日本畜産学会報
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55 巻, 9 号
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  • 伊藤 房夫, 高野 司郎, 岡崎 光幸, 泉 〓夫, 村上 俊明, 清間 通, 野田 一臣, 富田 節雄, 高瀬 守史, 益田 邦郎, 工藤 ...
    1984 年 55 巻 9 号 p. 619-627
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    抗生物質飼料添加物サリノマイシン(SL)の育成豚における増体促進効果と飼料要求率の改善効果およびそれらのSL至適濃度を検討するため,離乳子豚430頭を用い,SL0,25,50および100ppm添加飼料給与による12週間(哺乳期4週間,子豚期8週間)の野外飼養試験を,山形,石川,鳥取,島根の4県(4場所)で合計15回実施した.SL25~100ppm添加による増体促進効果と飼料要求率の改善効果は子豚期において著しく,増体量は13~15%(P<0.05)増加し,飼料要求率は6~8%(P<0.05)改善された.SL濃度と増体量および飼料要求率との間に成立した有意(P<0.01)な二次回帰式y=-0.00106x2+0.151x+32.94(R2=0.700)およびy=0.000036x2-0.00555x+2.693(R2=0.732)から,子豚期の増体量および飼料要求率におよぼすSL最適濃度は71ppmおよび77ppmと推定された.また,試験全期間では増体量が11~13%増加し,飼料要求率は6~7%(P<0.05)改善された.子豚期同様に,それぞれの有意(P<0.01)な二次回帰式y=-0.00136x2+0.181x+42.73(R2=0.734)およびy=0.000038x2-0.00547x+2.556(R2=0.795)から,試験全期間の増体量および飼料要求率におよぼすSL最適濃度は67ppmおよび72ppmと推定された.本試験の結果から,育成豚におけるSLの増体促進効果と飼料要求率の改善効果を確認するとともに,哺乳期,子豚期および試験全期間に得られる効果に対してのSL最適濃度は50~80ppmの範囲に含まれることを確認した.さらに,SL100ppm以下の添加では育成豚に悪影響が認められないことや,SL添加飼料の給与休止1日後の畜産物からはSLが検出されないことを確認した.
  • 石橋 功, 佐藤 邦忠, 大沢 満
    1984 年 55 巻 9 号 p. 628-634
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン未経産牛にprostaglandin F2α (PG)と低単位のPMSGおよびhCGを投与して,卵巣の反応を調べるとともに,血清中のprogesterone (P), estrone (E1)およびestradiol-17β(E2)値をradioimmunoassay法によって測定した.1)PG処置後発情開始までの時間は,PG処置,過排卵処置I(PG処置後PMSG投与),II群(PG処置前PMSG投与)の間に有意な差はなかった.PG処置群の発情持続時間は,無処置より短かく,過排卵処置I群は無処置,IIは無処置およびPG処置群より長かった.2)過排卵処置IIの黄体数はI群より多く(2.3個に対し4.4個),残存卵胞数は少なかったが(7.6個に対し1.0個),有意な差ではなかった.3)PG処置および過排卵処置I,II群のP値は,PG投与後11/2日以内に1ng/ml以下となり,day 5又はday 2~3(day 0:発情開始日)まで持続した.4)PG処置牛のE1値は,発情開始まで無処置より高いが,その後両者はほぼ同様の値と推移を示した.E2値はE1値より低く,その変動も大きくなかった.無処置およびPG処置群のEt(E7+E2)値は,E1と似た推移をたどり,day 1または1/2に最高値(28.3および31.1pg/ml)に達した.5)過排卵処置I群のE1,EZおよびEt値とその推移は,個体により一様でなかった.II群のE1値はE2より高い値で,両老はほぼ平行して推移し,Et値はP値の減少より前に上昇を開始して,発情開始時(29.5pg/ml)とday 3(22.9pg/ml)に高値を示した.6)以上の結果から,PG投与前に1500IU程度のPMSG処置を行うのも,過排卵誘起方法として検討に値すると考えられた.
