日本畜産学会報
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60 巻, 10 号
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  • 古谷 修
    1989 年 60 巻 10 号 p. 899-907
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 島田 和宏, 居在家 義昭, 鈴木 修, 小杉山 基昭
    1989 年 60 巻 10 号 p. 908-915
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種(1~9産)68組,無角和種(1~3産)10組の母•子牛を用いて,吸乳行動に及ぼす品種,子牛日齢,性,産次,季節とそれらの間の交互作用の影響を調べた.出生後10,30,60,90,180日における1日当たりの吸乳回数(NSD),1日当たりの吸乳時間(DSD),1回当たりの平均吸乳時間(DSB)を,両品種の3産までの202記録(Model I)と黒毛和種の314記録(Model II)に分けて分散分析を行なった.
    Model Iにおける黒毛和種のNSDの最小自乗平均値は7.4回,無角和種は8.7回であった.品種と子牛日齢の交互作用が有意で,黒毛和種は30日の8.9回,無角和種は10日の11.2回が最高であったが,180日では両品種とも約5回まで減少した.Model IIにおいて4産のNSDは6.7回で1,8~9産の7.9回より少なかった.また,冬期のNSDは春•夏期より多い傾向にあった.
    DSDには品種間差が認められず,Model IIにおける全平均は79.2分であった.10日におけるDSDは66.5分で,30日に最高値の102.7分に達し,以後180日の56.9分まで減少した.10,30日では雄子牛がそれぞれ7.9,6.5分長く,60日以後は雌子牛が3.5~14.2分長い傾向にあった.また,子牛日齢と産次の交互作用が認あられた.
    Model Iにおける黒毛和種のDSBは10.4分,無角和種は9.3分であった.Model IIにおいて10日のDSBは7.8分で,他の日齢の11.2~11.7分より短かったが,ほとんどの吸乳は日齢にかかわらず21分未満で終了した.また,DSBを19~7時までと7~19時で分類すると,それぞれ11.0分と10.3分で,夜間が長い傾向にあった.
  • 入来 常徳, 伊藤 謙一, 阿部 又信
    1989 年 60 巻 10 号 p. 916-922
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    トウモロコシに北洋白身魚粉(WFM)とコーン•グルテンミール(CGM)を加えて調製したCP水準11%の濃厚飼料(BC),WFMとCGMの代りに尿素を添加したCP水準11%の飼料(BU),BCよりもさらにWFMとCGMの割合を高くしたCP水準15%の飼料(BC+C),およびBCに尿素を添加してCP水準を15%に調整した飼料(BC+U)の4種類を3ヵ月齢のホルスタイン種雄子牛に給与して,最長12週間までの成長試験を計4回,2週間を1期とする42ラテン方格法によるN出納試験を1回実施した.なお,試験飼料のTDN含量はほぼ同一(約75%)であり,N出納試験では1日当りの尿中プリン誘導体排泄量も測定した.成長試験はいずれも7-8頭から成る群飼区を2区設け,濃厚飼料と稲ワラを不断給与する条件で行なったが,BCとBUを比較した試験1,BC+CとBC+Uを比較した試験2,それにCP水準の異なるBCとBC+Uを比較した試験3,4のいずれにこおいても,増体成績や血清尿素態N濃度には有意の差がなかった.一方,稲ワラを含めて飼料給与日量を体重の3%に制限して行なったN出納試験では,N蓄積量はCP15%飼料給与時の方が有意に高く(P<0.05),尿へのプリン誘導体排泄量も多い傾向があり,BC区では有意に低下したが(P<0.05),同一CP水準内では有意の差が認められなかった.これらの結果に基づいて,微生物態蛋白質とバイパス蛋白質の宿主栄養に対する貢献について考察した.
