日本畜産学会報
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59 巻, 5 号
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  • 土屋 剛
    1988 年 59 巻 5 号 p. 381-387
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウズラの骨髄骨形成に及ぼすエストロジェン,ビタミンD3およびカルシトニンの影響について,雄ウズラ200羽を用いて,大腿骨の骨髄骨の経日変化を画像解析装置で調べた.
    1. 骨髄骨の石灰化した部分と類骨部分はアルシアンブルー染色とコラーゲンの免疫染色を組み合わせることによって,画像解析装置で測定することが可能になった.
    2. エストロジェンを投与した雄ウズラの大腿骨は2日目に骨髄骨が形成され,骨髄腔断面の骨髄骨帯の占める割合は6-8日目に最大となり,15日目には消失した.骨髄骨の石灰化した部分は全実験区とも6-8日目が最大で,15日には消失した.骨髄骨の類骨部分は全実験区とも4-5日目が最大で,12日目には消失した.
    3. 雄ウズラの骨髄骨の形成にはビタミンD3やカルシトニンの明瞭な影響は見られなかった.しかし,骨髄骨が消失する10日目より12日目にかけて,骨髄骨の石灰化した部分がカルシトニン投与区で,カルシトニン非投与区に比べて急激に減少していることが認められた.
    4. 血清中のカルシウム(Ca)値はエストロジェン投与後,全実験区で増加し,5-6日目に最大(100mg/100ml)となったが,8日目以降は急激に減少した.カルシトニン投与区では10日目に正常のCa値に戻り,カルシトニン非投与区では12日目に正常のCa値に戻った.
  • 菊池 榮一, 井筒 雅, 小林 秀行, 日下部 功, 村上 和雄
    1988 年 59 巻 5 号 p. 388-394
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    酵素活性の異なる2水準の繊維状チーズの試料A, B(10°C)および-20°C保存の試料Cを用いて,保存12週におけるチーズの蛋白分解の指標であるNPN/TN値および繊維特性を表わす引張強さをそれぞれ測定し,酵素作用による各測定値の変化を経時的に検討した.その結果.
    1) チーズの引張強さは,保存日数および残存凝乳酵素活性によっていずれも有意に減少する.酵素作用による引張強さの変化の傾向は,保存4週付近を境にして本質的に異なる.
    2) チーズのNPN/TN値は,保存日数の経過に伴い残存凝乳酵素活性と高い相関が認められる.水溶性窒素化合物の増加および水不溶性5%食塩溶液可溶性窒素化合物の減少傾向から,チーズの引張強さの変化は蛋白分解酵素の作用によると考えられる.
    3) 引張強さの値とNPN/TNの値との間には,負の相関が認められる.(Y=60.4e-0.22x,Yは引張強さ,XはNPN/TN値)
    ことが明らかとなり,延伸によって固定された繊維状チーズのテクスチャーは,イ) 保存初期では力学的構造の変化が大きく,ロ) 保存2~4週頃からは更に酵素による蛋白分解作用が加わり,ハ) 保存の長い期間の後期(3ヶ月以降)では成分組成的な変化が支配的となると考えられる.
  • 松本 光人, 板橋 久雄
    1988 年 59 巻 5 号 p. 395-401
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    下部消化管に移行する核酸量(プリン塩基量)と尿中へのアラントイン排泄量との関係を,哺乳子ヤギを用い,トルラ酵母(核酸含量11.0%,プリン塩基含量2.5%: 17.6mmole/100g)をルーメンバイパスさせることにより検討した.実験1では,3週齢の哺乳子ヤギに牛乳-トルラ酵母を蛋白質源とする代用乳(酵母代用乳)-分離精製大豆蛋白質を蛋白質源とする代用乳(ISP代用乳)をそれぞれ1週間ずつ連続して与え,毎日全尿を採取し,分析に供した.実験2では,牛乳にトルラ酵母を1日あたり15g, 30g, 45g,あるいは60g添加してそれぞれ1週間与え,後半3日間の1日尿を全量採取し分析した.その結果,実験1では, N摂取量は牛乳<酵母代用乳<ISP代用乳の順に増加し,それにともない,尿中総N,尿素態Nの排泄量が増加した.一方,アラントインは,牛乳あるいはISP代用乳給与時には100mg (0.63mmole)/日前後であったのに対し,酵母代用乳給与により600-700mg(3.8-9.4mmole)/日に増加した.実験2では,尿中アラントイン排泄量と酵母中のプリン塩基摂取量との間に正の相関(r=0.973,尿中アラントイン量(mmole/日)=0.506×プリン塩基摂取量(mmole/日)-0.065)が認められた.以上から,哺乳子ヤギでも摂取されたプリン塩基の50%以上が速やかにアラントインとして尿中に排泄され,下部消化管に移行してくる核酸を速やかに消化,吸収,代謝する能力をもつことが明らかになった.さらに,大量の核酸摂取が内因性の核酸代謝に影響することが示唆された.
