日本畜産学会報
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62 巻, 6 号
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  • 吉澤 緑, 高田 勝, 仲本 智之, 村松 隆, 岡本 昭
    1991 年 62 巻 6 号 p. 511-518
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    細胞分裂阻止剤の一種であるビンブラスチンをマウス桑実胚の染色体標本作製に用いる場合の至適濃度と処理時間について検討した.とくに,供試胚のすべてにおいて,できるだけ多くの分析可能な中期像を得ることを目的とした.17時間処理で濃度差について検討したところ,処理胚に対する中期像を有する胚の割合は,5-50ng/mlの濃度で96-100%であった.胚の割球数に対する中期像の頻度は,30ng/ml以上の濃度で約90%またはそれ以上であったが,10-20ng/mlでは75~77%台に低下した.このことから,中期像の最大出現率を得るための限界濃度は0.03μg/mlであると考えられた.30ng/mlにおける処理時間の検討では,割球数に対する中期像の出現率は8時間処理では有意に低く,10および17時間処理では高かった.しかし,各処理時間におけるNo.1染色体の平均長を比較したところ,各群間で有意な差が認められ,17時間処理では染色体の収縮が顕著であった.結論として,マウス桑実胚におけるビンブラスチンの至適濃度と処理時間は30ng/ml,10時間であると考えられた.中期像をもつ胚の98.4%において染色体分析が可能であり,そのうち正常な2倍体98.8%,高2倍体0.7%,3倍体0.5%であった.
  • 三上 正幸, 山田 靖典, 若原 雄作, 三浦 弘之
    1991 年 62 巻 6 号 p. 519-528
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食肉に対する電気刺激(ES)の影響を筋漿タンパク質,ペプチドおよびアミノ酸画分の消長に注目して調べた.屠殺48時間後に採取したホルスタイン経産牛の大腿二頭筋を用い,筋肉ホモジネートを調製した.またプロテアーゼの作用を調べるためCa2+,EDTAおよびロイペプチン添加したホモジネートも調製した.これらの筋肉ホモジネートから得られた上澄液はSDS-PAGEおよびHPLCにより分析した.ペプチドおよびアミノ酸含量の測定には,2%TCAR可溶性画分を用い,ペプチド量はローリー法で,アミノ酸量はニンヒドリン発色法で測定した.また肉の熟成に関与していると考えられているカテプシンBおよびB+L活性は,屠殺後2日目のものを試料にして測定した.
    筋漿タンパク質のSDS-PAGEによると,ES区においては46-kDaのエノラーゼおよび43-kDa のクレアチンキナーゼは減少し,27および29-kDa成分は増加した.HPLC法による筋漿タンパク質の分析から,ES区のタンパク質画分は対照区に比べ少く,ペプチドおよびアミノ酸画分は逆に増加し,特に低分子のペプチド画分はES区の方が高い値を示した.
    2%TCA可溶性画分におけるペプチドおよびアミノ酸含量は,ES区においてEDTA添加区は無添加,Ca2+およびロイペプチンを添加したものよりも高い値を示した.カテプシンBおよびB+L 活性から,ES区では遊離型のものが高い値を示した.
  • 吉村 幸則, 岡本 敏一, 田村 達堂
    1991 年 62 巻 6 号 p. 529-532
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 原田 宏, 小村 寿徳, 落合 厳, 徳本 清, 古澤 邦夫, 大木場 格, 守屋 和幸, 福原 利一
    1991 年 62 巻 6 号 p. 533-539
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肥育豚の屠体形質を体重90kg時点(I),あるいは肥育終了時点(108kg:II)に電子リニア方式の超音波診断装置で測定し,超音波画像解析方法,並びに屠体形質の超音波推定値と屠殺解体成績との関係について検討した.第一皮下脂肪層と第二皮下脂肪層の境界は,生体の大きさや,肥育の進行程度に関わらず明瞭に解析できることが認められた.また,胸最長筋は,肥育の進行に伴う蓄積脂肪による超音波エコーの減衰もなく,周辺部と明瞭に異なる輝度で確認することができた.さらに,僧帽筋,皮筋,筋間脂肪,広背筋および肋間筋も明瞭に解析できることが認められた.