  • 及川 卓郎
    1989 年 60 巻 10 号 p. 923-927
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    混合モデル(Mixed model)中の牛群効果として,地域,地区および農家単位を比較し,わが国で1牛群単位とみなすべき集団について明らかにすることを目的に,子牛体重のフィールド成績を分析した.分析に用いたデータは1980年から1984年まで沖縄県の3セリ市場で取り引きされた5143頭の子牛体重である.分散成分の推定にはHENDERSONのNew methodを用いた.統計モデルには母数効果として集団平均,年次,季節,性および日齢に対する1次回帰係数を含み,変量効果として地域,地区,農家,種雄牛および誤差を含む.体重における地域,地区,農家,種雄牛および誤差の分散割合は,それぞれ11,1,27,10および52%であった.また,日齢体重における地域,地区,農家,種雄牛および誤差の分散割合は,それぞれ11,1,26,9および53%であった.このように地域の分散は,種雄牛の分散とほぼ等しい割合であったのに対し,地区の分散は全ての形質で1%以下であった.一方,農家の分散は10%~27%と比較的大きな割合であった.そこで,上記のモデルにおける4変量効果の内,2~3の変量効果だけを含む部分モデルについて比較したところ,農家と種雄牛の効果を含むモデルの誤差分散が最も少なく,また種雄牛分散も大きく推定された.以上の結果より,子牛体重フィールド記録を使う場合,1牛群単位とみなしうる牛集団は,農家単位のものが最も妥当であると考えられた.
  • 岡本 新, 前田 芳實, 橋口 勉
    1989 年 60 巻 10 号 p. 928-932
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    末梢リンパ球培養法,G-分染法,C-分染法を併用して,ニワトリ染色体を形態学的に分類し,同定を試みた.
    大型の常染色体12対およびZ,W性染色体について腕比および着糸点指数から分析し,Nos.1,2常染色体は次中部動原体型(Submetacentric), Nos.3,5,6,7,9,10,11および12常染色体は端部動原体型(Acrocentric), No.4常染色体は次端部動原体型(Subtelocentric), No.8常染色体,ZおよびW性染色体は中部動原体型(Metacentric)であることが分った.G-バンドは,9対の染色体およびZ,W両性染色体について詳細に分析され,G-バンドに基づくニワトリ核型模式図を作成した.またC-バンドは常染色体12対および性染色体において観察され,性染色体に特異的に出現することから,ニワトリの性染色体の同定に有効な指標となることが確認された.
  • 広岡 博之, 山田 行雄
    1989 年 60 巻 10 号 p. 933-939
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    汎用シミュレーションモデルを用いて,わが国の牛肉一貫生産システムにおけるさまざまな生産効率に対する母牛の遺伝的成熟サイズの影響を調べた.そのようなシステムの生産性を表す指標として,(1) 飼料摂取代謝エネルギー(ME) 1MJ当たりの後代の出荷時体重(kg)で表される生物学的効率(El),(2) 飼料摂取ME量1MJ当たりの母牛ならびに後代の出荷時体重で表される生物学的効率(E2),(3) 飼料摂取ME量1MJ当たりの筋肉量で表される生物学的効率(E3),(4) 飼料費に対する生産物からの利益の比で表される経済効率(E4)の4種を用いた.さまざまな水準の母牛の成熟体重(WA)ならびに3水準の去勢肥育牛の市場出荷時体重(WM; 400kg, 500kgおよび600kg)を仮定し,他の入力条件はわが国の黒毛和種を用いた典型的牛肉生産条件を想定して設定した.得られた結果の要約は次の通りである.
    (1) すべての生物学的効率はWAの増加に伴って上に凸の2次曲線を描いて変化した.また,その影響はWMが増加するにつれて大きくなり,その傾向は特にE1に関して顕著であった.(2) E4に対するWAの影響は,WMによってさまざまであった.これは,モデルで用いられている生物学的因果関係が時間因子と独立であるにもかかわらず,主として牛肉の価格を決定する脂肪交雑が時間の関数として推定されているためと考えられた.(3) 日本の牛肉生産システムにおいて経済的に最適であると考えられたWMが600kgの条件下では,上記4種の効率を最大にする最適なWAは,それぞれ,E1に関しては622kg, E2に関しては699kg, E3に関しては789kgならびにE4に関しては515kgであった.この結果より,用いるべき効率によって最適なWAが異なる条件下では,方針決定者は,最適な遺伝的サイズを決定する前に生産目標として採用する効率を選ぶべきであろうと考えられた.
