市販食肉製品を1).非加熱食肉製品 (A群), 2).スライス食肉製品→ 殺菌後真空包装 (B群), 3). 食肉製品→殺菌後ピロー包装 (C群), 4) 食肉製品→殺菌後真空包装 (D群), 5). 包装後殺菌した食肉製品 (E群) の5群に分類し, 分類した各製品別に生菌数の測定, 菌叢解析を行ない, さらに分離菌の一部についてそれらの発育特性を検討した結果, 以下の知見を得た。
1. A群の生菌数は製造直後1g当り10
5のオーダーであったが, その後の流通段階における増殖は認められなかった. B群の生菌数は製造直後1g当り10
3-10
4のオーダーであり, その後徐々に増加して製造後4週目では10
6のオーダーに達した. D群はB群と同じパターンで増加したが, 常に1-2オーダー低い値を示した. C群の生菌数は増加がもっとも顕著で, 製造後3週目で1g当り10
7に達した. E群からはほとんど菌の検出は見られなかった.
2.A群, C群, E群はそれぞれ
Streptococcus, Lactbacillus, Bcillusが菌叢中, 常に優位を示した. B群は製造後の経過日数に伴ないCoryneformから
Lactobcillusに, D群は
Streptococcus, Coryneform,
Lactbacillusの混合分布から
Shpiococcusにそれぞれ優勢菌種が変化した.
3. B, C, D群より分離された
Lactobacillus farciminis, L. coryniformis, L. casei及び
Streptococcus faecalisは5℃ で,
S. faeciumは2℃ での発育が認められた. Lactobacillusの3株は亜硝酸イオンおよびソルビン酸塩による発育抑制は受けなかったが,
Streptococcusの2株はこれらの併用によって抑制を受け, その抑制の度合は培養温度の低下に従い顕著であった.
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