日本畜産学会報
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55 巻, 5 号
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  • 中村 政幸
    1984 年 55 巻 5 号 p. 291-298
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 堀米 隆男, 大熊 哲夫, 牟田 誠
    1984 年 55 巻 5 号 p. 299-306
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    蛋白質の消化率に及ぼすニセアカシア葉タンニンの影響について実験を行ない,次の結果を得た.(1) ニセアカシア葉のアセトン処理粉末を唯一の蛋白源としてラットに給与した時の蛋白質消化率は49.1%と低かったが,ポリエチレングリコール(PEG 4000)を添加したところ,蛋白質の消化率は70.7%と向上した.また,増体量,蛋白効率も改善された.しかし縮合性タンニンを含有していないビールカス粉末飼料では,PEGを添加しても蛋白質の消化率には変化はなかった.(2) ニセアカシア葉粉末飼料を給与した場合,給与PEGに対する糞中水溶性PEGの回収率は46%であったが,ビールカス粉末飼料を給与した時のPEGの回収率は91%であった.ニセアカシア葉粉末を給与した場合,摂取PEGはニセアカシア葉の縮合性タンニンと水不溶性の複合物を形成し,排泄されるために糞中水溶性PEGは減少し,それにともなって蛋白質はタンニンとの反応からまぬがれ,消化率が向上するものと考えられた.(3) ニセアカシア生葉から調製した粗タンニンを,カゼインを唯一の蛋白源とする飼料に混合し,ラットに給与して蛋白質の消化率を測定したところ,タンニン量が多くなるとともに蛋白質の消化率が低下した.この場合,タンニンを単に飼料に混合しても,蛋白質•タンニン複合物として給与しても,蛋白質の消化率低下には差異はなかった.また蛋白質•タンニン複合物の消化率はPEGの給与により改善することが認められた.なお蛋白質をニセアカシアタンエンと混合,65°Cで乾燥し複合物を調製した場合には,アミノ酸の損失は起らなかった.以上の結果から,ニセアカシア葉蛋白質の栄養価の低いのは,縮合性タンニンの存在により蛋白質の消化が阻害されるためであると考えられる.
  • 渡辺 誠喜, 半澤 恵, 神田 幸子, 横浜 道成, 茂木 一重
    1984 年 55 巻 5 号 p. 307-314
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    馬赤血球の遊離アミノ酸をろ紙電気泳動法により調査し,その泳動像のうち,特に塩基性アミノ酸バンドの濃度に変異が存在することを見出した.そこでこの変異に基づき828頭の赤血球を2つの型に大別し,ついでそのアミノ酸組成を分析するとともに,赤血球のナトリウム(Na)およびカリウム(K)濃度,還元型グルタチオン(GSH)濃度並びにGPTおよびGOT活性値との関係を調査した.アミノ酸の分析はろ紙電気泳動法によるニンヒドリン反応並びにアミノ酸自動分析装置により,NaおよびK濃度は炎光分析法により,還元型グルタチオン(GSH)濃度はE. BEUTLERらのDTNB法1)により,GPTおよびGOT活性値はREITMAN-FRANKEL変法2)を赤血球用に改良した方法3)によりそれぞれ測定した.その結果,次のような成績を得た.1) 赤血球の遊離アミノ酸は,ろ紙電気泳動法による泳動像において,すべての個体で陰極側に2本,陽極側に1本,計3本のバンドに分離されるが,そのうち塩基性アミノ酸からなる陰極側の1本のバンドの相対濃度の差により,Basic amino acid陽性型(BA+型)とBasic amino acid陰性型(BA-型)の2つの型に大別された.2) 両型の遊離アミノ酸組成を調査したところ,いくつかの含有アミノ酸に著しい濃度差が認められた.総アミノ酸濃度は,BA+型14.8±1.2mM, BA-型6.8±0.50mMであり,BA+型はBA-型に比し約2.2倍高濃度であった.3) 遊離アミノ酸型とNaおよびK濃度との関係を調査したところ,Na濃度,K濃度およびNaとK濃度の和のいずれにおいても,BA+型はBA-型より低い値を示した.4) 還元型グルタチオン(GSH)濃度は,遊離アミノ酸型の間で有意な差が認められなかった.5) GPTおよびGOT活性値は,両型の間で有意な差は認められなかったが,両酵素の活性値とも,BA+型がBA-型に比し,やや低い傾向にあった.
