日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
63 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 酒井 仙吉
    1992 年 63 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    卵巣除去した妊娠中期のマウスでは,卵巣除去後16時間から乳腺へのプロラクチン結合量の増加が起る.この増加に対する転写阻害剤及び翻訳阻害剤の影響を調べた.インビボ実験においてアクチノマイシンD及びサイクロヘキシミドの有効な効果がみられたが,卵巣除去後の時間は両者で異なった.アクチノマイシンDは,卵巣除去直後から12時間までに投与すると増加を抑制した.一方,サイクロヘキシミドは,除去後16時間以降に投与すると増加を抑制した,次に卵巣除去後24時間及び36時間経過したマウスから得た乳腺組織をアクチノマイシンD,サイクロヘキシミド,あるいはピューロマイシンの存在下でインビトロで培養し,そのプロラクチン結合量に対する影響を調べた.アクチノマイシンDの添加はプロラクチン結合に影響を与えなかったが,サイクロヘキシミドおよびピューロマイシンは共に有意に結合を抑制した.これらの結果は,卵巣除去によって新しくプロラクチンレセプターが作られること,卵巣除去後早い時期から乳腺細胞でプロラクチンレセプターが作られるための転写が始まること,を示した.
  • 山口 高弘, 星野 忠彦
    1992 年 63 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタの胎児骨格筋より分離した3種類のクローン化筋原細胞(SMC-1, sMc-2, sMc-3)において,グリコーゲン,ミオシン,トロポミオシン,クレアチンキナーゼBB型(CK-BB)およびクレアチンキナーゼMM型(CK-MM)の細胞内挙動を細胞化学的手法で検討した.sMc-1とsMc-3ではsMc-2より多くグリコーゲンが出現した.しかしながら,各クローン化細胞間で,その細胞内局在には相違を認めなかった.筋の分化と関係するミオシン,トロポミオシン,CK-BB, CK-MMの蛋白はすべてのクローン化筋原細胞で合成されることが判明した.ミオシンおよびCK-MMはsMc-1とsMc-2の培養系において数多く出現する両極性の紡錘形をした典型的な細胞では少数の扁平状の細胞よりも強い染色性を示した.一方,sMc-3の大部分の細胞の染色性は典型的なsMc-1とsMc-2より弱かった.CK-BBに関して,sMc-3はsMc-1およびsMc-2より強い染色性を示した.トロポミオシンは3種類のクローン化筋原細胞で弱-中程度と同様に染色された.以上の結果はブタのクローン化筋原細胞が筋の分化に必要な蛋白分子を産生すること,免疫細胞化学的方法がin vitroにおいて,筋形成過程での融合前の初期段階のブタ筋原細胞を識別するのに有効であることを示した.
  • 宇佐川 智也
    1992 年 63 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鼓脹症誘起飼料を給与しためん羊の第一胃液を用いたin vitro実験で,モネンシンおよびサリノマイシンが第一胃液性状に及ぼす影響を検討し,この結果から,これらイオノフォアの鼓脹症抑制効果を検討した.試験区として,対照区と,モネンシン1, 3, 5ppm,サリノマイシン1, 1.5, 2, 3ppmをそれぞれ供試胃液に添加した区を設けた.第一胃フィステルを装着しためん羊6頭から朝の給餌後2時間目に第一胃液を採取し,これらをよく混合して各試験区に分配した.この結果,培養4時間後のpH,培養2時間後のガス産生量,Ingesta Volume Increase (IVI)には,モネンシンおよびサリノマイシン添加の影響があまり見られなかった.第一胃汁の粘度の値は,モネンシン添加の全区およびサリノマイシン3ppm添加区で対照区に比べて有意に小さくなり,第一胃液の泡沫安定度を示すStableIVIの値は,2時間培養後の値ではモネンシン3ppm,5ppm添加区の値が,また,4時間培養後の値ではモネンシン3ppm,5ppm,サリノマイシン2ppm,3ppm添加区の値がそれぞれ対照区に比べて有意に小さくなった。これらのin vitro実験での結果から,モネンシンおよびサリノマイシンのいずれも鼓脹症抑制効果が十分に期待できると考えられた.ただ現行の認可濃度では,モネンシン(30ppm)の方がサリノマイシン(15ppm)より鼓脹症抑制効果が大きいと予想された.
