日本畜産学会報
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61 巻, 12 号
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  • 鶴田 彰吾, 鈴木 三義, 光本 孝次
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1051-1056
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳用牛群検定記録を使用して乳量および乳脂量の遺伝的ならびに環境的トレンドを推定し,北海道における乳牛の改良傾向について検討した.
    分析には,北海道乳牛検定協会のファイルから,検定農家10,553戸において1975年から1988年までに分娩した757,615頭のホルスタイン種検定雌牛の全産次記録を使用した.Animal Modelによる種雄牛と雌牛の同時評価から推定した育種価および牛群•年次効果の各年次平均値を用いて遺伝的トレンドおよび環境的トレンドを推定した.
    雌牛の分娩年が1982年から1988年までの期間における環境的トレンドの年当り変化量は,乳量で136.8kg,乳脂量で5.20kgの増加を示した.また,同期間における遺伝的トレンドを雌牛の育種価の平均でとらえた場合には,乳量で73.2kg,乳脂量で2.50kgの増加を示し,また種雄牛(父牛)の推定伝達能力平均でとらえた場合には,乳量で59.0kg,乳脂量で1.94kgの増加を示した.一方,雌牛の誕生年に対する遺伝的トレントを雌牛の育種価平均でとらえた場合,1981年から1986年までの年当り変化量は,乳量で88.1kg,乳脂量で3.15kgと推定された.雄牛の誕生年に対する雄牛の育種価平均から推定した年当り変化量は,1979年から1989年までの期間において乳量で82.1kg,乳脂量で2.34kgとなり,雌牛の分娩年に対する種雄牛の年当り変化量よりも少なかった.
  • 万年 英之, 辻 荘一, 後藤 信男
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1057-1062
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    著者らは,3品種のニワトリから核DNAを精製し,それを制限酵素Hae IIIで切断し,M13ファージDNAの反復配列をプローブとしてDNAフィンガープリントを得た.その結果,各個体ごとに25本から35本のバンドが確認できた.そのバンドのパターンはそれぞれの個体に特有であった.一方,ニワトリ各品種内では共通したバンドが多数見られた.また,白色レグホーン種を用いて1組の親子鑑別を行なったところ,胚子のDNAバンドは両親のどちらかのバンドに由来していた.本法を用いて同一個体の精子と赤血球のDNAを調べたところ,両者の間に同一のバンディングパターンが観察された.これらの結果より,M13ファージ反復配列を用いる本方法はニワトリの個体識別や親子鑑別,さらには系統分類に有効な方法であると考えられた.
  • 入来 常徳, 阿部 又信, 菅沼 常徳
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1063-1069
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    6週齢末に離乳し,その後も食道溝反射を維持させたホルスタイン種雄子牛を用い,8週齢から4週間を試験期間として,2×2ラテン方格法(1期2週間)により2回のN出納試験を実施した.2回とも試験期間内はトウモロコシとコーン•グルテンミール(CGM)を主体とするCP含量14%の濃厚飼料と稲ワラを9:1の割合で,期首体重の3%相当の日量を朝夕2回に分けて給与した.試験1では8頭を半数ずつ2区に分けて供試し,L-リジン塩酸塩20g/日とDL-メチオニン2g/日を朝夕2回,飼料給与直前に食道溝経由で投与した場合と,等N量のL-グルタミンを同様の方法で投与した場合とでN出納を比較した.