  • 佐藤 勝紀, 山本 敏幸, 伊東 伸一, 小林 英文, 猪 貴義
    1984 年 55 巻 5 号 p. 315-321
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は,近親交配が日本ウズラの受精率,孵化率,育成率に及ぼす影響について検討する目的で,きょうだい交配によって近交世代を進めた場合の受精率,孵化率,育成率,適応度指数(受精率×孵化率×育成率)の推移を無作為交配群と比較して検討した.
    近交群では1世代目16系統36家系で出発したが,4世代目では3系統14家系となり,系統数,家系数は急激に低下した,これに対して,無作為交配群では毎世代40家系が維持された.近交群における受精率,孵化率,育成率および適応度指数はいずれも近交に伴い急激に低下した.これに対して,無作為交配群では各世代とも高い値が維持された.
    形質の退化現象について回帰の面から検討した結果,受精率,孵化率,育成率,適応度指数は近交係数10%増加あたり,それぞれ2.16,5.98,5.52,7.50%低下した.育成率と適応度指数では有意な回帰係数が得られた.
    以上の結果から,近交に伴う受精率,孵化率,育成率および適応度指数の低下は,ヘテロ接合体の減少に伴うホモ接合体の増加に起因するものと考察される.
  • 向井 文雄, 北山 佳世, 福島 豊一
    1984 年 55 巻 5 号 p. 322-331
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    能力検定および後代検定の2段階にわたる選抜が各段階の対象形質(形質1;形質2)の遺伝的改良量に及ぼす影響をシミュレーション法により検討した.集団の大きさは1,000(雌雄各500)とし,第1段階選抜は形質1による個体選抜(選抜率は雄10%,雌40%),第2段階は形質2の後代の平均による選抜(選抜率は雄に対してのみ50%)を10世代にわたり実施した.両形質は2遺伝子群上の2対立遺伝子を持つ14遺伝子座に支配され,基礎集団の遺伝子頻度はいずれも0.5とした.相加的遺伝様式を想定して遺伝子型価を決定し,表型価は遺伝子型価に環境偏差(NID(0,σe2))を加え算出した.初期遺伝率(h210;h220)は0.6, 0.4および0.2を組合わせ,初期遺伝相関(rgo)は多面作用による0.16, 0, -0.16を設定した.したがって計27通りの選抜実験を実施し,両形質の累積改良量(ΔCG1;ΔCG2)を算出した.結果は第1あるいは第2段階選抜のみを行なった場合の10世代時の累積改良量を対照として%表示した.ΔCG1は中期までは対照区と大差はないが,後期にはrgoが低く,h220が高いほど低下した.ΔCG2は2形質の遺伝率と遺伝相関の組合わせにより異なり,rgoが正でh220が0.6の場合,ΔCG2は対照区に比べ低かったが(10世代において対照区の60~80%),h220が0.2では間接選抜反応が加わり大きなΔCG2(120~140%)を示した.逆にrgoが負の場合,ΔCG2は著しく低下し,最も高い場合でも40%(h210=0.2,h220=0.6)にとどまった.この傾向はh210が高いほど顕著で,h210=0.6では負のΔCG2さえ示した.rgoが0の場合のΔCG2は,初期には対照区と大差はないが,後期には低下し,rgoが正の場合と負の場合との中間を推移した.