  • 石田 元彦, 宮崎 昭, 川島 良治
    1988 年 59 巻 5 号 p. 402-406
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    飼料としての牛糞の化学的,栄養学的特質を細胞内容物画分(CC)と細胞壁構成物質画分(CW)とに分画する分析法によって評価するための予備的な知見を得ることを目的とした実験を行なった.供試牛糞は,粗飼料を多給された肉用種繁殖牛の糞2点と濃厚飼料を多給された肥育牛の糞2点であった.CW含量は,中性デタージェント(ND)法で測定した場合が蛋白質分解酵素,プロナーゼで処理する酵素法で測定した場合よりも低かった,ND処理によって,牛糞の窒素成分,リグニンならびに灰分が,酵素法によるよりも多く除去された.牛糞をND処理したのち,めん羊の第一胃内細菌で消化するin vitro法で測定した乾物消化率は,プロナーゼ処理したのち,第一胃内細菌で消化する方法で測定した乾物消化率よりも高かった.このin vitro試験の結果から,ND処理は酵素処理よりも第一胃内細菌が消化できない牛糞中の細胞壁成分を多く除去することが示唆された.以上の結果から,牛糞の飼料特性を評価する場合にこは,CCとCWとに分画する方法としては,酵素法の方がND法よりも適していると思われた.
  • 古谷 修, 梶 雄次, 浅野 猛, 村山 隆一
    1988 年 59 巻 5 号 p. 407-413
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    フスマ,脱脂米ヌカ,ナタネ粕,グレインソルガム,ミートボーンミールおよびフェザーミールの豚小腸末端までのアミノ酸および粗蛋白質(CP)の真の消化率を,小腸末端にカニューレを装着した9頭の子豚(開始時体重約30kg)を用いて測定した.実験1では, トウモロコシとコーンスターチを主体とする基礎飼料(CP3.3%)およびそのコーンスターチをフスマあるいは脱脂米ヌカで代替した飼料の合計3種類の飼料を用い,1試験期間4日間として3期にわたって消化試験を実施した.各期では4頭の豚に3種類の飼料のいずれかを,1日目の午後5時から8時間間隔で1日3回,400g宛給与し,3,4およびつぎの試験期間の1日目にあたる5日目の午後1~3特に小腸内容物を採取して分析に供した.消化率は酸化クロム法によって求めた.実験2では,ナタネ粕,グレインソルガム,ミートボーンミールおよびフェザーミールを供試し,基礎飼料およびそのコーンスターチの全部あるいは一部を各飼料原料で代替した4種類の合計5種類の飼料,5頭の豚および5試験期間による5×5のラテン方格法によって実施した.その他の条件は実験1と同様であった.試験の結果はつぎの通りである.小腸末端までの真の全アミノ酸平均消化率は,フスマ,脱脂米ヌカ,ナタネ粕,グレインソルガム,ミートボーンミールおよびフェザーミールで,それぞれ,85.6,70.4,81.7,80.4.,73.1および76.6%であった.また,CPの真の消化率は,それぞれ,82.1,65.8,79.8,71.2,73.8および76.2%であった.必須アミノ酸のうちでもっとも制限となり易いリジンの小腸末端までの真の消化率は,それぞれ,85.6,70.9,77.3,82.6,74.0および66.5%であった.必須アミノ酸のうち,アルギニンの消化率が全飼料原料の平均で87.2%となりもっとも高く,トレオニンは72.4%で最低であった.