  • 小野寺 良次, 上田 寛, 長澤 孝志, 奥内 勝也, 茶圓 茂広, 三重野 通啓, 工藤 英彦
    1992 年 63 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    In vitroでのルーメンプロトゾア(P懸濁液),ルーメンバクテリア(B懸濁液)およびそれらの混合懸濁液(BP懸濁液)によるL-トリプトファン(Trp)からのインドール(Ind)およびスカトール(Skt)の生成を確認するとともに,これらの微生物懸濁液によるTrpからのIndおよびSkt生成に及ぼすサリノマイシン(SL)の影響を検討する目的で本研究を計画した.また,同時に,IndおよびSktがプロトゾアの生存および上記の各種微生物懸濁液中における揮発性脂肪酸(VFA)の生成に及ぼす影響も検討した.ルーメン微生物は,フィスチュラ装着山羊から採取した.その結果,P懸濁液は,12時間の培養中にTrpからIndのみを生成した.SLはP懸濁液におけるIndの生成を促進した.BおよびBP懸濁液中では,ともにTrpからSktおよびIndが生成された.そして,これらの生成はSLによりほぼ完全に抑制された.低濃度(2mM)のIndおよびSkt存在下では,BP懸濁液申のプロトゾアは長時間生存した.そして,BおよびBP懸濁液中における総VFAの生成を促進し,また,BP懸濁液中におけるプロピオン酸と酪酸のモル百分率を増加させた.
  • 田中 桂一, 尹 乘善, Urip SANTOSO, 大谷 滋, 坂井田 実
    1992 年 63 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鯖肉エキス発酵産物をブロイラー飼料に添加し,ブロイラーの成長,屠体成分,肝臓での脂質合成関連酵素の活性,そして肝臓,血清および大腿筋中の各脂質画分含量に及ぼす影響を検討した.鯖肉エキスを飼料に2%添加することによって,8週齢終了時の体重は,雄,雌ともに,増加する傾向が観察された.腹腔内脂肪重量は2%添加によって,雌では統計的に有意に減少した.鯖肉エキス添加によって,血清および肝臓中の脂質画分含量には影響が観察されなかったが,大腿筋中の遊離型コレステロール含量は1%以上添加によって統計的に有意に低下し,トリグリセリド含量は2%添加によって低下する傾向が観察された.鯖肉エキス添加によって,肝臓中のacetyl-CoA carboxylaseとfatty acid synthetase活性は影響を受けなかったが, malic enzymeとcitrate cleavage enzyme活性化は2%添加によって,HMG-CoA reductase活性は1%以上添加によって統計的に有意に低下した.鯖肉エキスを飼料に2%添加することによって,雄,雌ともに,8週齢終了時の屠体中粗脂肪含量は減少し,水分含量が増加する傾向が観察された.
  • 柿市 徳英, 石崎 芳彦, 富田 修平, 伊藤 整, 松永 敏幸, 押田 敏雄, 鎌田 信一, 林 正利, 大塚 宏治, 内田 和夫
    1992 年 63 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚舎汚水処理活性汚泥から分離した3株(NK-2G, NK-69およびNK-18)と標準株であるPseudomonas sp. IFO 12442 (PS)の脱窒細菌を用いて脱窒素のための炭素源と温度について検討した.炭素源はL-アスパラギン(L-As),酢酸ナトリウム(Na-Ac),乳酸(Lac-Ac),グルコース(Glu),エタノール(E-OH)およびメタノール(M-OH)の6種類を供試し,温度は10,20および28°Cの3段階について調べた.その結果,脱窒素に利用しやすい炭素源は,L-AsとNa-Aであった.温度についてはNK-18株を除き28°Cが最も高い脱窒速度を示し, NK-18株では20°Cで最高値を認めた.また,PS株とNK-2G株は他の2株に比べ,脱窒速度,脱窒効率および集菌率が高く,脱窒素のための温度範囲および炭素源の範囲が広かった.一方,活性汚泥由来株の3株ともにCDC groupVD-1と同定され,旧分類でのAchromobacter属であった.
