日本畜産学会報
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56 巻, 11 号
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  • 加藤 征史郎
    1985 年 56 巻 11 号 p. 843-850
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 中村 豊郎, 矢野 幸男, 羽田 輝美
    1985 年 56 巻 11 号 p. 851-859
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛赤肉,ビーフ•デファッティド•ティシューおよび豚赤血球を原料とし,麹を加え,一般の醤油の製造方法に準じて発酵調味料を作成した.発酵期間1か月ごとに4か月目まで,諸味の一般生菌数,乳酸菌数,カビ数,酵母数を測定し,また,諸味を〓過後火入れし,さらに〓過して調製した調味液について,pH,全窒素,ホルモール態窒素,遊離グルタミン酸,色調を測定した.さらに,発酵の終了した4か月目の試料については,ボーメ度,塩分,純エキス,全糖,アルコール,酸度を測定し,また,市販薄口醤油を対照として,官能検査を実施した.仕込時に,Pediococcus halophilusの培養液を加え,直ちに30°Cで発酵を開始したところ,仕込後1か月でpHは4.50~4.75に達し,以後はほぼ一定の数値で推移した.全窒素,ホルモール態窒素,遊離グルタミン酸は,いずれも経時的に増加し,発酵が順調に進行したことがうかがえ,分解率も仕込後1か月で41.7~44.1%に達し,以後はゆるやかにこ増加して,4か月目でも45.8~51.7%であった.色調の変化では,牛赤肉,豚赤血球調味液が,3か月目に市販薄口醤油に近い色調になったが,ビーフ•デファッテッド•ティシュー調味液は,4か月目でも薄い黄褐色を呈するにすぎなかった.今回は,諸味にPc. halophilusおよびSaccharomyces rouxiiの培養液を加えたが,諸味中の微生物数は,一般生菌数が106~107/gの範囲で漸減し,カビは発酵前半期に死減した.また,乳酸菌数,耐塩性酵母数の最大値到達時期は一般の醤油の発酵に比較して早いことが推察された,4か月間の発酵終了後の調味液の分析値を市販薄口醤油と比較すると,全窒素,ホルモール態窒素,純エキスは大差ないものの,遊離グルタミン酸は原料のアミノ酸組成を反映して2分の1から3分の1であり,特に豚赤血球調味液では最も少なかった.各調味液とも,全糖,アルコールは低い数値であり,pHもやや低く,酸度は高く,酸生成がやや過度であると考えられた.また,豚赤血球調味液中の鉄は22ppmで,一般の醤油と大差なく,原料から移行すると思われた高濃度の鉄の遊離はなかった.各調味液とも醤抽に近い色とフレーバーを有していたが,官能検査では,とりわけ豚赤血球調味液の色と外観,香りは良い評価であった.総じて,各調味液とも比較的良好な色と外観,香り,味を有し,調味素材として充分評価できるものであったが,うま味が少なく,酸味がやや強く感じられた.
  • 柿市 徳英, 鎌田 信一, 小林 茂, 内田 和夫
    1985 年 56 巻 11 号 p. 860-865
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    公共用水域における富栄養化防止を目的に,ばっ気式ラグーン法による豚糞処理での窒素除去効率を向上すべく基礎的実験を行なった.そこで,ORPの減少速度,酸素消費速度(OUR),添加TOC濃度,MLSSおよび硝酸性窒素濃度が脱窒速度や窒素除去率にどのような影響を認めるかを調査した.運転方法は回分式の5日滞留により,ゆるい脱窒攪拌を5時間行なった.その結果は次のとおりである.1. 添加TOC濃度の高いほど,ORPの減少が速い傾向を認めた.しかし,MLSS濃度のORP減少への影響は添加TOC濃度より小さかった.2. 添加TOC濃度150mg/l以上でのMLSS1g当りのOUR(mgO2/g MLSS/hr)は,ほぼ一定値を示した.一方,MLSS濃度とエァレーションタンク単位容積当りのOUR(mgO2/l/hr)は正の相関を認めた.3. エァレーションタンク単位容積当りのOUR(mgO2/l/hr),硝酸態窒素濃度あるいはMLSS濃度のそれぞれと脱窒速度に正の相関を認めた.4. MLSS濃度5000~6000mg/l,硝酸性窒素18~22mg/lおよび添加TOC 440~640mg/lの条件下で2時間以上のゆるい攪拌時間をもてば80~85%の脱窒率が得られた.以上より,ばっ気式ラグーン法への生物学的脱窒法の応用の可能性が示唆されるとともに脱窒のための有機炭素源として供試汚水の前処理豚糞が使用できることが分かった.さらに,この成績を基礎として半回分式に応用し,長期間の脱窒運転を試みる予定である.
