日本畜産学会報
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58 巻, 4 号
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  • 秋葉 征夫, 堀口 雅昭, 星野 忠彦, 大和田 修一, 小宮山 恒
    1987 年 58 巻 4 号 p. 289-292
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    ブロイラーにおいて現在多発している脂肪肝の組織学的特徴を明らかにし, さらに化学的に定量した脂質含量との関係を明らかにするたあに2回の試験を行なった.(1) 福島県下の食鶏処理場で無作為に採取した16個の肝臓の組織標本についての鏡検で, 脂肪沈着の少ないものも認められたが, 10個 (62.5%) の肝臓では脂肪滴が肝小葉の周辺部, 中間部, 中心部ともに均一に多数みられた.(2) ウインドレス鶏舎内で飼育した9週齢のブロイラーの肝臓では, 雌雄ともに脂肪滴の出現頻度が高く, また, その沈着部位は肝小葉全体に分布していた.肝臓薬であるNKK-100を1000ppmの濃度で飼料に添加し飼育したブロイラーの肝臓では, 脂肪滴が少なく, 肝小葉の中心部にはみられず周辺部に分布していた. 脂肪染色により判定した脂肪滴の出現頻度 (脂肪量スコア) と化学的に測定した肝臓脂質含量の間に有意の正の相関関係が認められた.
  • 佐々木 義之, 山田 和人, 野村 哲郎
    1987 年 58 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    法による能力検定個体の評価における, 縮約化個体モデルを用いることによる計算の効率化, 並びに当該年度の評価に過去の検定成績を取込むことによる正確度の向上について検討した. 材料は昭和49年度から58年度までに実施された黒毛和種産肉能力検定直接法の成績のうち, 福島, 大分, 宮崎, および鹿児島県産肉能力検定場における検定牛それぞれ203頭, 316頭, 337頭および327頭を用いた. 分子血縁係数行列の逆行列は父および母方祖父の血統を用いてHBNDBRSON (1976) の直接法により計算した.取上げた形質は1日当り平均増体量 (以下DGと略す) および終了時体重で, 通常の個体モデルのBLUP法により, 昭和58年度の検定牛の評価を行なった. その際, 過去の検定成績 (4年分あるいは9年分) を取込み評価を行なうことにより正確度がいずれも有意に上昇した. また, 検定牛の評価に父と母方祖父による縮約化個体モデルのBLUP法を用いることにより, 通常の個体モデルの場合に比べて解くべき方程式のサイズを29-44%に, 記憶領域を8-19%に, 計算時間を6-12%に減少させることができた.以上の結果から能力検定個体の評価においては過去に検定された検定成績を取込み, 父と母方祖父とによる縮約化個体モデルのBLUP法により評価を行なうのが最も妥当であることが分かった.
  • 善林 明治
    1987 年 58 巻 4 号 p. 301-308
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    黒毛和種33頭, 日本短角種16頭, ホルスタイン種18頭の若齢去勢牛を濃厚飼料飽食の高栄養条件下で肥育した後, 黒毛和種335-674kg, 日本短角種353-663kg, ホルスタイン種460-689kgの体重範囲で段階的に屠殺し, その枝肉左半丸を筋肉, 脂肪, 骨および腱等に分離し, 枝肉の構成を調査した. 屠殺体重, 枝肉重量, 枝肉中筋肉, 脂肪および骨重量と筋肉+骨重量に対する枝肉中の筋肉, 脂肪および骨重量と筋肉: 骨比の相対発育には品種間差がみられ, また全枝肉の幾何平均重量155.4kgでの枝肉構成内容にも品種間に差異が認められた. 平均枝肉重量での各組織量は黒毛和種では筋肉が多く骨が少ないのに対して, ホルスタイン種は筋肉と骨が共に多く, また日本短角種は脂肪が多かった. 筋肉と骨の相対発育関係はとくに黒毛和種とホルスタイン種では, 骨重量に対して筋肉が一定して増加したのに対して, 日本短角種では筋肉の増加は一定でなく, しだいに増加度が低下した. 脂肪の発育では日本短角種が他の2品種に比べて, 筋肉および骨の発育に対する相対発育がいずれも有意に大きかった. 筋肉: 骨比は黒毛和種が他の2品種よりも骨重量にかかわりなく大きく, かつ骨の重量が変化しても筋肉: 骨比はほぼ一定であったことから, 遺伝的能力の違いによるものと考えられた. また黒毛和種とホルスタイン種では, 筋肉と脂肪の相対発育と平均枝肉重量での脂肪1筋肉比に差がなく, 骨を除いて両品種は似た発育様相を示した.また黒毛和種は枝肉中骨割合が他の2品種よりも少ないが, 日本短角種のように脂肪割合が多くなることなく, 高い筋肉割合を維持した.