    そこで,今後は本成績を踏まえて,活性汚泥由来株の中で最も能力の高いNK-2G株を主体にバイオリアクターとして応用するための検討を行いたい.
  • 柿市 徳英, 渋谷 伸一, 秋田 和文, 杉本 幸良, 押田 敏雄, 林 正利, 鎌田 信一, 小峯 健一, 大塚 宏治, 内田 和夫
    1992 年 63 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール(PVA)-硼酸法により,活性汚泥由来の3株(NK-2G, NK-18および NK-69)と標準株としてPseudomonas sp. IFO 13302 (PS)およびParacoccus denitrificans IFO 12442 (PD)の2株を固定化し,各固定化菌体の脱窒効率を比較した.温度は20°Cと28°Cとし,回分式にて10日間の変遷を調べた.その結果,NK-2G株(40~100%)が最も高い脱窒効率を示し,次いで,NK-18 (20~100%), PD (6.6~93%), NK-69 (0.4~85%), PS (0.8~56%)の順であった.すなわち,標準株であるPSとPD株が野外株であるNK-2GとNK-18株に比べ低い脱窒効率であった.この結果は,硼酸の影響と考えられることから,各菌株の硼酸耐性試験を試みた.最も高い耐性を示したのはNK-2G株であり,次いで,NK-18, NK-69, PS, PDの順であった.また,硼酸の影響は,10日間の変遷にもみられ,20°CでのNK-69株を除き,固定化細菌の脱窒効率は4~5日目まで低率で,その後上昇した.
    以上より,PVA-硼酸法による固定化に適した脱窒細菌はNK-2GとNK-18の両株であることが明らかとされた.また,このPVA固定化細菌のバイオリアクターへの応用の可能性が示唆された.今後は,硼酸による影響を最小限にするたあの検討と共に,PVA固定化脱窒細菌を用いて長期間の脱窒試験を実施したい.
  • 田中 博, 黒田 和孝, 代永 道裕
    1992 年 63 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    家畜排泄物からのVFA対策として微生物等による脱臭を検討した.1) 活性汚泥を用いる脱臭試験は,送入臭気と充填材との見掛の接触時間3.1秒,気液比3.5l/m3,,散布液の水槽内の見掛の滞留時間約30分の条件下で,新鮮糞1kgから臭気をハニカム脱臭塔へ吸引してVFAの除去を試みた.4日目に豚糞を更新し計1週間試験した.その結果,プロピオン酸および酪酸が各々0.5~59.0ppb, 0.1~20.9ppbであったものが,いずれも0.1ppb以下の検出限界(ND)近くまで除去された.i-およびn-吉草酸でも各々0.1~4.1ppb, ND~10.5ppbがNDまで脱臭された.一方,n-酪酸を同様に脱臭塔に送入した試験では,330~835ppbの酪酸を1.7~19.1ppbまで脱臭することができ,その平均除去率は98.5%であった.2) 堆肥化物による豚糞処理は,2個の3lビーカーに豚糞1kgずつを入れ,一方は堆肥0.2kgを混合し,他方は対照区とした.両者は1日1回の測定時を除いて日陰に放置した.VFAの測定は1)の脱臭塔の吸引部にビーカーを静置後,30分の臭気を対象に行なった.対照区のプロピオン酸,n-酪酸,i-吉草酸およびn-吉草酸はいずれも数ppbから数十ppbとかなり高濃度で,3日目になって1.1ppb以下の低濃度に下がった.しかし,試験区のVFAは堆肥を混合した直後から対照の70~80%に低下し,翌日には検出限界付近の濃度まで低下した.また,堆肥50gを表面散布した試験でも同様の除表効果が得られた.以上より,活性汚泥や堆肥による生物脱臭は,豚糞のVFAを円滑に処理できることが明らかにされた.
