日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
60 巻, 11 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 島田 和宏, 居在家 義昭, 鈴木 修, 小杉山 基昭
    1989 年 60 巻 11 号 p. 981-986
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種における母•子牛の採食,佇立,横臥,吸乳時間と母牛の1日当たりの乳量(1日乳量)との関係を調べるため,冬期と夏期に,分娩後10,30,60,90,180日に達した母•子牛を各日齢5組ずつ選定し,行動を調査した.1日乳量は体重差法で測定した.母牛の採食時間は分娩後10日が最も短く,180日まで漸増した.また,母牛の採食時間は9時と16時の飼料給与後2時間は76~91%を占めたが,3時間目には11~31%にまで低下した.佇立時間は採食時間と相反する推移を示した.1日乳量と母牛の採食,佇立,横臥時間との間には,分娩後30日で有意な相関(r:0.83,-0.76,0.66)が認められた.子牛の採食行動は30日から認められ,180日には母牛の採食時間の72%に達した.90日では母牛の1日乳量の増加に伴い,有意に子牛の採食時間が減少した.夜間には横臥行動が60~90%に達したが,母•子牛ともに日齢•季節間差は認められなかった.30日では母牛の横臥時間が長くなるのに伴い,子牛の吸乳時間が短くなる傾向にあった.また,30日では母牛の1日乳量が多い子牛は横臥時間が長かった.
  • 松本 光人, 小林 剛, 板橋 久雄
    1989 年 60 巻 11 号 p. 987-992
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    飼料中アミノ酸のみかけの消化率に及ぼすルーメンプロトゾアの影響を6頭のヤギ(3頭はプロトゾア不在,3頭はプロトゾア存在)をもちいて検討した.試験Iでは乾草ウエハーのみを与え,試験IIでは乾草ウエハーと濃厚飼料を与え,全糞採取法による消化試験を実施した.その結果,プロトゾアはCP消化率を高め,糞中のアミノ酸量(mg/g-N)を低下させる傾向が示された.試験IではMet, Phe,試験IIではTyr濃度が有意(p<0.05)に低下した.試験I, IIともに全てのアミノ酸のみかけの消化率はプロトゾアの存在によって高められた.プロトゾア不在によるCP消化率の低下は糞中へのアミノ酸排泄の増加を伴うことが確認された.この原因として,下部消化管へのアミノ酸流下量の増加,プロトゾアと細菌蛋白質の消化率の差などが考えられた.試験I, IIともに,ルーメン微生物体蛋白質より濃度が高い飼料中アミノ酸のみかけの消化率は高く,逆の場合には低くなる傾向が示された.
  • 谷川 雅俊, 園田 立信
    1989 年 60 巻 11 号 p. 993-999
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    雄鶏における視床下部外側核(空腹中枢)の単一ニューロン活動を慢性微小電極法により調べた結果,摂食行動と密接に関連した活動を示す2種類のニューロンが認められ,摂食行動時にtonicに活動が高進するE型と,摂食時には活動が低下するI型とに,半分ずつ分かれた.前者のE型ニューロンはtonicな活動の中にphasicな活動高進が認められ,その一部の変動は摂食動作のboutやpeckとの関連によって細分類できた.後者のI型のニューロンは探索行動時に活動が高進することが認められた.なお,両ニューロンはmulti-unitとして観察されることが多かったので隣接していると考えられた.
  • 小林 茂樹, 石丸 圀雄
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1000-1008
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    家畜ふん尿汚水の有機物消化,エネルギー生産および浄化の方法として,メタン発酵処理が知られているが,寒冷地での利用は発酵温度の適温保持が困難となることから,その実地利用は少なく,また実用化プラントでの熱量収支に関する報告もきわめて少ない.著者らは,東京農大那須牧場に設置した牛ふんメタン発酵処理プラント(成牛60頭用)における熱量収支を,1987年11月から1年間の運転実績をもとに計測した.なお,発酵槽温度は,24~35°の間で変化させた.発酵槽はFRP製の2重壁の断熱構造とした.投入熱量は使用電気機器によるもので,年間合計17,429Mcalであった,このうち,汚泥循環ポンプ電力が50.9%,スラリーシフトポンプが23.2%を占めた.産出熱量はメタン消化ガスの合計33,500Mcalで,このうち12,713Mcal(37.9%)が発酵槽加温用温水ボイラーに使用され,20,787Mcalが利用可能熱量であった.加温熱量12,713Mcalのうち8,862Mcalは投入汚泥(牛ふん搾汁液)の加温に消費された.この差引き熱量3,851Mcalに発酵槽の温度変化量を補正算入した3,888Mcalが,総損失熱量と推定された.これは,発生したメタン消化ガス総熱量の11.6%を占めた.1日当たり損失熱量をZ Mcalとすると,気温および発酵槽温度間の差異(x°)との間には次の回帰式が成立し,有意な正の相関(r=0.701)がみられた.
    Z=0.769x-5.395
    この熱量損失による発酵槽温度の降下は,1日当たり0.00~0.96°(平均0.45°)であった.