  • 関口 総一郎, 今井 清
    1988 年 59 巻 5 号 p. 414-422
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験は産卵鶏に対して排卵前24時間,または12時間にAminoglutethimide(AG)を投与し,その後のP4,T,E2の血中濃度と排卵に及ぼす影響を明らかにすることにより,一排卵周期中のP4,T,E2の排卵に関する役割を検討した,排卵前12時間に100mg AGを投与した結果,排卵は6/6羽で3-6時間遅延し,排卵前の血中P4値の上昇もまた4-6時間遅延していた.同時間で200mg AG投与の場合,5/5羽で排卵は阻止され,P4,T,E2値の上昇は認められなかった.
    一方,排卵前24時間に50mg AGを投与した時,5/12羽の排卵は2-5時間遅延し,3/12羽で排卵阻止が,4/12羽で正常排卵が認められた.同時間での100mg AG投与の8羽では,全例で排卵が阻止された.50mgか100mg AG投与によって遅延排卵した鶏と排卵しなかった鶏の計16羽に関し,E2値はAG投与後に明らかに減少した,また,排卵しなかった鶏のP4値は予想排卵前8-2時間の期間に全く増加しなかったが,遅延排卵した鶏の場合,P4値は排卵の遅延時間と同程度遅れて増加した.これに対し,T値が排卵の有無や遅延に関連する結果は見出されなにった.
    これらの結果から,排卵前24時間に投与したAGの排卵阻害効果は,排卵前12時間に投与したAGの約2倍に匹敵し,排卵に影響をうけた鶏のP4とE2値は明らかに減少したので,排卵前24-12時間でのP4とE2分泌は,排卵誘起のために重要な役割をもっことが示された.
  • 宮本 明夫, 石井 伸一, 梅津 元昭, 正木 淳二
    1988 年 59 巻 5 号 p. 423-432
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    2頭の雄ヤギを用いて,精漿中インヒビン活性をin vitroアッセイにより1年間にわたって測定し,その変化と精液性状や内分泌状況との関係を検討した.半月毎に採取した精漿中のインヒビン活性は,夏に上昇し(P<0.05),初秋には減少した(P<0.05).血中FSH濃度は夏にピークを示し(P<0.01),初秋には低下して(P<0.01),以後低レベルを維持した.各個体において,血中FSH濃度と精漿中インヒビン活性の変動の間に正の相関がみられた(r=0.472およびr=4.438;P<0.05).さらに,精漿中インヒビン活性と総射出精子数の間にも,2頭中1頭において正の相関がみられた(r=0.436:P<0.05).また,LHのパルス状分泌パターンも季節的に変動した(P<0.05).すなわち,夏にはパルスの振幅が大きく,秋には振幅は小さいが頻度が多く,冬にはほとんど不活型を示した。各季節において6時間の観察中,LHとLSHのパルスのピークはほとんど一致していた.血中テストステロン濃度は夏に上昇を始め,秋にはプラトーに達し,冬には基底植にまで低下した(P<0.05).
    以上の結果より,夏の精漿中インヒビン活性の上昇は,雄ヤギでは特徴的な現象であることが確かめられた.この夏のインヒビン活性の上昇は,血中FSH濃度が夏に上昇することと深い関係があるように思われた.これは雄ヤギにおいて,上昇した血中FSH濃度が,精巣でのインヒビン生産を刺激する可能性を示唆するものと考えられた.