  • 善林 明治
    1987 年 58 巻 4 号 p. 309-316
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    濃厚飼料飽食の高栄養条件下で肥育した黒毛和種, 日本短角種およびホルスタイン種の去勢肥育牛それぞれ33, 16, 18頭を, 体重約330kgから670kg前後の範囲内で段階的に屠殺し, その左半丸枝肉を7部分肉に分割した後, 骨, 筋肉, 脂肪および腱・その他に分け, それぞれの組織構成を求めた. 同一の全骨重量での骨の各部分肉への分布割合は品種間に多くの部分で差がみられ, 黒毛和種はウデとロースで多く, モモとトモバラで少なく, 日本短角種ではロースとトモバラで多く, ウデで少なかった. またホルスタイン種はウデとモモで多く, ロースで少なかった. 筋肉の分布割合にもすべての部分肉で品種間に差異があり, 黒毛和種ではカタロースとロース, 日本短角種ではマエとトモバラ, ホルスタイン種ではウデとモモが多かった. 全骨および全筋肉に対する各部分肉中の骨および筋肉の相対発育を相対発育係数で比較すると, 骨および筋肉でともにいくつかの部分でその係数に有意な品種間差が認められた. 筋肉: 骨比は全平均値で3品種間に有意な差があり, 黒毛和種が最も高い値を示した. 部分肉ごとの筋肉: 骨比もほとんどの部分で品種間差が認められた. これらの発育に伴う骨と筋肉の分布と発育パターンは, 基本的に成熟に伴う変化を踏まえているが, 各品種の骨と筋肉の発育と分布について品種間に見られた有意な差異から, その差はそれぞれ各品種の飼養環境における選抜と淘汰の結果からくる生産上の機能特牲の差に基づくものと考えられた.
  • 信国 喜八郎, 西山 久吉
    1987 年 58 巻 4 号 p. 317-323
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本実験はウズラの精巣, 脈管豊多体およびクロアカ腺の重量に及ぼすプロラクチンの影響を検討したもので, とくに脈管豊多体およびクロアカ腺に関しては, プロラクチンが直接的に及ぼす影響ならびにこれらの器官に対する雄性ホルモンの作用を介して及ぼす影響について検討した. 正常な成熟ウズラにプロラクチンあるいはCB 154 (2-bromo-α-ergocriptine) を投与したとき, いずれの場合にも精巣の重量は顕著な変動を示さなかった. 一方, 脈管豊多体およびクロアカ腺の重量はプロラクチンの投与によってほとんど変動しなかったが, CB 154の投与によって小さくなる傾向を示し, プロラクチン欠如の影響がうかがわれた. つぎに去勢ウズラにプロラクチンと少量のテストステロンを単独もしくは同時投与し, 脈管豊多体およびクロアカ腺の重量を測定した結果, 両器官の重量はプロラクチンの単独投与では無投与の場合とほぼ同じ値を, またテストステロンとプロラクチンの同時投与ではテストステロン単独投与の場合とほぼ同じ値を示し, いずれの場合においてもプロラクチンの投与効果は認められなかった. 一方, 去勢ウズラにCB 154とテストステロンを単独投与, もしくは組合わせて投与 (あらかじめCB154のみを1週間投与し, 以後はCB 154とテストステロンを同時投与) し, 脈管豊多体およびクロアカ腺の重量を測定した結果, CB 154の単独投与では両器官の重量は無投与と差のない値を示し, プロラクチン欠如の影響は認められなかった. しかし, CB 154とテストステロンとを組合わせて投与したときはテストステロン単独投与のときより, 脈管豊多体は明らかに小さく, クロアカ腺は小さい傾向を示し, プロラクチン欠如の影響が認められた. 以上の結果よりsウズラにおいてプロラクチンは精巣の重量にはほとんど影響しないものと考えられたが, 脈管豊多体およびクロアカ腺の重量については単独で影響を及ぼすことはないものの, 雄性ホルモンの作用を補助することによって影響するものと推定された.
