日本畜産学会報
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59 巻, 12 号
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  • 中村 富美男, 大杉 次男
    1988 年 59 巻 12 号 p. 997-1003
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ラットの成長期における筋肉内コラーゲンの動態を,I, IIIおよびIV型コラーゲンに対する特異抗体を用いた免疫組織化学および加熱溶解性と溶解画分のSDS-PAGEによって検討した.一次筋線維束は誕生後から10週令までは太くなり,ラットの体重増加に一致した変化を示した.筋肉中のタンパク質含量は4週令まで増加し,その後はほぼ一定となった.一方,コラーゲン含量は4週令までは増加するがその後は減少し,10週令と7ヵ月令はほぼ同じ含有量で,4週令の約1/2であった.筋肉内結合組織,特に筋内膜は3週令において緻密な構造を呈する様になった.組織切片上における型別コラーゲンの出現順序は,まず筋内膜のIV型コラーゲン,次に筋周膜のI型そして3週令でIII型コラーゲンがはっきり確認できた.III型コラーゲンの筋周膜における膜状の分布と結合組織(筋周膜)の緻密化とは何らかの関連性があるものと思われた.筋肉内コラーゲンの加熱溶解性は牛などと異なり,ラットを用いた本実験では成長•加令に伴う顕著な変化は認められなかった,加熱溶解画分中にはI型コラーゲンに由来するバンドが2週令からはっきりと認められた.しかし,加熱処理時のIII型やIV型コラーゲンの挙動は不明であった.
  • 小笠 晃, 百目鬼 郁男, 伊東 正吾, 筒井 敏彦, 河上 栄一
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1004-1012
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚における卵胞嚢腫の発生機序解明の基礎実験として,外因性ACTHが発情,排卵に及ぼす影響を検討した.3頭の成豚に黄体退行期から0.5IU/kgのACTHを1日2回,7~9日間連続筋肉内注射して,その前後の卵巣および子宮頸の変化を直腸検査により,また,血中ステロイドホルモンの推移をラジオイムノアッセイ法により追跡して,卵胞嚢腫発生の有無を調べた.他の1頭はACTH投与後の血中副腎皮質ホルモンの推移のみを経時的に調べた.黄体退行期からACTHの連続投与を受けた豚は,次回発情予定日前後に卵胞が発育して,1頭は前回排卵後23日目,他の1頭は27日目に微弱発情を呈し,残りの1頭は無発情に終った.いずれの豚も発育した卵胞は排卵することなく卵胞嚢腫に移行した.
    黄体退行後,卵胞発育さらに卵胞嚢腫への移行にもかかわらず,血中estrogen値には明瞭な変動は認められなかった.また,progesterone値は2頭においては卵胞嚢腫に移行後も低値で推移したが,他の1頭は嚢腫の黄体化に伴い上昇した.血中corticoidの動態については,3頭とも同様にACTH投与後2~6日目から著しい低値を示した.
    以上の成績から豚の卵胞嚢腫は種々のストレス刺激を受けた結果,ACTHが分泌亢進して発育卵胞からのestrogen産生分泌が抑制され,フィードバック機構を介してLHサージが不十分になり,形成されることが示唆された.
  • 梶 雄次, 古谷 修, 浅野 猛, 村山 隆一
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1013-1018
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    子豚におけるL-トリプトファン0.05%添加トウモロコシ-大豆粕基礎飼料へのリジン,トレオニン,メチオニン,イソロイシンおよびバリンの添加効果ならびにトレオニンの要求量を明らかにする目的で,不断給飼,群飼の条件下で3週間の発育試験を4回にわたって実施した.1) 実験1では,体重約25kgの子豚24頭を用い,基礎飼料へのL-リジン塩酸塩0.5%(リジンとして0.4%),L-トレオニン0.1%およびDL-メチオニン0.1%の添加効果を調べた.基礎飼料の組成はリジン0.44%,トレオニン0.39%,含硫アミノ酸(メチオニン+シスチン)0.49%,トリプトファン0.15%および粗蛋白質(CP)10.7%であった.3種のアミノ酸混合物を添加した場合には,1日増体量(DG)および飼料要求率(FCR)はそれぞれ762gおよび2.5,混合物からメチオニンのみを除いた場合はそれぞれ738gおよび2.6となり,ほとんど差はみられなかった.リジンを含まない混合物を添加した場合にはそれぞれ524gおよび3.2で,発育成績は著しく劣った.混合物からトレオニンを除くとそれぞれ619gおよび2.8となり,中間的な値であった.2) 実験2および3では,いずれも体重約24kgの子豚を20頭用い,トレオニン要求量を検討した.L-リジン塩酸塩を0.5%添加した基礎飼料にL-トレオニンを,実験2では0,0.05,0.1および0.15%,実験3では0,0.1,0.15および0.2%添加して発育の反応をみた.DGおよびFCRはL-トレオニンの添加量が0.1~0.15%までは直線的に変化したが,それ以上添加しても効果はみられなかった.DGおよびFCRを指標とすると,トレオニンの要求量はそれぞれ飼料中含量0.51および0.49%と推定された.3) 実験4では,体重約29kgの子豚16頭を用い,L-リジン塩酸塩0.5%およびL-トレオニン0.15%添加した基礎飼料に対してL-イソロイシンおよびL-バリンをいずれも0.1%添加した場合の効果を調べたが,それらの添加効果は認められなかった.4) 以上の試験結果から,CP10.7%で,トリプトファンを添加したトウモロコシ-大豆粕飼料における第1および第2の制限アミノ酸はそれぞれリジンおよびトレオニンであり,含硫アミノ酸,イソロイシンおよびバリンは不足しないことが示唆された.
