日本畜産学会報
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62 巻, 9 号
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  • 前田 芳實, 河邊 弘太郎, 岡本 新, 岡本 悟, 橋口 勉
    1991 年 62 巻 9 号 p. 813-821
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    体重大小選抜(LLおよびSS)ならびに無作為交配(RR)のウズラ系統を用いて,それらの系統の筋肉蛋白質代謝回転速度を明らかにし,さらに筋肉蛋白質代謝回転速度と関連を有すると思われる筋肉内のカルシウム依存性中姓プロテアーゼ活性値およびそのインヒビター活性値について分析を行なった.LL, RRおよびSS系統の筋肉蛋白質の分解速度は3週齢で2.1,4.0および9.5%/day,また8週齢で1.4,2.1および3.7%/dayと評価された.筋肉蛋白質の合成速度は3週齢で4,4,7.3および12.3%/day,また8週齢で3.2,2.8および3.9%/dayと計算された.これらの結果から,体重の小さい個体は大きい個体に比べて,相対的に高い代謝速度を有することが示唆された.LL, RRおよびSS系統のm-CANP活性値(unit/mg extractable muscle protein)は3週齢で0.503,0.788および1.146,また,8週齢で0.134,0,224および0.275と評価された.一方,CANPインヒビター活性値を測定すると,LL, RRおよびSSの各系統3週齢で0.196,0.150および0,098,また8週齢で0,157,0.120および0.079と評価された.これらの結果から,m-CANPおよびCANPインヒビター活性値は筋肉蛋白質の分解速度および体重と関連を有し,これらの活性値は体重の選抜に伴い変化したことを示唆している.
  • 三上 仁志, 大西 彰, 小松 正憲, 武田 久美子, 犬丸 茂樹
    1991 年 62 巻 9 号 p. 822-828
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    チトクロムc酸化酵素活性に発現するヘテローシスとミトコンドリアDNA (mtDNA)の変異との関連性を,マウス近交系間正逆交雑により調べた.最初の試験では,活性はC57BL/6Cr>BALB/cCr>C3H/HeCr>RRの順で,BALA/cCrとC3H/HeCr間以外の差は有意であった.2番目の試験では,DBA/2N>NZW/N>BALB/cAnN>C57BL/6N>C3H/HeN>NZB/N>RRでNZB/NとRRは他の系統ともまた相互間でも有意に異なった活性を示した,RR, NZBそしてこれら以外の系統はそれぞれ異なった制限酵素切断型のmtDNAを有する,この結果に基づき,9つの異なった組合せの正逆交雑を行なった.同じ型のmtDNAを有する系統間の3通りの組合せでは有意な正逆間差は見られなかった.異なるmtDNAの系統の組合せでは,RRを含むすべての組合せでは正逆差は認められたが,NZB/NとRRまたはNZW/N間では認められなかった.RR以外の系統同士が組み合わされた時は,正逆両交雑の酵素活性に有意なヘテローシスが認められた.対照的に,RRと他の系統との組合せでは一方の交雑にのみ強いヘテローシスが見られ,他方は両親平均とほぼ等しい活性を示し,ヘテローシスの強さはmtDNAのタイプにより外見上変化した.しかし,RRの母から生まれた交雑は常にその逆交雑より低い活性を示し,染色体とミトコンドサアの遺伝子間の明確な交互作用は見られなかった.
