日本畜産学会報
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58 巻, 8 号
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  • 矢野 幸男, 羽田 輝美, 中村 豊郎
    1987 年 58 巻 8 号 p. 639-647
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    ビーフ・デファッティド・ティシューおよび豚赤血球を主要原料とし, 濃口醤油の製造方法に準じて発酵調味料を作成した.25℃-4か月間の発酵法以外に, 発酵期間の短縮のため, 速醸法として, 加温速醸法および塩酸分解液仕込法を用いて試験を行なった. 今回の試験ではフスマ麹の代わりに大豆と小麦の混合膨化物を麹としたものを用い, 添加量も前回の2倍で, 主要原料と同量加えたことから, 発酵終了後の各調味液の分析値および官能評価は, 前回に比較して大幅に改善された.
    市販濃口醤油と比較しても, 総窒素, ホルモール窒素は高く, 遊離グルタミン酸はやや低い数値であった. 全糖, 還元糖, アルコールについては, 塩酸分解液仕込法のアルコール以外は, いずれも低い数値であった. 醤油後熟香の主成分である4-エチルグアヤコールは, 4か月発酵法では検出されたが, 速醸法では検出されなかった. また, アミノ酸組成では, ビーフ・デファッティド・ティシュー試験区のハイドロキシプロリン, 豚赤血球試験区のアスパラギン酸, アラニン, バリン, ロイシン, リジンが主要原料のアミノ酸組成を反映して比較的高い数値であった. 官能検査では, 加温速醸法に異味・異臭が感じられ, また, 塩酸分解液仕込法には, 良好なコク味が感じられた.
  • 杉本 亘之
    1987 年 58 巻 8 号 p. 648-652
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    肥育豚と妊娠豚における飼料の消化率を比較するため, 配合飼料およびとうもろこしサイレージを用いて検討した. 肥育豚はランドレースおよび大ヨークシャー去勢雄各2頭ずつ4頭 (体重66-73kg) を, 妊娠豚はランドレース母豚 (体重177~201kg) 4頭をそれぞれ供試した. 飼料は, 配合飼料と5mmおよび14mmに切断処理した2種類のとうもろこしサイレージを用い. 飼料の給与量は, 1日当り配合飼料区が配合飼料を2.5kg, サイレージ区が配合飼料2.0kg+とうもろこしサイレージ2.0kgとした. 消化試験は予備期間5日, 採糞期間5日の全糞採取法によった. その結果, 配合飼料およびとうもろこしサィレージの消化率は, 各成分とも肥育豚2比較し妊娠豚で向上の傾向がみられ, 両者の乾物中のTDN含量の差は, 配合飼料で3.5%単位, とうもろこしサイレージで7.0~8.4%単位と注Elすべき差が認められた.
  • 鈴木 三義, 光本 孝次
    1987 年 58 巻 8 号 p. 653-657
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    BLUP法による牛群内雌牛評価を行ない, それらの評価値を用いて北海道雌牛集団の遺伝的改良における特徴を明らかにした. 北海道の乳牛検定データのうち, 1975年から1981年度の7年間に分娩した雌牛292, 293頭から得られた627, 596記録を用いた. これらの記録は, 初産から10産までの雌牛から得られたものであり, 年齢と分娩月に対して成牛換算補止された. 評価モデルには, 要因として牛群と年度, 雌牛の育種価, 恒久的環境の効果, および誤差を含むものを用いた. 種雄牛の情報として, MGSモデルの評価値を用いた. また, 牛群内のすべての個体の血縁関係を考慮した. 計算は, 牛群ごとに行なった. その過程で処理した牛群数は8, 610であった. 結果は次の通りである. 1) 雌牛の評価値における地域 (支庁) 差は, 補正乳量や乳脂量に観察された差に比較して, 小さいものであった. また, 雌牛の登録の種別による遺伝的な能力差は, その表型的な差に比べ大きいものではなかった. 2) 米国からの輸入雌牛およびその娘牛に比べ, カナダからのそれらは, 北海道の雌牛集団への産乳能力の改良に対して大きな貢献が認められなかった. 3) 輸入雌牛に対して交配された国産の種雄牛の産乳能力は, 一般の雌牛に対して交配されたそれより低かった. このことは, 輸入雌牛の有効な活用を妨げる原因となっていると考えられた.
