日本畜産学会報
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56 巻, 5 号
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  • 冨田 守, 島村 誠一, 福渡 康夫, 田村 吉隆, 溝田 輝彦, 宮川 博, 溝澤 功, 小此木 成夫, 荒井 珪
    1985 年 56 巻 5 号 p. 369-378
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. IRIS 3038膜を装備したUFP-10限外〓過装置を用いて調製した,牛乳の1.5,2および3倍濃縮液に市販ヨーグルトスターター(DRI-VAC CH-1)を接種して発酵させ,牛乳の発酵に及ぼす限外〓過処理の影響を検討した.2. Streptococcus thermophilusおよびLactobacillus bulgaricusの対数増殖期における比増殖度は,濃縮倍率の高い発酵液ほど大きくなった.また球菌/桿菌比が最大となったのは,未濃縮乳では発酵3時間目であったが,濃縮液はいずれも2時間目であった.pHの低下は,濃縮倍率が高いほど発酵の前半(3時間以前)で著しく,逆に後半で緩慢となった.乳糖は濃縮倍率の高い発酵液ほど著しく消費された.すべての発酵液においてグルコースは検出されなかったが,ガラクトースが蓄積された.3. 発酵により,非蛋白質態窒素および遊離アミノ酸が増加し,蛋白質態窒素は減少した.葉酸は濃縮倍率の高い発酵液ほど著しく増加した.4. カードの形成は,1時間ごとの観察で,未濃縮乳では発酵3時間後におよび濃縮発酵液ではいずれも2時間後に認められ,その強度は濃縮倍率が高くなるほど上昇した.濃縮発酵液は,pH5.60および乳酸酸度0.355%と,通常のヨーグルト製造に比べてかなり高pH低酸度の領域でもカードを形成した.カードテンションは,濃縮倍率の2.1~2.9乗に比例して増加した.5. すべてのカードにホエー分離が認められず,濃縮倍率1.5および2倍のものは粘稠性があってなめらかな組織でコクのある風味を呈した.濃縮倍率3倍のカードは,酸味の鋭さこそ未濃縮乳より抑制されてはいたが,明らかに発酵過剰でかつあらくて硬かった.6. 牛乳の限外〓過濃縮液は,乳酸菌の発育に好適な素材と考えられ,発酵乳製品の製造に十分に利用できる可能性が示唆された.
  • 中村 豊, 吉田 條二, 中村 亮八郎
    1985 年 56 巻 5 号 p. 379-383
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    水素供与体併用による硝酸中毒防止の可能性を追求するため,乳酸•ギ酸塩の投与がルーメン内硝酸,亜硝酸の消失速度並びに血中MHb形成量に及ぼす影響を検討した.硝酸塩を体重1kg当り0.35または0.40g(3.5または4.0m mol),あるいはこれに水素供与体(硝酸塩の4倍モル)を併用して投与したところ,その併用によってルーメン内硝酸,亜硝酸の消失がかなり促進された.また,血中MHbは,KNO3単用の場合,投与後増加し,2~4時間後に最高値(22~34%)となり,これ以後減少したが,8時間後でも投与前の値にもどらなかった。水素供与体併用の場合は,KNO3単用にくらべ,MHbの最高値(10~16%)が低く,その減少もすみやかであり,また平常値に復するのも速い傾向が示された.なお,KNO3単用ではどの動物においても貧血様症状などが認められたが,水素供与体併用の場合は,外観上,ほとんど異常は認められないか,あるいは認められたとしても回復が速かった.以上の結果から,乳酸•ギ酸塩の併用によって中毒の危険性をかなり低下し得ると推定された.
  • 鈴木 修, 佐藤 匡美
    1985 年 56 巻 5 号 p. 384-390
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種母子牛31組を用い,短期間の1日1回制限哺乳が母牛の繁殖機能,泌乳性ならびに子牛の発育に及ぼす影響を検討した.分娩後4~14日目の間を制限哺乳した区(11頭)では,分娩後15~28日目の間を制限哺乳した区(10頭)および分娩後90日目まで通して自然哺乳した対照区(10頭)に比べて分娩後早い時期での卵胞発育が認められたが,この制限哺乳期間中での排卵はなく,自然哺乳にもどした次の2週間に11頭中6頭(54.5%)で初回排卵が起こった.しかし,残りの牛の初回排卵は遅れ,ばらつきが大きくなった.一方,分娩後15~28日目の間を割限哺乳した区では,この制限哺乳期間中に初回排卵が10頭中7頭(70.0%)と集中して起こる傾向がみられ,分娩から初回排卵および初回発情までの日数が対照区に比べて有意に短縮した(P<0.05).また分娩から受胎までの日数については,制限哺乳を組み入れた区で良好な成績が得られた。分娩後3か月間の平均日哺乳量と子牛の平均日増体量は対照区がともに優れていたが,区間に有意な差は認められなかった.これらの結果から,分娩後15日目から2週間程度の1日1回制限哺乳によって,母牛の泌乳性や子牛の発育には大きな影響を与えることなく,分娩後の繁殖機能回復を著しく促進させ得ることが示唆された.