  • 佐野 宏明, 李 相洛, 山崎 ふじみ, Mario ORLANDI, 佐々木 康之, 津田 恒之
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1019-1026
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    グルコースの静脈注入後のグルコース消失速度およびインスリン分泌反応に対する飼料中プロピオン酸および暑熱の影響を明らかにするために,めん羊にアルファルファヘイキューブ単一飼料あるいはアルファルファヘイキューブに生理的レベルのプロピオン酸カルシウム(10mmol/kg BW)を添加した飼料(高プロピオン酸飼料)を給与し,常温(20°C)あるいは暑熱(30°C)に暴露した.
    血液グルコース消失速度は採食前にはアルファルファヘイキューブ単一飼料よりも高プロピオン酸飼料の方が高い傾向を示したが,採食後には低い傾向を示した.グルコース注入に対するインスリン分泌反応は採食前には飼料に関係なく常温時よりも暑熱時の方が大きい傾向を示し,採食後には環境温度に関係なくアルファルファヘイキューブ単一飼料よりも高プロピオン酸飼料の方が小さい傾向を示した.これらの結果から血液グルコースの利用速度および外因性グルコースに対するインスリン分泌反応はともに暑熱暴露よりもむしろ飼料条件に影響されると考えられた.
  • 柿市 徳英, 鎌田 信一, 伊藤 整, 山野 秀二, 内田 和夫
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1027-1033
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚舎汚水処理におけるばっ気式ラグーン変法の窒素とリンの同時除去を効率よく行なうための緩速撹拌時間を検討した.実験は緩速撹拌時間を0,4,6および8時間の4区を設けて行なった.その他の統一条件は汚水流入3時間,滞留時間5日,沈殿2時間とした.その結果,1) 窒素の除去率は6および8時間撹拌の両区が90%を示し,同程度に優れていた.2) リンの除去率でも6および8時間撹拌の両区が87~88%を示し,同程度に優れていた.3) TOCおよびODには緩速撹拌の影響は認められず,TOCの除去率は各区ともに97%であった.4) SVI値は緩速撹拌が長くなるにつれて高くなる傾向を認め,8時間撹拌でのSVI値は71であった.以上より,ばっ気式ラグーン変法による窒素とリンの同時除去を効率よく実施するための緩速撹拌時間は,6時間附近が適切であろうとの結果を得た.今後は豚糞のみではなく糞尿混合液を用いて検討したい.
  • 劉 建新, 大久保 正彦, 朝日田 康司
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1034-1039
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ルーメンカニューレ装着羊を用い,稲わら単独給与を対照区として,1日1頭当たり100,200,300gの大豆粕添加処理区を設け,窒素添加が稲わらの自由摂取量に及ぼす影響を反芻胃内繊維消化の観点から検討した.大豆粕添加レベルの増加に伴い窒素の反芻胃内分解度は増加したがエネルギー源の指標となる有機物の分解度はほとんど変化しなかった.その結果,反芻胃内微生物への窒素供給および窒素,エネルギー供給バランスが改善された.一方,反芻胃内での繊維質の潜在的可消化割合は大豆粕添加によってもほとんど増加せず,繊維質の消化速度,反芻胃内通過速度とも大豆粕添加レベルの増加につれてわずかに増加したにとどまった.反芻胃内における繊維質の滞留時間指数は大豆粕添加レベルの増加につれて低下したが,300gでもなお高い値を示した.稲わらの自由摂取量は対照区に比べ大豆粕100g添加で少量の増加が見られたが,それ以上添加してもほとんど効果がなかった.以上の結果から,稲わらの自由摂取量は窒素添加のみによってはあまり増加しないと推察した.