  • 島崎 敬一, 牧与 志幸, 祐川 金次郎
    1987 年 58 巻 4 号 p. 324-332
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    同一個体のウシから得た4種のIgGを, 3種のタンパク分解酵素 (ペプシン, キモシン, パパイン) を用いて分解する際の感受性の違いを, 初乳IgGと血清IgG, さらにIgGのサブクラス (IgG 1とIgG 2) について比較した. ホルスタイン牛3頭より採取した初乳ホエーおよび血清より, 33%飽和硫酸アンモニウムによる塩析, 次いでDEAE-トヨパール, CM-トヨパールを用いたイオン交換クロマトグラフィーにより, IgG 1とIgG2をそれぞれ精製した. 各IgGと酵素とを一定の重量比になるよう混合し, 37℃ に保ち反応させ, 経時的にTSK-gel G 3000 SWを用いた高速ゲル瀕過クロマトグラフィーを行ない, その溶出ピーク高の変化から分解の程度を算出した. ペプシンとキモシンによる分解では, 一部例外もあるがIgG1の方がIgG 2よりも分解されやすかった. また, 特にIgG1において初乳由来の方が血液由来のものよりも分解されやすく, その順はIgG 1 (乳)>IgG 1 (血)>IgG 2 (血), IgG 2 (乳) であった. 一方, パパインではIgG 1 (乳)>IgG 2 (血)>IgG 1 (血)>IgG 2 (乳) の順であった.
  • 村山 真治, 佐々木 義之
    1987 年 58 巻 4 号 p. 333-341
    発行日: 1987年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    ヒツジにおいて血流中のコルチゾール濃度の日内変動が給餌, 摂食によって形成されるかどうかを検討するために, 飼養条件を2ヵ月にわたって一定とした, すなわち飼料給与時刻を1300にセットした条件下 (スケジュールドフィーディング) におかれた4頭のヒツジについて, 52時間にわたり, 15分間隔で継続的に採血し, 血中コルチゾール濃度を測定した.その結果, 白昼にピークを有する一相性のパターンが明確に示された.このピークは給餌, 摂食に関連したものであると考えられた.給餌時刻への高まりは朝の中期あたりから開始された。したがって, この上昇, ピークは何らかの内的なメカニズムによって維持されており, 外的な因子に対する条件反射によるものではないと考えられた.また, これはラットにおいて認められている予知反応と同様のものと推察された.給餌後,血中コルチゾール濃度はやや減少したが, その次に著しい, 一過性の上昇を呈した。この上昇反応は, 時間的にも長い活発な摂食活動に伴ったものであると考えられた.本研究において認められた一相性パターンのピークは, これら二つの給餌前, 給餌後の, 性質の異なる上昇反応が組み合わさって形成されたものであると見なされる。
  • 半澤 恵, 渡邉 誠喜, 横濱 道成, 紀藤 捷治, 茂木 一重
    1987 年 58 巻 4 号 p. 342-346
    発行日: 1987年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    親子関係の明らかなThoroughbred種 (Th種) 馬, 187組, 431頭およびAnglo-Arab種 (AA種) 馬, 49組, 111頭につき, ARGase型の分類を行ない, その遺伝につき検討した.ARGase型の分類は, 濾紙電気泳動像に観察される塩基性アミノ酸バンドの泳動パターンの解析により行なったが, 一部はHPLCによりOrn/Arg比) を算出した.Th種, 50組, 117頭およびAA種, 19組, 44頭についてはARGase活性値をも測定した.また北海道和種 (Hn種) 馬14頭についてもそのARGase型を分類した.その結果は, つぎの通りであった.1) 馬3品種は, いずれもARGase H型とARGase L型の両変異型に分類され, ARGase H型の出現頻度は, それぞれTh種馬: 18.1%, AA種馬: 6.3%およびHn種馬: 42.8%であった.2) 両親のARGase H型とARGase L型との各交配から得られた子孫におけるARGase型の出現状況を検討した結果, その表現型は常染色体性の優劣関係にある一対の対立遺伝子により支配されていることが明らかとなった.3) そこで, その対立遺伝子を, ARGaseHおよびARGasehとし, 馬赤血球のARGase型の変異をARGaseシステムと呼称することを提唱した.
  • 上田 博史, 大島 光昭, 秋友 一郎
    1987 年 58 巻 4 号 p. 347-355