  • 阿部 又信, 入来 常徳, 舟場 正幸
    1992 年 63 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種成雌牛延べ13頭を供試し,脂肪酸Ca塩(CSFA)の脂肪酸組成,粒度,ペレット加工,および給与量が酸分解エーテル抽出物(AEE)の消化率およびTDN含量に及ぼす影響について検討した.試験1,2ではいずれもパーム油を原料とし,約45%が2mm以上の大きさの不定形粒状CSFA(PFA-L)と,約85%が2mm以下の不定形粒状CSFA(PFA-S)のAEE消化率を求めた,いずれにおいても基礎飼料にCSFAを0または400g/日ずつ添加し,AEE消化率は400g給与時とOg給与時の糞中AEEの差をCSFA由来のAEE摂取量で除して求めた.その結果,PFA-LとPFA-SのAEE消化率はそれぞれ84.0および94.3%であった.同様にして,試験3ではPFA-Sを径5mmのペレットに加工した場合(PFA-SP)のAEE消化率を求めた結果,98.0%であった.試験4では,約39%が2mm以上の不定形粒状で牛脂を原料とするCSFA(TFA-L)を200または400g/日給与した場合のAEE消化率を求めた結果,それぞれ76.7および66.1%であった.供試CSFAのAEE含量と400g給与時の消化率からそれぞれのTDN含量を求めると,PFA-L;158,PFA-S;178,PFA-SP;179,TFA-L;126%となり,CSFAの粒度と脂肪酸組成はTDN含量に影響するが,ペレット加工しても負の影響はないことが示唆された.また,給与量も影響を及ぼしうるが,パーム油を原料とするCSFAの場合にはその影響は小さいと考えられた.
  • 大城 政一
    1992 年 63 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    人工的明(0~12時)~暗(12~24時)環境下および暗(0~12時)~明(12~24時)環境下でヤギにおける反芻行動の日内変化を調べ,その要因を検討した.両実験において,反芻時間の長さはほぼ同じであった.しかし,経時的には暗環境下1時間後に,時刻とは無関係な顕著な減少を示し,最低値を示した.その後,漸次増加して,明環境下直前に最高値に達した.1反芻食塊当りの反芻時間の日内変動も暗環境下1時間後に最低値を示した.他方,両実験の明環境下における12時間の反芻時間の長さもほぼ同じで,経時的変化は明環境下12時間中一定していた.採食量1g当りの採食時咀嚼回数は明環境下で,採食量1g当りの反芻時咀嚼回数は暗環境下でそれぞれ高い値を示した.また,採食量1g当りの総咀嚼回数は明•暗両環境下で同様であった.
  • 矢野 幸男, 村山 文江, 潟保 信子, 立花 美乃, 中村 豊郎
    1992 年 63 巻 1 号 p. 72-81
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛サーロインを試料とし,真空包装後,2°C,10°C,20°Cの各温度で熟成を行ない,細菌数pH,ジアミン,ATP関連化合物,遊離アミノ酸,筋原線維小片化率を経時的に測定した.(1) 細菌数が107個/cm2に到達したのは,20°Cで2日目,10°Cで7日目,2°Cで23日目であった.官能評価で初期腐敗と判定されたのは,20°Cで2日目,10°Cで8日目,2°Cで27日目であった.(2) ジアミン量の変化は,20°Cで2日目にカダベリン(Cad)が,3日目にプトレシン(Put)が検出された.10°Cでは7日目にCad,9日目にPutが検出され,2°Cでは29日目までに両ジアミンの生成,増加はなかった.(3) ATP関連化合物,遊離アミノ酸,筋原線維小片化率は熟成温度を上げるに従って,速い変化を示した.また,K値およびヒポキサンチン量は直線的な増加が見られた.(4) 以上の結果から,10°Cにおいては,Cadを初期腐敗指標,ヒポキサンチンを熟成経過日数の判定指標とすることによる熟成管理の可能性が示された.