その結果,尿中N排泄量および同率はグルタミン区の方が有意に大きく(P<0.05),一方,N蓄積量および同率はリジン•メチオニン区の方が有意に大きかった(P<0.05).試験2では6頭を半数ずつ2区に分けて供試し,L-リジン塩酸塩0.333g/kg期首体重/日を単独で食道溝経由投与した場合と,等N量のL-グルタミンを同様の方法で投与した場合とでN出納を比較した.その結果,尿中N排泄量および同率はグルタミン区の方が有意に大きく(P<0.01),N蓄積量および同率はリジン区の方が有意に大きかった(それぞれP<0.05およびP<0.01).以上の結果から,トウモロコシとCGMから成る飼料を与えた子牛ではリジンが第一の,または単独の制限アミノ酸になること,さらにはトウモロコシとCGMに由来する第一胃内非分解性蛋白質の利用性はリジンのバイパス投与により改善しうることが示唆された.日畜会報,61(12):1063-1069,1990
  • 早坂 貴代史, 田鎖 直澄, 山岸 規昭
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1070-1076
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    泌乳牛の採食量(DMI),採食•反芻行動および残飼の成分パターンに及ぼす給飼量の影響を検討するために,つなぎ飼いの泌乳前期のホルスタイン種乳牛4頭を供試した.試験は時期と牛個体をブロックとし,給飼量を4水準とする42型ラテン方格法によって実施した.グラスサイレージ主体の粗飼料を用い,可消化養分総量(TDN)72%,粗蛋白質17%の混合飼料(TMR)を1日に2回にわけて等量ずつ給与した.1) 25.1kg/日の乾物給飼量に対してDMIは24.7kg/日,28.1kg/日の給飼に対しては26.6kg/日,31.1kg/日および34.1kg/日の給飼に対して27.1kg/日となり,給飼量が増加するにつれてDMIは増加傾向を示した.各水準を通して1987年版日本飼養標準のTDN要求量に対する摂取量の充足率は92~102%であった.2) 給飼量により乳量(41.0~41.5kg),乳成分(乳脂率3.3~3.5%,無脂乳固形分8.5~8.6%)は影響されなかった.3) 給飼量が増加するにつれて体重は増加傾向を示した.4) 給飼量が増加するにつれて,給飼後の最初の採食期時間が減少し,給飼した時以外の自発的,間欠的な採食期時間が多くなり,採食速度が低下した.5) 給飼量により,反芻時間,単位DMIあたりの反芻時間および総そしゃく時間は有意な差は認められなかった.6) 給飼量が増加するにつれて,残飼量が増加し,その飼料成分は,給与したTMRの飼料成分により近似した.以上から,残飼量が少ない場合,あるいは給与した飼料と残飼料とに質的な大きな違いが認められる場合は,給飼量を増やさなければ,乳牛の自由採食量は家畜側の生理的規制よりも給飼量によって規制されると考察した.また,給飼量によって規制されないためには,給飼量が採食量の10~15%増必要と考察した.
  • 須山 享三, 山路 厚雄, 口田 圭吾, 足立 達, 水間 豊
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1077-1083
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    東北大学付属農場において交配,生産されたブラーマン種♂×黒毛和種,日本短角種およびホルスタイン種♀F1去勢肥育牛の体脂肪のトリアシルグリセロール(TG)の構成脂肪酸および分子量分布に関する特性を調べ,これらの特性に影響するブラーマン種の遺伝的な要因を解析した.その結果,TGの構成脂肪酸および分子量分布において,ブラーマン種の形質が遺伝的に導入されたと考えらる違いが見出された.構成脂肪酸では,ブラーマン種F1にはステアリン酸含量およびパルミチン酸含量がやや高く,オレイン酸の少ないことが認められた.TGの分子量分布については,ブラーマンF1にはC48およびC50TGの含量が高く,逆にC52およびC54TG含量が低い傾向にあった.
