2種類の異なるF1由来のキメラマウスの体重におけるキメラ性ヘテローシスについて検討した.凝集キメラはBC3F
1胚(C57BL/6_??_×C3H/He_??_)とCDF
1胚(BALB/c_??_×DBA/2_??_)より作製した.キメラと対照群のBC3F
1およびCDF
1は,3週齢から8週齢までの各週ごとに体重を測定した.キメラの雄の体重は両F1平均よりも4.6~9.3%大きく,キメラとF
1の間の体重の差は概ね明らかであった.キメラの雌の体重は両F
1平均よりも1.9~5.4%大きかった.キメラの雌は3週齢と5週齢を除いた各週齢でCDF
1よりも大きかったが,BC3F
1との有意な差はなかった.キメラを構成する各F
1由来の細胞群の割合は,glucose phosphate isomerase (GPI)の分析により推定した.肝臓,腎臓,脾臓,胃,腸,肺,心臓,精巣,精嚢腺,卵巣,子宮,脳,下顎腺および赤血球を分析に用いた.全臓器を平均した場合のBC3F1細胞の割合は,雄で41.9%,難で37.9%であった.キメラの8週齢の体重とキメラの程度との間には直線関係がみられ,雄でb=-0.053±0.023,雌でb=-0.051±0.020であった.これらの結果は,遺伝的に異なる2種類のF
1細胞が高い割合でキメラとなっている個体では,F
1を上回るキメラ性ヘテローシスが体重に現れることを示している.
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