  • 松岡 昭善, 天野 卓, 高橋 強, 山中 良忠
    1992 年 63 巻 1 号 p. 82-91
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛,馬,豚,山羊,緬羊肉の識別とこれらを種々の比率で混合した場合の検出可能な混入率,さらに加熱処理の影響を検討するため,ポリアクリルアミドゲル等電点電気泳動法を用いて,Sarcoplasmic protein, Heme protein, Creatin kinase, Adenylate kinase, Phosphoglucomutase, EsteraseおよびTetrazorium oxidaseについて分析を行ない,次の結果を得た.Sarcoplasmic protein, Heme proteinおよびCreatin kinaseの泳動像により牛,馬,豚山羊•緬羊の4グループに識別できたが,山羊と緬羊の識別は困難であった.Tetrazorium oxidaseおよびEsteraseにいては牛,馬,豚,山羊,緬羊の間で泳動像にそれぞれ明確な差異が認められ,5畜種の識別がこれらの酵素1種のみで可能であった.ただし,Esteraseでは個体変異が認められたので,鑑別に当たってはこの点に留意する必要があった.Adenylate kinaseは馬と豚,Phosphoglucomutaseは反芻家畜と非反芻家畜の識別に有効であった.混合肉中の異種肉の識別はSarcoplasmic protein, Heme protein, Adenylate kinaseおよびCreatin kinaseにおいて,互いに識別可能な肉種間では,概ね1~5%の異種肉の混入があれば識別可能であり,前報8)のデンプンゲルよりも高い感度で検出できた.加熱処理の影響について検討した結果,65°C,30分間の加熱肉ではHeme protein染色により牛,馬,豚,山羊•緬羊の4群に識別可能であったが,75°Cおよび100°C,30分間加熱肉では牛,馬,山羊•緬羊の3群に識別された.Phosphoglucomutase染色では100°C,30分間加熱後も牛•山羊•緬羊,馬•豚の2群に識別可能であった.
  • 福永 隆生, 古賀 克也
    1992 年 63 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    オボインヒビター(OI)を包含するあるいは除去したプソイドグロブリン水溶液の加熱後のウシトリプシンによる消化性は,高温処理のものが最良で,中温処理がこれにつぎ,無処理は極めて悪かった.OIを含むものは除いたものに比し消化性が著しく悪かった.
    精製オボアルブミンの水溶液にOI添加あるいは無添加の状態で加熱処理後のウシトリプシン,キモトリプシンによる消化性は,中温処理が最良で,高温処理がこれにつぎ,無処理は極めて悪かった.OI添加のものは無添加に比し明白な消化阻害が認められた.同様の処理を行なったオボアルブミン水溶液に対するヒト膵液による消化性も類似の結果を示した.
    オボアルブミンのリン酸塩緩衝液(pH 8.0)溶液にOI添加あるいは無添加の状態で加熱処理後のウシトリプシンによる消化性は,高温処理が最良で,中温処理がこれにつぎ,無処理は極めて悪かった.この場合OI添加と無添加のものの間にはわずかな差異しかみられなかった.これらの結果は生卵白の消化性が加熱卵白に比し劣るのは,タンパク質が未変性であることのほかにOIによる消化阻害にも基因することを示している.
  • 宮重 俊一
    1992 年 63 巻 1 号 p. 98-107
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top