日本畜産学会報
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63 巻, 10 号
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  • 佐野 宏明, 与那嶺 明弘, 寺島 福秋
    1992 年 63 巻 10 号 p. 993-1000
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    めん羊の採食に伴うインスリン反応に対する給与飼料および寒冷暴露の影響を検討した.めん羊には維持代謝エネルギーおよび可消化粗蛋白質要求量の170%の高濃厚飼料(濃厚飼料80%,粗飼料20%)および高粗飼料(濃厚飼料20%,粗飼料80%)を給与し,常温(20°C)および寒冷(0°C)に暴露した.実験は各処理区の7日目に行なった.血漿インスリン濃度はいずれの区においても採食開始後に増加し,5分後には最初のピークに達した.その後,高粗飼料および寒冷暴露時に血漿インスリン濃度は採食前値まで低下したが,高濃厚飼料および常温時には4時間の実験期間中高い値で維持された.インスリン•エリアで示されるインスリン反応は高粗飼料よりも高濃厚飼料の方が大きく(P<0.01),寒冷暴露時よりも常温時の方が大きかった(P<0.10).飼料と環境温度に交互作用は認められなかったが,採食に伴うインスリン反応は高粗飼料よりも高濃厚飼料の方が寒冷暴露の影響を受けた.これらの結果はめん羊において寒冷暴露は採食に伴うインスリン反応に対して高粗飼料よりも高濃厚飼料に影響を与えることを示している.
  • 林 國興, A. G. KAYALI, 冨田 裕一郎
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1001-1008
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    動物がストレスを受けると副腎皮質ホルモン分泌が増加するので,骨格筋蛋白質の合成抑制および分解昂進が生じ,成長が陽害される.本研究では,2回の実験を行なって,副腎皮質ホルモン(コルチコステロン,CTC)による成長阻害がテストステロンプロピオネイト(TP)によって緩和されることならびにそのメカニズムの一端を示した.実験1では体重約210gのSD系雄ラット18頭を対照(C)区,CTC区およびCTC+TP区の3区に分けた.体重100gあたりCTCは10mg, TPは2mgを毎日皮下注射し,6日間,骨格筋蛋白質分解速度の指標であるNτ-メチルヒスチジン(MH)排泄量を測定した.実験2では,実験1と同様の処理を施したラット36頭を用いて,[3H]フェニルアラニンの大量投与法により実験開始後4日目と8日目の骨格筋蛋白質の合成速度を測定した.その結果,CTCにより,成長は著しく阻害され,MH排泄は4日目まで顕著に増加し,以後,減少した.また,CTCによる成長阻害ならびにMH排泄増加はTPにより,抑制された.一方,合成速度は,CTCにより著しく低下したが,TPにはこれを緩和する作用はなかった.以上の結果より,テストステロンは,コルチコステロンによる骨格筋蛋白質の合成阻害を抑制せず,分解促進を抑制することによって,成長阻害を緩和すると考えられる.また,この結果は,雄と雌の成長の違いが副腎皮質ホルモンとテストステロンの関係に基づく可能性を示唆している.
  • 喜多 一美, 村井 篤嗣, 古瀬 充宏, 朝倉 幸孜, 奥村 純市
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1009-1013
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    産卵中の日本ウズラ(Coturnix coturnix iaponica)における肝臓および卵胞の脂肪酸への[1-14C]酢酸ナトリウムの取込みを調査した.翼下静脈より[1-14C]酢酸ナトリウムを注射し,トレーサー投与後0.5,1,2,4および6時間後に肝臓および卵胞を摘出し脂肪酸に取込まれた14Cの放射能を測定した.肝臓の脂肪酸への[1-14C]酢酸ナトリウムの取込みは,トレーサー投与後0.5時間で最も高い値を示し,投与後0.5から1時間の間で14Cの放射能は急激に減少した.卵胞における脂肪酸の14Cの放射能はトレーサー投与後1時間まではほとんど認められず,その後急激に高くなった.本実験より,ウズラの卵胞では脂肪酸の合成はほとんど起らず,蓄積された脂肪酸は卵胞以外において合成された脂肪酸が移行したものであると推測された.