  • 青木 康浩, 野附 巖, 中野 光志, 市川 忠雄
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1084-1094
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    任意の時刻に採取した乳汁試料によって各分房の乳房炎の程度を把握する方法を確立するために,細菌感染状況の異なる分房を用いて試料の採取時刻による乳房炎諸指標の変動を検討した.その結果,(1) 体細胞数は,非感染分房がもっとも低く,次に2次性病原菌感染分房がそれに続き,1次性病原菌感染分房がもっとも高かったが,細菌感染状況に関係なく搾乳後に増加し,搾乳後2,4,6および8時間には搾乳時の前しぼり乳のそれぞれ4.2(3.8-4.6),3.5(2.6-4.4),2.5(2.1-2.9)および1.8(1.5-2.1)倍(括弧内は95%信頼限界)となることが示された.(2) 体細胞のうち好中球等の血液由来の細胞が占める割合は,非感染分房については搾乳時に低いが搾乳後数時間以内においては60%を超えるようになり,その後次の搾乳時まで次第に減少した.一方,1次性病原菌感染分房については,採取時刻に関係なくつねにその割合が高かった.(3) 電気伝導度に関しては,細菌感染状況および試料採取時刻による差異は認められなかった.(4) N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAGase)活性は,搾乳時よりも搾乳後数時間を経過した時の方が細菌感染状況による差異が明瞭になった.以上の結果から,搾乳後数時間以内に採取した試料によって乳房の細菌感染状況を判断する場合には,体細胞数は通常の搾乳時における値より増加することを考慮すること,および体細胞数だけでなくNAGase活性も含めて判断することにより,より正確に判定できることが示された.
  • 善林 明治, 江本 行宏
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1095-1101
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛枝肉の評価法の検討を目的として,枝肉中の筋肉と可食肉重量およびそれらの割合を,枝肉測定値と枝肉の脂肪蓄積度についての審査値を用いて推定を試みた.2系統の黒毛和種,ホルスタイン種,日本短角種,黒毛和種とホルスタイン種との交雑種(75:25)の去勢肥育牛合計107頭の枝肉を供試した.これらの牛は濃厚飼料飽食方式で肥育し,各品種ともほぼ200kg以上の体重範囲にわたって,それぞれの平均枝肉組織構成割合が大きく違わないように体重範囲を設定して屠殺した.枝肉形状は長さ11部位,幅,厚みおよび周囲長は各4部位,合計23の測定値を用いた.枝肉の脂肪蓄積度の指標として,枝肉表面脂肪を前,中,後躯別に5段階法で審査評価した.筋肉量は枝肉を解体して得,可食肉量は部分肉ごとの筋肉量に特定の係数を乗じて求めた.審査値と枝肉からの分離脂肪量および枝肉中の脂肪割合との間の相関は,全審査値の平均値との間で最も高く,それぞれ0.50,0.58であった.審査値は一般に脂肪量よりも脂肪割合との相関が高かった.23の枝肉測定値の中から取り出した11の枝肉測定値の3乗値と,枝肉重量およびこれらの逆数,さらにこれらの測定値間のすべての組合せで作った比の計156個の変数,さらに脂肪審査値を用いて,各従属変数について重回帰式を求めた.筋肉と可食肉重量を求める式では,枝肉重量のみで全変動の大部分(R2=0.87-0.89)が説明され,枝肉測定値および審査値の効果は余り大きくなかった.またそれらの割合を求める式では枝肉重量の効果は大きくなく,それぞれの比あるいは審査値の効果が大きかったが,式の寄与率は0.41から0.44で余り高くなかった.これらの式のうち最も高い寄与率が得られた式に,牛品種をダミー変数として加えると,重回帰式の寄与率は,とくに割合を求める式で大幅に(R2=0.57)改善された.それぞれの従属変数について,品種ごとに重回帰式を求めると,式の寄与率はとくに割合を求める式で大幅に改善されたが,式に取り込まれた変数は品種間で異なっていた.