  • 古谷 修, 梶 雄次
    1987 年 58 巻 8 号 p. 658-663
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    子豚の可消化リジン要求量を, 体重5~10kg (1期), 10~20kg (2期), 20~35kg (3期) および45~60kg (4期) の4期間について, 1日増体量を指標として, 折れ線モデルへのあてはめによって推定した. 各期において, 可消化リジン含量を段階的に高めた5種類の飼料を給与したが, リジンを除くすべての必須アミノ酸についてはARCの推奨するアミノ酸バランスを満足するように配慮した. 基礎飼料のリジンの真の消化率は, カニューレ装着豚を用いて小腸末端で測定したが, 基礎飼料に添加したカゼインおよび大豆粕のリジンの真の消化率は文献値によった. 飼料中の可消化リジン含量は, 1期および2期0.83-1.81%, 3期0.51-1.13%および4期0.35-0.97%であった. 得られた結果は次の通りである. 1) 1日増体量は, 飼料中の可消化リジン含量が増加するにつれてある程度まで高まったが, 可消化リジン含量が最高の場合には, 4期を除くすべての期間で低下する傾向がみられた. 2) 飼料中含量としての可消化リジンの要求量は, 1, 2, 3および4期で, そ れぞれ, 1.24, 1.38, 0.72および0.63%, また, 増体kgあたりの可消化リジン要求量は, それぞれ, 17.8, 17.5, 15.6および18.29と推定され, 平均17.39となった. 3) この結果から, リジン要求量は, 増体あたりにすると, 1日増体量や子豚の体重あるいは日齢にかかわらず一定値を示し, また, 維持のためのリジン要求量は無視しえるほど少ないことが示唆された.
  • 高橋 幸資, 粟津 則和, 白井 邦郎, 和田 敬三
    1987 年 58 巻 8 号 p. 664-670
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    溶液から再構成したコラーゲンフィブリルのマクロ構造の差異は, 再構成する時の環境条件により大きな影響を受けると考えられるから, 生成したフィブリル集合体全体の熱的構造安定性も, これに応じた影響を受けるものと想定される. 示差走査熱量測定 (DSC) は, 分子のマクロな集合状態に関するシグナルを提供するので, 本研究では, 広範な環境条件下で再構成したフィブリル集合体のDSC測定下での熱変性挙動と, 再構成条件との関係を検討した. すなわち, 濃度の異なる中性塩可溶性コラーゲン溶液 (0.05~0.5%) を種々のpH (pH5~8), イオン強度 (0.1~300mM) および温度 (4~30℃) のリン酸緩衝液に対して透析してフィブリル集合体を調製し, その熱変性挙動をDSCで測定した. 再構成時のコラーゲン濃度を0.05%から0.5%に増すと, フィブリル集合体の熱変性温度は, 56℃ から53℃ へ低下した. 再構成時のpHは, 6~8の範囲ではフィブリル集合体の熱変性挙動にあまり影響せず, 比較的熱安定性の高いフィブリル集合体 (熱変性温度, 56℃) が生成した. しかしpH5では, 熱変性温度の低い (43℃ で, 溶液状のコラーゲンの変性温度に匹敵する) フィブリル集合体を与えた. 透析時の緩衝液濃度が1-30mMの時, 比較的熱安定性の高いフィブリル集合体が生成し, 0.1mMでは通常のフィブリル集合体と溶液状のコラーゲンとの中問の熱安定性を示すフィブリル集合体が生成することを認めた. 透析温度の影響は最も顕著であり, 温度が高い程熱安定性の高いフィブリル集合体が形成された. これらのことから, コラーゲン濃度, pH, イオン強度および温度等の再構成条件が, フィブリル集合体の構造安定性の調節因子として重要であることを認めた.