  • 高橋 和昭, 西村 仁, 秋葉 征夫, 堀口 雅昭
    1991 年 62 巻 9 号 p. 829-838
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    雄ブロイラーの成長,臓器重量,脂質代謝,肝臓ミクロソーム薬物代謝酵素活性および血漿コルチコステロン濃度に対する飼育密度とアスコルビン酸添加の影響を検討した.7日齢の雄ブロイラーを217,325,625cm2/鶏の飼育密度で14日間飼育し,それぞれの飼育密度の半数の鶏には0.2%アスコルビン酸添加飼料を給与した.増体,飼料効率には,飼育密度およびアスコルビン酸添加の有意な影響は認められなかったが,アスコルビン酸無添加区では,飼育密度の増加にともない増体が低下する傾向がみられた.胸腺重量は,アスコルビン酸添加の有無にかかわらず高飼育密度条件下で低下した.血漿中コレステロールおよび脂質濃度は,飼育密度の増加およびアスコルビン酸添加により低下した.血漿コルチコステロン濃度も,アスコルビン酸添加により低下した.体脂肪含量は,飼育密度およびアスコルビン酸添加の影響を受けなかった.肝臓薬物代謝酵素を構成しているチトクロム-b5量およびNADPH-チトクロムC還元酵素活性は,飼育密度の増加にともない低下した.アスコルビン酸添加は,チトクロム-P450量およびチトクロムb5量を増加させたが,NADPH-チトクロムC還元酵素活性を低下させた.血漿コチコステロン濃度と肝臓薬物代謝酵素の構成成分のチトクロムb5量およびNADH-チトクロムb5還元酵素活性の間には負の相関が認められた.これらの結果は,成長に影響を及ぼさない条件下の飼育密度およびアスコルビン酸添加が,雄ブロイラーの脂質代謝,肝臓薬物代謝酵素活性および血漿コルチコステロン濃度に影響を及ぼしていることを示している.アスコルビン酸添加が,肝臓ミクロソーム薬物代謝酵素活性,特にチトクロムb5量を修飾することも示された,また,脂質代謝の変化と肝臓薬物代謝酵素活性は,調節が直接的か間接的かは不明であるが,両者とも同時に制御されていることが示唆された.
  • 上村 俊一, 塚本 達, 峰崎 康裕, 高橋 雅信
    1991 年 62 巻 9 号 p. 839-848
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    調製条件が牧草中のβカロチン含量に及ぼす影響を調査するとともに,乳牛へのβカロチン製剤の添加効果を飼料中のβカロチン含量の関連で検討した,その結果,生草中のβカロチン含量は1番草および2番草で生育ステージが進むに従い減少し,牧草サイレージや乾草の調製過程で予乾や乾燥日数の経過に伴い激減した.血液中や初乳中のβカロチン濃度はβカロチンの摂取量を反映し,新生仔牛の血液中濃度にも影響した.低βカロチン飼料給与牛では,分娩後第3回排卵までの日数や受胎日数が増加する傾向がみられたが,βカロチン製剤の添加により改善しうることが示唆された.
  • 黒瀬 陽平, 矢野 秀雄, 石田 直彦, 宮崎 昭
    1991 年 62 巻 9 号 p. 849-853
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食欲を調節する機構が中枢内に存在することが知られている.それらの機構には様々な神経伝達物質が関与している.モノアミンに属するノルアドレナリンおよびセロトニンは神経伝達物質として作用していることが明らかにされている.本研究では,ラットの採食に対するノルアドレナリン系およびセロトニン系の関与について調べることを目的とした.ノルアドビナリンはアルファ受容体とベータ受容体のアゴニストである.自由採食ラットの側脳室内にノルアドビナリン単独を投与したところ用量依存的に採食量が増加した.ノルアドレナリンの中枢投与と同時にベータ受容体アンタゴニストのプロプラノロールを末梢投与すると,ノルアドレナリン単独の場合よりも採食量が減少した,また,ノルアドレナリンの中枢投与と同時にセロトニンアンタゴニストのシプロヘプタジンを末梢投与すると,ノルアドレナリン単独投与の場合よりも採食量が減少した.さらに,シプロヘプタジン単独投与では採食量が増加した.以上の結果から,ノルアドレナリンによる採食はアルファ受容体およびベータ受容体の刺激に依存していることが示唆された.さらに,シプロヘプタジン単独による採食行動の刺激にはノルアドレナリン系とは独立した採食刺激神経系が関与している可能姓が示唆された.