  • 阿部 又信, 入来 常徳, 池田 一明, 舟場 正幸
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1014-1021
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    約1週齢のホルスタイン種雄子牛計18頭を3区に分け,脂肪源が異なる3種類の代用乳(MR1-3)を給与し,新生子牛における消化率,下痢発生および脂質代謝に及ぼす影響を比較した.各MRは脂肪含量が同じ(約19%)で,脂肪源はMR1が牛脂,MR2は牛脂55%,大豆油25%および硬化魚油20%の混合物,MR3は牛脂50%および中鎖トリグリセライド50%の混合物であった.MR1の脂肪酸はC18:1,C16:0,C18:0が大部分を占めたのに対し,MR2ではそれらに加えて多価不飽和の長鎖脂肪酸が多く,MR3ではC8とC10が50%を占めた.2週間の試験期間中,1日500gのMRを朝夕2等分して与えたが,固形飼料は給与しなかった.MR3区は粗脂肪の消化率が有意に高かったが(P<0.05),粗蛋白質の消化率は有意に低く(P<0.05),下痢発生が有意に増加した(P<0.05).しかし増体量には有意差がなく,他の2区間ではこれらの全てに有意な差はなかった.血清NEFA濃度はMR3区で有意に低くP<0.05),一方,燐脂質および総コレステロール濃度はMR2区で増加の傾向を示した.また,血清脂質の脂肪酸組成はMR2区において著しく異なり,他の2区に比べてC18:2およびC18:3の有意な増加と,C16:1およびC18:1の有意な減少とが認められた(P<0.05).
  • 伊藤 整, 鎌田 信一, 林 正利, 鈴木 洋一, 左向 敏紀, 本好 茂一
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1022-1027
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    クリームおよびクリームより調製した脂肪球皮膜(MFGM)を,高コレステロール飼料に添加したときの,ラットの血漿コレステロール抑制効果を調べた.高コレステロ-ル飼料を与えた対照群の血漿総コレステロール濃度は,経日的に増加し,12日目では250mg/Nl値を示した.これに対し,対照群飼料にクリーム(20%)を加えし場合には130mg/dl,MFGM (3%)では150mg/dlの値を示し,明らかにクリーム•MFGMの血漿コレステロール抑制効果が認められた.またHDL-コレステロールについては摂取6日で,クリーム•MFGM群とも対照群に比べて,上昇傾向を示すが,12日目になると,いずれの群もほぼ同じ値を示した.トリグリセライド値については,各群とも変化が認められなかった.又糞の性状を対照群と実験群で比較したところ,クリーム•MFGM実験群共に,糞の軟化が顕著で,その色調は黄白色を呈し,過剰な脂質の糞中への排泄効果が認められた.
