鶏における飼料の代謝エネルギー(ME)を測定する場合,基礎飼料の粗蛋白質(CP),添加油脂,および粗繊維含量がME測定値にどのような影響を及ぼすか,雛および雌成鶏を用いて検討した.CP含量15,25および35%の基礎飼料を用い,トウモロコシ,大豆粕,魚粉および脱脂米ヌカのMEを,雛を用いて測定した結果,大豆粕,魚粉のMEはCP含量の違いによる有意差は認められなかったが,トウモロコシ,脱脂米ヌカのMEは15%区で有意に低い値を示した.雌成鶏を用いた場合,脱脂米ヌカのMEはCP含量の違いによる有意差が認められなかったが,トウモロコシ,魚粉および大豆粕のMEはCP15%区で有意に高い値を示した.添加油脂(黄色グリース)含量0,4および8%の基礎飼料(雛ではCP含量25%,雌成鶏では15%)を用い,トウモロコシ,大豆粕および脱脂米ヌカのMEを測定した結果,雛および雌成鶏いずれも大豆粕のMEは添加油脂含量の高い区で高い値を示したのに対し,トウモロコシ,脱脂米ヌカでは逆に添加油脂含量の0区で高い値を示した.また基礎飼料中の粗繊維含量の違いは,供試飼料のMEに有意な影響は認められなかったが,粗繊維含量が高いと飼料エネルギーの利用率の低下が示唆された,以上の結果から,飼料の代謝エネルギーの測定用基礎飼料のCP含量は,アミノ酸バランスのとれた蛋白質であるならば,雛を用前る場合には少なくとも日本飼養標準(19%)から25%前後,雌成鶏では15%程度が適当である.また油脂類の添加や高粗繊維含量飼料を基礎飼料とすることは適当でないと思われる.
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