  • 伊藤 整, 鎌田 信一, 柿市 徳英, 高橋 栄道, 林 正利, 大塚 宏治
    1991 年 62 巻 9 号 p. 854-860
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛乳κ-カゼインのアミノペプチダーゼ阻害作用を調べた.アミノペプチダーゼにκ-カゼインを作用させると,κ-カゼイン濃度,作用時間に対応してアミノペプチダーゼ活性は減少し,κ-カゼイン濃度を0.1%まで高めると,活性の半数近くが阻害され,活性力に大きな減少が認められた.しかしκ-カゼインにノイラミニダーゼを作用させ,シアル酸を取り除くと,0.1%濃度でもほとんど酵素活性に影響が見られず,アミノペプチダーゼを阻害しなかった.このことから,酵素阻害にシアル酸の存在が不可欠であることが示唆された,酵素阻害形態を調べたとにろ拮抗型を示し,酵素の活性中心に,あるいはその近くにκ-カゼインが結合し,阻害されることが推定された.
  • 北澤 春樹, 伊藤 敞敏, 山口 高弘
    1991 年 62 巻 9 号 p. 861-866
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    莢膜性Lactococcus lactis ssp. cremoris KVS 20が生産する粘質物(CSP)の細胞障害性M∅の誘導能をin vivoおよびin vitroにおいて検討した.CSPのマウス腹腔内投与により,腹腔M∅のSarcoma-180 (S-180)腫瘍細胞に対する細胞障害活性が有意に増強された.活性は,100mg/kgのCSP投与3日後から急激に上昇し,5日目~9日目で最も著しく増強した.また,CSPの投与によりFcγ-陽性M∅数が有意に増加した.CSPで刺激されたM∅の培養上清はS-180に対し障害活牲を示した.In vitroではCSPによりM∅の細胞障害活性は誘導されなかった.これらの結果より,CSPはリンパ球などの機能を介した宿主介在的作用によって,細胞障害性M∅を誘導させる能力を有するものと考えられた.
  • 長谷川 信, 本田 和久, 那谷 耕司, 米倉 秀人, 岡本 宏, 氷上 雄三
    1991 年 62 巻 9 号 p. 867-869
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 牛田 一成, 小島 洋一, 川島 良治
    1991 年 62 巻 9 号 p. 870-874
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 古瀬 充宏, 村井 篶嗣, 村上 斉, 朝倉 幸孜, 奥村 純市
    1991 年 62 巻 9 号 p. 875-877
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 木場 俊太郎
    1991 年 62 巻 9 号 p. 878-883
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    褐毛和種育種集団について,1955年から1990年までの繁殖構造の分析を行なった.その主な結果は次のとおりであった.1) 全近交係数(平均近交係数)は1955年の0.83%から1990年の3.36%へと2.53%増加した.2) 平均血縁係数は1955年の0.89%から1990年の4.21%に増加し,阿蘇および球磨地域において高い値を示した.3) 分化指数(F/F')は1より大きく評価され,地域的または系統的分化が生じていることが推測された,4) 集団の有効な大きさは1966年に1955年の約50%に縮小し,1975年には約2倍に拡大,1985年に約50%に縮小した.種畜の地域間での移出入は行なわれている.5) 特定種雄牛の遺伝的寄与率では,重玉および光浦号の寄与が大きく,父牛系統の割合では重玉系が64.9%,光浦系が23.4%を占めた.6) この35年間,繁殖構造上,地域内での分化もみられ,集団としては均質化の傾向はみられない.
