日本畜産学会報
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59 巻, 1 号
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  • 津田 新哉, 小谷 政晴, 島岡 達朗, 田中 一栄
    1988 年 59 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻家畜である山羊を用いて高精度Gバンド分染像の詳細な核型分析を行ない,その有効性について検討した結果,以下のことが認められた.すなわち,1) 中期染色体と高精度Gバンド分染法による染色体の比較を行なったところ,明らかに分染上の差が認められ,ハプロイドセットあたりの全バンド数がmid metaphaseにおいては206バンド,early metaphaseでは269バンド,そしてpro metaphaseにおいては353バンド認められた.2) 各stageにおける染色体長の伸長率を測定し,mid metaphaseを100%とした場合early metaphaseにおいては平均141%,prometaphaseにおいては平均156%であった.3) バンド構成の変化については特にNo. 1,7およびX染色体で明りょうに観察され,バンドの細分化の過程が明確に認められた.4) late prophaseにおける染色体像は全体的に明りょうではなかった.以上のことから高精度Gバンド分染像は中期染色体分染像より明確な核型が得られ,染色体の同定ならびに染色体を用いた遺伝的分析には非常に有効であると考えた.
  • 乾燥期間中の微生物学的変化
    沼田 正寛, 冨家 崇弘, 橋本 小由利, 中村 豊郎
    1988 年 59 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    前報1)で分離したPenicillium miczynskiiを表層部に,Lactobacillus plantarumTF-1株を原料肉中にそれぞれスターターカルチャーとして添加したカビ発酵サラミソーセージ(M. F. S. S.)と,糸状菌無接種(F. S. S.)および糸状菌,乳酸菌無接種(S. S.)の3種類の発酵サラミソーセージを製造した.これらについて,M. F. S. S.の芳香生成の観点から,熟成•乾燥工程中における微生物学的変化を主に比較検討した結果,次のことが明らかとなった,(1) S. S.では熟成•乾燥初期に乳酸菌の急激な増加が認あられた.以後主要菌叢は表層部でStaphylococcusに,中心部では生菌数測定用標準寒天培地を用いた好気培養では発育せず,LBS寒天培地を用いた嫌気培養で発育する乳酸菌に変化した.(2) F. S. S.およびM. F. S. S.は常にL. plantarum TF-1株が優位を占めたが,乾燥最終日(F. S. S.で40日目,M. F. S. S.で50日目)にはS. S.中心部と同現象が認められた.(3) M. F. S. S.の水分活性の低下速度は遅く,これはP. miczynskiiの発育によるものと推定された.(4) P. miczynskiiの発育は,水分活性以外は表層部の菌数および菌叢に対して影響を及ぼさなかった.(5) 官能評価の結果,M. F. S. S.特有の芳香は表層部だけに認められた.この芳香は10日目より観察され,15日目には更に顕著であったが,以後変化はなかった.(6) F. S. S.およびM. F. S. S.の中心部で同種類の乳酸発酵臭が,S. S.ではこれと異なる乳酸発酵臭が5日目にそれぞれ認められた.以後芳香の強弱は各試験区で多少異なったが,菌叢の変化にかかわらず,本質的には5日日に形成された芳香と同じであった.(7) 以上のことから,M. F. S. S特有の芳香形成には熟成•乾燥段階において,糸状菌の機能が十分に発揮されることが不可欠であり,その糸状菌としてP. miczynskiiは適切であることが明らかとなった.
  • 佐々木 義之, 佐々江 洋太郎
    1988 年 59 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    フィールド記録を用いて種牛評価を行なう場合,当該集団の構造に適合したモデルを選択することが重要である.そこで,昭和55年から58年にかけて大分県から出荷された黒毛和種去勢肥育牛2,208頭の枝肉市場記録を用いて,モデルの当てはまりおよび予測誤差分散の観点からモデルの検討を行なった.その結果,黒毛和種の現状では遺伝的グループを取り込む必要はないが,種雄牛の交配にランダム交配からのズレが認められ,モデルに母方祖父牛を考慮すべきであることが分かった.また,肥育農家としては中程度以上の規模の農家を取り込み,年度-肥育農家としないで,年度と肥育農家とを別々の主効果として取り上げる方が妥当であることが示唆される.