  • 伊藤 慎一, 印牧 美佐生, 森田 光夫, 山田 道男, 田辺 義弘, 永村 敏勝, 並河 鷹夫, 富田 武
    1988 年 59 巻 5 号 p. 433-445
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    熊本票産の褐毛和種の遺伝子構成が,血液蛋白および血液型17座位に対して調査され,この品種の由来に関係があるとみられる韓牛およびこの品種の改良に貢献したとされるシンメンタール種とこ間での遺伝的類縁関係が,主成分分析によって評価された.数多くの対立遺伝子(フェノグループ)を有するBおよびC座位(システム)の分析の結果,褐毛和種には,韓牛およびシンメンタール種と同様,この品種に特有な対立遺伝子が数多く見い出されたのに対して,両者と共通な対立遺伝子も少なからず見い出された.これらの結果から,韓牛と褐毛和種,および褐毛和種とシンメンタール種の間には,かって遺伝的つながりがあったことが示唆された.17座位に含まれる272の対立遺伝子の頻度を用いた主成分分析の結果から,全分散の79.81%に寄与した第1主分は,韓牛および褐毛和種のアジア集団とヨーロッパに起源を発するシンメンタール種との間における大きな遺伝的差異を,また,第2主成分(20.19%)は,韓牛と褐毛和種との間に生じた遺伝的分化を説明していると考えられた.これらの結果から,褐毛和種は,シンメンタール種よりも韓牛と,より密接な遺伝的関係があることと,今日の褐毛和種におけるシンメンタール種からの遺伝的影響はあまり大きくないことが示唆された。主成分分析の結果からは,また,第1主成分の因子負荷量の絶対値と遺伝子流動(gene flow)量との間には密接な相関関係のあることが明らかにされた.これに基づき,シンメンタール種によって改良される以前の褐毛和種の遺伝子構成が韓牛と同じであったと仮定すると,今日の褐毛和種におけるシンメンタール種からこ遺伝的影響の程度は,約24%と考えられた.
  • 阿部 啓之, 斎藤 守
    1988 年 59 巻 5 号 p. 446-454
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ベータアドレナリン作動薬の一つであるクレンブテロール(clenbuterol)を飼料に添加することによって,体脂肪の少ない,筋タンパクの多い肉を生産する可能性を探るために成長中のラットを用いて屠体分析を含む成長試験を行なった.併せて,消化率ならびにエネルギー,窒素の利用率に及ぼす影響等も検討した.試験区として,クレンブテロール無添加区(対照区),0.01ppm添加区,0.1ppm添加区,0.1ppm添加飼料を21日間給与後に中止した区(クレンブテロール中止区)ならびに0.2ppm添加区の5区を設け,28日間の試験を実施した.成長試験の結果,0.1ppm添加区と0.2ppm添加区の増体量は対照区を上回り,0.01ppm添加区では対照区を下回ったが,いずれも有意差とはならなかった(p>0.05).クレンブテロール中止区では,クレンブテロール添加を止めた後に増体量の減少がみられた.また,屠殺時に臓器重量の計測を行なったが各区間に差異はみられず,血清総タンパク,血清グルコース,血清尿素態窒素および血清遊離脂肪酸含量についても有意差は認められなかった(p>0.05).屠体の脂肪含量は,クレンブテロール添加区は,対照区に比べて,いずれの添加水準でも有意(p<0.05-0.01)に減少し,その減少率は12-18%にも達した.一方,層体の窒素含量は0.1ppm添加区と0.2ppm添加区で対照区よりも有意(p<0.05)に高く,その増加率は約5%であった.乾物,窒素および総エネルギーの消化率には各区間に差がみられなかった.また光学顕微鏡による肝臓および副腎の組織学的観察においても添加区と対照区の差異は認められなかった.エネルギー利用率[エネルギー蓄積量/(代謝エネルギー摂取量-維持の代謝エネルギー量)]については,クレンブテロールの添加は有意の影響を及ぼさなかった.しかし,窒素の利用率(窒素蓄積量/可消化窒素摂取量)は0.1ppm添加区と0.2ppm添加区で対照区に比べて8-10%の改善効果がみられた(p<0.05).
  • 柿市 徳英, 鎌田 信一, 伊藤 整, 山野 秀二, 内田 和夫
    1988 年 59 巻 5 号 p. 455-457
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 大橋 知男, 楠原 征治, 石田 一夫
    1988 年 59 巻 5 号 p. 458-461
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 宮本 明夫, 石井 伸一, 梅津 元昭, 正木 淳二
    1988 年 59 巻 5 号 p. 462-465
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 英明, 石橋 武彦
    1988 年 59 巻 5 号 p. 466-469
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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