日本畜産学会報
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59 巻, 10 号
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  • 甫立 孝一
    1988 年 59 巻 10 号 p. 827-840
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 守
    1988 年 59 巻 10 号 p. 841-847
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肥育豚(体重約30~8kg,総数で38頭)および繁殖豚(体重約120kg,総数で4頭)に,それぞれ肉豚用または成豚用配合飼料を制限給与し,熱的中性圏(濃度20.2±0.6°C,湿度61±2%)および低温環境下(温度7~8°C台,9~10°C台および13~14°C台で実験,湿度60±4%)で約1ヵ月間飼育後に,3日間の呼吸試験(間接法•開放式)ならびに窒素(N)出納試験を実施し,エネルギーおよびNの蓄積量を算出した.得られた結果は,次のように要約される.
    (1) 低温環境下では,熱的中性圏の場合に比べて,糞および尿へのNの排泄量が有意(P⟨0.05またはP⟨0.001)に多く,結果としてNの蓄積量が有意(P⟨0.01)に少なくなった.(2) 低温環境下では,熱的中性圏の場合に比べて,尿へのエネルギーの排泄および熱産生量が有意(P⟨0.001)に多く,結果としてエネルギーの蓄積が有意(P⟨0.01)に少なくなった、(3) 熱的中性圏に対する低温環境下でのエネルギー蓄積の減少量(Ed,kcal/W0.75kg/day)は,環境温度(T,°C)が下限の臨界温度(Tc,°C)より低下するにつれて,直線的に増加した[Ed=5.18+5.67(Tc-T)].(4)低温環境下での蛋白質蓄積の減少量は,Tc-Tとの間に一定の傾向は認められず,全体の平均で1.9±0,8g/W0.75kg/dayとなった.(5) 熱的中性圏に対する低温環境下での脂肪蓄積の減少量(Fd,g/W0.75kg/day)は,Tc-Tが大きくなるにつれて直線的に増加した[Fd=-0.95+0.58(Tc-T)].(6) 以上の結果から,Tc-Tの値が比較的小さい時は,生として蛋白質蓄積量を減少させることにより,またTc-Tの値が大きくなると,主として脂肪蓄積量を減少させることによって,低温環境下で体温維持に余分に必要なエネルギーを得ているものと考えられた.
  • 宮野 隆, 平尾 雄二, 加藤 征史郎, 苅田 淳
    1988 年 59 巻 10 号 p. 848-853
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    器官培養したマウス卵巣内における卵母細胞の発達および透明帯の形成過程を組織学的に検討し,生体内における発達と比較した.出生直後の雌マウスより採取した卵巣を培養し,2~6日後,プロナーゼ処理によって得た卵母細胞の直径を測定するとともに,組織染色標本を作製した.その結果,出生直後の卵巣の卵母細胞は直径25μmに満たず,周囲には透明帯は形成されていなかった.しかし,培養6日後,卵母細胞の3%は35μm以上に発達し,卵母細胞の一部にはすでに透明帯が形成されていた.また,顆粒膜細胞は生体内では卵母細胞の発達と透明帯の形成に伴って,扁平な形態から立方状へと変化し増数するのに対して,器官培養卵巣内では扁平なままであった.
  • 古本 史, 安保 佳洋, 山本 禎紀
    1988 年 59 巻 10 号 p. 854-859
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    防暑対策の効果判定基準を定める目的で,夏から秋にかけてホルスタイン種8頭の体温調節性反応を終日にわたり4回観察した.観察開始時の乳量は平均29kg/日であった。飼料は6時と18時に給与した.熱産生量は,午前(10~11時)と午後(15~17時)に比べ,夜間(20~21時)に高い値を示した.心拍数は朝(8~10時)低く,夕方から夜間にかけて明確な日内リズムを示し,熱産生量の傾向と一致していた.直腸温は8時から10時にかけて最低値を示し,その後上昇して16時から深夜に最高値に達した.皮膚温は,2回の飼料給与後に一時低下した.呼吸数は,環境温度の日平均値の高低と一致するとともに,日内変化として,皮膚温と同じく2回の飼料給与後に低下し,日中と夜間に高い値を示した.朝タの飼料摂取に伴う多量の飲水は,直腸温,皮膚温および呼吸数の上昇や増加の抑制をもたらした.乳牛の体熱平衡の日内変化を把握するには,直腸温が最も有効であり,簡易には,最低値を示す8時から10時,最高値を示す16時から18時,さらに可能ならば最高値の持続と低下が確認できる深夜の測定が適当と考えられた.
