日本畜産学会報
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58 巻, 10 号
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  • 因野 要一, 小野 忠義
    1987 年 58 巻 10 号 p. 813-816
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いた配合飼料中のビタミンA定量を迅速, 正確に行なうために, 分析法の検討を行なった.充填剤はLiChrosorb SI-100を用い, 溶媒は, n-hexane/dichloromethane/ethano1=90/9/1を用いた.HPLCによる分析時間は, 約20分であった.検出は蛍光 (Ex 340nm, Em460nm) で行なった.定量の際, ビタミンAにかわる標準物質として, アントラセンを用いた。定量限界は20μg/kgであり, 回収率は99±2%であった.配合飼料を分析した結果, 乳牛用で378μg/kg, 豚用で1330-2560μg/kg, 鶏用で608-2570μg/kgであった.
  • 星野 忠彦, 新妻 澤夫, 玉手 英夫
    1987 年 58 巻 10 号 p. 817-826
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    牛の肉質を形態学的に明確にする目的で, 筋の筋束の構築について組織学的に調べた.用いた肉牛は黒毛和種雄去勢5頭, 日本短角種雄去勢3頭で, 枝肉重量は前者の平均が310kgで後者の平均は370kgであった.冷屠体の88種の筋から総計100部位の材料を採取した.ホルマリンーカルシウム液で固定し, 横断および縦断の組織標本を作製した. ライッ社の画像解析装置によって各筋の筋線維の横断面積を測定し, その平均面積を筋線維の太さとした.筋線維の太さは小型の筋より大型の筋で, また後肢遠位部の筋より近位部を構成する筋で太かった.二次筋東間の血管から分枝した細動静脈は横行して筋東中央部に侵入し, 二次筋束の中央を2-5mm縦走していた.この細動静脈から各一次筋束に毛細血管が分枝し, 一次筋東内で毛細血管床を形成していた.また筋東内細動静脈の周囲には脂肪組織の形成がみられた.このような筋束の構築は両品種とも同じであって, しかも太い筋線維をもつ筋組織でより明瞭に出現していた.このような二次筋東内の細血管の走行と, その血管周囲に脂肪組織が存在する筋東の構造は牛筋組織の特徴である.また, 一次筋束は二次筋束の構造単位に過ぎず, 肉牛の肉質を形態学的に研究するには肉眼でも可視の二次筋束を中心に考えることが有効であると考えられる.
  • 大島 正尚, 吉田 達行, 小山 弘平
    1987 年 58 巻 10 号 p. 827-832
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    特定の搾乳牛について4-6カ月反復して分房別搾乳を行ない, 得られた分房別乳量と乳房炎検査の伝導度またはクロール濃度測定値を利用して, 潜在性乳房炎と乳量との関係について検討した. 潜在性乳房炎による障害の程度は, 伝導度分房間差値平均を指標とし, 乳量の減少は分房ごとに, その分房が健康であるときに予想される乳量に対する実乳量の比率, 分房乳量比 (R%) によって表した. 分房の伝導度間差値平均と分房乳量比との間に-0.72の有意な相関が認められ, 直線回帰から, 間差値平均1×10-4Sの増加に対して, 約2.6%の乳量の減少が推定された. 牛群全体について間差値平均の分布が知れた場合の乳量の損失の推定について論じた.
  • 新地 修士, 阿部 又信
    1987 年 58 巻 10 号 p. 833-838
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    反芻胃内繊毛虫による蛋白質分解の特性を明らかにするための一助として, 繊毛虫を全毛虫区分と貧毛虫区分とに分別し, それぞれの懸濁液, またはその超音波破壊液に溶液状カゼイン (soluble casein) を添加してin vitroで培養した結果, 以下の知見を得た. 1. 全毛虫懸濁液では培養後2時間まで溶液状カゼインの分解がほとんど認められなかった. 2. 貧毛虫懸濁液では培養直後から溶液状カゼインの分解が認められた. 3. 全毛虫懸濁液でも培養5時間以降は明らかにその分解が認められた. 4.超音波破壊した全毛虫および貧毛虫区分は, 共に培養直後から溶液状カゼインを分解した. 5. 予め20時間飢餓培養後に調製した貧毛虫懸濁液では溶液状カゼインの分解量が著しく低下したが, 全毛虫の場合はほとんど変化しなかった. 6. 以上の結果, 貧毛虫による溶液状カゼインの分解は, かなりの部分をその細胞外蛋白質分解酵素に負っているのに対し, 全毛虫は専ら溶液状カゼインを細胞内にとり込み, 一時貯蔵した後徐々に分解するものと考えられた.
