現在,わが国で流通しているビートパルプの飼料価値を検討するため,羊を用いて,国産ビートパルプ,米国産ビートパルプおよび中国産ビートパルプの消化性,窒素出納および糞の性状を調査した.その結果,羊の飼料摂取量および飲水量に差はなかったが,生糞排泄量は国産ビートパルプと比べ,米国産および中国産ビートパルプが多く,特に,中国産ビートパルプには有意差(P<0.05)が認められた.乾物,有機物,粗蛋白質,NDF, ADFの消化率は,国産ビートパルプが米国産および中国産ビートパルプよりも高い値を示した.これらの内,乾物,粗蛋白質消化率は各ビートパルプ間で有意な差(P<0.05)を示した.また,中国産ビートパルプの有機物,NDF, ADF消化率は国産および米国産ビートパルプより有意(P<0.05)に低い値であった.各ビートパルプのTDN, DCP含量はそれぞれ,国産ビートパルプ85.5%,7.8%,米国産ビートパルプ80.8%,6.3%および中国産ビートパルプ75.3%,5.3%であった.窒素出納において,糞中に排泄された窒素量は国産ビートパルプが米国産および中国産ビートパルプより少なく,窒素蓄積量は国産ビートパルプが中国産ビートパルプより有意(P<0.05)に高かった.国産ビートパルプを給与した羊は中国産ビートパルプを給与した羊に比較し,糞pHが高く,糞中の総VFA含量は低かった.
抄録全体を表示