  • 土黒 定信, 武政 正明
    1987 年 58 巻 8 号 p. 671-675
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    養鶏飼料の代謝エネルギー (ME) を測定する場合, 基礎飼料としてどのような組成のものが適切であるかを検討した. 基礎飼料としては日本飼養標準を満たす組成の実用飼料とグルコースを含む半精製飼料を用い, 幼雛を用いて, トウモロコシ, マイロ, 大豆粕, ナタネ粕および脱脂米ヌカのMEを測定した. 次にこれらの原料を配合した4種類の配合飼料についてMEを測定し, 原料のME価より計算したME価と比較した. トウモロコシとマイロのME価は基礎飼料により全く差異が認められなかった. ナタネ粕および脱脂米ヌカのME価は, 標準的な実用飼料を用いると半精製飼料を用いた場合に比べて有意に低くなった. 実用飼料を用いて無水グルコースのMEを測定した結果, 文献値とよく一致した. 配合飼料のMEの実測値は, 実用飼料を用いて測定した原料のME価より計算した値とよく一致したが, 半精製飼料を用いて測定した原料のME価より計算した値に比べて有意に低くなった. 以上の結果より, ME測定用基礎飼料としては, 加法性が高く, 入手も容易で価格も安い実用飼料が半精製飼料よりも望ましいものと結論された.
  • 供試原料の基礎飼料との代替率および鶏種が代謝エネルギーに及ぼす影響
    土黒 定信, 武政 正明
    1987 年 58 巻 8 号 p. 676-680
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    著者らは前に代謝エネルギー (ME) 測定用基礎飼料として標準的な実用飼料を推奨した. 本研究は通常の飼料原料のMEを測定する場合, 原料の基礎飼料との適正代替率を究明するために行なった. また, 鶏種により飼料のMEに差異があるかどうかについても若干の検討を行なった. 1. 代替率: トウモロコシと大豆粕を主体とする標準的な幼雛用飼料を基礎飼料に用い, トウモロコシ, 大麦, 脱脂米ヌカ, 大豆粕, ナタネ粕, 魚粉の6種類の飼料原料について, 基礎飼料との代替率を穀類では20, 40, 60%, 脱脂米ヌカでは15, 30, 45%, 蛋白質飼料では20, 30, 40%の3水準とし, 幼雛を用いてMEを測定した. その結果, いずれの原料のME価も代替水準間に有意差が認められなかった. しかし, 原料の代替率が低いとME価の変動が大きくなった. 信頼性の高いME価を得るためには40%以上代替することが望ましいと結論された. 2. 鶏種差: 白色レグホーン種とブロイラー種の幼雛を用い, 以上の実用の基礎飼料とこの50%を普通裸麦または高蛋白裸麦により代替したもの, および基礎飼料の8%をタローにより代替したものを給与してMEを測定した. 配合飼料および原料 (裸麦, タロー) のME価は鶏種間に有意差が認められなかったが, タロー配合飼料とタローのME価は白色レグホーン種がブロイラー種に比べて若干高い値を示した.
  • 伊藤 敞敏, 庄司 悦子, 足立 達
    1987 年 58 巻 8 号 p. 681-686
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    物理的性質の検討) 充分に行なわれていない安定型無水α-, 無水αβ複合-および無水β-ラクトース結晶について, 融点および溶解度を中心とした検討を行なった. 安定型無水α-ラクトースの常法および示差熱分析 (昇温速度10℃/分) による融点 (分解) はそれぞれ207.7, 216.5℃, 溶解度は5, 15, 25, 35℃ において, それぞれ, 10.1±0.14, 11.5±0.02, 13.9±0.24, 18.5±0.16 (g/100g水) であった. 無水αβ複合ラクトース (α/β比, 4:1) の上記方法による融点はそれぞれ204.0, 205.0℃, 上記と同じ温度における溶解度はそれぞれ17.9±0.5, 15.2±0.47, 17.5±0.23, 20.7±0.45であった. また, 無水β-ラクトースの同じく融点はそれぞれ228.8, 243.0℃, 同じく溶解度はそれぞれ39.9±0.42, 42.6±0.47, 45.0±0.34, 48.3±0.12で, 文献からの計算値よりもかなり低い値を示した. 無水αβ複合ラクトースについては, そのα:β (4:1) 比と同比率の, 両者の結晶の混合物の融点, 赤外吸収スペクトルとの比較を行ない, その測定結果に一致の認められないことから, 無水αβ複合ラクトース結晶においては, その構成ラクトース分子間に相互作用の働いていることを推定した.