  • 小野寺 政一, 塩田 ゆみ, 河野 友宏, 角田 幸生
    1987 年 58 巻 10 号 p. 839-844
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    市販の細胞培養用汎用培地GITが, マウスおよびウサギ胚の培養液あるいは凍結用保存液として使用できるかどうか検討した.その結果, GITはマウス初期胚の培養液としては適さないが, ウサギ胚では20%同種非働化血清を添加した培養液の成績と同等な結果が得られたことから培養液として利用でき, またマウス胚の凍結用保存液としても利用できる可能性のあることが示唆された.
  • 新村 末雄, 岡崎 正幸, 石田 一夫
    1987 年 58 巻 10 号 p. 845-849
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    発生初期のマウス胚について, プロスタグランジン (PG) E2を基質に用いてプロスタグランジン脱水素酵素 (PGDH) を組織化学的に検出し, マウス胚におけるPGE2代謝について論じた. 卵と胚は, 過排卵処置を施したICRマウスの卵管または子宮から採取した. 観察した卵と胚は, 前核卵 (hCG注射後24時間), 2細胞胚 (48時間), 4細胞胚 (60時間), 8細胞胚 (67時間), 桑実胚 (80時間), 初期胚盤胞 (96時間) および後期胚盤胞 (108時間) である. また, 雄と交配させずにhCG注射後24時間で卵管から採取した未受精卵も観察に用いた. PGDH活性の検出は, PGE20.3mM, NADO・75mM, ニトロBT0.075mMおよび0.1Mリン酸緩衝液よりなる基質液に卵と胚を浸漬して行なった. 酵素活性の強さは, 未受精卵と前核卵では弱度ないし中等度, 2細胞胚ないし桑実胚では弱度, 初期胚盤胞では痕跡ないし弱度であったが, 後期胚盤胞では活性はみられなかった, PGDH活性を示すジホルマザン顆粒は, 卵と胚の細胞質全域にわたって一様に分布していた.以上の結果から, 未受精卵から胚盤胞初期までの胚はPGE2の代謝を行なっているが, 後期胚盤胞では代謝能の消失することが明らかとなった.
  • 沼田 正寛, 冨家 崇弘, 橋本 小由利, 中村 豊郎
    1987 年 58 巻 10 号 p. 850-858
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    市販食肉製品を1).非加熱食肉製品 (A群), 2).スライス食肉製品→ 殺菌後真空包装 (B群), 3). 食肉製品→殺菌後ピロー包装 (C群), 4) 食肉製品→殺菌後真空包装 (D群), 5). 包装後殺菌した食肉製品 (E群) の5群に分類し, 分類した各製品別に生菌数の測定, 菌叢解析を行ない, さらに分離菌の一部についてそれらの発育特性を検討した結果, 以下の知見を得た。
    1. A群の生菌数は製造直後1g当り105のオーダーであったが, その後の流通段階における増殖は認められなかった. B群の生菌数は製造直後1g当り103-104のオーダーであり, その後徐々に増加して製造後4週目では106のオーダーに達した. D群はB群と同じパターンで増加したが, 常に1-2オーダー低い値を示した. C群の生菌数は増加がもっとも顕著で, 製造後3週目で1g当り107に達した. E群からはほとんど菌の検出は見られなかった.
    2.A群, C群, E群はそれぞれStreptococcus, Lactbacillus, Bcillusが菌叢中, 常に優位を示した. B群は製造後の経過日数に伴ないCoryneformからLactobcillusに, D群はStreptococcus, Coryneform, Lactbacillusの混合分布からShpiococcusにそれぞれ優勢菌種が変化した.
    3. B, C, D群より分離されたLactobacillus farciminis, L. coryniformis, L. casei及びStreptococcus faecalisは5℃ で, S. faeciumは2℃ での発育が認められた. Lactobacillusの3株は亜硝酸イオンおよびソルビン酸塩による発育抑制は受けなかったが, Streptococcusの2株はこれらの併用によって抑制を受け, その抑制の度合は培養温度の低下に従い顕著であった.