  • 川島 光夫, 栄 昭博, 上吉 道治, 田中 克英
    1984 年 55 巻 9 号 p. 635-642
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種産卵鶏の卵管子宮部のCytosolおよび細胞核画分のいずれにおいてもエストロジェンに対する選択的結合性(結合特異性)と結合飽和性とが認められた.結合物質の解離定数(Kd)は Cytosolおよび細胞核画分のいずれにおいても10-10Mのオーダーの値であり,NBS max(最大結合部位数)は Cytosolにおいては蛋白質1mg当り10-14~10-15molesであり,細胞核画分においてはDNA 1μg当り10-16~10-15molesであった.この結合物質のKd値は産卵鶏と休産鶏とで差がなく,NBS maxは産卵鶏の方が大であった.休産鶏にエストラジオール•17βを投与すると Cytosolおよび細胞核画分のKd値には顕著な変化は認められないが,NBS max値はCytosolにおいては減少し,細胞核画分においては増加した.上記の結果より,鶏の卵管子宮部の Cytosolにはエストロジェン•レセプターが存在し,細胞核にはレセプター•エストロジエン複合体が存在にるものとみなされ,この組織に対にるエストロジェンの作用は血液中のエストロジェンが細胞質中のレセプターと結合し,この複合体が細胞核へ移行するという機序によるものと思われる.
  • 角田 幸生, 安井 司, 杉江 佶
    1984 年 55 巻 9 号 p. 643-647
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    交配後2~2.5日目に採取した14個のヤギ2~4細胞期胚をマイクロマニプレーターを用いて2群の割球に分離し,寒天で2重包埋後,結紮したヤギ卵管に仮移植して,5日間生体内で発生させた.仮移植した28個の2分離胚(14組の分離胚)のうち21個(10組の分離胚)が回収され,そのうち16個(7組の分離胚)が桑実胚~胚盤胞に発育していた.これらの7組の2分離胚をdonorと発情日が同じか,あるいは1日遅く発情のみられた7頭のヤギ子宮に移植した結果,5頭が妊娠し,1頭は妊娠61日目に流産したが残り4頭は正常子を分娩した.4頭のうち2頭は一卵性双子を分娩したが,残り2頭は単子であった.近年,マウス1-3),ヒツジ4,5),ウシ6-8)およびウマ9)において,1個の初期発生胚をマイクロマニプレーター3用いて2個に分離あるいは分割し,その一組の分離胚をrecipientに移植することによって一卵性双子の得られることが報告されている.この技術を用いることにより,すぐれた遺伝形質を有する雌畜の増産3おもな目的として進められている受精卵移植において,貴重な胚を有効に利用でき,また性の異なる2個の胚を移植した時に生じるフリーマーチンの出現を阻止することができる.さらに,一卵性双子を種々の試験研究に用いれば,遺伝形質の相違による影響を除くことができ,信頼性の高い結果を得ることができるので供試動物としてきわめて有用である.したがって,成功率が高く,簡便な一卵性双子作製技術の開発が望まれている.著者ら10)は,さきに1個のヤギ胚を分離あるいは切断して得られた2分離胚をrecipientに移植することによって産子を得たが,一卵性双子を得るには至らなかった.今回さらに実験を進め,2例の一卵性双子ヤギを作出することに成功したので,その成績について報告する.
  • 山内 清, 森 弘, 大橋 登美男, 芳賀 聖一, 原田 宏, 福原 利一, ピアソン M.A.
    1984 年 55 巻 9 号 p. 648-654
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,新生子牛から215日齢までの発育段階の合計11頭のホルスタイン種雄子牛の胸最長筋(LT),大腿二頭筋(BF)および咬筋(M)を用いて,筋脂質の脂肪酸組成並びにα-トコフェロール(α-Toc)と高度不飽和脂肪酸(PUFA)またはPUFA>18:2(二重結合を3個以上有するPUPA)との量的関係を調べた.筋脂質(全脂質),PUFA, PUFA>18:2およびα-Toc含量は,M筋,BF筋,LT筋の順でM筋が最も高い傾向を示した.M筋の全脂質,PUFAおよびPUFA>18:2の含量は,加齢に伴って増加したが,他の両筋肉では同様な傾向を認めなかった.しかし,LTとBFの両筋肉のPUFAおよびPUFA>18: 2含量は,新生子牛に比較して加齢した子牛が高い値を示した.α-Toc含量は,BF筋とM筋において,加齢に伴って増加の傾向にあった.3種類の筋肉の脂質の脂肪酸組成の共通した特徴は,加齢に伴うオレイン酸の減少とリノール酸の増加であった.この両脂肪酸の顕著な変化は,飼料脂質の脂肪酸組成の影響を受けたものと推測され,また,この変化は極性脂質画分(主としてリン脂質)における両脂肪酸の変化を最もよく反映していた.全脂質のPUFAおよびPUFA>18:2グラム当りのα-Toc濃度は,それぞれ0.57~2.99および1.09~3.83μmolの範囲であった.また,極性脂質の該当するそれぞれのα-Toc濃度は,0.52~2.72および0.96~3.37μmolであった.α-Toc濃度(μmo1/g PUFA or PUFA>18:2)には,筋肉部位および年齢による相違が認められなかった.本研究で得たα-Toc濃度は,豚各格筋の文献値に一致していた.