    Iの時点で得られた胸最長筋横断面積の超音波推定値は屠体実測値より0.63cm2小さく,またIIの時点で得られた同形質の超音波推定値は屠体実測値より0.40cm2大きかった.これら推定値と実測値の差の平均値はそれぞれ屠体実測値の2.5%および1.7%といずれも小さかった.超音波推定値から屠体実測値を予測する際の標準誤差は,それぞれ2.55および1.18cm2でありいずれも屠体実測値に比較して小さな値であり推定値の信頼性の高いことが認められた.また,胸最長筋横断面積の超音波推定値は,屠体実測値との間に,IおよびIIの時点でそれぞれ0.77および0.96と有意(P<0.01)に高い相関係数が認められた.一方,皮下脂肪厚(全体)の超音波推定値と屠体から得られた皮下脂肪の最大厚あるいは最小厚との間に0.35-0.64と一部を除き,測定時点IおよびIIいずれの時点においても1%水準で有意な相関係数が認められた.
  • 花田 博文, 長嶺 慶隆, 樋口 幹人, 村松 晉, 福島 豊一
    1991 年 62 巻 6 号 p. 540-545
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種におけるロバートソン型転座個体の頻度,および転座と繁殖性との関係を明らかにするために,A県の種雄牛と繁殖雌牛の細胞遺伝学的調査を実施した.種雄牛は26頭中5頭が7/21転座を保有しており,4頭が転座ヘテロ個体,1頭が転座ホモ個体であった.さらに家系調査や娘牛の核型分析の結果,A県では2頭の7/21転座ヘテロ種雄牛と1頭の1/29転座ヘテロ種雄牛が人工授精に供用されていたことが明らかになった.繁殖雌牛は,323頭中40頭が7/21転座個体,9頭が1/29転座個体であった.7/21転座と1/29転座の両者をヘテロに保有する個体も1頭見られた.7/21転座と1/29転座保有個体の頻度は,それぞれ12.4%と2.8%であった.7/21転座および1/29転座種雄牛は全頭が既に廃用になっており,1981年以降の転座保有個体の頻度は減少傾向にあった.7/21転座ヘテロ雌個体と正常雌個体の繁殖記録を分析した結果,初産日齢や分娩間隔において差は見られなかった.
  • 中西 喜彦, 加治佐 修, 江副 幹太, 後藤 和文, 田崎 道弘, 大田 均, 猪八重 悟, 立山 昌一, 川畑 孟, 小川 清彦
    1991 年 62 巻 6 号 p. 546-551
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種供卵牛延べ34頭を用いて,過剰排卵処置前後における26種の血液成分値を測定し,排卵成績とくに卵質との関係について検討した.供卵牛を移植可能胚数(NE)で分類(Group1:NE≧10, Group2: 9≧NE≧5, Group3: 4≧NE≧l, Group4: NE=0, Group5:反応不良)した場合,移植可能胚数が0個のグループでは,血漿中総コレステロール濃度,リン脂質濃度および酸性フォスファターゼ活性が低い傾向にあり,脂質代謝に何らかの異常があることが示唆された.一方,反応不良のグループでは血漿中総蛋白質濃度が高くA/G比が低いことから,グロブリン濃度が高いことが推察され,肝機能を含む何らかの障害が示唆された.他の血液成分については,グループ間にはっきりとした傾向は認められなかった.
    以上の結果より,定期的に供卵牛の血液成分(総コレステロール,リン脂質,酸性フォスファターゼ活性,グロブリン濃度など)を測定して,その脂質代謝や肝機能をチェックすることは,反応不良牛や良質の受精卵を生産しない牛の早期発見,さらには現在行なっている飼養管理技術の良否判定に役立つものと思われる.