  • 松井 寛二, 大久保 忠旦
    1989 年 60 巻 10 号 p. 940-945
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    スポーツ医学分野で開発された小型データロガ3台を用いて,顎運動,頭位,歩行,姿勢および心拍数に関するデータを,60秒間隔24時間連続で同時記録を行なった.データロガ本体は小型•軽量で牛体の背中に装着できた.このシステムはテレメータとは異なり受信能距離の制約は全く受けず,かつ1合のデータロガには2種類のユニットとセンサーが装着できる構造であった.ユニットとセンサーは家畜用に改良し,顎運動と頭位は胸囲形呼吸センサーを用いて計測し,前者のセンサーは下顎部に,後者のセンサーは頭絡とき甲部腹帯の中間に連結した.姿勢は胸部腹帯に装着したテープスイッチにより計測した.心拍数と歩数は心電図と前肢の筋電図をパルス信号に変換して計測した.現地での記録終了後,データロガ本体を牛体から取り外し,ここに記録されたデータをインターフェースを介してフロッピーディスクに保存した.この保存データはパーソナルコンピュータにより24時間の顎運動,頭位,歩行,姿勢および心拍数のダイヤグラムとして作図した.これらを用いることにより食草,反芻,歩行,横臥に関する行動形をほぼ正確に解析することができた.また,心拍数との相互関係の解析も可能であった.本研究で改良を重ねたデータロガ計測システムはテレメータに代る手段として,放牧家畜の生理•生態研究に広く適用されるものと考えられた.
  • 新村 末雄, 四谷 伊公子, 石田 一夫
    1989 年 60 巻 10 号 p. 946-950
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    原始卵胞から胞状卵胞までのハムスターの顆粒層細胞と排卵後の卵丘細胞について,プロスタグランジン(PG) E2とPGF2aの検出を間接蛍光抗体法を用いて免疫組織化学的に行ない,顆粒層細胞におけるPGの出現時期と量的変動を調べた.PGE2およびPGF2aの局在を示す蛍光は原始細胞の顆粒層細胞には観察されなかったが,いずれの種類のPGも小型二次卵胞の顆粒層細胞に弱く出現した.胞状卵胞において,PGE2とPGF2aの局在を示す蛍光はいずれも排卵前9時間までの顆粒層細胞では強かったが,排卵前6時間と3時間では著しく弱まり,蛍光を持つ細胞を含まない卵胞が出現した.また,排卵後12時間の卵丘細胞には蛍光は全くみられなかった.これらの結果から,ハムスターの顆粒層細胞は小型二次卵胞の時期からPGE2とPGF2aを持ち始めること,LHサージ後の胞状卵胞の顆粒層細胞ではPGの含量が著しく減少し,PGを含まない細胞が現れることが明らかとなった.
  • 千国 幸一, 神部 昌行, 田中 博, 小石川 常吉, 加藤 貞雄, 小堤 恭平
    1989 年 60 巻 10 号 p. 951-957
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    脂肪組織における脂肪酸不飽和化酵素(EC 1.14.99.5)の活性を非ラジオアイソトープ的に測定するため,ガスクロマトグラフィーを用いる方法を開発した.反応は1mlの基質溶液(50mMリン酸カリウム,0.1%アルブミン,0.5mMNADH,30μMノナデカン酸-CoA)にミクロソーム約100μg(蛋白質量)を入れて37°Cで5分間行ない,生成したノナデセン酸(19:1)をガスクロマトグラフィーによって測定した.生成した19:1はミクロソームの全脂肪酸の約0.5%と少量であったが,内部標準(2-ハイドロキシオクタデカン酸)とともにメチルエステル化した脂肪酸の抽出液を約50μlに濃縮し,その1μlをキャピラリーカラムにスプリットレス注入することにより,定量することができた.この方法を用い,ハンプシャー種,ランドレース種,デュロック種の皮下脂肪層の不飽和化酵素活性を測定した.得られた酵素活性はステアリン酸-CoA (18:0-CoA)を基質として測定した文献値よりもやや低い値を示した.しかし,本方法は定量性があり,粗酵素系で酵素活性の比較試験を行なう場合には,適している方法であると考えられた.