  • 二宮 博義, 中村 経紀
    1984 年 55 巻 9 号 p. 655-660
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタに自然発生した潜伏精巣(一側性)の血管系の変化を,アクリル樹脂鋳型法で肉眼および走査型電子顕微鏡で立体的に観察した.また,比較のために反対側の陰嚢内(正常)の精巣も同様の方法で標本を作成して観察した.潜伏精巣では正常な精巣に比べ,主要血管が著しく蛇行しており,精細管をとりまく毛細血管には退行変化と思われる所見が認られ,その毛細血管網も荒廃していた.こうした血管系の変化と潜伏精巣に特有の精上皮脱落との関連について考察した.
  • 宮崎 昭, 笠置 慎一, 水野 利雄
    1984 年 55 巻 9 号 p. 661-669
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    奈良公園のシバ草地に棲息する天然記念物ニホンシカの生活適正頭数を決定するための調査の一環として,ニホンシカによるシバの消化率を測定した.麻酔銃を用いて,3頭の成雌シカを捕獲し,糞尿分離の可能な飼育室内に入れ,5日間の馴致,ついで10日間の予備飼育ののち,5日間を試験期間として,全糞採取による消化試験を行なった.1号シカと2号シカにはシバ乾草,3号シカにはアルファルファ(2番刈)乾草を1日1回給与した.その摂取量は1日,体重1kg当たり,1号シカで平均13.8g,2号シカで18.8g,3号シカで12.9gであった.一般成分,NDFおよびADFについての見かけの消化率(%)は,つぎのようであった.シバの乾物,1号シカ,65.0,2号シカ,62.5;アルファルファの乾物,3号シカ,60.2,粗蛋白質,74.0, 73.3; 65.3,粗脂肪,61.7, 60.2; 48.8,粗せんい,64.0, 62.6; 61.1,NFE,65.4, 61.7; 60.8, NDF,64.9, 66.5; 65.0,ADF,64.4, 60.1; 60.0,ヘミセルロース(NDF-ADF),65.4, 72.6; 72.8.そして可消化粗蛋白質食量はシバとアルファルファで,それぞれ乾物当たり11.0%と10.3%,可消化養分総量は同じく,64.0%と58.4%であった.その結果,奈良公園に野生するニホンシカは,常食しているシバを消化する能力についてきわめてすぐれており,公園内のシバ草地の牧養力は,シバが生育する4月から9月末にかけての半年間は1ヘクタール当たり,成動物として12~14頭と推定された.
  • 久米 新一, 向居 彰夫, 柴田 正貴
    1984 年 55 巻 9 号 p. 670-676
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種牛の体内における銅およびモリブデン濃度におよぼす給与飼料の銅おこびモリブデン含量の影響について検討した.九州農業試験場および熊本県内の酪農家で飼養されていた37頭のホルスタイン種牛の,生体試料の銅およびモリブデン濃度を調べた.初生子牛2頭と1ヵ月齢の子牛1頭の肝臓および腎臓の銅濃度は,それぞれ192-231および10-17ppmの範囲にあったが,14頭の成牛のそれらはそれぞれ4-170および14-22ppmの範囲にあった.一方,初生子牛2頭の肝臓および腎臓のモリブデン濃度は,それぞれ2.86-3.82および1.54-1.61ppmの範囲にあったが,14頭の成牛のそれらはそれぞれ4.06-5.40および1.78-2.72ppmの範囲にあった.また成牛5頭の肝臓の銅濃度は10ppm以下の低い値を示し,そのうち泌乳牛1頭は下痢症状が顕著であった,粗飼料の銅濃度は配合飼料のそれよりも低い値を示したが,給与飼料のモリブデン濃度は1.2ppm以下であった.また肝臓,腎臓,血液およびふんの銅濃度は給与飼料中の銅含量に影響されたが,それらのモリブデン濃度は給与飼料中のモリブデン含量に影響されなかった.さらに,摂取飼料中の銅濃度が低下するにつれて肝臓の銅濃度が低下したことや,肝臓の銅濃度が10ppm以下の低い牛は銅が欠乏していたとみなされたので,長期にわたって銅が不足した飼料を給与した場合には,銅欠乏症が発生する可能性のあることが推察された.しかしながら,銅欠乏におよぼすモリブデンの影響は明らかではなかった.