  • 松岡 栄, 安田 恵利子, 横山 紅子, 高岡 公彦, 山口 勝彦, 藤田 裕
    1991 年 62 巻 6 号 p. 552-557
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牧草サイレージの好気的変敗による栄養価の低下および養分の損失を検討するため,サイロから取り出したサイレージを堆積放置し,その栄養価を取り出し直後のもの(対照)と比較するとともに,堆積放置中の養分の損失量を測定した.結果は次のとおりである.1) 放置日数が増すにつれて,粗蛋白質,NFEおよびエネルギーの消化率は低下し,粗繊維,ADFおよびNDFの消化率は上昇した(実験1).2) 変敗サイレージ給与時の窒素蓄積量,率はともに対照より低かった.これは,おもに窒素の糞中への排泄量の増大によるものであった(実験1).3) 変敗サイレージ給与時の第一胃内pHは対照に比べて高かった.また,総VFAに占める酢酸の割合は高く,プロピオン酸の割合が低かった(実験1).4) 7日間堆積放置したサイレージのDCP, DE含量は,対照に比較して,それぞれ8%,7%低く(実験1),9日間放置したサイレージのDE, ME,推定NEm含量はそれぞれ4%,8%,11%低かった(実験2).5) 堆積放置中の養分の損失割合を試算してみると,7日間でDM7%,DCP14%, DE13%(実験1),9日間でDM9%, DE13%, ME16%,推定NEm19%の損失であった(実験2).
  • 松岡 栄, 米沢 佐知子, 石飛 はるえ, 長内 清, 藤田 裕
    1991 年 62 巻 6 号 p. 558-564
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    サイレージの好気的変敗による飼料価値の低下と養分の損失に及ぼす水分含量の影響を検討するため,水分含量の異なるサイレージを調製して好気的変敗を起こさせ(サイレージを屋外に堆積し,一日一回撹拌しながら,7日間放置した),その消化率,窒素利用率,養分損失割合を比較した.実験1では,予乾サイレージ(水分含量50%)に水を添加して,水分含量50(無添加),60,70%のサイレージを調製し,実験2では,原料草の予乾の有無により低水分(55%)と高水分(80%)サイレージを調製した.
    実験1において,変敗による乾物,粗蛋白質,可溶無窒素物,エネルギーの消化率の低下は水分含量が多くなるほど大きくなり,窒素利用率も同様な傾向がみられた,変敗によるDCP, TDN, DEの損失割合は水分含量が多くなるにしたがい大きくなった.実験2において,変敗による乾物,粗蛋白質,可溶無窒素物,エネルギーの消化率および窒素利用率の低下は高水分サイレージのほうが大きく,変敗によるDCP, TDN, DEの損失割合も高水分サイレージのほうが大きかった.
    これらの結果から,空気との接触の度合が同じであるなら,水分含量が多くなるほどサイレージの好 気的変敗の進行は速くなり,変敗による飼料価値の低下,養分の損失が大きくなるものと結論された.
  • 鈴木 豊, 海津 浩美, 山内 吉彦
    1991 年 62 巻 6 号 p. 565-571
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Serum cholesterol concentrations of rats fed high-cholesterol diets containing skim milk or cultured milks were estimated periodically during 12 days. Several kinds of cultured milks could inhibit the increasing of serum cholesterol concentrations in rats throughout the experimental period compared with skim milk. It was found that this inhibiting ability depended mainly on the specificities of strains, not on the specificities of species. A part of inhibiting mechanism against the increasing serum cholesterol concentrations was analysed using L. acidophilus SBT 2056 (LA 2056) which was selected as most effective one among all strains examined. Feeding the LA 2056 cultured milk resulted in the significant increase of sterol concentrations in bile and feces and also the activity of hepatic cholesterol 7α hydroxylase. The LA 2056 cells had a inhibitory effect against cholesterol micelle absorption from intestines. On the other hand, there was no apparent stimulation effect in the whey fraction of LA 2056 cultured milk on the production of bile acids in primaly cultured rat hepatocytes. From these results, it was supposed that the inhibition effect of LA 2056 cultured milk against increasing of serum cholesterol concentrations in rats was caused partly by the bacterial cells.