  • 斎藤 守
    1988 年 59 巻 10 号 p. 860-867
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    妊娠豚の代謝エネルギー(ME)要求量を要因解析法によって算出するために,総数で16頭の妊娠豚を用い,妊娠89±3日から2日間の呼吸試験(間接法•開放式)および窒素出納試験を実施した.給与飼料は,ME含量の異なる3種類(乾物中のME含量;2.94,3.20および3.82kcal/g)で,1日当り2~2.5kgを定量給与した.ここで得られたエネルギーおよび蛋白質蓄積量のデータを用いて,脂肪蓄積量を推定した.なお,ME要求量を算出するために,2つの異なるモデル式を用いた.得られた結果は,次の通りである.
    (1) 直線回帰モデル式を用いた場合,ME摂取量(ME, kcal/W0.75kg/day)と体全体(妊娠子宮を含む)におけるエネルギー蓄積量(ER, kcal/W0.75kg/day)との間には,ME=81.0+1.17ERの式が成立した.本式より,維持のME (MEm)は,81kcal/W0.75kg/dayおよび体全体におけるエネルギー蓄積に対するMEの効率は,85.5%と推定された.
    (2) 重回帰モデル式を用いた場合,ME摂取量(ME, kcal/W0.75kg/day)と体全体における蛋白質および脂肪蓄積に由来するエネルギー(それぞれPとFと略記,kcal/W0.75kg/day)との間には,ME=81.2+1.15P+1.16Fの式が成立した.本式より,MEmは81kcal/W0.75kg/day,体全体における蛋白質および脂肪蓄積に対するMEの効率は,それぞれ87.0および86.2%と推定された.しかし,上式のPの偏回帰係数(1.15)は,有意ではなかった(0.05⟨P⟨0.10)ことから,87.0%の効率の信頼性は薄いと考えられた.
    (3) 本研究と前報の結果ならびに文献値の収集により,交配時の体重が120,140および160kgで,妊娠全期間における正味増体量(妊娠子宮を除いた培加量)を20,30および40kgとした場合にっいてME要求量を算出し,本研究とは異なるモデル式を採用しているARCのME要求量との対比を行なった.その結果,本研究で用いた2っのモデル式間のME要求量の差は約2-4%と小さかった.また,本研究のME要求量とARCのそれとの差は-4~9%となり,両値は比較的一致しているものと考えられた.
  • 大久津 昌治, 小〓 深, 桝田 信也
    1988 年 59 巻 10 号 p. 868-873
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ddY系マウスから採取した8ないし10細胞期胚を2つに切断分離した後,それぞれを5個ずつ集合させ,その後の胚の発生の程度を調べるとともに,これらの集合胚から作出したキメラマウスの性比について検討した.集合胚の98.0%は,培養開始後28~30時間で単一の桑実胚あるいは胚盤胞に発生した.形態的に正常な185個の集合胚を21頭のレシピエントに移植し,妊娠19日目に剖検した結果,18頭のレシピエントが妊娠しており,集合胚の着床率および生存胎児への発生率は,それぞれ63.8%,41.6%であった.性腺の形態から胎児の性を判別したところ,妊娠後期で死亡した胎児1頭を含む合計78頭の胎児のうち,50頭は雄で27頭は雌であった.残りの1頭は,左側に精巣をもち右側に扁平な精巣様の性腺をもつものであった.生存胎児の体重は平均1.34gであり,雄,雌の体重は,それぞれ1.39g,1.25gで雄の方が有意に重かった(p⟨0.05).これらの結果から,キメラマウスにおける性染色体構成と性線の分化との関係を推定した.