  • 信国 喜八郎, 古賀 脩, 西山 久吉
    1991 年 62 巻 9 号 p. 884-889
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験では,甲状腺除去雛(甲除雛)に低温(5°C)と中温(20°C)処理の18または9時間前にサイロキシン(T4)を投与し,低温下での体温維持とT4,により変動する肝臓と筋肉のグリコーゲン含量の関係について検討した.温度処理前において,肝臓グリコーゲン含量はT4無投与の甲除雛で極めて多く,対照雛(偽手術)および18時間前投与雛で少なかった.9時間前投与雛は無投与雛より少なく,18時間前投与雛より多かった.筋肉グリコーゲン含量は対照雛,18時間前投与雛で多く,ついで9時間前投与雛,無投与雛であった,この結果から,T4の作用によって肝臓•筋肉間のゲリコーゲン含量の調節がなされ,その作用は投与後の時間経過に伴って発揮されるものと推定された.温度処理5時間後において,体温は18時間前投与雛では低温下でもよく維持されたが,9時間前投与雛では低下した.しかし,その低下は無投与の甲除雛ほどではなかった.一方,18時間前投与雛と9時間前投与雛の温度処理後の肝臓グリコーゲン含量は低温区が中温区より少ない傾向を示し,筋肉グリコーゲン含量も少なかった.しかし,無投与雛ではこのような減少は認められなかった.したがって,T4の作用によって低温下での糖の消費が増大するものと考えられた,以上の結果より,甲状線ホルモンは肝臓•筋肉間のグリコーゲン含量の調節に関与することによって,低温下での糖の消費を促進し,体温の維持に寄与するものと推察された.
  • 高橋 和昭, 秋葉 征夫, 西村 仁, 堀口 雅昭
    1991 年 62 巻 9 号 p. 890-897
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    雄ブロイラーの成長,脂質代謝,薬物代謝酵素に対する飼育密度とL-Trp添加の影響を検討した.7日齢の雄プロイラーを1羽あたり217,325,625cm2の飼育密度で2週間飼育した.それぞれの飼育密度で飼育した鶏にME 3150kcal/kg,CP 21.5%,Trp 0.28%の基礎飼料,基礎飼料に0.05または0.15%L-Trpを添加した飼料を給与した,体重および増体量は,飼育密度の低下にともない低下する傾向にあり,Trp添加で飼育密度による影響が認められなくなる傾向にあったが,Trp添加,飼育密度の影響は有意ではなかった.625cm2区の血漿中コレステロール濃度はTrp添加にしたがって低下したが,217cm2区では,Trp添加の効果は認められなかった,体脂肪含星は,325cm2区の0.05%Trp添加および625cm2区の0.15%Trp添加で減少した.血漿コルチコステロン濃度は,Trp無添加および0.05%添加区においては,217cm2区で有意に高い濃度であり,Trp 0.15%添加区では,325cm2区で,有意に高い濃度であった.一方,217cm2区では,Trp添加量の増加にともなって,血漿コルチコステロン濃度は低下した.肝臓ミクロソーム蛋白質含量は,Trp添加により増加した.また,Trpと飼育密度の効果も有意であった.肝臓ミクロソームタンパク質あたりのチトクロムP-450含量とNADPH-チトクロムcおよびNADH-チトクロムb5還元酵素活性は,Trp添加の影響を受け,0.05% Trp添加で高い値を示した.体重100gあたりのチトクロムb5含量は0.15% Trp添加で増加した,また両還元酵素活性に対するTrp添加と飼育密度の交互作用は有意であった,これらの結果は,飼育密度による脂質代謝,薬物代謝酵素活性,およびコルチコステロン代謝の変化に対してTrp添加が影響することを示している.しかし,Trpの添加効果の発現は,飼育密度にも依存していると考えられた.