  • 入来 常徳, 森田 光太郎, 阿部 又信
    1991 年 62 巻 6 号 p. 572-578
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    3ヵ月齢以上の子牛にトウモロコシとコーン•グルテンミール(CGM)主体の飼料を給与した場合,3ヵ月齢未満の子牛と同様にリジンが強い制限となるか否かについて検討した.試験1では直前まで代用乳を与えて食道反射を維持させたホルスタイン種雄子牛4頭(初体重約90kg)を用い,1区2頭の2×2ラテン方格法によりL-リジン塩酸塩(Lys)または等N量のL-グルタミン(Gln)を食道溝経由で投与した場合のN出納を比較した.試験2では十二指腸カニューレを装着した同種雄子牛4頭(初体重約170kg)を用い,いずれも等N量のカゼイン,Lys+DL-メチオニン(Met)+Gln, Lys+Gln,またはGln単独を十二指腸内に連続注入した場合のN出納を4×4ラテン方格法により比較した.子牛にはトウモロコシとCGMから成る濃厚飼料と稲ワラを9:1の重量比で給与したが,試験1では濃厚飼料のCP含量を14%,1日当りの飼料給与量を期首体重の3.0%とし,試験2ではそれぞれ16%および2.7%としたため,CP摂取日量は体重1kg当りではほぼ同程度であった.その結果試験1におけるLysの投与,および試験2におけるLysまたはLys+Metの注入は,いずれもN出納を改善しなかった.カゼイン注入はN蓄積を約10%増加させたが,有意ではなかった(P>0.10).結局,3ヵ月齢以上の子牛にトウモロコシとCGM主体の飼料を給与しても特に強い制限となるアミノ酸はなく,それは多分,この時期には第一胃内における微生物態蛋白質合成量が3カ月齢以前より増加するためと考えられた.
  • 古川 徳, 松岡 昭善, 高橋 強, 山中 良忠
    1991 年 62 巻 6 号 p. 579-585
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    細胞性免疫現象の一つである遅延型過敏反応(DTH反応)を指標として,正常マウスおよび担癌マウスの細胞性免疫に対する発酵乳の経口投与の影響を検討した.
    正常ddYマウスにおけるヒツジ赤血球に対するDTH反応は,発酵乳の経口投与によっても影響されなかったが,BALB/cマウスにおいては,Meth-A担癌状態に陥ることにより正常マウスに比べて著しく低下し,腫瘍細胞を移植した翌日から6日間連続してヨーグルトCおよびケフィールを2g/kgずつ経口投与することによって,正常マウスの約1/2まで回復した.
    Meth-A繊維肉腫を移植したBALB/cマウスの平均生存日数は約30日であった.死亡時に摘出した臓器のうち,胸線は48日目に屠殺した正常マウスに比べて約1/2の重量に萎縮し,脾臓および肺はそれぞれ平均4.6倍および1.7倍の重量に肥大化する傾向を示した.この間の体重は,正常マウスに比べて担癌マウスで腫瘍を移植して15日目以降において有意に重い傾向を示した.担癌マウスのこれらの傾向はヨーグルト,ケフィールおよび抗癌剤PSKを投与しても改善されなかった.
  • 石下 真人, 森尾 賢, 鮫島 邦彦
    1991 年 62 巻 6 号 p. 586-591
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏砂嚢筋から2種類の方法で平滑筋アクトミオシン(YAM, BAM)を調製し,それぞれについて加熱ゲル形成能を調べた.YAMの加熱ゲル化反応は50~60°Cと80°Cに2つのピークを示したのに対し,BAMは90°Cまでの加熱でゲル強度が直線的に上昇した.この違いはそれぞれのタンパク質組成の差によるものと考えられる.金属イオン(Ca2+, Mg2+)はYAM, BAMの加熱ゲル強度を増強した.これは金属イオンによりミオシンの高次構造が変化したためか,金属イオンの結合により加熱ゲルが補強されたためと思われる.いずれのアクトミオシンもミオシンをリン酸化することにより加熱ゲル強度は上昇した.この効果はリン酸化でミオシン分子の尾部の構造が変化したことによるものと考えられる.
  • 菅 徹行, 岩本 智美, 中川 明
    1991 年 62 巻 6 号 p. 592-593
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 石田 光晴, 武田 武雄, 池田 昭七, 斎藤 孝夫
    1991 年 62 巻 6 号 p. 594-595
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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