率よりも有意(P<0.05)に高い値を示した.また,NCWFEの場合,乾物中の含量と可消化量との間には非常に高い相関係数が得られ,回帰推定の標準誤差も1%前後の小さな値を示すところから,この分画が栄養的にも均一なものである事が示された.
  • 古谷 修, 長野 錬太郎
    1984 年 55 巻 12 号 p. 959-963
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚小腸液を用いる人工消化試験(in vitro法)によって測定した人工消化率の実験室間差および小腸液採取豚に給与する飼料の質が人工消化率におよぼす影響について検討した.1) 豚用の配合飼料AおよびBを豚小腸液の凍結乾燥品とともに5つの実験室に配付し,各実験室でin vitro法の実施要領に基づいて乾物および粗蛋白質(CP)の消化率を測定した.その結果,人工消化率には有意の実験室間差が認められ,乾物およびCPの消化率の実験室間差は,消化率単位としてそれぞれ最大2.7および5.0であった.このことは,未知試料の人工消化率を実験室間で比較する場合には,いくつかの共通した試料を同時に測定しこれらの値によって未知試料の消化率を標準化する必要のあることを示している.2) 空腸上部にカニューレを装着した子豚6頭を用い,3種の飼料,すなわち,基礎飼料(CP19.2%),コーンスターチ20%飼料およびカゼイン10%飼料を給与し,採取した小腸液によって飼料AおよびBの乾物およびCPの人工消化率を測定した.その結果,小腸液採取豚に給与した飼料の種類によって小腸液活性に有意の影響は認められなかった.
  • 帖地 孝人, 宮花 浩一, 氷上 雄三, 長谷川 信, 水野 利雄
    1984 年 55 巻 12 号 p. 964-972
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏ヒナの血清および肝臓脂質含量に及ぼす穀類飼料給与の影響を検討した.1) 同一代謝エネルギーの条件下で,各種穀類飼料を比較した場合,血清および肝臓の総脂質(TL)量は,トウモロコシまたは玄米飼料を給与した場合に最大で,小麦飼料給与がこれに次ぎ,大麦,裸麦またはライ麦飼料給与の場合が最小であった.2) 精白した裸麦飼料を給与すると,血清のTLおよびコレステロール含量並びに肝臓のTL含量は,全粒裸麦飼料を給与した場合とほぼ同程度の値にまで低下した,裸麦ヌカをトウモロコシ澱粉飼料に25%の割合で添加すると,血清のTLおよびコレステロール含量は減少するが,肝臓のTL含量は影響を受けなかった.3) 1%コレステロールを含むトウモロコシ澱粉飼料に裸麦ヌカを添加した場合も,血清のTL,トリグリセリド(TG)およびコレステロール含量は減少したが,肝臓の脂質含量には影響が認められなかった.4) 裸麦ヌカを添加したトウモロコシ澱粉飼料を,自由摂取時の130%相当量の割合で強制給与すると,裸麦ヌカ無添加のトウモロコシ澱粉飼料を強制給与した場合に比べ,肝臓のTLおよびTG含量は低下したが,血清の脂質含量には差が認められなかった.
  • 加藤 清雄, 宇佐見 祐基, 牛島 純一
    1984 年 55 巻 12 号 p. 973-977
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) めん羊の膵外分泌に及ぼす採食の影響を明らかにするために本試験素行なった.採食により膵液流量は2相性に増加した.採食開始30分後に最大となり,その後一時的な低下を示した後,採食開始後80~120分に再び緩徐な増加を示した.タンパクおよびアミラーゼ放出量も採食開始直後に増加を示した.
    2) 十二指腸への食渣流入を抑制するために第四胃カニューレから内容物を体外に流出させたところ,膵液流量は低下した.このような条件下で飼料を給与したところ,膵液流量,タンパク放出量およびアミラーゼ放出量はそれぞれ,2.55倍,2.76倍および2.69倍と著明な増加を示した.
    3) 通常飼養条件下における採食開始直後の膵液流量増加は迷走神経の活動が高まったことによると思われる.
  • 吉田 治弘, 池本 卯典
    1984 年 55 巻 12 号 p. 978-980
    発行日: 1984/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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