  • 菅原 道煕, 服部 貴次, 中島 泰治
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1028-1031
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    魚粉中のジゼロシン(Gizz)は,乾燥時の過熱によって生成されることが,経験的に知られている.本実験は,加熱温度•時間と,魚粉中のGizz生成との関係を明らかにすることを目的として行なわれた.八戸地区産の市販魚粉(通称ホールミール)を,水分定量用のアルミ容器に取り,厚さを均一に15mmとして,その中に熱電対を入れ,魚粉の品温が記録されるようになっている電気恒温器に入れ,50°Cから200°Cまで,10°C刻みで,時間は0.5ないし1時間間隔で,3hまで加熱した(80°Cの場合は最大168hまで).魚粉品温が所定の温度に到達した時を以て,加熱0hとした.各設定区ごとに,2サンプル作成した.魚粉のGizz含量はHPLCで化学的に定量した.100°C:2hでGizaの生成量は0.5から0.8ppmへ1hよりわずかに増加した.Gizzの生成がこの間に開始されたものと考えられた.加熱温度が高くなるに従って,Gizz生成量は増加し,かつ短時間に最高値に達した.全設定区中最高値の25.0ppmは190°C:0hで得られた.80°Cでは24時間後にGizzの増加が認められ,増加傾向は120hまで継続した.このことは,実用的な流通•貯蔵の過程で,特に夏季に,魚粉の取り扱いが不適切な場合には,Gizzが生成•蓄積される可能性があることを示している.150°C:3hでの生成量は13.6ppmで,2hの生成量14.4ppmより減少した.同様な現象は,160°C:2h,170°C:1h,と180°C:0.5hにおいても認められ,Gizzの生成と同時に,分解もより高温で促進されると考えられた.200°C:0hの値は,この温度では品温が所定温度到達以前に,分解が始まったことを示している.従って190°C:0hの値も,最高値はそれ以前に得られ,わずかに分解が起った結果である可能性を否定できない.直火乾燥方式で作られた魚粉の中には,明らかに魚粉臭を欠き,砂状の物性を示すものがある.このような魚粉は,本実験の結果から,一度生成されたGizzの大部分が分解している可能性が高い.このような場合には過熱による蛋白質の栄養価の低下が起こっているものと考えられる.一方経験的に黒吐病を発症させる魚粉は,外観性状が良いものであることが知られている.いずれにしても,直火乾繰方式による魚粉の使用に当っては,十分な注意が必要である.
  • 上田 博史, 大島 光昭
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1032-1037
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    アルファルファ緑葉タンパク質濃縮物(LPC)とダイズタンパク質の給与がヒナの血漿コレステロール濃度に及ぼす影響を比較検討した.試験1では,アルギニン,メチオニンおよびグリシンを補足したカゼインと,メチオニンを補足したダイズタンパク質およびアルファルファLPCを単一タンパク質源とする18%タンパク質飼料を供試した.血漿コレステロール濃度は,飼料にコレステロールを添加しない場合は,カゼインやダイズタンパク質に比較してLPC給与で有意に低い値を示した.飼料に1%のコレステロールを添加すると,コレステロール濃度はカゼイン飼料では約2倍に増加したが,他の植物性タンパク質給与は増加を同程度に抑制した.1%のコレステロールを添加したカゼイン飼料の粗タンパク質の25%あるいは50%をメチオニンを補足したダイズタンパク質とアルファルファLPCで置換すると,置換量に比例して血漿コレステロールは減少したが,補足タンパク質間での差はみられなかった(試験2).試験3ではサポニン含量の異なる2種類のアルファルファLPCとダイズタンパク質を単一タンパク質源として用い,タンパク質源とメチオニンの補足が血漿コレステロール濃度に及ぼす影響を調べた.コレステロールは添加しなかった.高サポニンアルファルファLPC給与はヒナの発育を抑制し,血漿コレステロール濃度はもっとも低かった.これらのヒナでは0.1%および0.3%のメチオニンの補足で発育が改善され,コレステロール濃度はさらに減少した.低サポニンアルファルファLPC給与鶏のコレステロール濃度もダイズタンパク質給与鶏より低かった.また,両タンパク質とも0.1%のメチオニン補足で栄養価の改善がみられたが,コレステロール濃度の変化はともなわなかった.