  • 入来 常徳, 中村 裕子, 八木岡 清美, 阿部 又信
    1988 年 59 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    飼料蛋白質のルーメン内分解特性をA, B, Cの3タイプに分類するとき,その順に蛋白質がルーメン•バイパスしやすくなるとの前提の下に,本研究は,CP14%または12%水準の濃厚飼料中に含まれる蛋白質の分解特性の相違が,3-6カ月齢のホルスタイン種雄仔牛の成長およびN出納に及ぼす影響を調べたものである.成長試験は,濃厚飼料と稲わらを不断給与する条件で,1回の試験においてCP水準の等しい2種類の濃厚飼料を7頭ずつの2区に割り当てることにより,計2回実施した.試験1においてはCP14%水準,試験2においてはCP12%水準のAタイプ飼料とBCタイプ飼料を比較したが,両CP水準とも飼料間で増体量,飼料要求率,および増体量あたりのCP摂取量には有意の差が認められなかった.N出納試験は,成長試験に用いたのと同様の4種類の濃厚飼料を初体重平均114kgの仔牛4頭に割り振って,4×4ラテン方格法により実旋した.飼料は濃厚飼料88%と稲わら12%の割合で,1日当り体重の3%に制限して与えた.その結果,尿中へのN排泄率はCP14%のAタイプ飼料において,また,糞中へのN排泄率はCP12%のBCタイプ飼料において,いずれも有意に高かった(P<0.05).N摂取量に対するN保持量の割合には飼料間で有意な差はなかったが,見掛けのN吸収量に対するN保持量の割合はCP14%水準のAタイプ飼料において最も低く,それとCP12%水準の両タイプ飼料との間の差は有意であり(P<0.05),CP14%水準ではBCタイプ飼料の方が高い傾向が認められた.血清尿素態N(SUN)濃度は,N出納試験のみならず成長試験においてもCP12%水準よりCP14%水準において高かったが,同一CP水準でSUN濃度を比較すると,CP14%水準ではBCタイプ飼料の方が高くなる傾向があったのに対して,CP12%水準ではほとんど差がないか,むしろAタイプ飼料の方が高い傾向さえあった.血漿の遊離アミノ酸(PFAA)濃度を測定したN出納試験において,両CP水準のBCタイプ飼料給与時にはロイシンの増加とリジンの減少とが認められた.
  • 善林 明治, 鍋田 肇, 元辻 毅
    1988 年 59 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種,日本短角種およびホルスタイン種の去勢牛それぞれ合計66,37および16頭を,前2品種については中一高栄養と高栄養の2水準で,ホルスタイン種は高栄養水準のみで肥育し,体重400kg前後から650kg前後までに亘って屠殺し,いずれも枝肉左半丸を筋肉,脂肪,骨などの組織別に分離,構成を調べた.筋肉中の脂質含量の測定は,黒毛和種とホルスタイン種では8筋肉12部位,日本短角種では7筋肉11部位について行なった.黒毛和種は発育性に特徴のある2種雄牛系統の産仔を用い,系統間の比較も行なった.黒毛和種は日本短角種およびホルスタイン種よりも,ほとんどの筋肉で脂質含量が高かったが,黒毛和種の系統間ではほとんどの筋肉で差はみられなかった.中-高栄養水準で肥育した黒毛和種では,高栄養水準で肥育したものより,多くの筋肉で高い脂質含量を示したが,日本短角種では水準間の差はみられなかった.また日本短角種とホルスタイン種との間にも差はみられなかった.枝肉中の脂肪組織重量に対する筋肉中の脂質含量の相対成長係数は,何れの品種でもほとんどの筋肉で1と同じか1より小さく,筋肉中の脂質の蓄積が枝肉中のその他の脂肪組織よりも,早期に成熟すると考えられた.筋肉中の脂質の蓄積は,枝肉中の脂肪組織の蓄積割合と正の相関があるが,とくに黒毛和種とホルスタイン種では個体差が大きく,肥育度から筋肉中の脂質蓄積の程度を推定することは困難であると考えられた.胸腰最長筋中の脂質蓄積量に対する説明変数として牛の成熟率,屠殺日齢および枝肉中の脂肪組織割合を用いた場合,高栄養で肥育された牛では屠殺日齢,中-高栄養で肥育された肥育期間の長い牛では,枝肉中の脂肪組織割合がそれぞれ第1の有意な説明変数であった.