  • 早坂 貴代史
    1987 年 58 巻 8 号 p. 687-697
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    放牧牛群の生態は種々の条件によって変化するが, 公共牧場の牛群は互いに認知していない個体同士で構成されている場合が多いために, その群生態は社会的条件が大きく関与してくるものと考えられる. そこで栃木県塩原町八郎ケ原牧場のホル種育成・未経産牛群50-90頭を対象に, 群生態および個体間関係について5月中旬から10月中旬までの放牧期間中随時, 14日間にわたり調査した.
    その結果, 放牧前期 (5月中旬から7月中旬) では, 牛群はいくつかのサブグループにわかれて散在した. 個体間関係では, 同一農家からの仲間牛同士, さらに前年度放牧経験牛同士が集結して行動する傾向にあった. 中期 (7月中旬から8月中旬) では, 個体は一群に収束し, 体格の大きい未経産牛が群の中心部に位置した. この時期はアカウシアブ (Tabanu schrysurus) などの大型アブの活動時期と一致し, 群外縁部にその寄生が認められたことから一群集結は大型アブに対する防衛反応と考えられ. 群の中心部はアブの攻撃の少ない好適な場と推定された. 後期 (8月下旬から10月中旬) では, 牛群は広範囲に散開し, 仲間牛同士集結する個体間開係が不明確になった.
  • 佐藤 哲生, 吉野 正純, 古川 左近, 染谷 幸雄, 矢野 信禮, 魚住 純, 岩元 睦夫
    1987 年 58 巻 8 号 p. 698-706
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    近赤外分光分析法の生乳成分測定への適用性を検討した. 農水省畜試で生産された個乳110点を試料として用いた. 標準分析法として, 脂肪はゲルベル, 蛋白質・カゼインはマクロ・ケルダール, 乳糖はレイン・エイノン, 全固形分 (TMS) は標準重量法を採用し, 近赤外分光装置として, Neotec Model6350を使用した. 50点の試料でキャリプレーションを行ない, 近赤外法での成分率算出のための重回帰式を求あた. 残り60点の試料を用い, 設定した重回帰式から, 成分率の推定を行ない, 公定法の分析値と比較することから, 近赤外法の性能を試験した.
    その結果, 近赤外法一公定法の相関係数は0.995 (脂肪), 0.907 (蛋白質), 0.901 (乳糖), 0.994 (TMS), 0.854 (カゼイン), 近赤外法一公定法の回帰式の周りの標準偏差は, 0.0901 (脂肪), 0.0981 (蛋白質), 0.0772 (乳糖), 0.0922 (TMS), 0.0908 (カゼイン), また, 近赤外法と公定法との差の絶対値の平均値は0.0710 (脂肪), 0.0742 (蛋白質), 0.0726 (乳糖), 0.0748 (TMS), 0.0951 (カゼイン) となった. 以上のことから近赤外法は, 赤外法と同程度の精度で, 脂肪・蛋白質・乳糖率の測定ができること, TMS・カゼイン率の測定では, 赤外法による推定法 (脂肪・蛋白質・乳糖率に補正値を加えTMS率を, 蛋白質率に0.8を乗じてカゼイン率を算出するもの) より, 精度において, 若干, 優れていることが明らかとなった.
  • 三枝 弘育, 平野 直彦, 尾沢 進二, 合田 之久, 島田 直吉, 斉藤 季彦
    1987 年 58 巻 8 号 p. 707-710
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 丸尾 喜之, 沢田 勉, 稲葉 俊夫, 小西 一之, 斉藤 則夫, 森 純一
    1987 年 58 巻 8 号 p. 711-713
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 木曾 康郎, 奥河 寿臣, 山内 昭一
    1987 年 58 巻 8 号 p. 714-717
    発行日: 1987/08/25
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    Several types of endocrine cells have been described in the gastrointesinal mucosa of the various mammals. Endocrine cells in the suncus intestine are reported to be divided into at least two types on the basis of features of their granules. Our preliminary observation showed four types of endocrine cells in the suncus intestine. In the present paper, we will describe these endocrine cells in detail.
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