  • 広岡 博之, 山田 行雄
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1009-1015
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    汎用シミュレーションモデルを用いて,(1)わが国の牛肉一貫生産システムにおける生物学的ならびに経済的効率に対する1回の授精の受胎率の変化や繁殖サイクル数の変更の影響をシミュレートし,(2)現行のシステムと比較して性コントロールを用いたシステムを評価した.そのようなシステムの生産性を表す指標として,母牛と後代が摂取する代謝エネルギーに対する後代の市場出荷時体重の比(E1),後代と母牛の市場出荷時体重の比(E2),後代と母牛の市場出荷時筋肉重量の比(E3)で表される生物学的効率,ならびに飼料費に対する生産物価格で表される経済的効率(E4)が用いられた.得られた結果の要約は次に示す通りである.(1)1回の授精の受胎率(f)が0.40から0.60に向上するに伴って,また繁殖サイクルの数(M)が3から8に増加するにつれて,E1は向上したが,E2,E3ならびにE4は低下した.このE2,E3およびE4の低下は主としてfやMの増加に伴って更新率が低下し集団の平均年齢が高くなったことによって成熟雌牛を維持するための摂取エネルギーや飼料費などの入力量が増加したことによるものと考えられた.(2)すべての肥育用後代を雄とするAMシステムの生産効率はすべて現行のそれより高かった.また,雌後代のみを生産し,すべての母牛は2産で淘汰すると仮定したAFシステムはE2,E3およびE4に関しては最も高く特にE4に関して顕著であった.これらの結果から一般に性コントロールシステムは現行のシステムより適していると考えられた.しかしながら,本研究においては性コントロールに要する技術料が考慮されておらず,実用には十分な検討が必要であろうと示唆された.
  • 宮本 元, 三笠 牧子, 宮本 庸平
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1016-1021
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタおよびイノブタにおける膵臓ランゲルハンス島(膵島)の内分泌細胞(A, B, DおよびPP細胞)の分布について,免疫組織化学的方法によって調べた.ブタとイノブタの膵島の間には,各細胞の分布にほとんど差が認められなかった.B細胞は膵島の中心部から全体にわたって存在し,その体積比は腹側膵臓では88.61~93.15%,背側膵臓では83.46~88.78%であり,腹側膵に多くみられた.A細胞は膵島の辺縁部に環状に配列し,腹側膵では6.96~13.67%,背側膵では11.02~23.17%の体積比を示し,背側膵で多くみられた.D細胞は膵島全体に散在性に存在し,その体積比は2.66~6.16%で,腹側膵と背側膵による差はみられなかった.PP細胞の体積比は腹側膵で3.91~5.39%であり辺縁部に多くみられたが,背側膵では1.03~3.11%で膵島によってはまったくPP細胞が認められないものもあった.またA細胞とPP細胞の分布の間には,負の相関が認められた.
    これらの結果から,ブタおよびイノブタ膵臓における膵島内分泌細胞の分布は,ヒト,ウサギ,ラットなどと同様の型であると考えられた.
  • 山岸 敏宏, 城内 仁, 水間 豊
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1022-1027
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    開放型中核育種システムにおける肉用牛集団の近交係数に対する,集団の年齢構成(年齢クラス:中核集団の雄1-4,1-7歳,雌1-5,1-8歳および実用集団雌1-8歳),中核集団のサイズ(3,6,12%)および全雌牛選抜率などのパラメータの影響を検討すると同時に,それらについて閉鎖型システムと比較した.年を基準とした場合の近交係数は中核集団の雄および雌の年齢クラス数が少ないほど,すなわち世代間隔の短いほど高かったが,世代当たりのそれは世代間隔の長い中核集団雄7歳のシステムの方が雄4歳のそれよりも高かった.中核集団に対する実用集団の近交係数の比は85-99%程度であった.また近交係数に及ぼす中核集団サイズおよび雌選抜率の影響は極めて小さいものであった.開放型システムの中核集団の近交係数は閉鎖型システムのそれらと対比して,30年後では57-63%,世代当りでは58-68%とそれぞれ低い値にとどまっていた.以上の結果は,肉用牛集団の育種計画において近交係数の増加率の小さい中核育種システムを採用することの有利性を示唆するものであった.
  • 大西 彰, 三上 仁志
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1028-1033
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    2種類の異なるF1由来のキメラマウスの体重におけるキメラ性ヘテローシスについて検討した.凝集キメラはBC3F1胚(C57BL/6_??_×C3H/He_??_)とCDF1胚(BALB/c_??_×DBA/2_??_)より作製した.キメラと対照群のBC3F1およびCDF1は,3週齢から8週齢までの各週ごとに体重を測定した.キメラの雄の体重は両F1平均よりも4.6~9.3%大きく,キメラとF1の間の体重の差は概ね明らかであった.キメラの雌の体重は両F1平均よりも1.9~5.4%大きかった.キメラの雌は3週齢と5週齢を除いた各週齢でCDF1よりも大きかったが,BC3F1との有意な差はなかった.キメラを構成する各F1由来の細胞群の割合は,glucose phosphate isomerase (GPI)の分析により推定した.肝臓,腎臓,脾臓,胃,腸,肺,心臓,精巣,精嚢腺,卵巣,子宮,脳,下顎腺および赤血球を分析に用いた.全臓器を平均した場合のBC3F1細胞の割合は,雄で41.9%,難で37.9%であった.キメラの8週齢の体重とキメラの程度との間には直線関係がみられ,雄でb=-0.053±0.023,雌でb=-0.051±0.020であった.これらの結果は,遺伝的に異なる2種類のF1細胞が高い割合でキメラとなっている個体では,F1を上回るキメラ性ヘテローシスが体重に現れることを示している.