  • 土屋 剛
    1988 年 59 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    C細胞は,哺乳類においては甲状腺中に存在しており,血中のカルシウムを下げるホルモン(カルシトニン)を合成,分泌している.最近,C細胞は甲状腺中の内上皮小体に存在することが経織化学的に,免疫組織化学的に明らかにされているが,ヤギの内上皮小体のC細胞については詳細は不明である.この研究では年齢の異なるヤギを用いて,甲状腺中の内上皮小体および胸縁組織の出現率とその分布を調べ,さらに,これら組織中のC細胞の出現率と分布を免疫組織化学的に調べた.
    使用したヤギは子ヤギ8頭と成ヤギ5頭で,内上皮小体および胸腺組織の出現率は連続切片法によって調べた.C細胞の同定にはブタカルシトニン抗体を用い,PAP法による免疫組織反応を行なった.
    内上皮小体および胸線組織は甲状腺の中央部の内側を中心に分布していた.内上皮小体は13例中12例に,胸腺組織は13例中2例に認められた.甲状腺中の内上皮小体および胸腺組織の分布と出現率には年齢差は認められなかった。内上皮小体のC細胞は主に周辺部に見られるが,中心部にも存在した内上皮小体のC細胞は12例中9例に認められ,その比率(C細胞/上皮小体細胞)は0.2-0.8%で,年齢差は認められなかった.C細胞は胸腺組織にはみられなかった.
  • 三津本 充, 三橋 忠由, 山下 良弘
    1988 年 59 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種去勢牛28頭から大腿二頭筋,中殿筋,外側広筋,半腱様筋,半膜様筋,大腰筋,広背筋,胸最長筋,腰最長筋,上腕三頭筋長頭部,棘上筋を採取し,それらの色調,総色素含量と月齢との関係について検討した.色調と総色素含量は11種の筋肉間で異なっていた.外側広筋,広背筋および棘上筋の明度は月齢とともに減少したが,それらの筋肉の赤色度,黄色度,彩度は変化しなかった.一方,格付の主要な筋肉である胸最長筋および腰最長筋,中殿筋,大腰筋の明度は月齢が増加しても変化せず,赤色度,黄色度,彩度は増大した.全筋肉では黄色度が最も変化し,総色素含量は明度との間に負の相関が認められた.また個別の胸最長筋などの筋肉では総色素含量は月齢とともに増加するにもかかわらず,明度との間に相関関係が認められなかった.胸最長筋では,月齢とともに脂肪含量が増加し,総色素含量が増加しても明度の変化が小さいことが示唆され,黒毛和種去勢牛の特徴と考えられた.良好な筋肉色調には22か月齢以降になるとみなされた.
  • 守屋 和幸, 築城 幹典, 村山 真治, 佐々木 義之
    1988 年 59 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウシの血糖値,血漿中インスリンおよびコルチゾール濃度に影響する要因,並びにそれらの反復測定値の信頼性について検討するため,2頭の黒毛和種種雄牛の後代牛をもちいて3日間,連続して,午前10時に採血を行なつた.
    分散分析の結果,血糖値および血漿中インスリン濃度は種雄牛の効果に有意な変動が認められた.更に,血糖値,血漿中インスリンおよびコルチゾール濃度のいずれにおいても,種雄牛内後代牛の効果に菅意な変動が認められた,一方,採血日と種雄牛との交互作用についてはいずれの形質においても有意な変動は認められなかった.3回の測定値より算出した信頼性(Reliability)は,血糖値,血漿中インスリンおよびコルチゾール濃度で,各々0.801,0.435,0.612となった.
    以上の結果から,これらの血漿中濃度には個体固有のレベルが存在し,かっ,今回の採血法により,3回の測定値の平均を用いれば個体の固有値を把握することができるものと推察される.
