雄ブロイラーの成長,脂質代謝,薬物代謝酵素に対する飼育密度とL-Trp添加の影響を検討した.7日齢の雄プロイラーを1羽あたり217,325,625cm
2の飼育密度で2週間飼育した.それぞれの飼育密度で飼育した鶏にME 3150kcal/kg,CP 21.5%,Trp 0.28%の基礎飼料,基礎飼料に0.05または0.15%L-Trpを添加した飼料を給与した,体重および増体量は,飼育密度の低下にともない低下する傾向にあり,Trp添加で飼育密度による影響が認められなくなる傾向にあったが,Trp添加,飼育密度の影響は有意ではなかった.625cm
2区の血漿中コレステロール濃度はTrp添加にしたがって低下したが,217cm
2区では,Trp添加の効果は認められなかった,体脂肪含星は,325cm
2区の0.05%Trp添加および625cm
2区の0.15%Trp添加で減少した.血漿コルチコステロン濃度は,Trp無添加および0.05%添加区においては,217cm
2区で有意に高い濃度であり,Trp 0.15%添加区では,325cm
2区で,有意に高い濃度であった.一方,217cm
2区では,Trp添加量の増加にともなって,血漿コルチコステロン濃度は低下した.肝臓ミクロソーム蛋白質含量は,Trp添加により増加した.また,Trpと飼育密度の効果も有意であった.肝臓ミクロソームタンパク質あたりのチトクロムP-450含量とNADPH-チトクロムcおよびNADH-チトクロムb5還元酵素活性は,Trp添加の影響を受け,0.05% Trp添加で高い値を示した.体重100gあたりのチトクロムb5含量は0.15% Trp添加で増加した,また両還元酵素活性に対するTrp添加と飼育密度の交互作用は有意であった,これらの結果は,飼育密度による脂質代謝,薬物代謝酵素活性,およびコルチコステロン代謝の変化に対してTrp添加が影響することを示している.しかし,Trpの添加効果の発現は,飼育密度にも依存していると考えられた.
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