  • 阿部 和司, 菅原 伯, 後藤 哲雄
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1034-1040
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    餌付け前の雌,雄ブロイラー(各82羽)をそれぞれ2群に分け,その1つを対照区(対照区:CG,対照区雌:Cf,対照区雄:Cm)および処理区(処理区:TG,処理雌:Tf,処理雄:Tm)に分けた.TGは70-75 phonの自動車エンジン音に7週間ばくろされた.
    騒音負荷開始後,CGに比しTGの雌,雄の平均体重はともに常に低かった.Cfの体重の統計上の棄却下限以下の体重のTfのヒナの数は2-9羽(4.9-22.0%)であり,Cmに対するTmのそれは1-4羽(2.4-4.9%)であった.雄よりも雌における成長抑制の度合が大きかった.飼料要求率はTmよりもTfが大きかった.探胸筋の粗蛋白質含量は第7週においてCGよりTGが低い傾向を示した.TfおよびTm双方の筋胃重量はそれぞれの対照白より重く,これらの差は体重に対する係数で表したとき有意であった(P<0.05および0.001).腸管の長さはTf, Tm双方でそれぞれの対照区より長く,これらの差は体重に対する係数で表したとき有意であった(P<0.05および0.001).騒音負荷を除いた後の1週間で,CGとTG間の平均体重の差は減少した.8週齢におけるCGの体重の統計上の棄却下限以下のTGの個体数は雌で3羽(7.3%)であり,雄で0であった.
  • 三上 仁志, 大西 彰, 小松 正憲
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1041-1049
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    マウスRR系統のミトコンドリアDNAの制限酵素切断型はC57 BL/6,BALB/cの型と異なってる.これら3近交系と,RRと他の2系統間で戻し交雑を10世代反復することによりミトコンドリアDNAを他の型と入れ替えた系統を用い,ミトコンドリア呼吸鎖酵素活性の遺伝様式を調べた.チトクロムc酸化酵素(複合体IV)の活性において,RRが他の系統より低く,その差の一部が母性遺伝をすることを新鮮,音波処理ミトコンドリア,亜ミトコンドリア粒子を用いた実験により確認した.NADH-フェリシアナイド還元酵素(複合体I)では,RRはC57 BL/6,BALB/cより高い活性を示したが,その系統差は母性遺伝しなかった.ロテノン感受性NADH-チトクロムc還元酵素(複合体I,III)とコハク酸-チトクロムc還元酵素(複合体II,III)に系統差は見られなかった.NADHからO2まで呼吸鎖酵素全体の活性を示すロテノン感受性NADH酸化酵素活性は,チトクロムc酸化酵素の活性と関連しており,RRが他の系統より低かった.RR, C57 BL/6とこれらの戻し交雑系を用いた実験では,この酵素活性の母性遺伝が観察されたが,RR, BALB/cとこれらの戻し交雑系を用いた実験では母性遺伝は明らかでなかった.
  • 梶川 博, 沢崎 一幸, 甘利 雅拡, 阿部 亮
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1050-1056
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳量の著しく異なる(22-62kg/d)15頭のホルスタイン種乳牛に,個別に,濃厚飼料を乳量に応じて,また綿実を一律に給与し,さらに乾草,コーンサイレージ,ビートパルプを残飼が出るように給与した.4週間の馴致期間の後に,3日間,採食量の調査を行ない,同時に乳量,乳質およびルーメン内容液の特性を調べた.結果の解析は,乳量毎に5頭ずつ群分けし,群間での比較を行なうとともに,全体での乳量に対する相関を求めた.結果は,乳量が高いものほど,乾物摂取量も高かったが,乾草およびコーンサイレージ,ビートパルプ,綿実混合飼料の摂取量には,差がなく,摂取量の違いは,そのほとんどが,濃厚飼料の摂取量の違いによるものであった.そのため,乳量の高いものほど,摂取飼料中の繊維成分含量が低下し,それにともなって,乳量の高いものほど,ルーメン内のプロトゾアの減少,プロピオン酸の増加が見られ,乳脂率が低下した.また,乳タンパク率にも減少が見られた.
  • 及川 卓郎
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1057-1059
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 脇田 正彰, 小林 泰男, 星野 貞夫, 鈴木 波太夫, 山田 陽稔
    1989 年 60 巻 11 号 p. 1060-1061
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top