  • 佐藤 衆介, 志岐 秀雄, 山崎 藤登
    1984 年 55 巻 5 号 p. 332-338
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    個体として扱いやすい牛を作る目的で,哺乳期の子牛を愛撫して飼育した.その後,継時的に個体としての扱いやすさを人に対する恐怖反応性から,群としての扱いやすさを他個体との関係(社会行動)から調査した.5頭の子牛を生後すぐ単飼し,35日齢まで毎日90分間全身をなでたり,軽くたたいたりして飼育し,35日齢で早期離乳した.2か月齢からは同じ頭数の対照牛と群飼した.人に対する恐怖反応性を,採食時に人が飼槽に手を入れた場合,人が牛房内に入った場合,体各部位に触れた場合および牛衡器までの引き運動時に調査した.社会行動として敵対関係を表わす攻撃行動,親和関係を表す社会的舐行動および集合関係を表す放牧時個体間距離を調査した.その結果,引き運動以外の愛撫処理に似る操作に対しての,愛撫処理牛の恐怖反応は,対照牛のそれに比べ一時的に弱かったが,その差は愛撫処理を終えてから2~5か月後から徐々になくなり,永続性がみられなかった.愛撫処理に似ない操作である引き運動に対する反応性および社会行動については,初期愛撫の効果はほとんどみられなかった.このように後の行動に永続的な効果をもたらさないことから,一時的な初期愛撫は個体としての扱いやすさをほとんど改善しないし,群としての扱いやすさもまったく阻害しないものと考えられた.
  • 鄭 正權, 長澤 太郎
    1984 年 55 巻 5 号 p. 339-349
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ビフィズス菌をL. caseiと混合培養した時,ビフィズス菌の発育性が著しく改善された.従ってこの原因を究明するために窒素源供給の観点から,L. caseiにより牛乳中で形成される低分子窒素化合物特にペプチドおよび遊離アミノ酸を分離し,それらがビフィズス菌の生酸性への効果について検討した.使用した菌種はBifidobacterium breve, B. infantisおよびL. caseiであった.培養〓液の調製はDAHIYEら,遊離アミノ酸の除去はMARKOVITZらの方法によった.主要な結果は次の通りである.
    1. L. caseiの24時間培養の培養〓液およびその〓液から遊離アミノ酸を除去したものをそれぞれ牛乳に添加し,ビフィズス菌の生酸性への影響について検討した結果,両培養〓液とも対照に比して生酸性促進の効果が認められ,その促進効果は前者の培養〓液の方がより大であった.
    2. 牛乳に各種アミノ酸の単独または混合添加,さらには除去試験の結果,ビフィズス菌の生酸性を著しく促進したアミノ酸は,cystineで,その効果はB. breveよりB. infantisの場合に大であった.IsoleucineおよびtryptophanはB. infantisの酸生産を阻害したが,cystineとisoleucinxあるいはtryptophanとの混合添加では,isoleucineまたはtryptophanの添加量の増加にてよって,cystineの促進効果は著しく阻害された.
    3. L. caseiによる培養〓液をSephadex G-15でゲル〓過し,生酸性促進効果を示す画分から,〓紙電気泳動により5種のペプチドを単離したがそれらの分子量の範囲は948から2,319であった.なおそれらのペプチド中に見出されたLys, Met, Ala, LeuとValがビフィズス菌の生酸性を促進するものと推察された.
  • 西田 朗, 林 孝, 長嶺 慶隆
    1984 年 55 巻 5 号 p. 350-355
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    先に発表した理論を拡張して,選抜指数による継続的な選抜の効果を推定する方法を明らかにした.理論に基づくシミュレーションにより,選抜指数を用いた継続的な選抜の効果を推定したところ,つぎのことが明らかになった.
    1. 集団平均は選抜の世代が進むにつれて,選抜限界に漸近する型の反応曲線を示し,遺伝分散は世代とともに減少した.これらの変化のパターンは,-形質に対する選抜の結果と同様であった.2. 改良するために選抜指数式に含まれている形質間の基礎集団における遺伝相関は,すべて世代とともに-1.0に向かって変化した.また,形質間の遺伝的回帰は,いずれも,選抜により変化した.これらの結果は,-形質に対する選抜の結果とは異なるものであった.
    今後,選抜された個体の遺伝的性質が,交配によってどのように変化して子に伝わるかを研究する必要がある.
  • 小林 茂樹, 石岡 宏司
    1984 年 55 巻 5 号 p. 356-359
    発行日: 1984/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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