  • 上 隆保, 志賀 勝治, 大崎 和彦
    1987 年 58 巻 10 号 p. 859-863
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    牛乳のフレーバー形成に関与する可能性のある飼料中香気成分の種類と量的分布を知るために, コーンサイレージの揮発性成分を, ガスクロマトグラフ・マススペクトロメーター (GC-MS) および水素炎イオン化検出器のガスクロマトグラフ (FID-GC) によって分析した. また揮発性成分中の各成分の面積%およびコーンサイレージ中の各成分のppb濃度は, ヘンエイコサンを内部標準に用いてクロマトグラフ用データ処理装置によって算出した.それによって, コーンサイレージの揮発性成分として34化合物を同定し, それらの面積%およびppb値は, 総計92.5%および20528ppbであった. コーンサイレージの揮発性成分は酸類, エステル類, アルコール類が大部分で, その内酢酸が主要な成分であった. 同定したすべての化合物が, このコーンサイレージの甘酸っぱい特徴的なにおいに寄与していると考えられる.
  • 関根 純二郎, 森田 茂, 諸岡 敏生, 大久保 正彦, 朝日田 康司
    1987 年 58 巻 10 号 p. 864-870
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種去勢雄子牛20頭を用いて, 6週齢離乳後, 17週齢までの代謝エネルギー (ME) および窒素 (N) の利用効率ならびに, 飼料養分のエネルギー供給量を検討するため, エネルギーおよび物質出納試験を行なった. 飼料給与水準を維持の1.5および2倍量とし, 9, 13および17週齢時に出納試験を行ない, 以下の結果を得た.1) N, 有機物から粗蛋白質を差引いて得た残余有機物 (ROM) および総エネルギー (GE) の消化率は, 週齢および給与水準による違いは認められなかった. また, GEの代謝率も同様であった.2) 発育に要するMEの利用効率は, 0.60±0.04であった.3) エネルギー蓄積 (ER, MJ/kg0.75) に対するN蓄積 (Nr, g/kg0.75) の回帰式は, Nr=1.83 (±0.20) ER+0.375であった.4) 重回帰分析の結果から, ROMの各エネルギー分画に対する寄与は減少したが, Nでは一定であることが認められた.5) ROMおよびN, あるいは, 可消化のROMおよびNにより, 可消化および代謝エネルギー供給量を正確に推定できることが明らかとなった.
  • 宮本 元, 石橋 武彦, 中野 栄
    1987 年 58 巻 10 号 p. 871-878
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    ブタとイノシシの交雑であるイノブタの卵巣機能を明らかにするために本研究を行なった、グルコース6リン酸脱水素酵素 (G6PDH) はペントース回路の, イソクエン酸脱水素酵素 (ICDH) はクエン酸回路の重要な位置をしめNADPHを産生する. この経路によって産生されるNADPHはステロイドの水酸化に役割を果たしている. 発情周期中の各期の成熟イノブタ13頭と未成熟イノブタ4頭から卵巣を採取し, NADP依存性のG6PDHとICDHを組織化学的に検出した. 卵胞の卵胞膜内層にG6PDHの強い活性が, 冨粒層細胞に中等度の活性が存在した。発情前期と発情期の直径5mm以上の卵胞では, これらの部位のG6PDH活性が増した. 発情後期から休止期にかけての発育中の黄体では非常に強いG6PDH活性を示し, 白体では活性が著しく低下した. ICDHに関しては卵胞膜内層に弱い活性が, 冨粒層細胞に弱いか中等度の活性が認められた. 黄体にも弱いICDH活性が存在した. 間質腺の発達は悪かったが, 強いG6PDH活性と弱いICDH活性が存在した. 表在上皮に弱いG6PDH活性が存在したが, ICDHは認められなかった. イノブタ卵巣におけるこれらの酵素の分布と強さは, 以前の研究で得られたΔ 5-3β-ステロイド水酸基・脱水素酵素のそれ (胞状卵胞の卵胞膜内層, 黄体および間質腺に存在し, とくに直径5mm以上の卵胞の卵胞膜内層と発育黄体は中等度ないし強い活性を示した) と一致する傾向がみられた. これらの組織化学的結果から, イノブタ卵巣はG6PDHとICDHによって産生されるNADPHをステロイド合成に利用していると思われる. さらに, イノブタ卵巣におけるプロジェステロン合成には, 他の動物種と同様に黄体が主要な役割を果たしていることを組織化学的に示した.