  • 奥内 勝也, 長澤 孝志, 小野寺 良次
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1038-1041
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 原田 宏, 小村 寿徳, Peregrino G. DURAN, 落合 巌, 福原 利一
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1042-1050
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    季節ごとに肥育試験された豚を経時的に超音波スキャニングし,第一および第二皮下脂肪厚,ロース芯面積および第一皮下脂肪上端から肋骨までの全体厚の各産肉形質の発育に対する肥育季節の影響について検討した.全供試豚の体重110kg到達日齢はほぼ200日であるものの,最も早かった夏肥育と遅れた冬肥育との間では平均で16日の差が認められた.また,体重の推移にLogisticモデルに当てはめた予測成熟値は各季節間(132.4~135.3kg)で差がほとんど生じないことが認められた.各肥育季節の日齢に対する産肉形質推定値の発育パターンは,第一皮下脂肪厚では肥育初期から中期にかけて,第二皮下脂肪厚では肥育中期から終子時にかけて,ロース芯面積は肥育中期にそれぞれ最も大きな増加を示した.また,全体厚では肥育期間を通してほぼ一定の増加率を示した.産肉形質の推定成熟値は,春肥育の豚では第5胸椎部の第二皮下脂肪が厚く(14.1mm),第一皮下脂肪(17.4mm)とバラの厚さ(76.0mm)が他の季節に比べて薄いことが認められた.夏肥育の豚は第5胸椎および体長1/2部位のロース芯面積(44.3および55.8cm2)が最も大きく,体長1/2部位の第一皮下脂肪(18.1mm)が最も厚いことが認められた.秋肥育の豚は第5胸椎部の第一皮下脂肪(27.4mm)と全体厚(105.8mm)が最も厚く,ロース芯面積は第5胸椎部(28.6cm2)および体長1/2部位(41.0cm2)とも最も小さい値を示した.冬肥育の豚はロース芯面積がいずれの部位においても夏肥育に次いで大きいことが認められた.
  • 石田 信繁, 犬丸 茂樹, 武田 久美子, 大西 彰, 三上 仁志, 小松 正憲
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1051-1058
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタ(ランドレース種)の新鮮な肝臓からミトコンドリァDNA(mtDNA)を精製し,このDNAの3種類のEco RI切断片(~8.5Kb,~5Kb,~3Kb)をそれぞれプラスミドベクターpBluescript II SK+のEco RIサイトにクローニングした.このクローニングして得た3種のmtDNA(pLmt8.5, pLmt5, pLmt3)を混合し,制限酵素Eco RIで切断後,[α-32P]dATPを用いたランダムプライマー法で標識してプローブとし,ブタ(ランドレース種,梅山豚)およびウシ,ヤギ,ヒツジ,ウマ,ウサギ,ニワトリ,ヒトの白血球全DNA(核DNAおよびmtDNAの両方を含む)を用いたサザン•ハイブリダイゼーション法によりmtDNAの検出および,その検出限界について検討した.20mlの血液からは約500~1,500μgの白血球全DNAを回収できた.この白血球全DNAを用いたブタmtDNAの検出は本プローブを用いると極めて容易であり,ブタ白血球全DNA0.5~1μg以上でmtDNAの検出が可能であった.またブタにおけるヘテロプラスミー判定の予備的検討を目的として,mtDNAのRFLPが異なるランドレース種と梅山豚2品種の白血球由来全DNAを総量5μg,9段階に量比を変えて混合しサザンハイブリダイズさせたとにろ,全量のmtDNAの5~10%以上で2品種由来mtDNAのバンドの双方を検出できた.さらに本プローブの他の動物とのハイブリダイズの程度は肉眼ではウシ,ヤギ,ウマ,ヒッジで比較的高く充分バンドの判定が可能だったが,ウサギ,ニワトリ,ヒトで低かった.またハイブリダイズの程度を波長633nmのデンシトメトリーにより検討したが,ブタを100%とした時にウシ,ヤギ,ウマ,ヒッジでは7~28%であり,ウサギ,ニワトリ,ヒトでは2%以下であった.従って本プローブは,ウシ,ヤギ,ウマ,ヒッジのmtDNA型検出用プロープとしても有効であることがわかった.なお非アイソトープ検出法の1つであるECL (enhanced chemiluminescence)法によりブタmtDNA型の検出を試みたところ,おおむねRIと同程度の感度が得られた.