  • 氷上 雄三, 帖地 孝人, 長谷川 信, 水野 利雄
    1985 年 56 巻 5 号 p. 391-398
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ヒナの成長,血清•肝の成分,血清遊離アミノ酸濃度および肝のトランスアミナーゼ活性に及ぼす硫酸塩添加の影響を調べた.分離大豆蛋白質を唯一の蛋由質源とする半精製飼料にDL-メチオニンまたは硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加して,ヒナを28日齢まで飼育した.メチオニンを0.44%添加した区とメチオニン0.22%+Na2SO40.22%を添加した区とで,体重に差が認められなかった.Na2SO4を0.44%添加した区とNa2SO4を0.88%添加した区との間に体重の差はなく,この両区はメチオニンを添加した区の約60%の体重を示した.飼料に含まれるメチオニンの低下およびNa2SO4の増加によって,血清および肝の総窒素量は減少し,総脂質量は増加する傾向が見られた.肝のグリコーゲン量および血糖値は飼料中のメチオニンまたはNa2SO4の影響を受けなかった.血清遊離アミノ酸濃度は飼料中のメチオニンの低下およびNa2SO4の増加につれて次のとおり3つの型の変動を示した.1) 減少するもの:メチオニン,シスチン,アスパラギン酸,ロイシン,チロシン,ヒスチジン,アルギニン,2) 増加するもの:スレオニン,セリン,グリシン,リジン,3) 変動しないもの:グルタミン酸,プロリン,アラニン,パリン,イソロイシン,フェニルアラニン,オルニチン.肝のGlutamate-oxaloacetate transaminase活性は飼料のメチオニンの減少およびNa2SO4の増加によって上昇したが,Glutamate-pyruvate transaminaseはその影響を受けなかった.
  • 宮本 明夫, 梅津 元昭, 正木 淳二
    1985 年 56 巻 5 号 p. 399-406
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウシ(BSP),ヤギ(GSP),ブタ精漿(PSP)およびウシ卵胞液(BFF)中のインヒビン様活性を,in vitro(マウス下垂体インキュベーション法)およびin vivo(マウス子宮重量法)の2つのアッセイを用いて比較検討した.これら4つの試料の粗蛋白質は,in vitroアッセイではLH-RH添加による下垂体からのFSH放出を抑制し,in vivoアッセイではhCGで刺激されたマウスの子宮重量の増加を抑制した.4つの試料は,この2種のアッセイにおいていずれも投与量に比例した抑制活性を示した.しかし,in vivoアッセイにおいて,PSPだけは他の試料に比べて弱い活性を示した.限外〓過による分画をin vitroアッセイにより調べたところ,BSP,GSP, PSPおよびBFFの分子10,000-30,000の分画にインヒビン様活性が認められた.また,GSPとBFFの5,000-10,000およびBFFの50,000以上の分画にも弱い活性が見いだされた.4つの試料の活性は熱処理(100°C,5分間)により消失した.これらの結果から,BSP, GSP, PSPおよびBFF中はこは同様のインヒビン様活性が存在し,その活性物質はおもに限外〓過による分子量10,000-30,000の分画に存在することが明らかとなった.
  • 吉村 幸則, 古賀 脩
    1985 年 56 巻 5 号 p. 407-413
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏排卵に対する蛋白分解酵素の関与を検討する目的で,in vitro排卵に及ぼす数種の蛋白分解酵素阻害剤と同賦活剤の影響および排卵時における卵胞壁蛋白分解酵素活性の変動について観察した.チオーループロテアーゼの阻害剤であるアンチパインは排卵を阻止あるいは遅延させ,同酵素の賦活剤であるシステインは排卵を促進させた.卵胞壁の中性チオーループロテアーゼ活性は排卵の30分前に有意に上昇した.セリンープロテアーゼの阻害剤であるダイズトリプシンインヒビターとロイペプチンおよびコラーゲナーゼの阻害剤であるEDTAとZnCl2は排卵を阻止しなかった.
    これらの結果から,卵胞の破裂に関与する蛋白分解酵素の一つとして中性チオーループロテアーゼの役割が重要であると考えられた.
  • 紺野 耕, 浅田 忠利, 勝木 辰男
    1985 年 56 巻 5 号 p. 414-416
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 角田 幸生, 若州 政彦, 杉江 佶
    1985 年 56 巻 5 号 p. 417-419
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 富樫 研治, 武田 尚人
    1985 年 56 巻 5 号 p. 420-422
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 石橋 武彦, 三津本 充, 宮本 元
    1985 年 56 巻 5 号 p. 423-425
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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