  • 劉 建新, 大久保 正彦, 朝日田 康司
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1040-1046
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ルーメンカニューレ装着羊を用い,NaOH処理および大豆粕添加が稲わらの自由摂取量に及ぼす影響を反芻胃内繊維質(CWC)の消化の観点から検討した.NaOH処理稲わらは,稲わらに同重量のNaOH水溶液(40gNaOH/kg水)を散布して調製した.大豆粕添加量は200g/日•頭であった.稲わら飼料蛋白質の反芻胃内分解度はNaOH処理および大豆粕添加により増加し,反芻胃内微生物への窒素供給は十分なものとなった.NaOH処理により,稲わらCWCの潜在的可消化割合は増加したが,その消化速度はやや低下した.大豆粕添加は消化速度を有意に向上させた.反芻胃内通過速度はNaOH処理,大豆粕添加のいずれによっても増加した.反芻胃内におけるCWCの滞留時間指数はNaOH処理稲わらに大豆粕を添加した場合に最も低かった.稲わらの自由摂取量はNaOH処理により多少増加し,NaOH処理稲わらに大豆粕添加することにより大幅に増加した.以上のことから,稲わらの摂取量は,NaOH処理により稲わら繊維質の潜在的可消化割合を向上させたうえで窒素源を添加すれば,反芻胃内での繊維消化の改善を通して大幅に増加すると結論した.
  • 西田 隆雄, 林 良博, 野沢 謙, 橋口 勉, Supraptini MANSJOER
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1047-1058
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1977年,1978年および1981年に行なわれたインドネシア在来家畜調査において,雄164羽と雌48羽,計212羽の在来鶏の生体計測を行ない,その計測値を主成分分析法によって検討した.その結果,以下のことが明らかにされた.1) 闘鶏種を除くと,インドネシア在来鶏の各集団間には,体の大きさおよび体型の差が認められない.2) マドゥラの闘鶏種の雄およびバンコックと呼ばれる南スラウェシの闘鶏の雄は,第一主成分では最も大型の群れを形成する.5,845羽の在来鶏について,外皮に属する形態学的形質を記録し,統計遺伝学的方法によって,形態学的形質の発現を制御している遺伝子の頻度(q),改良種の侵入率(Q),残存する在来遺伝子量および改良種からの流入では説明出来ない遺伝子頻度(q(N))を求あた.その結果,インドネシア在来鶏は,約50%の在来遺伝子を保持していることが明らかにされた.
  • 許 振忠, 田中 桂一, 大谷 滋, CRISTINO M. COLLADO
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1059-1072
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    31°Cの高環塩下で産卵中の鶏を炭水化物の異なる飼料で飼育した時,これらの飼料へのパンテチン添加によって肝臓中の脂質合成にどのような影響を及ぼすかを検討した.
    飼料中炭水化物源として,トウモロコシ,大麦あるいはトウモロコシと大麦を配合した飼料と,さらにそれぞれの飼料に200ppmパンテチンを添加した6種類の飼料を配合した.そして280日齢の産卵中の鶏(白色レグホーン種)を1区6羽ずつ6区に分け,それぞれの実験飼料を3週間給与した.実験期間中の環境温度は31±3°Cとした.
    トウモロコシ配合および大麦配合飼料へのパンテチン添加は肝臓重量(g/100g体重)を増加させたが,肝臓中トリグリセリド含量を低下させた.トウモロコシ配合飼料にパンテチンを添加すると肝臓中総コレステロール含量が低下した.また,いずれの飼料にパンテチンを添加しても,血漿中のトリグリセリドおよびβ-リポ蛋白質-トリグリセリドの濃度は低下したが,総コレステロール濃度はトウモロコシ配合および大麦配合飼料にパンテチンを添加した時に,低下が観察された.また同時に肝臓中の脂肪酸合成関連酵素およびHMG-CoA還元酵素の活性が低下した.血漿中サイロキシン濃度はいづれの飼料給与区においてもパンテチン添加によって高い値を示し,一方血漿中エストラジオール濃度は低下あるいは低下する傾向にあった.産卵率,卵重および卵黄重量は,いずれの飼料給与区においても,パンテチンの添加給与によって,改善された.また,卵黄中の総コレステロール含量はいずれの飼料給与区においても,パンテチン添加によって低下した.
  • 佐野 宏明, 高橋 淳根
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1073-1075
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 小沢 陽子, 芦沢 幸二, 岡内 敬三
    1988 年 59 巻 12 号 p. 1076-1079
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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