  • 木曽 康郎, 山内 昭二
    1984 年 55 巻 9 号 p. 677-681
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    グルコース6リン酸脱水素酵素(G-6-PDH)は,ペントースリン酸回路内で,6ホスホグルコン酸脱水素酵素とともに,NADPの産生を行なう.この産生されたNADPはステロイドの水酸化と直接関係している.本実験は,イヌ胎盤の迷路部,接合帯および血腫部の栄養膜におけるG-6-PDH活性を,組織化学的に明らかにするために行なった.妊娠30日から満期までの計7例のイヌ胎盤を用いた.採取した材料は,クリオスタットで10μmの切片とし,RUDOLPH & KLEINの方法に準じてG-6-PDHを検出した.Sudan Black BおよびOil red Oによる脂質染色,ならびにコレステロールとそのエステルの検出も行なった.迷路部の栄養膜は,細胞性栄養膜と合胞体性栄養膜とから構成されるが,両者に中等度以上の酵素活性が認められた.一方接合帯および血腫部のそれは,細胞性栄養膜のみで構成されるが,弱度の酵素活性を示した.酵素活性の経時的変化はみられなかったが,満期には減少した.迷路部の栄養膜に微細な脂質滴,一方接合帯および血腫部のそれに大型脂質滴が認められた.しかしながら,接合帯の栄養膜には少量のコレステロールとそのエステルが存在したが,迷路部および血腫部のそれには存在しなかった.
  • 村松 達夫, 若山 英生, 加藤 政宏, 田先 威和夫, 奥村 純市
    1984 年 55 巻 9 号 p. 682-693
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    蛋白質飢餓の鶏ヒナを用いた実験(実験1,2および3)において,アルギニン添加または無添加の無蛋白質飼料を自由,等量,制限および過剰給与した条件下で,含硫アミノ酸添加が肝臓および屠体中別還元型グルタチオン(GSH)および非蛋白態SH基化合物(NPSH)含量を増加させるか否かについて検討した.
    飼養条件やアルギニン補足にかかわらず,肝臓および屠体GSHおよびNPSHはほとんどすべての場合において含流アミノ酸添加によって上昇し,窒素出納も改善された.窒素出納とGSHまたはNPSH含量の相関関係から,GSHおよびNPSH,特に後者は鶏ヒナが蛋白質飢餓になった際のアミノ酸補足によって窒素節約作用が生じる機構に密接に関連していることが考えられた.
    実験4ではGSH分解の最初の段階を触媒する酵素,γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(EC 2.3.2.2)(γ-GTP)活性を20%CP,無蛋白質およびアミノ酸補足無蛋白質飼料を給与した鶏ヒナの腎臓と肝臓について測定した.無蛋白質飼料給与は20%CP飼料給与に比べ腎臓γ-GTP活性を上昇させたが,メチオニン単独またはアルギニンとの組み合わせ添加によって,ほぼ20%CP飼料のレベルにもどった.これに対し,アミノ酸添加は肝臓γ-GTP活性には影響を与えなかった.
    本実験結果より,システィンが窒素節約作用をもたらす主な原因と推測されたが,GSHの直接的関与の可能性も完全には否定できなかった.
  • 伊藤 整, 阿久澤 良造, 鎌田 信一
    1984 年 55 巻 9 号 p. 694-695
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 葛谷 泰雄, 金丸 義敬, 棚橋 保
    1984 年 55 巻 9 号 p. 696-698
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 唐澤 豊
    1984 年 55 巻 9 号 p. 699-701
    発行日: 1984/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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