  • 大城 政一
    1985 年 56 巻 11 号 p. 866-871
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験はヤギを用い,一定時間内に採食する量と同一量を第一胃フィステルから強制給餌した場合,その後の採食量,反芻行動や生理諸元に及ぼす影響を,正常採食および絶食実験と比較し,口腔から採食することの意義について検討を加えたものである.実験は正常採食(6時間採食),第一強制給餌(最初の2時間を強制給餌),第二強制給餌(最初の4時間を強制給餌)および絶食の4実験を行なった.総採食量は3実験で1149±149g/日,総飲水量は4実験で2500±343ml/日の範囲にあった.咀嚼回数と時間および採食速度は採食開始により,正常採食実験,第一および第二強制給餌実験共に強制給餌の有無に関係なく同様な値を示した.また,強制給餌実験の反芻回数と時間は,絶食実験に近い値を示した.第一胃内温と直腸温は強制給餌により上昇を示したが,正常採食時よりは低い値であった.また,呼吸数と心拍数も強制給餌によって高い値を示したが,正常採食時よりは常に一定の低い値を示した.これらの結果は強制餌された飼料と,口腔から摂取された飼料とは,咀嚼行為の有無によって生体に与える生理的影響が異なることを示すものである.
  • 上田 博史
    1985 年 56 巻 11 号 p. 872-877
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    子豚の鉄欠乏性貧血は,通常デキストラン鉄の筋肉内注射によって予防あるいは治療されている.本研究は,新生豚の腸管でみられるピノサイトーシスによる取り込みを考慮して,デキストラン鉄を出生直後に経口投与し,貧血に対する予防効果を検討した.デキストラン鉄1ml(鉄として100mg)を出生後3~8時間の間に経口投与すると,ヘモグロビン量およびヘマトクリットは無処置区に比べ有意に増加し,4週齢まで十分量を維持した.赤血球数の増加もデキストラン鉄投与区で著しく,無処置区との間にみられた赤血球平均恒数の差異は,無処置区の貧血子豚の赤血球像が小球性•低色素性であることを示した.デキストラン鉄の投与時間を24~36時間まで遅らせても同様の結果を得たが,72時間以降になるとヘモグロビン量やヘマトクリットに及ぼす効果は一過性で持続性に乏しく,出生直後に投与した場合に比べ明らかに劣った.以上の結果は,デキストラン鉄を新生豚の経口鉄剤として利用することが可能であることを示した.
  • 佐藤 哲生, 岩元 睦夫, 橋詰 和宗, 吉野 正純, 古川 左近, 染谷 幸雄, 矢野 信禮
    1985 年 56 巻 11 号 p. 878-882
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    個体乳試料を用い,近赤外分光法の生乳成分測定への適用を検討した.近赤外分光分析器にはインフラライザー400D (Technicon)を,ならびに対照の分析法として,脂肪•蛋白質•乳糖率測定にはミルコスキャン203B (Foss Electric)を,全乳固形分(TMS)率測定にはTMSチェッカK375A(安立電気)を使用した.最初に48点の試料を用いて,近赤外分光分析法による各成分率算出のための重回帰式の設定を行なった。次にこれとは異なる48点の試料について,先に求めた重回帰式で,各成分率を算出し,これらを対照の分析法で得た値と比較して近赤外分光分析法の適用性を調べた.その結果,回帰式のまわりの標準偏差は,脂肪:0.0483%,蛋白質:0.0455%,乳糖:0.0525%,TMS:0.0761%となり,いずれも,ほぼ満足のいく測定値が得られることが明らかとなった。TMS率は赤外線牛乳分析器による測定結果から算出する方法より精度がすぐれていた.この機種では選択できる波長フィルターが限定されているため,より精度の高い分析値を得るにはこれ以外の波長の選定を含めた検討が必要と思われる.
  • 横浜 道成, 茂木 一重
    1985 年 56 巻 11 号 p. 883-888
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    再現性および分析能が高い等電点電気泳動法(IEF)によるProtease inhibitor (Pi)型の検出法の検討を行うと同時に,軽種馬におけるPi型の分類およびその標識遺伝子としての有効性を調べた結果,次の如く成績が得られた.
    1. Pi型の泳動像をより鮮明にするため還元剤による血清処理およびSeparatorをゲルに加えたところ,Pi域とPa域間が拡大でき,さらに余分な蛋白の除去も可能となったため,各Pi型バンドがより鮮明に検出できた.また従来からXc/Xd/Xhと呼ばれている域にPi型の新しいバンドが検出できた.