  • 川島 知之, 矢野 秀雄
    1988 年 59 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The experiment was to investigate the changes of physical traits and enzyme activities in the femur and the change of thyroid hormones in blood serum after heat exposure in growing rats. Wistar strain male rats aged 6 weeks were divided into two groups and placed in temperature controlled rooms; ambient temperature 24° (group C) and 34° (group H). On days 6, 12 and 18 from the beginning of experiment, blood and femur samples were collected from every rat. The blood samples were analyzed thyroid hormone concentrations and the femur samples were measured alkaline and acid phosphatase activities and physical traits. The elongation of the femur was not affected but the growth in width was retarded at high ambient temperature. Bone alkaline phosphatase activity dropped substantially at the beginning of heat exposure and then became stable, while bone acid phosphatase activities were lower in group H than in group C throughout the experimental period. The changes of bone enzyme activities indicate that the retardation of bone growth in width might be related to the reduction of mineralization at the beginning of heat exposure and the following bone resorption. Thyroxine (T4), riiodothyronine (T3) and free thyroxine concentrations in blood serum were lower in group H than in group C. The ratio of T3 to T4 was not changed by heat exposure.
  • 寺島 福秋, 松延 康, 柳沢 哲夫, 伊藤 宏
    1988 年 59 巻 1 号 p. 75-81
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反すう家畜の低マグネシウム(Mg)血症は抵カルシゥム(Ca)血症を伴うことが多い.本実験は低Mgの発症し易い低Mgおよび高カリウム(K)飼料を摂取しているめん羊のCa動員状態を検討するために行なった.
    平均体重45kgの去勢雄めん羊にMgおよびK含量のそれぞれ異なる4種類の半精製飼料(対照低Mg,高Kおよび低Mg-高K)を7-10日間給与した.各飼料区めん羊の頸静脈から,体重kg当り0.263mmolのNa2EDTA•2H20溶液を60分間注入した.EDTA注入による血しょう中の全Caおよびイオン化Ca濃度変化からCa動員量を算出した.血しょう中のMg濃度は対照,低Mg,高K,低Mg-高K飼料区でそれそれ,1.05,0.55,0.74および0.61mmol/lの値を示し,低Mgおよび高K飼料給与によって低Mg血症が発症した.全CaおよびK濃度は各飼料区でほぼ同じ値であった.イオン化Ca濃度はEDTAの注入によっていずれの区でも直線的に低下したが,その低下割合は低マグネシウム血症めん羊で大きい傾向を示した,EDTA注入時(60分)のCa動員量は低Mg,高K,および低Mg-高K飼料を摂取した低Mg血症めん羊(3.55mmol/60min)で対照区のそれ(4.98mmol)より有意に低かった.これらのことから低Mg血症めん羊はCa動員機能が低下し,低Ca血症になり易いことを示唆した.
  • 井越 敬司, 上野川 修一, 山内 邦男
    1988 年 59 巻 1 号 p. 82-92
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ゴーダタイプチーズ熟成中の蛋白質分解に関与するプロティナーゼをDEAE-セルロースクロマトグラフィーおよびセファデックスG-150クロマトグラフィーにて,ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で単一なバンドを示すまで精製した.本酵素の至適pHは6.0,至適温度は3°,また分子量はおよそ230,000であった.この酵素はDEPおよびPMSFによって強く阻害されるところからセリンプロテアーゼと推定された。また,Co++およびMn++によって賦活化され,EDTA,o-フェナンスロリによって阻害されることから活性発現に金属イオンの関与が考えられた。本酵素はカゼイン成分のうち,β-カゼインを最もよく分解したが,βs1カゼインにはほとんど作用しなかった,β-カゼインからの分解産物は本酵素抽出のたあに使用されたチーズ中のカゼインの分解産物とPAGEにおいて一致した.従って,本酵素はゴーダタイプチ-ズ熟成中の蛋白質分解に寄与していると考えられた.
  • 長澤 孝志, 上田 寛, 小野寺 良次
    1988 年 59 巻 1 号 p. 93-94
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 大島 正尚, 吉田 達行
    1988 年 59 巻 1 号 p. 95-98
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • Keisuke KATOH, Makoto NAKAMURA
    1988 年 59 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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