  • 角田 健司, 島岡 達朗, 道解 公一
    1987 年 58 巻 10 号 p. 879-885
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    めん羊のフィニッシュランドレース種を対象に赤血球内におけるヘモグロビン型とヒポキサンチン・キサンチン (Hx・x) 値, アデノシン三燐酸 (ATP) 値および乳酸脱水素酵素 (LDH) 活性値との関係について検討した. 赤血球内のHx・x値に関して, HbA型はHbB型よりも統計的に有意に低かった (P<0.05). HbA型とHbAB型およびHbB型とHbAB型との間のHx. x値ではそれぞれ有意な差がみられなかったが, それらの値はHbB型, HbAB型およびHbA型の順に低かった, 赤血球のHx・x値は, Hb型間で有意な差を認めなかった血漿中のHx・x値との間において相関性がなかった.赤血球内のATP値では, HbA型およびAB型はHbB型よりも有意に低かった (P<0.01). しかしHbA型とHbAB型との差は統計的に有意ではなかった. 従ってHb型別によるATP値の順位はHbA型≒HbAB型<HbB型であった. 赤血球内のLDHについては, Hb型間におけるisozyme patternの相異は認められなかった. その活性値では, HbA型はHbB型およびAB型に比べ有意に高かった (P<0.01). しかしHbAB型はHbB型とは有意な差ではなかった. その順位はHbA型>HbAB型≒HbB型であった. またLDH活性値はATP値との間で有意な負の相関関係にあった (r=-0.461, P<0.01).
  • 細野 明義, 鈴木 浩, 大谷 元
    1987 年 58 巻 10 号 p. 886-892
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    乾塩漬豚肉の加熱により生成する変異原性をSalmonella typhimutium TA98から造成したストレプトマイシン依存性株を指標菌に用いて調べた. 豚挽肉 (脂肪含量10%) を塩漬剤-A (スパイス含有) および塩漬剤-B (スパイスを含まない) に4℃ で3日間塩漬した. 塩漬後, 50℃ から175℃ の温度範囲で15, 30, 45, 60, 75それに90分間それぞれ加熱し, 加熱豚肉中の変異原性を調べた.
    その結果, 塩漬剤-Aおよび塩漬剤-Bで塩漬したいずれの豚肉とも加熱によって変異原性の生成が認められ, 特にスパイスを含む塩漬剤-Aで塩漬した豚肉で変異原性が著しく生成し, 加熱温度が高く, 加熱時間が長い程その傾向は強かった.塩漬剤-Aにα-トコフェロールを加えた場合, 加熱による変異原性の生成は顕著に抑えられ, 塩漬豚肉の加熱による変異原性阻止の上でα-トコフェロールは極めて有効であることを認めた
  • 牛田 一成, 金子 忠司, 小島 洋一
    1987 年 58 巻 10 号 p. 893-902
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    セルロース, キシランの分解に対するルーメン繊毛虫存否の影響を検討するため, 繊毛虫除去 (DF期), エントディニウム接種 (E期), エントディニウム+ディプロプラストロン+ポリプラストロン接種 (EDP期) の3期を設定し, 各期のめん羊ルーメン液を用いてインビトロ培養を行なった. 48時間培養におけるセルロース消失率は, DF, E, EDPの順に0.524, 0.709, 0.739であった.同様にキシラン消失率では, 0.431, 0.466, 0.739であった. 繊毛虫存在下 (E, EDP) での高いセルロース分解は繊毛虫によるセルロース分解細菌の活性化によるものと考えられた. また大型繊毛虫による微細なキシラン粒子の取りこみと消化が, EDP期におけるキシラン分解の増加をもたらしたと考えられた. セルロースからのプロピオン酸と酪酸生成はE期で増加したが, EDP期ではさらに増加した. 一方酢酸生成は大きな変化が認められなかった.分解されたセルロースの炭素が発酵産物中に回収された割合はDF期で最も低く, 繊毛虫を除去したルーメンでは微生物の生合成効率が高いことを示している. 細菌数は繊毛虫の接種で18.8から5-7 (×109/ml) へ減少した.グラム陰性細菌は減少したが, グラム陽性細菌は変化しなかった. エントディニィウム各種の存在比はディプロプラストロン, ポリプラストロンの接種で変化し, より大型のものが減少し, 小型のものが増加する傾向を示した.
  • 田中 智夫, 吉本 正
    1987 年 58 巻 10 号 p. 903-905
    発行日: 1987/10/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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