  • 尾野 喜孝, 岩元 久雄, 高原 斉
    1989 年 60 巻 10 号 p. 958-964
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は幼雛の体成長,ならびに骨格筋および筋線維の成長の相互関係を明らかにするために行なった.白色レグホーン種雄雛を用いて,孵化時ならびに1,2,3および5週齢時に頚部の背側頚長筋,前肢部の胸筋,上鳥口筋,上腕二頭筋,肩甲三頭筋および上腕三頭筋,ならびに後肢部の前腸脛骨筋および外側腸脛骨筋の後部の重量と筋線維直径を測定し,体重と骨格筋重量,ならびに骨格筋重量と筋線維直径の間で相対成長式を求め検討を行なった.結果は以下の通りである.
    1. 前肢を構成する骨格筋の孵化後1週齢までの成長は頚部あるいは後肢部の骨格筋に比較し,とくに顕著であった.体重と骨格筋重量の間で求めた相対成長係数は前肢を構成する骨格筋では1.00より有意に大きく,前肢の骨格筋の成長は体成長を上回ることが示された.一方,前肢以外の骨格筋の成長は体成長とほぼ平行して進行することが示された.
    2. 前肢を構成する骨格筋の筋線維の直径は孵化時には頚部および後肢部のそれに比較して著しく小さいが,1週齢時には相互にほとんど等しい大きさを示すようになった,骨格筋重量と筋線維直径の間で求めた相対成長係数から判断して,前肢の骨格筋の成長は筋線維が長くなること以上に直径が大きくなることによって達成されることが示唆された.一方,頚部の背側頚長筋の成長には筋線維の直径の増大より長さの伸長の方が大きく寄与している傾向が,また後肢の骨格筋では直径と長さが平行して大きくなることが推察された.
    3. 以上のことから,前肢を構成している骨格筋は孵化後体成長を上回る著しい成長を示すが,それには筋線維の直径の増大が重要な要因となっていることが示唆された.
  • 勝俣 昌也, 矢野 秀雄
    1989 年 60 巻 10 号 p. 965-970
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    生理レベルの甲状腺ホルモン投与が高温環境下で飼育した成長中のラットの体構成成分の蓄積に与える影響について検討した.40日齢のウイスター系雄ラット20匹を,1週間の予備飼育後,24°C区,33°C区および33°Cサイロキシン投与区に分けて5週間飼育した.33°Cサイロキシン投与区のラットには7日目から2日間,体重100gあたり4μg,その後は体重100gあたり2μgのサイロキシンを毎日皮下注射した.24°C区,33°C区のラットには生理食塩水を毎日皮下注射した.試験終了後,ラットを屠殺し,各体構成成分の蓄積量と体全体の脂肪酸組成を調べた,また,試験開始時に5匹のラットを屠殺し,比較の指標とした.
    試験期間中,ラットの増体,蛋白質の蓄積および灰分の蓄積は33°C区が最大で240°C区が最小であった.高温環境下でのサイロキシン投与は,とくに脂肪においてその蓄積を抑制する働きが強くみられ,蛋白質の割合とともにC区のラットのものに近づいた.以上の結果から,高温環境下で観察されるラットの体構成成分の蓄積の変化に甲状腺ホルモンが大きく関与している可能性が考えられた.
  • 佑野 宏明, 山崎 真巳, 寺島 福秋
    1989 年 60 巻 10 号 p. 971-974
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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