  • 陰山 聡一, 森安 悟, 田畑 利幸, 千国 幸一
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1059-1065
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    SINCLAIRらが報告したSRY (sex-determining region Y)はその後の一連の研究により性決定遺伝子であることが確認されている.そして,サザンブロットの結果からSRYは哺乳動物の間で広く保存されていると報告している.本試験では,ヒト,ウシ,ヤギ,ヒツジ,ブタ,シカおよびマウスについて,ヒト,マウスおよびウサギSRYの塩基配列から作成したプライマーを用いたPCR (Polymerase Chain Reaction)を行ない,ヒトと同様にSRY中の塩基配列が検出可能かどうかを検討した.さらに得られたDNA断片の塩基配列を決定し,動物種によるSRY保存領域の塩基配列の差異について検討した.センスプライマーとして5'AAGCGACCCATGAATGCATTCATGGTGTGGT3'(31mer),アンチセンスプライマーとして5'GAGGTCGATACTTATAGTTCGGGTATTTCTCTCTGTG3'(37mer)を用い,93°C1分,60°C1.5分,72°C1分を1サイクルとして35回のPCRを行なった結果,実験に供試した全ての雄で,ヒトおよびマウスと同じ大きさのDNAバンドが検出され,雌では検出されなかった.さらに得られたDNA断片の塩基配列を決定した結果,動物種によってはかなり塩基置換が見られるものの,アミノ酸の機能的保存性は高く,性決定遺伝子として重要な役割を担っているタンパク質をコードしている領域であることが推察された.
  • 太治 司郎, 中上 辰芳
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1066-1074
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚胆嚢胆汁中の抗アレルギー成分についての検討を行なった.遅延型アレルギーモデルであるマウス接触性皮膚炎に対する作用を指標として分画操作を行ない,4mg/kgの低用量の経口投与で抑制活性を示す分画Fr-1-D-1を得た.Fr-1-D-1は蛋白質を主成分とする分画で,電気泳動(SDS-PAGEクーマシーブルー染色)的には分子量3万から9万の間の主要3成分から構成されていることが認められた.また,この分画はトリプシン感受性,グリコシダーゼ非感受性であり,60°C,30分間の加熱では活性を保持したが,100°C,3分間の加熱により失活した.さらに,種々のアレルギ-•炎症実験モデルにおける作用を検討したところ,Fr-1-D-1は遅延型アレルギーモデルであるマウス足蹠浮腫に対して抑制効果がみられたが,他の即時型アレルギーモデルならびに単純炎症モデルに対しては抑制作用を示さなかった.以上の結果より,豚胆嚢胆汁中に存在する抗アレルギー成分は遅延型アレルギー反応を特異的に抑制する作用をもつ蛋白質であることが示唆された.
  • 佐藤 博, 花坂 昭吾, 松本 光人
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1075-1080
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    栄養摂取と乳成分および血液成分の関係を解明するため,92組の牛乳と血液試料を採取し,牛乳尿素,乳脂率および乳蛋白率,血漿の酢酸,3-ヒドロキシ酪酸(3-HB),遊離脂肪酸(FFA),グルコースおよび尿素濃度を測定した.データは泌乳初期(60日まで;11頭の32例)および後期(151~300日;7頭からの60例)に分けて解析した.(1) 初期および後期とも,酢酸や3-HBは乾物(DM)およびTDN摂取と正の相関を示した.酢酸と3-HBは正の関係にあった.(2) FFAと3-HBの相関は初期には正であったが,後期には負に転じた.後期にはFFAはTDN摂取および充足率と負の相関を示した.(3) 乳脂率とFFAには泌乳初期だけ正の相関が認められた.乳蛋白率は初期および後期ともTDN充足率と正,尿素(血漿•牛乳)と負の相関を示した.(4) 牛乳および血漿の尿素は密接な関係にあり,粗蛋白(CP)充足率と有意な相関を示し,充足率が100%における牛乳尿素Nは約13~15mg/dlであった.
  • 今井 敬, 大西 彰, 武田 久美子, 小松 正憲, 小島 敏之
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1081-1084
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 村松 達夫
    1992 年 63 巻 10 号 p. 1085-1098
    発行日: 1992/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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