  • 田中 桂一, 尹 乘善, 大谷 滋, 坂井田 実
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1102-1106
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鯖肉エキス発酵産物を飼料に添加して鶏ヒナに給与し,鶏ヒナの成長,血漿と肝臓中の各脂質画分含量および肝臓での脂質合成に及ぼす影響を検討した.4週齢時のヒナ(卵用種雄)を1区8羽ずつ5区に分け,それぞれの区に鯖肉エキス発酵産物(以後鯖肉エキスとする)0(対照区),0.5,1.0および2.0%を添加した飼料を21日間給与した.実験期間中の増体量は,鯖肉エキスを添加したいずれの区においても,対照区に比べ統計的に有意に大きかったが,飼料摂取量はいずれの区においても大きな差は観察されなかった.腹腔内脂肪重量は飼料に鯖肉エキスを1.0および2.0%添加することによって,統計的に有意な低下を示した.血漿中のトリグリセリドと遊離型コレステロール濃度は鯖肉エキス1.0および2.0%添加することによって,低下する傾向を示したが,それ以外の脂質画分濃度は大きな影響はみられなかった,肝臓中のトリグリセリドと遊離型コレステロール含量は鯖肉エキス1.0および2.0%添加によって,またコレステロールエステル含量は0.5%以上の添加によって,それぞれ統計的に有意な低下を示した.肝臓における脂肪酸合成関連酵素およびコレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA reductaseの活性は鯖肉エキス添加によって,低下の傾向あるいは統計的に有意な低下を示した.
  • 林 國興, 久木田 春一, 向井 倫子, 豊水 正昭, 冨田 裕一郎
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1107-1112
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    12日齢のブロイラーヒナ(雄)を,後述の温度環境下,試験飼料により,3日間予備飼育した後,2区に分け,試験区にはサイロキシンナトリウム添加(1.2ppm)飼料を給与し,12日間飼育した.飼育室の温度は,実験1では,25±1°C,実験2では30±1°Cとした.その結果,25°Cの環境では,増体量と筋肉蛋白質の合成(Ks)および分解速度(Kd)は増加の傾向を示し,筋肉(深胸筋)重量は増加,飼料要求率は低下し,腹腔脂肪量は減少の傾向を示した.一方,30°Cの環境では,サイロキシンナトリウム添加により,増体量,腹腔脂肪量およびKsは低下,Kdは低下の傾向を示し,飼料要求率は上昇したが,筋肉重量は変化しなかった.また,30°Cの環境では,25°Cの環境に比べ,腹腔脂肪は多く,KsおよびKdは著しく低い値を示した.以上の結果は,高温環境ではサイロキシンの作用が適温環境下と異なることを示唆している.
  • 舟場 正幸, 矢野 秀雄, 川島 良治
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1113-1120
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    飼料中穀類含量を高めた際の成めん羊のカルシウム(Ca)代謝について調べるために,飼料中穀類含量を60%から90%まで,10%ずつ5日毎に上昇させ,その後8日間,乾草100%からなる飼料をめん羊に給与して試験を行なった.
    飼料中の穀類含量が増加するにつれ,血液pH値は減少する傾向を示し,尿中正味酸排泄量(NAE)は次第に増加した.穀類含量の増加はまた直線的な血漿総Ca濃度の減少と尿中Ca排泄量の増加を引き起こしたが,血漿イオン化Ca濃度は有意な減少を示さなかった.高穀類飼料摂取時の尿中Ca排泄増は尿細管でのCaの再吸収率の低下に起因する可能性が示された,また血漿イオン化Ca濃度が減少しなかったにもかかわらず,血漿上皮小体ホルモン(iPTH)レベルは上昇し,iPTHレベルとNAEの間には正の相関(r=0.40,p<.01)が観察された.さらに,血漿総Ca濃度とNAEの間には負の相関(r=-0.56,P<0.001)がみられたのに対し,イオン化Ca濃度とNAEとの間には関係はみられなかった(r=-0.18,p<0.23).
  • 守屋 和幸, 藤田 和男, 原田 宏, 福原 利一
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1121-1124
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 三上 仁志, 大西 彰, 小松 正憲, 秋田 富士
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1125-1126
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 庭野 吉己, Williams B. HAINEN, B. Ann BECKER, Harold D. JOHNSON
    1990 年 61 巻 12 号 p. 1127-1130
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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