  • 植松 正巳, 大木 与志雄
    1988 年 59 巻 10 号 p. 874-879
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    当教室で維持している白色レグホーン種成鶏(BK系,♀,2羽,No.1,No.3)および某養鶏場の白色レグホーン種成鶏(♀,1羽,No.2)において,IgG欠損と思われる例が発見された.これらの免疫不全鶏について,血清免疫グロブリンと特異抗体産生能について検討を行なうとともに,この免疫不全鶏由来のF1血清の免疫グロブリンクラスについて検討を行った結果は次の通りである.1) ウサギ抗ニワトリγ鎖血清を用いて,免疫電気泳動法および単円免疫拡散法により調べたところ,No.1とNo.2においてIgG欠損,No.3においてIgGの著しい減少が認められた.次いで,ウサギ抗ニワトリμ鎖血清を用いて,前述した方法により検討を行なったところ,3例とも著しい19S-IgMの増加が認められた.2) 牛血清アルブミン(BSA)を用いて免疫を行ない,IgG性の特異抗体産生能を調べたところ,No.1においては,IgG性の抗BSA抗体の産生は全く認められなかった.3) 羊赤血球(SRBC)を用いて免疫し,IgMの特異抗体産生能を調べたところ,No.1においては,IgM性の抗SRBC抗の産生能は,正常鶏のそれをかなり上回っていた.4) BK系,正常鶏(♂)×同系免疫不全鶏(♀)のF1びな6例(2か月齢)の血清免疫グロブリンについて調べたところ,1例はIgG欠損,2例は著しいIgGの減少を示した.他の3例はいずれもIgG, IgMとも正常であった.以上の成績から,IgG欠損鶏は,抗原刺激に伴なう免疫担当リンパ系細胞の分化•成熟過程に何らかの欠陥を有する遺伝的疾患である可能性が示唆された.
  • 野村 哲郎, 佐々木 義之
    1988 年 59 巻 10 号 p. 880-889
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    種牛供給県から導入した遺伝子を増殖して成立した増殖県の集団構造について分析を行なった.さらに,それら増殖県と種牛供給県との間の平均血縁係数を推定した.1980年度における登録雌牛総数が500頭以上の増殖県20県を分析の対象とした.各県の1980年度における全登録雌牛集団から200頭を無作為抽出して得られた20個の標本集団を材料とした.得られた結果の概要は以下のとおりである.1. 多くの増殖県における父牛の多様性は,種牛供給県のそれよりも大きかった.2. 大分,宮崎および鹿児島県で生産された種雄牛は,少数ではあるが,他の増殖県でも供用されていることから,増殖県の中でこれらの3県が上部に位置する階層構造が形成されているものと考えられる.3. これら3県のFISおよび集団分化指数は,無作為交配あるいは系統間交配が行われていることを示していた.一方,階層構造の下部を構成している他の増殖県のFISおよび集団分化指数には,集団分化の傾向が認められた.4. 階層構造の下部を形成する県の多くは,1960,1970ならびに1980年度の兵庫県および1980年度の広島県との間に高い血縁関係を示した.これは,兵庫県産の特定の種雄牛の後代が1970年度以降に広島県とこれらの増殖県で頻繁に供用されたことによるものと考えられる.一方,階層構造の上部を形成する大分.宮崎および鹿児農県と種雄牛供給県との間の平均血縁係数には,上記のような特定の種雄牛の影響はほとんど認められなかった.また,これら3県と福島県は,鳥取県との間に比較的高い血縁を示した.このような種牛供給県と増殖県との間の平均血縁係数に認められた特有のパターンは,各県集団を数個の遺伝的グループに分類できることを示唆しているものと考えられる.
  • 鶏の初期栄養に関する研究
    村上 斉, 秋葉 征夫, 堀口 雅昭
    1988 年 59 巻 10 号 p. 890-895
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    プロイラ-のヒナを孵化直後から14日齢まで代謝エネルギー(N補正)3.10kcal/g,粗蛋白質22%の飼料で飼育し,その間,屠体と腹腔内残存卵黄とを分析して,栄養素の利用姓について検討した.飼料効率は孵化直後で高く,14日間の平均で約80%であった.残存卵黄の蛋白質と脂質は異なる速度で減少し,いずれも3日齢までに大部分が消失した.この消失量は,摂取飼料との合計量に対しエネルギーで22%,蛋自質で30%に達し,残存卵黄が重要な栄養供給源として機能していること,また,ヒナは孵化後数日間,高蛋由質•高脂肪の栄養条件下にあることが示唆された.飼料の代謝エネルギー価は,孵化直後では非常に高く,4日齢まで急激に低下して,その後徐々に上昇する傾向を示した.飼料と卵黄の両者に由来するエネルギーおよび蛋由質の屠体への蓄積効率は,0-7日齢でそれぞれ37および67%であり,また7-14日齢では46および65%であった.このように,孵化直後のヒナの代謝は,エネルギー栄養素の代謝が大きく変化する点で特異的であることが示された.
  • 侯 徳興, 前田 芳實, 福永 隆生, 岡本 新, 橋口 勉
    1988 年 59 巻 10 号 p. 896-898
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 富樫 研治, 横内 圀生
    1988 年 59 巻 10 号 p. 899-902
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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