  • 植竹 勝治, 工藤 吉夫
    1991 年 62 巻 9 号 p. 898-903
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種育成牛の聴覚閾値をオペラント条件づけを用いて行動により測定した.供試牛は実験開始時に生後4ヵ月齢の雌牛4頭であった.聴覚測定に先立ち,供試牛を夜間約15時間の断水条件下に置き,水を報酬として,音に反応してプレートを押すよう訓練した.プレート押し反応の習得が遅れた1頭は除き,3頭で聴覚閾値測定を行なった.測定には純音を用い,(0.064~16)kHzのオクターブ間隔の9つの周波数における4,5段階の音の強さで,音の提示10回に対して牛がプレートを押して反応した回数を測定した.精神物理学における閾値測定法に基づき,その反応率を標準正規分布上でもたらす標準正規偏差(Z値)を数表から求め,音の強さを独立変数,その音の強さに対応する3頭からのZ値を従属変数として,周波数毎に単回帰式にあてはめた.その式から,音に対する反応率が50%となる音の強さ(聴覚閾値)を推定した.各周波数における聴覚閾値は,それぞれ(0.064kHz, 61.8dB SPL),(0.125, 44.2),(0.250, 38.7),(0.500, 30.5),(1, 27.6),(2, 18.8),(4, 44.7),(8, 30.2),(16, 20.3)と推定された.しかしながら,実験室内には(52.0±2.3)dB SPLの背景雑音が存在したことから,試験音のマスキングにより,自由音場での聴覚閾値はこの値よりも低い可能性が示唆された.
  • 石田 光晴, 大野 はるみ, 武田 武雄, 池田 昭七, 斎藤 孝夫
    1991 年 62 巻 9 号 p. 904-908
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1年4カ月~2年2カ月間,集約的に飼育したニホンジカ雌3頭(1歳4カ月,3歳5カ月,5歳4カ月)を屠殺し,その可食部位の一般成分であるpH,軟らかさ,水分,粗蛋白質,粗脂肪,粗灰分と蓄積脂肪の融点,けん化価,脂肪酸組成を測定した.枝肉歩留まりはいずれも60%以上(60.6~62.1%)を示したが,精肉歩留まりは66.4%から78.8%とややばらつきがあり,若い鹿の値が小さかった.精肉のpHは5.55から5.87の間にあり,酸性極限pHに達していると考えられた.軟らかさは部位によって大きく異なり,剪断力価は26~58gであった.水分は,ばら肉の56.4%を除き,70%以上(73.0~79.4%)を示した,粗蛋白質と粗脂肪は,ばら肉を除き,それぞれ17.4~21.0%および1.5~3.1%であった.これらの値から,他の食肉と比較して高蛋白質,低脂肪の傾向が明らかになった.蓄積脂肪の融点は,部位によって異なり,皮下脂肪の融点は比較的低く,腎臓周囲脂肪と大網膜脂肪は高い値となった,脂肪酸組成は,他の家畜と同様に皮下脂肪中の不飽和脂肪酸割合が高く,身体の深部にいくほどその割合は小さくなっていった.その中で,ステアリン酸とパルミチン酸は増加していき,オレイン酸とパルミトオレイン酸は逆に減少傾向を示した.
  • 渡邊 浩二, 鈴木 克男, 齋藤 忠夫, 伊藤 敞敏
    1991 年 62 巻 9 号 p. 909-914
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    新しい試料抽出,クリンアップの組合せ法および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて,輸入穀物より食肉中に残留の可能性がある農薬の定性•定量分析条件を検討した.
    牛肉試料からの農薬(Captan, FenitrothionおよびMalathion)の抽出は,アセトニトルー水の溶媒系を使用することにより抽出物中の脂肪量を最小限に抑えることができた.抽出試料からの脂肪の除去はシリカゲルと逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP-18)の組合せ法が最も優れており,3種の農薬は90%以上が回収された.
    HPLCの分離条件を,オクタデシル基(C18)の導入された3種類の逆相カラムを用いて検討したところ,担体をトリメチルシル基(C3)でエンドキャップ処理されたLiChroCART RP-18(e)カラムでのみ,3種の農薬は明瞭に分離定量された.
    牛肉試料への農薬の添加回収試験では,いずれの農薬についても76~80%の値が得られ,十分実用性のあるHPLC分析条件を確立できた.実際に牛肉および配合飼料検体についてHPLC分析を行なった結果,今回の供試試料中には農薬は検出されなかった.
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