    2. IEF法により検出された軽種馬のPi型はPiF,PiG, PiI, PiL, PiL1, PiM, PiN, PiS1, PiS2, PiUおよびPiZの11種類の対立遣伝子から成ることが分かった.また,PiLの頻度が44.7%と最も高い値であった.
    3. 軽種馬のPi型における理論的な父権否定の確率は0.532で,親子判定上きわめて有効な標識遺伝子であることが認められた.
  • 帖地 孝人, 宮花 浩一, 氷上 雄三, 長谷川 信, 水野 利雄
    1985 年 56 巻 11 号 p. 889-896
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    前報において,ハダカ麦添加飼料の給与によりヒナの血清および肝臓の脂質含量が低下すること,この作用が特にハダカ麦のヌカ部分に強く認められることを報告した.本実験では,脂質低下作用を示すハダカ麦ヌカ成分を明らかにするために,ヌカ部分より5種類の抽出画分(エーテル抽出物,アルコール抽出物,ガム画分,ヘミセルロース画分および抽出残渣)を調製し,各々を4%の割合で添加したトウモロコシ澱粉飼料を鶏ヒナに給与して,血清および肝臓の脂質含量に及ぼす抽出画分の影響を検討した.
    ヘミセルロース画分および抽出残渣を添加した飼料をヒナに自由摂取させた場合,血清の総脂質(TL)およびトリグリセリド(TG)含量は共に低下した.血清のコレステロール含量も,ヘミセルロース画分の添加によって低下したが,抽出残渣の添加による影響は認められなかった.また,肝臓の脂質含量は両抽出画分の添加による影響を受けなかった.両抽出画分を添加した飼料を自由摂取時のヒナの飼料摂取量の130%相当量の割合でヒナに強制給与した場合,無添加の飼料を強制給与した場合に比べ,肝臓のTLおよびTG含量は低下したが,血清の脂質含量に差は認められなかった.一方,ェーテル抽出物,アルコール抽出物ならびにガム画分には,いずれも脂質低下作用は認められなかった.本実験結果から,ハダカ麦ヌカの脂質低下作用は,ヌカ中に含まれるヘミセルロースの作用によるものと考えられた.また,抽出残渣中に含まれるセルロースも,脂質低下作用を示す成分である可能性が示唆された.
  • 志賀 勝治, 中村 靖富満, 滝 安広
    1985 年 56 巻 11 号 p. 897-904
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    大豆蛋白質の予備加熱が食肉蛋白質と大豆蛋白質の相互作用に対する影響を知るため,いろいろの強さで予備加熱した大豆酸沈殿蛋白質(以後単に大豆蛋白質と略)と鶏ひき肉の混合物の加熱時における物性を検討した.予備加熱をしない大豆蛋白質とひき肉の混合物のゲル強度,ヤング率,保水力は,いずれも低い値しか示さなかったが,予備加熱した大豆蛋白質とひき肉の混合物のそれらの値は,予備加熱時間の増加とともに増加した.それらの値は予備加熱の初期段階(0~4分)では急速に増加したが,4分以後のゲル強度の増加割合は低くなり,ヤング率と保水力の増加はほとんどなく,一定となった,混合物を加熱したとぎに分離してくる液汁中の蛋白質の量は,予備加熱が進むに従って減少した.大豆蛋白質中のスルフドリル基の量は,予備加熱時間が4分までは増加したが,4分以後は急速に減少した.混合試料の物理的性質は,予備加熱の初期段階(0~4分)において大豆蛋白質のスルフドリル基量と関連があったが,4分以後はそれらの関係が認められなかった.
  • 加藤 清雄, 足立 憲隆, 安藤 徹, 峯尾 仁, 牛島 純一
    1985 年 56 巻 11 号 p. 905-910
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    酪農学園大学獣医学科,江別市069-01めん羊の膵外分泌に及ぼす静脈内アトロビン注入の影響を明らかにするために,本試験を行なった.アトロピンは,0.01,0.1,0.5,1,10,20および30μg/kg•minの投与量で60分間注入した.膵液流量は,0.1,0,5,1,10,20および30μg/kg•minのアトロピン注入により減少し,最初の10分間を除き注入期間中一定レベルを維持した.1μg/kg•min以上の投与量では減少率がほぼ等しく,その平均減少率は74.3%であった.アトロピンはまた,膵液中のタンパク濃度およびアミラーゼ活性を低下させ,その減少率はそれぞれ,51.3%および45.1%であった.これらの結果は,通常の膵液流量および酵素分泌量のかなりの部分が,コリン作動性機序を介していることを示している.
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