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    緑葉蛋白質 (LPC) をアルファルファ2品種, DuPuitsおよびナツワカバから調製し, ヒナに対する栄養価と血漿コレステロール降下作用を比較した. 両LPCの一般成分組成, アミノ酸組成, 有効エネルギー価, 乾物および窒素のin vitro消化率は同じ傾向を示したが, アルファルファ中の有害サポニンであるmedicagenic acid含量はDuPuits LPC (1.09mg/g) とナツワカバLPC (0.19mg/g) で大きな差がみられた.
    カゼインーアミノ酸混合物を蛋白質源とする基礎飼料の1/3 (粗蛋白質として4%) をLPCで置き換えた場合, メチオニンを補足すれば, その栄養価は基礎飼料と同じであり, 原料草の違いによる影響はみられなかった. しかし, LPCを単一蛋白質源として用いると, medicagenic acid含量の高いDuPuits LPCを摂取したヒナでは発育阻害がみられ, これは飼料中に1%のコレステロールを添加することによって回復した. これらは飼料摂取量の増減にもとつくものであった. ナツワカバLPC給与では有意な影響は認められなかった.
    両LPCを単一蛋白質源として用いると, コレステロール添加の有無にかかわらず, 血漿中のHDL-およびLDL-コレステロール含量は基礎飼料給与区に比べ有意に減少した. しかし, LPC間で差はなかった.
  • 片岡 啓, 額田 和敬, 宮本 拓, 中江 利孝
    1987 年 58 巻 4 号 p. 356-358
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 岡野 寛治, 小島 洋一
    1987 年 58 巻 4 号 p. 359-362
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    In the previous paper, in vitro rumen culture was carried on with dried distillers' grains (DDG) or condensed distillers' solubles (CDS) from the whisky distillation process, and the protein degradation of both DDGs and CDSs had the variety with the kinds of grains used in the distillation process (corn, barley or corn and barley mixed). The ammonia nitrogen(NH3-N)concentration after 24 hr incubation of all kinds of DDGs and CDS from corn(C-CDS)had the lower values than that at the start of incubation and showed the values below 5 mg/dl. The bacterial protein increase during 24 hr incubation of DDGs and CDSs was smaller than that of soybean meal (SBM). It was considered that the rumen fermentation would be restricted by the deficiency of NH3-N in the medium when DDGs or CDSs was used as nitrogen source. WALLER et al. reported that the restriction of rumen fermentation by the deficiency of NH3-N could be resolved by the addition of available nitrogen.The present in vitro experiment was conducted to obtain the information on the state of rumen fermentation when the whisky distillers' byproducts was fed with supplementary urea.
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